イベント/それは審判の地で終わる

Last-modified: 2012-01-16 (月) 23:58:10

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


それは審判の地で終わる

カーバンクル再び

……起きて。ねえ、しっかりして。目を覚まして!

 

!?

 

声に応えるように、主人公は飛び起きた。
あ、あれ?
「良かった……みんな、何とか生きてるみたいだね」
声の主は、カーバンクルだった。

 

あのあんまりにも理不尽な理由で魔法陣に力を吸われて、気を失って、それから……また、カーバンクルに助けられた?
「助けたって言っていいのかは、分からないけど……。もう、キミたちは戦えない」

 

カーバンクルのその言葉に、反論出来るものはいなかった。
全員、何とか生きてはいるようだが、やはり自分と同じように、力のほとんどを魔法陣に吸い取られてしまったようだ。半分……いや、10分の一も無いかも知れない。

 

「キミたちは、よく頑張ったよ。人の身でありながら、ここまでルルサスを追い詰めるなんて……」
「……追い詰める?冗談言わないでよ。どう見たって、追い詰められたのは私たちじゃない」
「それは、そうだけど……人間が神に挑もうだなんて、始めから無謀だったんだよ……」

 

「ふざけないで!」

 

霊夢の一括に、カーバンクルは思わず身をちぢこませる。
「私たちが、何のためにここまで来たと思ってるのよ。ルルサスを倒すためなんでしょ?力なんか無くったって、ルルサスは倒さなくちゃいけない奴なんでしょう?」
「……!そんなボロボロになってまで、まだ戦うつもりなの!?」
カーバンクルは信じられない、といった表情になるが、一同は何を当たり前なことを、という表情だった。

 

「例え勝機が無いのだとしても……私たちは戦わなくてはならない。私たちは、その苦難の道を選んだのだから」
「思考のナイトとは強いナイトのことではなく世界を守るナイトのことだという真実」
「夢を、叶えたいんだ。俺は、俺たちは、逃げてはいけないし、逃げようともしない」
「はい……守りたいものがあるから、戦えるんです。別に、死のうと思って行くわけではないですよ?」
「そうそう。まだまだ若いんだから、遣り残したこと一杯残ってるのよ」
「勝って帰る!全員、考えてることは同じだろ?」
「そうね、帰ったら宴会しましょう!」
「元気だな……全く」
「拙者、秘蔵の古酒を持参するでござるよ」
「お、いいねえ。サクヤ、例のワイン、まだ残ってたっけ?」
「ええ。でも紅魔城に置きっぱなしですわ。メイドたちに持ってこさせませんとね」
「戦う前から、もう勝った後の話?気が早いなぁ」

 

「…………キミたちは」
和やかに談笑する一同を、カーバンクルはルビーの瞳で見つめていた。
カーバンクルは、心の機微に過敏だ。
だから……分かってしまった。
もう、先は長くないことを。

 

「キミたちは……本当に、いつだってボクの想像の遥か上を行く」
「ま、そういうわけでね。……通してくれない?」
「…………」
カーバンクルは何も言わず、ただ道を開けた。
「……どーも。それじゃあ、行くわね」

 

「……キミたちのような!」
おぼつかない足取りで審判者の下に向かう一行に、カーバンクルは最後の言葉を投げかけた。

 

「キミたちのような人のことを……【アギト】と呼ぶのかもしれない……!」
「……ありがとう。その称号に相応しい戦いをしてくる」
「……さようなら」

ディエス・イレ

『無様だな?』

 

体に力が入らない。

 

『何度死んだ?』

 

今にも意識が飛びそうだ。

 

『生きながら死んでいる存在』

 

自分は立って歩けているのか?

 

『死にながら生きている存在』

 

自分は、武器を手放したりはしていないだろうか?

 

『無価値』

 

分かる。

 

『それが貴様らの名だ』

 

もうすぐだ。

 

『そうそう、結果を知らせていなかったな』

 

死。

 

『不合格だ』

 

命の終わり。

 

『アギトに挑む価値すら無い』

 

もう、何度目かの感覚。

 

『貴様らに与えた命は、無駄だったな』

 

だけど、今度ばかりは……。

 

『アギト……まだ届かぬのか?』

 

……。

 

『……否!?』

 

……。

 

『我は……ここに……在らず!?』

 

……。

聖なる領域

『引き金が壊れて弾の出ない、錆びて腐った銃のように』

 

『黒くドロにまみれた川にできる淀みのように』

 

『前に進むことのできなくなった、足のない虫のように』

 

『貴様らは無価値だ!』
審判者は、目の前に立っている……と言って良いかすら分からないほどズタボロの者たちに、言い放つ。
『生まれたその時から、徹頭徹尾、何の価値も見つけることはできない』
彼らは、応えない。
『価値のない者には、何の権利も与えられない』
応えられない。
『審判者である我が、裁きを与えよう』
裁きとは。
上から下へ、常に一方的に行われるものなのだから。

 

朱い液体が、審判者を包み込む。
紅い雨、深紅の空、どことも知れぬ神殿。
最後の審判が、下されようとしていた。

  • vs.万魔殿の審判者
    味方全員のステータスが10分の1という状態での戦い。
    審判者は常時リフレク状態。また、「審判の~」と名の付いた技を使う。
    例えば、「審判の天罰」は全体に『最大HPの99%のダメージ』を与える技である。
    ……言うまでも無いかも知れないが、三度目の全滅ポイントである。

『我に忌み嫌われ、意味の無い人生に幕を閉じる。滑稽な生き物だ』

 

……。
………。
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…………………。
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