イベント/吸血鬼と騎士

Last-modified: 2011-12-25 (日) 18:16:55

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


吸血鬼と騎士

  • 幻想紅魔綺譚イベント「あざわる鮮紅」から発生。
     
    あれから長い話し合いの末、ブロントさんとレミリア達は紅魔城を発ち、サンドリアへと向かった。
     
    龍王ランペールにスカーレットデビルの討伐報告と、そこで起きたすべての出来事を語る為に。
    主人公も彼らに関わった第三者いうことで、証人として強制同行することになった。
     
     
    サンドリア住民は、英雄の凱旋に歓喜し、そして伴っている存在を見てやがて茫然とした。
     
     
    正直、無謀である事は一辺の疑いの余地もない。
    魔族である彼女がサンドリアに足を踏み入れることが、国民にとってどのような意味を持つのか。
    下手をすればサンドリアの英雄であるブロントさんも、悪魔に魅入られた異端者として処罰される可能性があるのだから。
     
    もしそうなればブロントさんは英雄の立場を捨て、レミリアを守る為に戦うつもりだった。
    サンドリアへと舞い戻ったのも自身を育んだ、故国への義理ゆえにである。
     
    てんてこ舞いになるサンドリア国中。
    英雄の帰還と乱心の報を受けたランペール王直々の登場。
    ブロントさん(場合によっては主人公も)はランペール王の前で全てを話した。
     
    討伐対象を求めて訪れた森で足を踏み外したことが原因で重傷を負い、記憶まで失ってしまったこと。
    死の淵をさまよう間、自分の傍にいるスカーレットデビル……レミリア・スカーレットに助けられたこと。
    レミリアは、自分の記憶が戻るまでの間、自分に寝床と食事を用意しもてなしてくれたということ。
    吸血鬼ではあるが、彼女は自分たちに害を為すような存在ではないと知ったということ。
    ……そして共生を続けるうちに、自分は彼女に惹かれていたということ。
     
    「……俺はどうなってもかまわにい。反乱者として軽蔑されても「」確かになと潔く認める」
     
    「だがレミリアにまで危害を及ぶようなら俺は牙をむくだろうな。……ランペール王、例えあんたが相手でも」
     
    壮絶な決意を目に籠め、ブロントさんは言葉を切った。
    傍には不安に押し潰されそうな……しかし、どこか振り切った表情のレミリアがブロントさんの手を握り、彼の言葉に継ぐように凛と、周りに聞える様に高々と言葉を紡ぐ。
     
    「私は、彼が帰る場所を奪いたくはない。そのために私自身の命を利用しようとも考えた」
     
    「……でも結局命を救われた。その時に彼と共に生きてみよう、そう決意した。
    空の彼方でも、凍土の果てでも、地獄の底でも、……例え人間の中でも」
     
    「だから、私はあなたたちと一緒に生きることを望みたい」
     
    ランペール王は険しい目で両者を見つめた。対するレミリア達も、真っ向から龍王を見据える。
     
     
    ……とんでもないことにまきこまれちゃったなぁ。果たして生きて帰れるのだろうか、自分。
     
    一歩間違えれば大惨事大戦というこの状況。主人公は半分腹を括り、半分辟易していた。
    世界移動ではこういうトラブルが常とはいえ……どうみてもラブ&ピースが一番です。冷戦時代みたいな睨み合いは心臓に大変悪いので早く鉾を納めテ!
    内心、ガタガタガタキリバ震えていると、ランペール王がようやくその口を開いた。
     
     
    ランペール王は語った。
     
     
    レミリア・スカーレットは確かに吸血鬼。夜の闇にまぎれ命を奪う、闇の血族であると。
    しかしそれと同時にレミリア・スカーレットはサンドリアの英雄を救った紛れもない命の恩人でもあると。
    彼の騎士を喪うことは、サンドリアにとって大きな打撃であった。だが彼女の働きによってそれが危ういところで回避されたと。
    国の英雄を救った者には、何か褒章を与えなくてはならない。例えそれが人の枠を超えた存在だとしても、感謝を忘れるわけにはいかぬと。
     
    「サー・ブリリアント・アンルリー・レーザー・オブ・ノーブル・テザー⑨世の活躍によって、スカーレットデビルは斃れた。
    ……ノーブル・テザー卿よ。確か、報告ではそうだったな?」
     
    「確かに言った」
     
    「目の前にいる貴婦人は確かに吸血鬼であるようだが、自らをスカーレットデビルだとは一言も言及してはいない。つまりは、そういうことだろう?
     
    「ほう、経験が活きたな」
     
    ランペール王は口端をひきあげ、にやりと笑った。あえて含みを持たせたような言い回し。
    その言葉に秘められた含みが意味するところに気付いたのか、ブロントさんもランペール王と同じく意味深な笑みを浮かべる。
    ランペール王はレミリアの傍に歩み寄ると
     
    「初めて貴公と対面した時、何か深い思案があったようだが……蓋を開けてみれば斯様なことだったのだな」
     
    「……ブロントさんに泣きつかれた途端、折れちゃったけどね」
     
    所詮悪魔の企みは行き当たりばったりってこと。レミリアの苦笑いをランペール王は豪気に笑い飛ばす。
     
    「貴公は闇の血族なのは事実だろう。しかしわしは貴公の行いからかけがえのない者の為に心を折り、傅く騎士の精神を見た」
     
    後は自分自身の名誉を守れば円満。続けてそう語ると、ランペール王はレミリアに一礼した。
     
    「礼を言わせてくれ、勇敢なる貴婦人よ。貴女のおかげで国の宝を損ねずに済んだ」
     
    「……どういたしまして、ランペール王」
     
    「共に生きることを望む、そう申したな」
     
     
    「ならばわしはサンドリア国王として、貴女達を祝福を以て迎えよう。
    ……誇り高きサンドリアの民よ。諸君らはどうする?」
     
     
     
     
     
    ランペール王の声に黙って耳を傾けていたサンドリアの民は長い沈黙の後、その言葉に肯定の声を以て応える。
    やがて多くの声は音の津波に変じ、歓声となって王都中を呑みこんだ。
     
    「そういうことだ、サンドリアへようこそ。歓迎しよう、盛大にな」
     
     
     
     
     
    幻想郷と呼ばれる、人と魔の者が共存する国家がある。
    種族が異なるもの同士、結ばれる事例も決して少なくはないのだという。
     
    この世界にもそういった前例はあるのだ。吸血鬼と人間が結ばれてもどこもおかしくはない。
    思えば、既に土台はあった。
     
    理解ある者達はレミリア達を快く受け入れた。
    その中にはブロントさんの実父であるバイス・アブソリュート・レーザー・オブ・ノーブル・テザーⅧ世とそれに近しい者たちの姿もある。
    問題や反発の声はある。しかし、それ自体はやがては小さくなるだろう。
    彼女たちの存在は、ランペール王を始めとするサンドリアの中枢を担う者達にはっきり認められた。後は彼女の行い次第なのだから。
    この先にも困難は多く待ち受けている。それでも彼らならばきっと乗り越えられる筈だ。
     
    サンドリアに異種族同士の婚姻はない。しかしそれも過去の話になりそうだった。
     
     
     
    手紙
    拝啓、主人公様
     
    ◆◆◆
     
    ペガサスが青空を滑空する今日この頃、如何お過ごしでしょうか。
    こちらはドタバタ騒ぎの連続が続いておりますが、今日まで無病息災で過ごしています。
    その騒ぎにも一段落ついて、こうして手紙を綴ったのですが、貴方様は送り主が私だと知ってさぞかし驚いている事でしょうね。
     
    何故、この手紙を書いたのかと申しますと、お嬢様が以前ランペール王と対峙した際に同行してもらった礼を渡しそびれたと気付きまして。
    ……割と空気でしたが、私もお嬢様も、貴方様がいなくてもあのような結果になったとは思ってはいません。
    それでお礼についてですが1時間と4分に及ぶ話し合いの結果、お嬢様の父君がかつて佩していたという剣をお渡しすることに決まりました。
    なんでもお嬢様用にと渡されたそうですが、お嬢様は見ての通り両手槍派ですから。
    ブロントさんにも試用して頂いたのですが、相性が良くないようで体よく貴方様に白羽の矢が立ったという次第です。
    手紙とは別の荷に同封しましたのでご確認を。
    死に物狂いで努力さえすれば、無理でも使いこなせるでしょう。お嬢様曰く、大層貴重な代物だそうなので、扱いには十分注意せよとのことです。
     
    要件は以上ですわ。
    あ。あと、お前全力で家に遊びに来ていいぞとブロントさんから言伝をいただいております。
    いつでも気軽に訪れてくださいませ。家主は私ではありませんけどね。
    それではこれにて。
     
    ◆◆◆
     
    サクヤより
     
     
     
     
     

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Extra - 『Until You Sleep In End Of To Night』

 

夢を見てたの。
あなたやサクヤと出会う前の夢だったよ。楽しくもない思い出の羅列を延々と見せられる様な夢。
真っ暗な檻の中に閉じ込められて圧迫され続けているような夢だった。
乾いて染みになったケダモノの血の匂いが服に染み付いて取れなかった頃の事、何度も思い出しちゃって嫌になっちゃったな。
……悪夢、なのかしらね。あまりいい気分にはならないけど、今の私があるのもあの頃があったからだし。

 

……え、今?
……ええ。楽しいわ。楽しすぎておかしくなってしまいそうなくらい。
私は見ての通り吸血鬼だけどそれでも隔たりなく付き合ってくれる人ばかりで。
テンシとも色々あったけど今じゃ仲良くしてるしね。
……そんな微妙な顔しないでよ。あの子とは本当にもう何にもないったら。

 

……。

 

森にいた頃はこんなことになるなんて想像もつかなかった。
こうしてあなたの傍に添えられるのもあの霧のおかげなのかしらね。
縁結びの切欠が花粉臭い霧だなんて、なんだか微妙だけれど。

 
 

……。

 
 

……寝てる。
まったくもう、マイペースなんだから……。
……結構かわいい寝息たてるのね。おいィ……おいィ……だなんて。

 
 

R.jpg

 
 

ね、ブロントさん。
……あなたは……私と出会えて幸せだった?

 

私はね……今、とっても幸せよ?
あなたと出会って、今もこうして過ごして、これからも過ごすだろう全ての時間が私の幸せになるから。
でも……あなたと一緒に、生涯を迎えられないことだけは……あまり想像したくない……かな?

 
 

「…………れむりゃー……」

 
 

……なぁに?

 
 

「俺も……皺合わせだぞ」

 
 

……!

 
 

「…………おいィ……おいィ……」

 

寝言、か。吃驚した。
……ありがとね。寝言でも、嬉しいな。

 

……おやすみなさい、ブロントさん。

 
 
 

ブロントさんも寝てしまった。仕方がないから朝が来るまで夜空を散歩しようか。
こんなにも夜空がきれいだから、体も軽い。
体が軽いのはそれだけが理由ではないけど。

 
 
 
 
 
 

そういえば……

 

最近、"お月さま"が来ない。

 

……。

 

…………もしかして、ね。

 
 
 
 
 
 

  • イベントクリア時の影響
    • ブロントさんはサンドリアに帰還。彼に連れ添う形で、紅魔城の住人もサンドリアへと居を移す。(紅魔城は別荘の扱いとなる)
      以降、サンドリアでブロントさんや紅魔城の住人に話しかけることで彼らをPTへ誘えるように。
      …が、一応やんごとなき立場にあるのでいつでも家を空けられる訳ではない。サンドリアの周辺までなら足を運べるだろうけど、それ以上は無理。
      ただし、国を巻き込んだ騒動といった大きなイベントや主人公に危機が迫った時には、その力を惜しまずに貸してくれる。
      ちなみにPTに入れる時、レミリアとブロントさんは少々特殊で、2りで1セットという扱い。一方をPTに誘うと、もう一方も自動的に加入する。
      どちらか片方をPTから外すことはできない(2り同時に外れる)が、どちらかを控えに送ることは可能。
    • レミリアのステータスが強化、一部のスペルカードが解禁される。
      初期状態のステータスの値やスペカのレパートリーは相方のブロントさんに比べるとやや霞んでしまう。
      しかしイベント後は一長一短こそあるものの、ブロントさんに並べられる程度の強さに変化する。