イベント/吸血鬼が長生きするための鉄則

Last-modified: 2014-10-21 (火) 22:16:02

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


吸血鬼が長生きするための鉄則

  • 紅魔幻想綺譚、己の行く先をクリアし、フリオニールとパチュリーをPTに入れた状態でサンドリアを訪れる。

吸血鬼傷害事件?

 

サンドリアへやってきた一行。
日もすっかり傾き、どこの宿を取ろうかと相談していると、蝙蝠の翼をもった女性が此方に向かって飛んできた。
……レミリア・スカーレットである。

 

「ん? 誰かと思えば、主人公。それに……ホワイトハウスの手先じゃない。お久しぶり」
「れ、レミリア・スカーレット!?」
「サンドリアに移住したって聞いたけど、まさか本当だなんてね……」

 

うろたえるフリオニールに微妙な表情を浮かべるパチュリー。
それに対してレミリアは苦笑いを浮かべる。

 

「あれから色々あってね……ところで貴方達、ここに来るまでに吸血鬼を見かけなかった?」

 

m9 m9 m9

 

予め打ち合わせたのかと思うほど息の合ったタイミングで一行に指を差され、レミリアは手を額にあてる。

 

「聞き方が悪かった。私以外の吸血鬼を見かけなかった?」

 

「いや、特に見なかったが……」
「同じね。別に見なかったわ」
というかそうそういるもんなのか? 吸血鬼なんて。
「いや、実は今、この王都で面倒な事が起きててねぇ……」

 

レミリアの話によると少し前からサンドリアで傷害事件が発生したらしい。
被害者一同の首筋には等間隔に並んだ二つの小さな傷口……鋭い牙で噛まれた跡があった。
今のところ死者は出ていないが、噛まれた人間の大半が昏睡状態に陥っているという。
そしてレミリアは王都を見まわる神殿騎士団に声を掛け、その手伝いをしているのだと。

 

「噛み跡……それって……」
吸血鬼の仕業らしい。狂言か知らないけど、同じ吸血鬼としてはいい迷惑よ」

 

その時に色々あったのか虚ろな眼で空を仰ぐレミリア。それなりの苦労があったのだろう。
でもなんでこんな真似をしているんだ? ここはあの龍王の御膝元だぞ?

 

が狙いでしょ。
 あっちじゃ私は人間側に回った恥知らずな裏切り者……そんな認識だからね。
 どんな手段を使ってでも私を貶めたいんじゃないかしら」

 

吸血鬼が悪事を起こす→吸血鬼のイメージが悪い→レミリアの立場が悪くなる→心が荒む→彼氏と別れる→いくえ不明
ということらしい。吸血鬼にいいイメージってあったの?とか言っちゃいけない。

 

「そういえば吸血鬼に血を吸われると吸血鬼になるのよね?」
「ブロントさんやメイドに血貰ってるけど、そんなことないわよ?」
「あら……本にそう書いてあったんだけど」
「事実は小説よりも奇なり、よ。本の知識が全てと思わない事ね」
「むっ……」

 

けんもほろろなレミリアの言い草に、パチュリーは眉をひそめる。
しかし、過去、殺しにかかった相手に軽くいなされているだけまだ有情だろう。

 

「あ、でも……童貞と処女以外が血を吸われると吸われた奴は『なり損ない』(グール)になるって噂はあるね」

 

……

 

「なんでそこで俺を見るんだ!?」

 

周囲の視線に気づいたフリオニールが耐えかねたように叫んだ。いや、別に他意はないのです。はい。
レミリアの問いを聞いたパチュリーはフリオニールを一瞥した後、渋い顔で問いかける。

 

「……それはさておき。嫌疑がかかっている貴女がどうして首都を徘徊しているのかしら。
 無実だとしても、余計な疑いをかけられるだけよ」
「勿論、その旨は理解してる。
 ノーブルテザー家の影響もランペール王のお墨付きもどこまで融通聞くかわからないからね……」

 

じゃあなおさら、どうして吸血鬼を探し回っているんだ?
主人公の疑問にレミリアは眼を鋭く細めていい放つ。

 

「……簡単な話よ。人間側に下ったとはいえ、貴種としての矜持までは堕ちちゃいない。
 同族がやらかしたバカを前に黙っているつもりなんてないんだ。
 でなければ神殿騎士団に頭を下げて、うろちょろするものか」

 

何とも彼女らしい言い草だった。

 

「と言う訳で主人公も下手人捕獲に協力してもらうわね。答えは聞かないよ」
横暴だな……まぁ、どうせ断っても無理やりやらせるんだろうけど。
「タダ働きさせるつもりはないから、その辺りは安心していいよ。……で、貴方達は如何?」
「傷害事件か……もし本当だとしたらこのままほっとく訳にはいかないな」
「……まぁ、黙って見過ごすのもあまりいい気分がしないわね」

 

フリオニールとパチュリーもやる気に若干の落差があるものの乗り気の様だ。

 

「よっし。そうと決まったなら気張って下手人を探しましょうか」

 

取り敢えず溜息をつく。
……宿屋に辿り着くのはまだまだ先の事になりそうだ。

吸血鬼探索中…

レミリアに半ば引っ張られる様に夜のサンドリアをうろつく一行。
何の手掛かりもなく、彼女の勘に頼って移動している状況である。
こんな状況で犯人見つかるのか不安極まりないんですがねぇ……。
と、虱潰しにあちこちを回っているうちに不審な人影を見つけた。

 

「……?」

 

それからまもなく、裏の路地から悲鳴が響いた。

 

「!」
「わわっ!? な、何? 何事!?」

 

主人公一行の後ろから驚いた様な声が聞こえる。
振り返ってみれば、水色の髪の少女騎士が槍を抱えておどおどしていた。

 

「ん? 神殿騎士団のひよっ子じゃない」
「きゃあっ! 吸血……なんだ、レミリアさんじゃない」
「何驚いてるんだよ。そんなことより、さっさと行くわよ!」

 

後ろからやってきた神殿騎士団のコガサと合流し、一緒に駆けつけてみると、
路地にエルヴァーンの女性が首から血を流して倒れているではないか。

 

「っ!」
「待って。息はあるわ」

 

パチュリーは女性を抱き起こし、首筋を少し観察するとその傷跡にケアルをかけた。

 

「大丈夫、ショックで気を失っただけ」
「よ、よかった~……」
「いや、安心するのは犯人を突き止めてからだ。野放しにしておくわけにはいかない」

 

フリオニールが険しい顔で呟くと、コガサは申し訳なさそうに委縮する。
レミリアは溜息を付くと、横目でギロリと路地の出口を睨んだ。

 

「……で、さっきからこっちをジロジロ見ているお前は何なんだ?」

 

その目線の先、路地の角の向こうからこちらを覗く人影があった。
レミリアが鋭くそいつを睨みつけると、影はスイと物陰に隠れてしまった。

 

「ひよっ子、そいつの安全は任せる! 他の騎士にも連絡しておきなさい!」
「それはいいけど、私、ひよっ子じゃなくてコガサって名前があるんですけどっ!」
「じゃあ、頑張れコガサ!」
「さでずむだー!」

 

コガサの嘆きを捨て置いて、一行は夜の王都をかける。

 

「さ、追いかけるわよ!」

 

レミリアに発破をかけられ走りだす一行。……が数分もしないうちにパチュリーがバテる。

 

「え、もう息切れてるの?」
「……いい事を教えてあげる。喘息持ちは少しでも過剰な運動をすると死んでしまうの。
 この私が言うんだから間違いないわ」
「体鍛えないの?」
「鍛えたら負けだと思っている(キリリ」
「……はぁー。わかったわかった」

 

そういうとレミリアはパチュリーを背負いながら翼を広げた。

 

「舌を噛まないでね?」
「むきゅ」

 

そして飛翔。空中から先程の影を追いかける。

 

「先に行ってる。見失わないでよ」
「ああ、わかっている!」
なるべく追い付ける程度の速さで頼む!

 

パチュリーを担ぐレミリアに続いてフリオニールが主人公が夜のサンドリアを走り抜ける。

吸血鬼の正体

レミリア達の後を走り続けることしばらく。
やがて2りは王都中央にある閲兵場に辿り着いた。
閲兵場にはレミリアとパチュリー、そしてその前に肩で息をしている黒い影があった。

 

「遅い。私だけでカタが付くところだった」

 

憮然と言い捨てるレミリアが対峙していたのは……鋭い牙を持ったデーモン。

 

「デーモン!」
犯人は吸血鬼じゃなかったのか!?
「ええ、見ての通り……デーモン……だったわ」

 

ゼイゼイと喘ぐデーモンの姿を見下ろしながら、レミリアは冷たく笑う。

 

「どうした、ニセ吸血鬼。弱い者いじめだけが能なのか?」
『お、おのれ……スカーレットデビル……!』
「ああ。こんなこったろうと思ったよ。犯人がヴァンピールだったら、貧血で済むわけないものね」
『隠遁しているだけならまだ良かった! だが、あの方に叛くだけでなく……!』
「……なんだ。お前、あいつの手下か」

 

デーモンの恨み節に、フリオニールが首を傾げる。

 

「あの方? お前……? それは何のことだ」
「どっちも、どうでもいいことだよ」

 

レミリアは苦笑しながら、疑問と恨み事を遮る。

 

「被害を偽装するにしても、もう少し頭を使うべきだったわね。
 私のような節度ある吸血鬼が無暗に人を襲う訳ないだろ」
『節度ある、だと?! 裏切り者が何を偉そうに……!』

 

『節度ある吸血鬼』発言に噴き出しかけるパチュリー。吼えるデーモン。
そしてデーモンの糾弾を、レミリアは一笑に伏した。間もなく真顔で睨みつけ、啖呵を切る。

 

「スカーレットデビルは既に死んでいる。サンドリアの騎士に倒されて、ね」
『!?』
「ここにいるのは人間贔屓の吸血鬼、レミリア・スカーレット。
 私は優しいからね、他のやつらにも伝えてやるべきよね」

 

挑発を受け、デーモンは奥歯が砕け散らんばかりに歯を噛み締めた。

 

『しかし、貴様を燻り出す役目は果たした……!』
「! …気をつけろ、囲まれている!」

 

フリオニールの警告にレミリアはあたりを見回す。
言葉通りにタウルスやインプが数体ほどレミリアとパチュリーを取り囲んでいた。

 

『ここで始末をつけてくれる……! やれっ!』
「ふうん?」

 

じりじりと迫る悪魔を前に、レミリアはつまらなそうに鼻を鳴らした。
パチュリーを抱えながら地を跳ねると、スイッと悪魔の包囲網を抜ける。
レミリアはパチュリーを下ろすと、あっけらかんと主人公達に申し出た。

 

「悪いけど、もう一仕事手伝ってくれる? ほら、こいつらが騒いでると、さ」

 

当然、主人公達はその頼みを承諾する。

 

「無論。あの悪魔を全力で迎え撃つまでだ!」
「私に余計な運動をさせた報いを……受けてもらおうかしら?」

 

主人公とフリオニールは武器を構え、パチュリーも魔導書を開く。
それを見たレミリアは酷薄な笑みを浮かべ、翼と両腕を広げた。

 

「私も少しだけ頭に来てるから……本気で殺すわ」

 

広げた翼を中心に放たれた魔力が空気を静かに震わせる。
戦いの火蓋が切って落とされた。

 
 
  • 大規模戦闘
    紅血のルート
    勝利条件:敵の全滅
    敗北条件:味方ユニットが一体でも戦闘不能になる
     
    敵はデーモンとタウルスが1体、インプが1体。コウモリ×3が2体。コウモリ以外はどれも単体。
    インプはアムネジアや静寂を付加する技を使う上、魔法防御が高いためパチュリーには不向きな相手。反面防御力とHPが貧相極まりないので物理で攻めればあっさり沈むので倒しやすい方である。
    面倒なのがタウルス。死の宣告を与えてくるモータルレイが非常に厄介。デスを無効化できるレミリアにぶつけた方がいい。
    コウモリはレベルの低い雑魚なので範囲、全体攻撃で早々に片づけてしまおう。
    露払いを済ませるとデーモンが動く。ボス格なのでHPこそそれなりに高いが、個体としての厄介さはタウルスに比べるとだいぶ霞む。
    雑魚を片づけているなら苦労する相手でもないだろう。さっさと片付けてしまおう。
     
    Patchouli「タウルス……モータルレイが厄介ね」
    Remilia「タウルスは私がやる。他の雑魚は譲るわ」
    Frioniel「わかった。無理だけはするな」
     
     

決着はついた。現れた悪魔達は4名の戦力を前に悉く斃され、地に伏す。
首謀者のデーモンは逃げようと退いたが、それよりも前にレミリアのヤクザキックが鳩尾に深く食い込んだ。

 

『ぐ、ごぉっ』
「吹っ飛べ!」

 

そのまま夜空に向けてレミリアはデーモンを思いきり蹴飛ばす。
鈍い音が響き、デーモンが月と重なるように吹き飛んだ。

 

「今よ、パワーをグングニルに!」
「いいですとも!」

 

そしてとどめとばかりにパチュリーの魔力を受け、強化されたグングニルをデーモン目掛け投擲する。
紅い槍は数えきれないほどの光槍に分裂すると、それら全てがデーモンに襲いかかり炸裂。花火の様に光を撒き散らす。
デーモンは断末魔の悲鳴を上げる猶予もなく、一瞬で蒸発してしまった。

 

「うおっ……!?」

 

その光景を見て、フリオニールが思わず声をあげる。
投擲したレミリア本人も小さく感嘆していた。

 

「すごいわね、貴女。最強に強いと驚きが鬼なったわ」
「別に。それほどでもないわ。それより、貴女の口から節度なんて言葉が出た方に驚いた」

 

パチュリーの軽口に、レミリアは愉快そうに噴き出した。

 

「これでも物静かに暮らしてきたからね。
 まあ、長生きしたけりゃ、何事も羽目を外さない程度が一番ってことよ。血を吸うに限らず。
 共存共栄、平和が一番。視野の狭い方には幻想郷ツアー三日コースにご案内」

 

その軽妙な語り口に、パチュリーとフリオニールは思わず顔を見合わせた。

 

「初めて会った時から思ってたけど、吸血鬼らしくないわね、貴女」
「ああ。もっと、こう……畏れるモノだと思っていた」
「ふふ、良く言われるわ」

 

猫の様に目を細めて微笑むその姿は、先程まで悪魔どもを蹂躙していたものとは想像もつかない。

 

「ね、パチュリーだっけ? ミスリル銃士隊を辞めて私のところ来ない?
 貴女が好きそうな蔵書なら一杯あるわ」
「それは魅力的ね……」

 

短い期間で余程彼女の事が気に入ったのか、レミリアはパチュリーにそう提案する。
パチュリーはほんの少しだけ思案したが、すぐに首を横に振った。

 

「ごめんなさい、折角だけどお断りするわ。
 私達にはまだやることがあるし……何よりミスリル銃士隊は私の誇りだから」
「ああ。それは残念」

 

とは言っているもののレミリアはあまり残念がってはなさそうだ。肩をすくめながら、却って嬉しそうに笑っている。
そうしていると、先程までの騒ぎを聞きつけたのか、向こうから神殿騎士団達が駆けつけてきた。
事情を話し、彼らにしばらく付き合わされたが、悪魔どもの遺骸が証拠となって程なくして解放された。
疲れがドッと押し寄せてきたのか、一同は軽く伸びをする。

 

「悪魔が忍び込んでいたおかげか、騎士団の連中も頭を痛めてたわね」
「無理もないわ。空から王都の護りを乗り越えるなんて、オークにはできない芸当だもの」
「そうかな。王都の警備って結構ザルなのよね。以前ランペール王のところに忍び込んだ時もあっさり行けたし
「何サラッと恐ろしいこと言ってるのよ貴女……」
「俺は何も聞かなかった。それより、これでもう傷害事件は起こらないんだな?」
「そうね。彼奴らが下手人だろうし……」
これで一件落着らしい。よかったよかった。というか疲れた。
「そういえば宿探してるんだっけ? だったら丁度いい場所があるけど」
なんだって? それは本当かい!?

 

「ホッカイドゥ領のお城なんてどうかしら。協力してくれたお礼も兼ねて御持て成しするよ?」
どうやら思う様くつろげそうだ。

 

「距離があるけどまぁ、パチュリーは私が乗せるとして、貴方達なら徒歩でも十分いけるでしょ?」

 

距離がある、という言葉にやや引っ掛かった。
思わず尋ねる。

 

……ちなみにどれくらいかかります?
「長くて半日くらい?」

 

(゚∀゚)

 

※結局、パチュリー以外は普通に宿を取る事になりました。どっとはらい

 
報酬
5000ギル
バンパイアピアス