プロマシアの呪縛/第1章~第4章/戦慄き

Last-modified: 2012-06-17 (日) 15:42:59

■  第4節<戦慄き>

 もとはといえば、バストゥーク共和国が北の地の調査を発案したようだ。
 シドならば何か知っているだろうか?そして、ジュノの者たちも動き出す。


■ バストゥーク大工房・シド研究室

Cid:なに?
 30年前の北方調査隊のことを聞きたいだと?

Cid:なぜ、そのようなことを聞く?
 あの調査隊に参加した人間はみな、
 もうこの世におらん。

Cid:呪いなどという非科学的なことを
 信じるつもりはないが、北方への調査隊がここまで
 死を呼んだとなれば、呪いに近いものはあるのかも
 しれないな。

Cid:……なに?
 他の2国で聞き出してきたというのか?
 30年前の北方調査隊は、バストゥークの
 進言によって組まれたということを。

Cid:……ならば、うむ……。
 そろそろ断罪の時が来たのかもしれん。
 北方に大いなる力があると調査隊を編成する
 きっかけになったのは、この私だからだ。

Cid:30年ほど前のこと。ある男の手によって、
 ここ大工房にある石が持ち込まれた。

Cid:その石は小さなものだが、
 近づいただけでその気配を感じとれるほどに
 不思議なエネルギーが凝縮されていた。

Cid:合成につかわれる
 あのクリスタルなどよりも恐ろしく強い
 エネルギーの発見に、わしは慄いたよ。

Cid:それは北の地より
 もたらされたということでな。あの地には、
 なんらかの大きなエネルギーが眠っている。
 わしはそう確信した。

Cid:そのエネルギーを利用すれば、
 バストゥークの技術が飛躍的に進歩するのは
 火を見るよりも明らかだった。

Cid:そこで、当時の大統領に進言し、
 銃士隊が北方へ先行調査に向かうと
 いうことになったのだ。

Cid:本来ならば、バストゥークのみで
 その調査を行うはずだったのだが、
 その情報がどこからか他の2国に漏れてな……

Cid:しかし結局、
 なにも得られなかったというわけだ。
 大切なものを失いこそすれ……。

Cid:……あの強いエネルギー。
 そういえば、あれこそ飛空挺のクリスタル推進機関を
 動かしているエネルギーに当てはまるものだな。

Cid:もしや、ジュノは北の地に眠る
 大きなエネルギーを既に見つけ出している……?

Cid:せめて今、あの石が手元にあれば、
 なにか分かっただろうがな。実はあれは、
 30年前の調査隊と共に、行方がわからなく
 なってしまっているのだ。

Cid:ただあの石「魔晶石」は、
 「タブナジアの魔石」と呼ばれる石の
 破片だったという話だ。

Cid:タブナジア出身だと騒いでいた、
 あの娘さんに尋ねれば、なにか
 わかるかもしれない。

Cid:おぬし、あの娘さんに
 会ってきてくれないか?
 
 
■ ル・ルデの庭・ジュノ大公宮

Wolfgang:ナグモラーダ様、
 出発の準備ができました。

Nag'molada:我々は別の船で行く。
 いいな、もし私がいく前にあれが現れても、
 けん制するだけにしておけ。わかっているな?

Wolfgang:はっ!
 わかりました、ナグモラーダ様!

(出立する親衛隊、ナグモラーダに駆け寄るタルタル3人組)

Nag'molada:……ふむ。うまくいったようだな。
 では、あれを回収させてもらうとするか。
 
 
■ ジュノ下層・天晶堂

Aldo:ああ、、
 ちょうどいいところに来た。

Aldo:プリッシュの連れだという
 お嬢さんが来ているのだが……。

Ulmia:さん。
 プリッシュを見ませんでしたか?

Ulmia:……え? さんも
 プリッシュにご用事が?

Ulmia:なるほど、30年前にタブナジアから
 バストゥークに売られた「魔晶石」という
 石のことを知りたいとおっしゃるんですね?

Ulmia:けれどもそれが「タブナジアの魔石」の
 破片だと言われましても、私にはなんのことだか……

Aldo:タブナジアの魔石、か。

Ulmia:?
 アルドさん、なにかご存知なのですか?

Aldo:ああ、聞いたことだけはある。
 タブナジアには、門外不出の危険な
 石があったという話はな。

Aldo:しかしその石は、20年前の大戦のとき
 獣人どもが持ち去ったと聞いた。罪狩りの
 ミスラがそれを探していたとか……。

Aldo:そうか、あれが魔晶石だったとすれば、
 獣人どもがあれを持ち去ったことも納得できる。
 しかしどこへ……ううむ……。

Ulmia:タブナジアに戻れば、誰かが
 覚えているかもしれません。けれども、
 プリッシュが見つからないことには……。

Sattal-Mansal:ボス、大変です!
 あの嬢ちゃん、医者のところに担ぎ
 こまれているようですぜ!

Aldo:なに!? なにがあった!?

Sattal-Mansal:上層の女神聖堂にいたところを
 だれかに襲われたそうで!

Aldo:なんだって!?

Ulmia:プリッシュ!

(駆け出すウルミア)

End


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をかしき旅立ち
戦慄き神を名乗りて