そこそこの出場機会があるにも関わらず、恐ろしい程に貧打な選手に与えられる不名誉な賞。「MM賞」とも。
【目次】
概要
松井雅人(元中日→オリックス)は、中日時代の2014年に打率.176(142-25)・1本・4打点、2015年に打率.135(133-18)・0本・7打点という凄惨な打撃成績を記録し、なんJ民がこれに敬意を表して勝手に創設した。
受賞基準
- 打率:.200未満、できれば.150未満が望ましい。
- OPS:.500未満、できれば.400未満が望ましい。
- 打席数:100以上が基本。
- 打点:15未満、できれば10未満が望ましい(100打席あたりで換算)。
- 本塁打:1本以下が基本(こちらも100打席あたりで換算)。
ここまで極端に打てない選手は余程の理由がない限り二軍に落とされるため、特に打席数を稼ぐのが難しい。そのため、他のポジションに比べて替えが利かず、また守備負担の大きい捕手が多くノミネートされる傾向がある。
歴代受賞者
選手の所属球団は選考当時のもの。
第1回(2015年)
松井雅人(中日)
146打席・打率.135・0本・7打点・OPS.344
言うまでもなく本人。賞の制定経緯からして当然の結果ではあるが、打席数の多さや打率の低さなど自らの名を冠する賞に相応しい成績を残した。
第2回(2016年)
梅野隆太郎(阪神)
98打席・打率.135・0本・4打点・OPS.324
規定である100打席を満たしていないことから異議もあるが、残り2打席が安打としても打率.154(91-14)でダントツの成績となるため受賞。「認定松井雅人賞」とも言われる。
優秀賞
梅野が不適格であるとする場合は、以下2人のうちいずれかを2016年松井雅人賞とする声が強い。
- 高城俊人(DeNA)
103打席・打率.163・0本・7打点・OPS.422
- 脇谷亮太(巨人)
115打席・打率.157・1本・7打点・OPS.433
2016年特別賞
- ジェイミー・ロマック(DeNA)
85打席・打率.113・0本・2打点・OPS.374
打席が足りず選考対象外だったが、助っ人打者であるにも関わらず論ずるに値しない成績を残した。開幕前のアレックス・ラミレス監督らの評価も高かった事からインパクトもあったため、「特別賞(外国人)」を贈られた。
2017年
2017年の松井雅人は244打席・打率.221・2本・17打点・OPS.597と捕手としては最低限の成績を残す。さらに、よりひどい打撃成績に小林誠司(巨人)*1、若月健矢(オリックス)*2らが目立ち始め、トドメに岡田幸文(ロッテ)*3が出現したことで、選考がされなくなってしまった。
そのため2017年以降はノミネート止まりに終わっているが参考に2017年以降の有力候補の成績を記載する。
- 杉山翔大*4(中日)
82打席・打率.091・0本・1打点・OPS.299
- 岡大海(日本ハム)
132打席・打率.169・0本・7打点・OPS.412
- 伊志嶺翔大(ロッテ)
117打席・打率.173・0本・4打点・OPS.441
2020年
柿沼友哉(ロッテ)
129打席・打率.160・0本・9打点・OPS.389
100打席立ってOPS3割台であり、前年の高田同様に選考無しでの受賞が確実視される。
- 石井一成(日本ハム)
104打席・打率.179・0本・3打点・OPS.444
- 炭谷銀仁朗(巨人)
100打席・打率.180・1本・7打点・OPS.482
参考記録
- 中川圭太(オリックス)
144打席・打率.146・2本・13打点・OPS.403
2本塁打を記録しており、なおかつ受賞対象者も他にいたため選考対象外だが、その他の条件は全て達成し、OPSは前述の石井未満。前年は交流戦首位打者を獲得するなど打撃好調だった所からの転落ぶりが目立つ。
2021年
9回打ち切り制のおかげか打低シーズンであり、近年にないほど激しい争いになった。高校時代に甲子園を沸かせた根尾や堂林、タイトルホルダーの金子、中島などが名を連ねる。また、前年の打点王・中田の急落ぶりも著しい。
- 根尾昂(中日)
188打席・打率.178・1本塁打・16打点・OPS.482
- 金子侑司(西武)
220打席・打率.192・0本塁打・9打点・OPS.480
- 山本祐大(DeNA)
111打席・打率.131・1本塁打・4打点・OPS.355
- 中島卓也(日本ハム)
117打席・打率.189・0本塁打・1打点・OPS.461
四球での出塁が多くノミネート者の中では比較的マシなほうだが、打点1が目を引く。
- 石川亮(日本ハム)
123打席・打率.185・0本塁打・7打点・OPS.418
- 加藤匠馬(中日・ロッテ)
123打席・打率.095・2本塁打・4打点・OPS.300
本塁打が1本以下だったら文句無しの最有力候補。打率0割台を始めその他の成績は圧倒的。OPSは3割ちょうど*6、さらに打席数から四球と犠打を除くと105打数で52三振*7という異次元ぶり。
特別賞候補
- 中田翔(日本ハム・巨人)
256打席・打率.177・7本塁打・20打点・OPS.569(通算)
106打席・打率.154・3本塁打・7打点・OPS.570(巨人時代のみ)
前年からの凋落ぶりや素行問題、日本ハム低迷と巨人大失速双方の戦犯である点が評価される。ちなみに得点圏打率は.056。
- 小林誠司(巨人)
79打席・打率.093・1本塁打・3打点・OPS.277
打席数がかなり不足しているがその成績は上述の加藤の下位互換。規定打席をクリアしていれば文句なしの受賞だったと言える。
参考までに、松井雅人本人のこの年の成績は打率.000(7-0)であり、出場試合数が僅か10試合と非常に少ないとはいえ賞創設者の貫禄を見せつけている。
2022年
前年以上の打低シーズンとなり、5度のノーヒットノーランが記録された。
- 甲斐拓也(ソフトバンク)
405打席・打率.180・1本塁打・27打点*8・OPS.498
正捕手としてほぼ全試合に出場して規定打席近くまで立った上でこの成績を記録し、なんとパ・リーグの捕手部門ベストナインを受賞した*9。
- 松川虎生(ロッテ)
212打席・打率.173・0本塁打・14打点・OPS.445
- 坂本誠志郎(阪神)
151打席・打率.189・0本塁打・6打点・OPS.497
- 中山礼都(巨人)
142打席・打率.198・0本塁打・3打点・OPS.440
- 佐藤龍世(日本ハム)
106打席・打率.115・1本塁打・4打点・OPS.341
- 柘植世那(西武)
118打席・打率.173・1本塁打・5打点・OPS.452
- 後藤駿太(オリックス・中日)
110打席・打率.172・0本塁打・6打点・OPS.483
特別賞候補
- 柴田竜拓(DeNA)
169打席・打率.196・0本塁打・1打点・OPS.521
OPSが前年の中田並に高いため賞候補からは外れるが、前年の中島より多い打席数を与えられながら打点1を記録。得点圏打率は.057だった。
そして松井雅人本人のこの年の成績も打率.000(1-0)であり、出場試合数は10試合にも満たず、オリックスの日本一決定の翌日に戦力外通告を受け、現役を引退した。
2023年
今年度のパ・リーグは首位打者の頓宮裕真の打率が.307でパ・リーグ史上最低、3割打者が前述の頓宮と近藤健介のみであった。また近藤と浅村栄斗、グレゴリー・ポランコが26本塁打で本塁打王を獲得、違反球時代の2012年以来のシーズン20本塁打での本塁打王誕生と、歴史的打低シーズンだった。
- 龍空(中日)
304打席・打率.187・1本塁打・18打点・OPS.456
- 矢野雅哉(広島)
146打席・打率.185・0本塁打・3打点・OPS.470
- 柘植世那(西武)
137打席・打率.184・0本塁打・13打点・OPS.430
- 會澤翼(広島)
133打席・打率.172・1本塁打・10打点・OPS.492
- 島田海吏(阪神)
121打席・打率.145・1本塁打・6打点・OPS.408
- 矢澤宏太(日本ハム)
107打席・打率.177・1本塁打・4打点・OPS.495
- 上林誠知(ソフトバンク)
99打席・打率.185・0本塁打・9打点・OPS.456
特別賞候補
- マイク・ブロッソー(ロッテ)
147打席・打率.191・1本塁打・11打点・OPS.504
惜しくもOPSが5割を超えてしまったが、その他の条件はクリア。途中加入の助っ人であるため期待との落差が目を引く。また得点圏打率.063も高評価。
- 林琢真(DeNA)
154打席・打率.206・0本塁打・11打点・OPS.476
こちらは打率が2割を超えながらOPSが.500を優に下回った稀有な例。
受賞者のその後
2018年シーズンで、松井は256打席・打率.234・2本・22打点・OPS.633。梅野は455打席・打率.259・100安打・8本・47打点・OPS.724、さらに2019年4月9日のDeNA戦でサイクル安打を達成した他、2年連続でGG賞を獲得。
など、実は縁起の良い賞なのではないか、という説もある。
これ以上成績の下がりようがないから、とか言ってはいけない。