シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。
ミルキーエイキーアイドルショー
- サンドリア・バストゥーク・ウィンダスのいずれかに訪れた際に発生する可能性あり
彼女らが三国の都市に滞在している場合、その都市の特定の場所で「ミルキーエイキーアイドルショー」が行われている。
その内容に関しては、本家オススメのコレとほぼ同様。
……しいて言うならば内容が若干いやらしいくらいかよく公演の許可出たなと言わざるを得ない
サンドリア編~似た者同士だからこそ親友なのかも知れない~
毎度お馴染み、サンドリア名物白玉楼。
日も高くなったところで空きっ腹に訴えてくる空腹感を黙らせるために立ち寄ったところで、これまたお馴染みの近衛騎士団の面々に出くわす。
よく見ると装備を整えているみたいだが、何かあったのだろうか?
「何かあった……って言うほどじゃないんだけどね。ちょっとした任務、みたいなものかな」
そう答えるのは、何やら念入りに装備の手入れをしている暗黒騎士セシル・ハーヴィ。
「既に知っているとは思うが、今このサンドリアに、とあるアイドルが巡業に来ているだろう」
続けて話すのは、紫のプラモっぽい鎧が妙に似合っている竜騎士ブルーゲイル・ハイウインド。
「その巡業の警備を我々近衛騎士団が受け持つことになったのでな。こうして持ち回りで警備に当たっているわけだ」
そう言いながら店に入って来たのは、脅威の理解力に定評があるナイト、オルステッド。どうやら今まで警備の当番だったらしい。
……というか当たり前のように騎士団の面子が集まってるが、この店は詰所か何かなんだろうか。
「細かいことは気にするな。私は気にしない。……ではブルーゲイル、あとは任せた」
「ああ、じゃあ行ってくる」
疑問を軽く受け流したオルステッドと入れ替わるように、ブルーゲイルが出ていく。
……見送ったところでふと疑問が。
ミルキーエイキーがネ・ジツ大陸国内で有名なのは「」確かになと思うところではあるが、だからと言って一国の正規軍の一部隊である近衛騎士団が何故警備に当たることになったのか。
そう思って聞き出そうと思った矢先、店の扉が壊れんばかりの勢いで開かれた。
「セェシィルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!お前ってやつはァァァァァァァァァ!!」
呪詛にも近い大声を上げながらセシルに詰め寄り、首がもげんばかりにセシルを揺さぶるはカイン・ハイウインド。
王国騎士団副団長であり、ガクンガクンと揺さぶられているセシルの親友でもある竜騎士だ。
「お、落ち着いてよカイン。何があったかは知らないけど、このままじゃ答えようがないよ」
揺さぶられながらも余裕っぽいセシルを離し、息切れを整えながらカインが問い詰める。
「落ち着けだと……これが落ち着いていられるか……」
「セシルお前……今回のミルキーエイキーのショーの護衛……」
「近衛騎士団が引き受けるべきだと上に進言したそうじゃないか」
……ふむ……カインの今の発言で疑問は解明された感。
でもそれ自体は別に問題はないんじゃないだろうか?むしろ大陸間での有名人の安全を確保するというならむしろ真っ当なことなのではなかろうか?
それなのに何故カインが怒っているのかと新たな疑問が浮かんだところで……
パサッ
「「あ」」
……カインの懐から何かが落ちる音がし、その原因となった物体を見てみると……
白紙の色紙が落ちていた。
「「「…………」」」
つまりあれか。自分ら王立騎士団が護衛を引き受けて、あわよくばアイドルのサインでも貰おうとでも思ってたわけだった、と。
それがセシルに先を越されて頭に来たと。うん、なんて阿呆らしいオチか。
「……カイン」
まさしくozrといった感じで打ちひしがれているカインに、セシルが優しく語りかける。
「大丈夫だよカイン。君の分まで、ちゃんとサインは貰ってくるから」
「セシル……俺を許してくれるのか……?くだらんことで当たり散らしてしまった俺を?」
「許すも何も、僕達は同じ志を持った親友じゃないか」
……原因さえ聞かなければとは思うんだが……いかんせん事情を知ってるだけに素直に納得できなくて困る。
「それならセシル……頼んでもいいか?」
「もちろんだ、カイン。ちゃんと貰ってくるよ」
「「謎の死神少女ミスティーコマチの直筆サインを」」
……これはひどいと思った瞬間。
白玉楼の壁を突き破って二本の矢がセシルとカインのドタマをぶち抜いた。
「……相変わらず威力も精度も凄まじいな、ローザの狙撃は」
「こちらとしては正直勘弁して頂きたいんですけどね。床は汚れますし、壁に空いた穴だって勝手に塞がるわけじゃないんですから」
ビックリしてるこちらをよそに、さも当然の光景のように振る舞うオルステッドと、奥からやって来た妖夢。
……何?普段からこんなどこからともなく矢が飛んできて人の頭に刺さるのが日常茶飯事なんですか?なにそれ怖い。
「あぁ、いや、この二人限定だから大丈夫だ、問題ない」
「ローザさんといって、セシルさんの恋人で、カインさんの幼なじみだそうなんですが、よく話が変な方向に暴走しがちなお二人に対しての抑止力的な方なんですよ」
だからってドタマに矢をぶち込むのはどうかと思うんですがねぇ……てかどんだけ地獄耳なんだ。そしてどっから射ってるんだ。
「聞いた話では中近の国アトルガンでは、同じ軍の将軍同士で矢を打ち合っていると聞く。それと似たようなものだろう」
……あー……確かに、それを言われると……
「とりあえずここに置いておいても邪魔ですから、店の裏にでも放置しましょうか。オルステッドさん、申し訳ありませんが手伝って頂けますか?」
「一応は身内の不始末ではあるからな。手伝わせて貰おう。それと店に空いた穴については……」
「えぇ、いつも通りそこに転がってる黒いのに請求しますので」
……頭に矢が刺さったまま店の裏まで引き摺られていく親友同士の2りを見送りながら、ふと思った。
ブルーゲイルが戻ってくるまでに復活してるんだろうか、黒いのは、と。
サンドリア編~事前に惚気られるとわかっていれば我慢も出来ますがわからない場合手の打ち様が遅れるんですわ?お?~
北サンドリア閲兵場。
サンドリアにおけるミルキーエイキーのショーの開催場所であるそこには、大勢の観客が集う。
開催日の空の下、人気アイドルを前にしての民衆のテンションと熱気はまさに最高潮であった。
人混みが凄まじいなあと思っていると、その中に見た事のある背中が二つ。
片方は白いガラントアーマーで、もう片方には巨大な蝙蝠のような翼があった。
もしかしなくてもブロントさんとレミリアである。一観客か、それとも警備の任の最中なのか。
この人だかりの中で好奇の視線で見られていないのは、この場の全ての人間がアイドルショーに集中しているからか。
……とでも思って二人を見ていると……。
ブロントさんが、ふと横を見る。
その横には相方のレミリアが物憂げな表情を浮かべていた。
その姿が珍しいと感じると同じく、ブロントさんはなんだか不安が鬼なる。
どうしたのか、気分でも悪いのかと声を掛ける前にレミリアが口を開いた。
「……ブロントさん」
「何か用かな?」
「ブロントさんは、おっきい胸の方が好き?」
――盛大にバランスを崩した。
「……一体何を言いたいのうk理解不能状態なんですがねぇ」
しかし、レミリアはアンニュイな顔で黙しているばかりで。
よく見ると彼女は何かを一点視していた。
辿ってみるとその視線は、アイドルショーの主演へと向けられている。
厳密にいえば、主演の一人である謎の死神少女ミスティーコマチのとある一部分。
見れば周辺の男衆の大半の目線は激しいアクションに揺れる『それ』に固定されている。
「……おいィ? もしかうsて、……『あれ』のことを言ってるわけ?」
頷く。
「……容姿を気にした事はないけど、やっぱ『あれ』を見ると、どうしても比べちゃうなって」
レミリアが首を真下へ傾ける。
絶壁と言う訳ではない。むしろ少しはある方だが、レミリアの『それ』とミスティーコマチの『あれ』との間には、遺伝子情報の時点から存在する圧倒的な隔たりがあった。
「やっぱり、大きい方がいいのかしら……」
レミリアの横顔を見てブロントさんは何か思案していたようだったが、
「なんだそんなことか」
あっさり目の返しに、レミリアは拗ねたように見る。
「……そんなことかって……」
「俺はどちらかと言えば慎ましい方の派閥なので何も問題はない」
喜べばいいのか、怒ればいいのか、なんとも微妙な言い回しだった。
「……もしかして、慰めてくれてる?」
「いんや、割とすんねkんに心の底から思ってる」
というかだな、と前置きしてブロントさんは語る。
「俺が好きな胸はおお気差関係なくレニエrアの胸だけであって、」
「……お、臆面なくそんな恥ずかしいことを言うなあ――!」
――瞬間、ギャラリーの真っただ中にドリキャスなる快音が響いた。
「オウフ」
照れから反射的に鳩尾を小突かれ、ブロントさんは思わずノックアウト。
額から爽やかな汗がじんわり迸る。
「あ、うう。……お、落ち込んで損した! 損しちゃったわ……!」
手を出した事に慌てつつ、顔を真っ赤にしてブツブツと呟くレミリアを見て、ひややせをかきながらブロントさんはふふんと笑う。
「おっととどうやら元のれmりゃに戻った感」
「ぼ、暴力的で悪かったわね……」
「いあそれでいい」
え、と間の抜けた声が涙目のレミリアの唇から漏れた。
「俺がレミラを好きなのは顔からオーラが見えそうになるくらいバレバレなのだが、
その中で一番好きなのはいつも通りのレムリアなので暴力敵でも無問題。
つまりまとめると照れ隠しするとはかわいいな流石れみりあかわいい」
レミリアの顔が更に赤くなった。
まあなんだとでもいう様に、ノックアウト状態から復帰すると、
「光と闇が合わさると最強に見えるように、謙虚な光属性のナイトに我儘な闇属性の吸血鬼がお似合いなのは確定的に明らか。だからお前全力で自身持っていいぞ」
「……」
顔を真っ赤にしながら、吸血鬼が体を横に倒し、身を騎士に預けた。
頬が肩にふれ、髪がふんわり揺れる。
「……なんか、ずるい」
「それほどでもない」
……。
……誰か地面にウォタガ撒いてくれないだろうか。やけに熱い。
バストゥーク編~暗黒騎士の業ってのはホントこんなんばっかりなのか~
バストゥーク共和国のいろんな意味で中心となっている大工房。
せっかく近くまで来たのだから顔見知りにでも会いに行こうかと寄ってみると……
「あ!主人公ちょうどいい所に!!」
バタバタと慌てた様子で駆け回っていたにとりがこちらに気づき、有無を言わさず手を取ったかと思ったら、人攫いかと言わんばかりの勢いで引っ張っていく。
何事かと訪ねても
「詳しい話は後で!とにかく大変なんだよ!!」
と取り付く島もない。
そして連れてこられた場所は、大工房裏口近くの通路。そこで見た光景は……
「…………どうしても通すつもりはないのか?」
「あぁ、ミスリル銃士隊の誇りにかけて、お前を行かせるわけにはいかないんだ」
「右に同じ。悪いけど、大人しくしててもらえるかしら?」
北方に偵察の任務に就いてるはずのザイドが、フリオニールとパチュリーに道を塞がれているという状況だった。
「ザイドが任務の定期報告で一時帰国してきて、それが終わった後ザイドが部屋から出てきてどこかへ行こうとするのを二人が止めて、ずっとこんな感じで……」
状況を認識したのを確認したにとりからの説明を聞き、再び状況を静かに見守る。
「俺にはなさねばならぬことがあるのだ。戦友であるならば、わかってくれるだろう?」
「戦友だからこそ……間違った道を歩もうとしている友を、力づくでも止めるのが友としての勤めだろう!」
「私は戦友なんていうほど親しいつもりはないけど、知った顔がやらかそうとしてるのを放っとくほど薄情でもないつもりよ」
……しばしの沈黙が流れる。
その沈黙を打ち破るように、ザイドが背に負った剣を抜き、フリオニールとパチュリーも自身の得物を手に取り、対峙する。
「……悪いが、押し通らせてもらうぞ。俺には時間がないのだ」
「こうするしか……ないのか……?」
「…………」
同じミスリル銃士隊同士での争い、しかも大工房の中でという異常事態。
そもそも何故こんなことになってしまったのか。その疑問は……最悪な形で知ることとなった。
「・えちょ 早くしないとミルキーエイキーのショーが!終わっちまうだろうがァァァァァ!!」
「お前がそうやって趣味で暴走するたびに俺達までそういう風評被害に晒されるんだ!行動には気を使ってくれ!!」
「そもそも今回の定期報告だってわざわざ巡業でバスに来る時期に合わせて帰ってきたんじゃない!その情熱を少しは別の方向に使いなさいよ!!」
…………こ れ は ひ ど い 。
そういえばここに来る途中、ミルキーエイキーのショーやってたなぁ。
軽く頭を振って気持ちを切り替えてる間に、この最低な理由による戦いは……
一瞬で終わった。
「むきゅー……」
「お前……アビ全開はまだしも分身まで使うとか本気すぎるだろ……」
開幕直後から暗黒ラスリゾブラポンからの分身連携とか汚いなさすが禿ガルきたない。
「この俺の業、止められることなど出来はしない……」
あっという間に2りを叩き伏せ、剣を収めたザイドが出口に向かおうとする。
「・えちょ 邪魔者もいなくなったところで我が楽園にのりこめー^^」
このままあの禿ガルの暴走を許してしまうのかと思われた……その時!!
「楽園?いいや、お前が向かうのは……」
「地獄だ」
ズ ド ン !!!
……この騒動を終結させたのは、とある事情で負った怪我を療養するために絶賛謹慎中のミスリル銃士隊隊長ライトニングさん。
その手には大工房研究班の狂気の産物・カルバリンが。
「にとりが血相を変えて駆け回っていたのでな、事情を聞いてすぐに火薬研究所から得物を借りてきたんだが……っつぅ……」
「大丈夫ですか隊長!?」
傷口が痛むらしく顔を歪めるライトニングに、ザイドにやられた衰弱から回復したフリオニールとパチュリーが駆け寄る。
「……反動で傷に響いただけだ、大した問題じゃない」
そりゃあんなトンデモ兵器、ゼロ距離でドタマにぶっぱなせばなぁ……一撃でザイド沈んだし。
「すいません、わざわざ隊長の手を煩わせることになってしまって……」
「気にするな。部下の不始末を処理するのも私の仕事の内だからな」
「それで……コレはどうします?」
ザイドを止められなかったことを謝るフリオニールを制止するライトニングに、そのザイドの処遇を尋ねるパチュリー。
「件のショーとやらが終わるまで鎖で縛って営倉にでも放り込んでおけ。終わったらそのまま任務に戻すようにすればいい」
「「了解」」
ライトニングの指示に従い、テキパキと鎖でぐるぐる巻にし、どこかへと運んでいく2りの姿と、戻っていくライトニングの姿を見送り、その場を後にする主人公だった……。
ウィンダス編~ゾンパジッパのパーフェクト貧乏脱出教室~
ウィンダス連邦。魔法国家、学術都市などとも呼ばれる、ネ・ジツ大陸でも長い歴史を誇る国家の1つ。
そんなウィンダスを支える公共機関、通称「五院」。
豊富な魔導書を保管して後世へ伝えたり、若き魔道士の卵を導いたり、新たな薬草を見つけ出したりと、今のウィンダスがあるのも「五院」の働きがあってこそと言っても決して過言ではない。
その「五院」の1つ、手の院ではウィンダスを防衛するための戦力たるカーディアンや、各種マジックアイテムを作ることがメインの役割である。
……ただ院長が凝り性というか職人気質というか、新たな技術の開発やら何やらで資金がかさみ、予算は常に火の車、「五院」で最も貧乏であるとして有名なのである。
「と、いうわけなので、コレより『手の院の予算を増やそう』会議を執り行うものとする」
「いや何がと、いうわけなんですか院長。会議と言っても、この場にいるの私と院長と主人公の3りだけじゃないですか」
その手の院の一室、机を前に会議の開幕を告げる茶髪のボサタルは、手の院の院長にしてウィンダス連邦軍は戦闘魔導師団が一隊・摩羯戦闘魔導師団長、ゾンパジッパ。
唐突に始まった会議にツッコミを入れた金髪の少女、アリス・マーガトロイドの正論を無視してゾンパジッパは続ける。
「さて、諸君も知っての通り、我が手の院は万年金欠火の車、追加された分の予算も使いきり、少なくとも今年度は新たな予算の申請はほぼ絶望的と言ってもいいだろう」
「まぁ、やってることがやってることですから」
「そこで我は考えた。予算が上から貰えないなら他のところから獲得すればいいと」
「ええ、当たり前のことですね」
「それで、具体的には何をどうするつもりなんです?何か考えがあるみたいですけど」
「うむ。まぁまずはコレを見てもらおうか」
アリスの質問に対し、足元に置いてあった資料らしきものをゴソゴソと取り出すゾンパジッパ。
そして机の上に置かれたものは……
「……フィギュア?」
しかもそれは……
「お前達もよく知っているだろう。今このネ・ジツ大陸において最も名の知れた人物……」
「魔法裁判官少女ミルキーエイキーの1/8フィギュアである」
…………なんでそんなもん持ってるんですか院長さんや。
「新作カーディアン開発に行き詰まった気分転換で散歩に出かけた時に見かけてな、その造形美にビビっときて即購入した」
さいですか……。
「で、コレがどう手の院の予算不足解消に結びつくんです?」
「わからんのか」
「わからないから聞いてるんですけど」
アリスからのツッコミにキラリと眼鏡を光らせて、ゾンパジッパが解説を始める。
「ネ・ジツ大陸にてその名を轟かせる高名なアイドルのフィギュアを、この手の院の技術によって大量生産させて売りさばくのだ!
何しろ手の院には不平不満も言わず不眠不休で働く我が私兵、カーディアンがいるからな!24時間365日年中無休で常に作り続けることが可能!!
フハハハハ!凄かろう!!」
…………まぁ、着眼点は悪くないとは思うが…………
「そうだろう!貴様もそう思うだろう!!さぁ、それがわかったら早速……」
「フィギュア量産型カーディアン製造開発の予算を上に申請してこようか……」
oi みうs ミス おい、なんでこの会議始めたのか覚えてるのか おい 紀伊店のか
「何故だと?それは貴様、手の院の予算不足を解消するためであろうが」
そう、そして「上から新しく予算を申請するのも難しい」とも言っていたな……?
「…………」
上から予算が貰えないからフィギュア作って売ろうぜ→フィギュア作るのにカーディアン開発しようぜ→カーディアン開発するから上から予算貰おうぜ→上から予算ry
「……なんという盲点!!」
盲点じゃねぇよ!穴だらけにもほどがあるわ!!
見ろ、アリスも呆れて言葉もでない状態に……
「…………」
……アリスさん、なんでさっきからフィギュアをジッと見つめてるんでしょう?
「……作り込みが甘い」
Hai?
「塗装にムラがある、ポージングに無理がある、露出に重点を置きすぎてコスチュームの造形が雑すぎる。
そもそも素材の段階でいい材料使ってないわね、これじゃ飾るだけですぐ劣化するんじゃないかしら……」
どうやら人形師としての本能が刺激されたらしく、ブツブツと呟きながらフィギュアを採点しているようだ。
傍から見てると怪しい人に見えるけどそんなことどうだっていいんだ、重要なことじゃない。
「……院長」
「……何だ?」
不意にフィギュアをガン見するのをやめて、ゾンパジッパに話しかけるアリス。
「作りましょう、フィギュア」
何言ってんのアリスさん!?
「こんな粗製品なんかが世の中に出回ってるとか、人形師として我慢ならないわ!
手の院の技術を総動員すればもっと完成度の高いフィギュアが作れるはずよ!!」
「ふむ……」
熱く語ってキャラが変わってるアリスの熱弁を、冷静な態度で考えているゾンパジッパ。
「よかろう、ならば作ろうではないか!手の院謹製フィギュアを!!」
作るのかよ!?
「フィギュアを通じて手の院が誇る超絶・超然・超級の技術力を余すところ無く他所の連中に思い知らしめてやる絶好の機会!!
ククククク……サンドリアやバストゥークの技術者連中の驚き慌てふためく姿が目に浮かぶわ……
ククククク……クハハハハ……ワハハハハハハハハ!!」
「さぁ、そうと決まれば善は急げよ!まずは素材の厳選から……」
……技術者魂というかマニア心というか、とにかくなんかのスイッチが入った2りの姿を見て主人公は思った。
お前ら、予算の話はどうした。と。
アトルガン?編~傭兵のお仕事
ふと、ミルキーエイキーのショーの陰で何やら作業しているウサミミを見つけた。
……ひょっとして、鈴仙さん?
「ん?」
背中から声を掛けられ、ウサミミがひょこっと動いた……様に見えた。
「ああ、主人公じゃない!お久しぶり」
珍しい所で会うね。
「貴方は元々冒険者だもんね。いつか会うこともあると思ってた」
再会が嬉しいのか、珍しく素直な笑顔で饒舌な鈴仙だ。
それで、アトルガンの傭兵が中の国まで来て何を?
「ああ、これ?うち、ブーメラン・センチネルが協賛になったから、その手伝いなの」
協賛って、ミルキーエイキーの?アイドルの後ろ盾が傭兵派遣会社って……。
鈴仙は口に指を当て、「しーっ」のポーズだけで返事した。
ところで鈴仙だけ?内藤なら喜んで来るだろうと思うのですが。
「正解」
と言って、客席の方を指さす。
そこには……。
「うはwwwwwたゆんたゆんwwwwwコマチちゃーんwwwwwこっち向いてーwwwww」
「ね?」
……予想通り過ぎる。というか、似たような反応示す奴多すぎやしないか?ひょっとしてこっそり魅了の魔法でも使ってたりするんじゃなかろうか?
「人を惑わす力は魔性と呼ばれる。魅力も立派な魔法ね」
鈴仙は落ち着いてるね。相方が鼻の下伸ばしてるっていうのに。
「私がいつあいつの相方になったのよ。それに、内藤のキャラなんて判りきったことじゃない」
むむむ、脈無しか。最初から可能性は低いとは考えてたけど。
「……言いたいことは大体判ったけど、私があいつに気があるなんて幻想は無い。社長を怒らせる気なんて尚更無い」
やっぱり社長はそうなんだ……。
「あ、そうだ。これは訊いておきたかったんだけど……内藤の件、社長に話しておくべきだと思う?私はさすがにかわいそうだと思うんだけど……」
…………やめておこう、さすがに。
「そっか。やっぱり貴方もそう思うのね。うん、じゃあ話さない方向で、ね」
後日、鈴仙の気遣いも虚しく、内藤が自分で口を滑らして、結局制裁されたそうです。