プロマシアの呪縛/第1章~第4章/ルーヴランスという者

Last-modified: 2012-06-17 (日) 15:38:44

・ルーヴランスという者

進行内容
 ルーヴランスという者の助言に従うならば、
 南サンドリアのヒナリー夫人が、前教皇の
 ことをよく知っているらしい。


■ 南サンドリア・カッファル伯爵邸

Hinaree:なんですって?
 ルーヴランスに会ったのですか?
 あの方はお元気そうでいらっしゃいました?

Hinaree:……そうですか。
 ずいぶんと姿を見せないので心配しておりました。
 ええ、もしもその身に何かあるようでしたら、
 ミスタル伯爵夫人にも申し訳がたたなくて……。

Hinaree:え?
 30年前、北の地に送られた調査隊のことを?

Hinaree:ええ、覚えておりますわ。
 あのころ私は、今はダボイと呼ばれている
 ラヴォール村の屋敷に住んでおりました。

Hinaree:ラヴォールの丘の上には修道院が
 ありまして、その関係で前の教皇ムシャヴァット
 さまをよくお迎えしておりましたの。

Hinaree:教皇さまはたしか、
 「共同調査隊は、バストゥークから得た情報を
 確かめるために組むことになった」とおっしゃって
 おりました。

Hinaree:なんでも
 当時のバストゥークは、死せる北方の大地に
 大いなる力が眠っていると主張していたとか。

Hinaree:もちろん
 ムシャヴァット教皇さまは、バストゥークの
 言うことに半信半疑でいらっしゃいましたわ。

Hinaree:ですが、主人が「もしやそれは
 楽園の扉かもしれぬ」と申しまして……

(駆け込んで来るウルミア)

Ulmia:カッファル伯爵夫人さま!
 やはりサンドリア大聖堂は、
 楽園の扉を見つけたのですか!?

Hinaree:あなたは!?

Hinaree:驚きましたわ。
 タブナジアからの小さなお客さまが、
 こんなに大きく美しくなられて。

Hinaree:しかも、そちらの冒険者の方とも
 お知りあいでしたのね。

Ulmia:失礼致しました。カッファル伯爵夫人さま。
 自制心を失ってしまって、ご挨拶もせずに……。

Hinaree:いいえ。いいのですよ。
 今日は嬉しい知らせばかり。20年もの昔に
 お迎えしたタブナジアからの小さなお客さまを、
 こうしてもう一度お迎えすることができるなんて。

Ulmia:その節は、私のような者にまで、
 心のこもったおもてなしをいただきまして
 ありがとうございました。

Hinaree:いいえ、あなたがたは
 大切なお客様でしたもの。タブナジアの
 ミルドリオン枢機卿さまがおっしゃっていましたわ。

Hinaree:今日連れてきたのは、
 世界に名だたる小さな吟遊詩人だと。

Hinaree:ふふふ。あなた、本当にまだ
 小さくて、世界を見たいからついてきたと
 しっかりしたことをおっしゃいましたわね。

Ulmia:これはまた……。
 お恥ずかしい限りです。

Hinaree:そうですわ。あのとき、
 一緒にいらしたもうひとりのお嬢さんは?

Ulmia:……。

Hinaree:いいえ、ごめんなさいね。
 私ったら、思慮のないことを。

Ulmia:いえ、お気になさらずに。
 彼女も元気です。あの戦火をともに
 生き延びることができました。

Hinaree:まぁ、それは本当に良かったですわ。
 暁の女神さまのご加護がありましたのね。

Hinaree:あの頃は良かったわ。
 主人も、ムシャヴァット教皇さまも
 ミルドリオン枢機卿さまも健在で……。

Hinaree:お三方が集まると必ず、
 楽園の扉についての議論が夜通し続きましたわ。

Ulmia:カッファル伯爵夫人さま、
 今日はその「楽園の扉」について、
 お話をお聞かせ願えませんでしょうか?

Ulmia:私がここを訪れましたのは、
 サンドリア大聖堂にてその話をきいたからなのです。

Hinaree:……。

Ulmia:たくさんの観客を前に、
 もったいぶって繰り広げられていた説話は、
 私の詩歌よりも酷い出来でした。

Ulmia:前の教皇さまが、死の床にて
 宣託を受けたという話も聞きましたが、
 街の人々より話を聞けば、どうにも
 納得がいかないことばかり……。

Ulmia:あれはいったい、
 どういうことなのですか?

Hinaree:ウルミアさん。楽園というのは、
 死も怖れもないところだそうですわ。

Hinaree:ラヴォール村がオークに襲われ、
 残酷な運命の手によって主人を失ったとき、
 残された私を救ってくださったのは、
 ムシャヴァット教皇さま、そしてその信仰でしたわ。

Hinaree:あなたも人の心を歌う身ならば、
 おわかりでしょう? 真実なんて大した
 ことではないのです。真実は皆を救えませんわ。

Ulmia:カッファル伯爵夫人さま、それで自分を
 救えるのなら、私もそれこそ真実だと思います。

Ulmia:しかし、ミルドリオン枢機卿さまは
 おっしゃいました。他の人を救うためには、
 真実を知る勇気も必要だと。

Hinaree:ミルドリオン枢機卿さまが……。

Hinaree:わかりました。
 気になっていることならございます。
 ムシャヴァット教皇さまが亡くなる前、
 私はお見舞いに参りました。

Hinaree:その折に、ムシャヴァット教皇さまが
 おっしゃった言葉は今でも耳から離れません。
 「真実を手放さざるをえなかった」、と。

Ulmia:真実を……
 手放さざるを、えなかった?

Hinaree:そうおっしゃる表情は、
 まるで死人のようでございました。

Ulmia:……。

Hinaree:あのとき、ムシャヴァット教皇さまが
 おっしゃった「真実」というものが、楽園の扉に
 関するものなのかどうかはわかりかねます。

Hinaree:ただ、あの後、
 ミルドリオン枢機卿さまが爵位をお返しし、
 サンドリアから姿をお消しになったことを
 考えますと、関係は深いのかもしれません。

Ulmia:ミルドリオン枢機卿さまが
 爵位をお返しになられた? それはいつのことです?

Hinaree:もちろん、20年前のことですわ。
 タブナジアが獣人軍に急襲を受けた数日後のこと
 だったと記憶しております。そのご様子ですと、
 ご存じありませんでしたのね?

Ulmia:ええ。
 ミルドリオン枢機卿さまは、あの戦火で亡くなった
 ものとばかり思っておりました。最後にお姿を見た
 のは、放たれた火に沈むタブナジアの市街地でした。

Hinaree:……そうでしたの。
 ミルドリオン枢機卿さまにも、
 女神さまの加護がありましたのね。

Ulmia:ええ。そのようです。
 それで、ミルドリオン枢機卿さまは
 どこへ向かわれたのでしょう?

Hinaree:そこまではわかりません。
 ただ、ミルドリオン枢機卿さまのご捜索を
 密命として受けた騎士がいるそうですわ。

Hinaree:その騎士の名は、ルーヴランス。
 没落したミスタル伯爵家の末裔、元王立騎士団の
 騎士になります。

(ヒナリー夫人の部屋を退出するウルミアとPC)

Ulmia:「真実を手放さざるをえなかった」……。

Ulmia:それは、楽園の扉に関する
 真実なのでしょうか。それとも、あなたが
 お探しの調査隊の真実だったのでしょうか。

Ulmia:それに、ミルドリオン枢機卿さまが
 ご存命だったとは驚きです。ご存命ならばぜひ、
 お会いして楽園の扉のお話をお伝えしなくては。

Ulmia:あの方ならば、皆を
 良き方へと導いてくださるはず……。

End


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