それは私が魔界戦記ディスガイア4の移植版をプレイしていた時、敵の名前の中に発見したことである──
魔界戦記ディスガイアシリーズをプレイした事が無い人の為に説明しておくと、
このゲームでは、雑魚敵の名前は毎回ランダムに決定される。ランダムネームのデータベースが存在し、その中から毎回どれかが選ばれる。
そして私は見てしまった。
データベースの中から選択されたはずの、敵キャラの名前の一つを。
「ギコムント」──
……昔のAA作品?
いやいや、ギコムントなんてのはややありふれた響きの名前である。スタッフが昔のAA長編作品を見ていた可能性も無くはないが、適当につけた可能性の方が高いだろう。
しかし疑念はますます強まっていく。
私は見つけてしまう。
「シィネスト」──
……
この名前……
馬鹿な。そんなこと有り得ない。ギコムントもシィネストも、外人にいそうな名前だ。ただの妄想だ。
だが私は最後に見つけたある名前によってトドメを刺されるのである。
「ヒューポクライテ」
嗚呼。
馬鹿な。
そんな馬鹿な。
そんな、そんな馬鹿な……。
私は。
感動のあまり、涙を流すしか無かった。
「ヒューポクライテ」、元ネタとなっている英単語は「hypocrite」。「偽善者」という意味の単語だ。だがその発音は決してヒューポクライテではない。
辞書とかで聞いてもらったら分かるが(リンク)、この単語は日本人の耳には「ヒパクリット」とか聞こえるのである。ヒューポクライテなんて発音は存在しない。
もし「ヒューポクライテ」という表記があるのであれば、それは──
シィネスト・ヒューポクライテ。
「山奥のしぃ先生」の主人公の、その名前である。
嗚呼。
なんということだ。
これをランダムネーム一覧にぶち込んだのがスタッフの誰なのかは知らない。
だけど、皆覚えているんだ。
あの時代を、忘れてなんかいやしないんだ。
ゼロ年代は、生きているんだ。
だから私は続けよう。
ゼロ年代を続けよう。
2020年になっても、2030年になっても、
永遠にあの輝かしき時代がこの世から消滅することの無いように。