シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。
侯国の地下に眠るモノ
サンドリア所属、「ナイツオブゾディアック」をクリアし、名声が一定以上で受領可能
汝が深淵を覗き込むとき
タブナジア侯国跡。
かつて戦禍によって滅んだ亡国の地底深くに「深淵」と呼ばれる空間がある。
一説では肝を試しに訪れた冒険者が見つけたと言われ、噂の伝播によって周囲の国々にも知られるようになったそこは身を蝕む闇に満ち溢れ、内部には闇に飲まれた獣人達や異形の怪物が闊歩しているという。
実際に、その内部は黒一色に塗りつぶされていた。
足を踏みしめる感触で、そこが石造りの洞窟の様な場所であると察せる。
しかし肉眼でわかったのはそれくらいで、ゴブリン謹製の暗視ゴーグルを装着し、ようやく満足な視界を確保できた。
灯りは使えなかった。
光源を灯した途端、察知した獣人の群れが亡者の様に襲いかかってくる。
過去にこの空間を訪れた探索隊もそれによって命を落とした。
……いや、命を落とした理由は魔物どもの襲撃だけではない。
「平気? 顔色、悪いよ……」
「深淵」の調査の命を任じられたフランドールが此方を見て慮る。
「気を付けてね。こんな気持ち悪い暗闇、初めて……」
蔓延する暗闇に触れ、夜の種族である吸血鬼ですらこの様な感想を漏らした。
闇が身を蝕む。
最初に聞いた時は首を傾いだが、「深淵」に足を踏み入れ、体感する。
この空間に満ちる闇は、ただの暗闇ではない。触れた者の精神を蝕み、正気を失わせる。
人魂のような形状の塊に襲われ、多くの探索者が狂気に陥ったとの報告もあった。
アレが一体何なんかは不明だが、死者が眠るタブナジアの静寂を乱す訳にはいかない。
「……大丈夫ですか?」
フランドールと共に調査に同行したサナエが尋ねる。その声音に普段の明朗さはなく、堅く強張っている。
彼女の気遣いに頷き、応える。
……本格的に危ないと感じたら、魔行符で速やかにこの場を脱出しよう。
深淵もまた汝を覗き込む
「深淵」を探索していると、奥の闇から明確な敵意を感じた。
夜目が聴くフランドールが目を細め、利き手を武器の柄に宛がう。
次にサナエもスラッシュアックスを振るい、臨戦態勢を取った。
暗視ゴーグルの視界からでも、十分にわかる。
目の前に巨大な怪物が待ち構えていた。
海老か、蟹のような巨大な甲殻類だろうか。暗闇の中で、黄金の体色だけが異様に目立つ。
暗闇に身を隠すには適さない鮮やかな体色は何らかの警戒色を思わせた。
- VS.巨大甲殻類ファンタズマ
アビス繋がりですか
巨大な甲殻類の怪物との戦闘。原形をほとんど留めていないがクラブ族らしく、クラブ族の特殊技を使用してくる他、鋏からビームを発射してくる。
フランドールはアタッカー、サナエは回復役を担当するといいだろう。
主人公の役割は選択PCもしくはジョブによって臨機応変に変えよう。PCがブロントさんなら盾役といった具合。
冷静に戦えばそれ程苦戦はしない。
背の甲殻から実を撒き散らし、甲殻類の怪物は息絶える。
すると地面に横たわった死体が突然、轟々と燃え盛った。
「これって、原住生物なんでしょうか……」
「……それより、不味い事になったと思う」
周りからギィギィと喚き声が響いてくる。篝火と化した怪物に、獣人どもが反応したのだ。
「面倒事がやってきましたね」
「……どうする? 薙ぎ払うだけなら簡単だけど」
二人が此方へ指示を仰いできた。
一体どうするべきか。武器の構えを維持しながら、口を開く。
突然、闇の中から巨大な手が飛び出した。
あまりにも突然で、反応が遅れた。
藤壺のような歪な歯が並び、口吻が生えた掌が視界一杯に広がり――捕まった。
「……!」
「っ!?」
異変を察知した二人が素早く近寄る。
しかしそれよりも早く、巨大な手は主人公を鷲掴みしたまま、そのまま闇の中に引き摺りこんだ。