■ 第3節<2つの道> 第3節 第2小節 をとめの記憶-をかしき祖国
ウィンダスの現れたタルタル3人組は、お父さんを捜しているようだ。
それはさておき、イルクイルの話を聞くのならば、鼻の院に行った方が良さそうだ。
■ ウィンダス水の区・鼻の院
Ohbiru-Dohbiru:なんだい?
30年前の合同調査隊?
Kenapa-Keppa:たしかに……
ウィンダス……から……、
鼻の院……研究……員……
Kenapa-Keppa:イルクイル氏が……
参加……した……けれど……
Ohbiru-Dohbiru:……あの人は
鼻の院から追放されてしまって、
辺境でひっそりと亡くなったよ。
Ohbiru-Dohbiru:それでも、イルクイル氏に
ついて知りたいんだったら、石の区に住んでる
ヨランオラン博士に聞いてくれ。
Ohbiru-Dohbiru:ただ、調査内容を
知りたいって言っても教えてくれるかなぁ。
かなり重要な話なんじゃないの、それ?
■ ウィンダス石の区・ヨランオラン博士邸
Yoran-Oran:おや? 私に何か用ですか?
私はヨランオラン。元「鼻の院」の院長……
Cherukiki:とうちゃーん!
Kukki-Chebukki:あいたかったよー!
Makki-Chebukki:かわいい子供たちだよー!
Yoran-Oran:な、なんだ、
なんだなんだ、おまえたちは!
Yoran-Oran:人の家に飛び込んでくるなり
「とうちゃん」だなどと言いおって!
Makki-Chebukki:とうちゃん、
とうちゃんは知らなかっただろうけど、
とうちゃんと別れたかあちゃんのおなかの
中には、おいらたちがいたんだよ。
Cherukiki:いたんだよ~。
Kukki-Chebukki:だからおいらたち、
とうちゃんをずっと探していたんだよ!
Cherukiki:いたんだよ~。
(2博士登場)
Koru-Moru:ほほう、ヨランオラン博士に
こんな可愛い子供たちがわらわらいたとは。
Shantotto:あらあら、これはなんて感動的な
再会なのかしら。さっそく魔法新聞社に
記事にしてもらわなくてはね。
Yoran-Oran:知らん、私は知らん!
なにかの間違いだ!
Shantotto:オホホ、
男はみんなそう言うものですわ。(高笑い)
Yoran-Oran:話はよーくわかったぞ。
たしかに私は、ずいぶん昔にタブナジアへと
行ったことがある。
Yoran-Oran:しかしそれは、
妙な発見物を鑑定しに行っただけだ。
Yoran-Oran:あの国には、
海賊やら盗賊やらトレジャーハンターやらが
世界各国から集めた妙なものが集まっていてな……
Yoran-Oran:そういったものは
タブナジア礼拝堂の地下にある宝物庫に
ぎっしりみっしり隠されていたのだ。
Yoran-Oran:私は、そこで見たことを
決して口外せぬことを約束させられ、
その宝物庫へと案内された。
Yoran-Oran:そこに安置されていた
どこぞの迷宮から掘り出されたという
「恐ろしい像」を見てくれといわれてな……。
Koru-Moru:恐ろしい像?
とっても気になるぞ! なんだったんだ、それは?
Yoran-Oran:さぁ……、よくわからん。
Shantotto:あらまぁ。はるばるタブナジアまで
ご招待されて「わからん」なんて……。
Shantotto:まったく恥ずかしい話ですわ。
ウィンダスの院長たちの顔に泥をヌルような
真似をしてきたというわけですわね。
Shantotto:ああ、しかも、
頼まれてもないのに子供まで残して……。(高笑い)
Yoran-Oran:だから、
それは違うと言ってるだろう!
Yoran-Oran:……それに、私は
「その像がなんの像か」を調べるために
呼ばれたわけではない。
Yoran-Oran:その像に、かすかに残っていた
土から、それが「どこで掘り出されたものか」
調べてほしいと言われたのだ。
Koru-Moru:で、その土が
どこのものかは、わかったのかい?
Yoran-Oran:もちろんだ。
あれは、深海の土だった。
シュ・メーヨ海の土だと思うね。
Koru-Moru:シュ・メーヨ海というと……。
ジュノの北にある内海かぁ。
Koru-Moru:晴れていても船が沈むって
いわれてる魔の海域じゃなかったっけか。
Yoran-Oran:うむうむ。
しかし、海の中ではなく地底の底から
見つかったものだと聞いたがな。
Shantotto:妙な話ですわねぇ。
……それで、その謎を解明した勢いで
子供までもうけましたの?
Yoran-Oran:だから違うといっているー!
Yoran-Oran:こら、おまえたち、
おまえたちのせいで、私の印象はボロボロだ!
Yoran-Oran:ほら、ちゃんと説明せんか!
Cherukiki:おいらたち、おなかへった。
Kukki-Chebukki:おなかへって
なにもしゃべれない。
Makki-Chebukki:めまいがするよ。
Yoran-Oran:ぬうう!
しょうがない、水の区に食堂があるから、
そこでごはんでも食べてきなさい!
Makki-Chebukki:わーい!
Kukki-Chebukki:やったー!
Cherukiki:めしだー!
Yoran-Oran:ううう……
Yoran-Oran:なんたること! なんたること!
私の清らかなイメージが! 清らかなイメージが!
Yoran-Oran;これはいかん! これはいかん!
濡れ衣をはらすのだ! 濡れ衣をはらすのだ!
Yoran-Oran:そうだ!
こういうときには「再生の鏡」だ!
人の記憶を覗くことができる「再生の鏡」!
Yoran-Oran:それを使って、タブナジアでの
私の思い出を見てもらうことにしよう!
やましいことなど、これっぽっちもないのだから!
Yoran-Oran:しかし、再生の鏡を
持っていたのは誰だったか? 以前、すごく
嫌味な誰かに自慢された覚えがあるのだが?
Yoran-Oran:ううむ、落ち着けヨランオラン。
慌てていて、よく思い出すことができん……。
■ ウィンダス水の区・レストラン
Kyume-Romeh:モグモグ……
なんだい? この物知りボクちんに
なにか質問でもあるのかい?
Kyume-Romeh:……ほほう。
ここに、異国の服を着たタルタル3人組が
やってこなかったかって?
Kyume-Romeh:ものすごく食いっぷりの良い
タルタル3人組なら見たよ。……モグモグ……。
Cherukiki:おなかいっぱいだ~。
Kukki-Chebukki:まんぷくまんぷく~。
Makki-Chebukki:生き返ったなぁ~。
Kukki-Chebukki:あのでっかい竜にぶっとばされて、
おいらたち死んだかと思ったもんなぁ。
Cherukiki:あのでっかい竜にぶっとばされて、
いちもんなしにもなっちゃったもんね。
Makki-Chebukki:……。
あのさぁ、おいら思うんだけどさぁ……。
Makki-Chebukki:さっきのとうちゃん、
ちょっとちがうよな?
Kukki-Chebukki:うんうん、ちがうね~。
Cherukiki:ちがう、ちがうね~。
Makki-Chebukki:もっとさぁ、
おいらたちのとうちゃん、金持ちじゃん。
Kukki-Chebukki:そうだよ、
かあちゃんもでっかい宝石もらってたもん。
Cherukiki:ふかふかの毛皮ももらってたもん。
Makki-Chebukki:よーし!
じゃあ、ほんとうのとうちゃんを探そうぜ!
Cherukiki:探そうぜ!
Kukki-Chebukki;探そうぜ!
Kyume-Romeh:……というわけで、
あのタルタル3人組は、水の区の南の方に
走っていってしまったのだよ。モグモグ……。
End