イベント/呪われた毛玉

Last-modified: 2014-12-08 (月) 18:43:49

世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント

推進派と反対派

アドゥリンの地下水道には、決闘場がある。
普段はモンスター同士を戦わせており、住人の娯楽になっている。
しかし、ここでは開拓推進派と反対派が、稀に決闘をしていることがある。
表向きは隠されているが、住人には公然の秘密として知られている。
そう話を聞いて、見にきたのだが…。

 

「もう止めろ!」

 

そこで見たのは、風水士と魔導剣士と、その間にいるフトの姿であった。
どうやら、フトが決闘を止めに入ったようだ。
風水士と魔導剣士は呆然としつつも、言い合いを始めた。

 

「フト! 何故止める!」
「そうだ! この分からず屋を黙らせるいい機会だったというのに!」
「それはこっちの台詞だ!」
「止めろと言ったぞ!」

 

決闘は、互いが己の言い分を譲らなかったことから始まるという。
だから、時には命の奪い合いまで発展することもあるとも聞いた。
フトがそれを止めに入るのは無理もないことだと思えたが、それで二人のいざこざが収まるはずもなかった。

 

「開拓を進めたのはミコ様のご意思なのだぞ!」
「なら、ミコが会議に現れなくなったのは何故だ!?」
「そ、それは…病気なのだから仕方がないだろう! なぁ、フト!」
「フト! どうなのだ、ミコは! 本当に病気なのか!?」
「…………これ以上は、隠し通せんか」

 

決心したように、わざと皆に聞こえるようにフトが大きな独り言を言った。

 

「隠すだと? 病気だったのではないのか?」
「やはり初代王の遺言に逆らった罰が下ったのだ!」
「デタラメを言うな!」

 

「ミコ様に会わせてやる!」

 

止まない言い争いが、フトの言葉でようやく収まった。

 

「会わせてやるとも……」

毛玉になった太子

他の十二名家と共に、ミコの部屋まで来た一行。
ベッドで横になったまま、微動だにしないミコらしき人物。

 

「…起きないのか?」
これ(・・)は起きないさ」
「これ…って?」
「見ろ…」

 

フトが指差す方向で、何かが動いた。
ひょこっと現れたものは…毛玉だった。

 

「け、毛玉じゃないか…」
「ぬいぐるみ…? いや、動いているぞ…本物か。だがどうしてこんな所に毛玉が?」
「これがミコ様だ…」

 

フトは現れた毛玉こそが、現在のミコの姿だと言う。
だれかが呟いた。初代王の遺言を破った呪いが降りかかったのだ…と。

 

「ミコ様…」
「フト、いつから、このようなことに?」
「中の国から開拓者を募集し始めた頃からだ。疲れたと言って寝込むことが多くなってな。
 先日、我が十二家会に遅刻した時には、まだ人間の言葉を話せていたのだが…」

 

「初代王の呪い…まさか本当に…」
「『大遠征』の時代にも、似たようなことがあったと歴史書で読んだことがある。
 当時の領主の枕元に初代王の霊が現れ、これ以上の開拓は止めるように忠言したと書かれていた。
 その時は都中で凶事が起こっていたのだと…」
「初代王の墓所を新たに作って念入りに御霊を弔い、ようやく初代王の霊は消えたのだったな…」

 

優秀な白魔道士に頼んで、カーズナを唱えてもらったが、全く通じなかったらしい。
トジコが言った。

 

「やはり森を荒らしてはいけなかったんだ! 森を傷付けたから、森の怒りを買ってしまったんだ!」
「俺たちはどうあっても森とは相容れないっていうのか…。人間と森、互いに滅ぼし合うしかないって?」

 

と、その時、頭の中に声が響いてきた。

 

『私の声が聞こえるか、PC…?』

 

どこからか声が聞こえるが、誰だ…?

 

『私の名はミコ。今目の前にいるだろう』

 

ミコ? では、この毛玉が?

 

「PC?」
『単刀直入に言うが、開拓を止めてはならない。それと、私の呪いは気にするな。解く必要はない』
「おい、どうした?」

 

トジコにはどうやらミコの声が聞こえないようだが、フトには聞こえているようだった。

 

「何だと…ミコ様の声が…!?」

 

フトは少し考え。

 

「…覚えているよな? 毛玉の王に会ったことを。何と言われたか…?」

 

俺のログにははっきりあるな。「女王に訊いてくれと言っていたはずだ」

 

「女王というのは毛玉の女王ではなく、ミコ様のことだったのではないか?」

 

お前頭いいな。INT99くらいあるんじゃね?

 

「フト? さっきから何を喋ってるんだ?」
「PCとフトがミコ様の声が分かると言っている。ミコ様は何と言っている?」

 

君はミコの言葉を皆に伝えた。

 

『呪いを解く必要はない。私の言葉が聞こえるなら、冒険者よ。君に私の知り得たことを伝えよう。
 今の私は世界樹ユグドラシルの一部と化しているのよ』

 

ユグドラシルの一部と化した…だから毛玉になった?

 

『ユグドラシルの力が衰えつつある…大地の奥深く地下の彼方で異変が起こっている。闇の力が湧きだしている
 その力が世界樹を蝕んでいるのだ。異変の原因を突き止めてくれ…』

 

もしユグドラシルが闇の力に呑まれるようなことになれば、アドゥリンの地に住む者全てに災いが降りかかる。
キングはそのようなことを言っていた。

 

「俺たちには何も聞こえないんだが…」
「ふーん。それはおもs……いやいや、興味深いわね」

 

どうやら、ミコの言葉が分かるのはPCとフトだけらしい。

 

「どうしてお前たち2人だけが…」
「埒が明かないわね。早く呪いを解く方法を探しましょう」

 

エアリーの提案に、フトは慌てた。

 

「ま、待て。ミコ様は呪いを解くな、と言ったのだぞ」
「フト。ミコの言葉を聞いたのは貴方たち2人だけ。はっきり言うけど、口裏を合わせただけなんじゃないの?」
「そんなことは…!」
「まぁ待て」
「エドガー…」
「疑われるのは仕方ないだろう。ここにいるみんなは、少なからずエアリーと同じことを思っている。
 それに、人間の姿に戻ることに問題があるとは思えない。ずっとこのまま毛玉のままでいたいのか?」
「それは…我も元に戻っては欲しいが…」
「ひんがしの方から、俺が知る限り一番優秀な退魔師を要請する。それで人間の姿に戻せればいいんだが…」
「無慈悲ねー」

 

こうして今後の方針が決まり、一同は解散した。

無慈悲の霊夢

エドガーの要請した退魔師が到着したらしいので、港まで迎えに行くと、そこにいたのは見知った顔だった。

 

「あれ? なんでここにいるの?」
「君か。こんな所で奇遇だな」
「久しぶり…って程でもないか」

 

霊夢と、それに付き従うルーミアとWOLだった。

 

「話はあらかた聞いてるわ。アドゥリンのドラ娘ってところかしら? 世話が焼けるわね」

 

霊夢、相変わらず容赦無い…。

 

「霊夢はこれでも張り切ってるのよ」
「まあね。アドゥリンは退魔師が活躍した土地だって言うじゃない」

 

そーなのかー?

 

「船で勉強していた。大遠征の時代のことをな」

 

大遠征…何度かログに残ったことがあるな。

 

「大遠征時代…初代アドゥリン王の遺言を忘れた各家が、開拓に乗り出した。
 しかし、魔境で魔物や冥府から現れた悪魔に苦しめられたという」

 

悪魔…?

 

「そこを助けたのが、私みたいな退魔師ってわけね!
 私のご先祖様もここまで遠征してきたらしいわ」

 

ほほう! それは頼もしいな流石霊夢たのもしい。

 

「任せてよ! どんな悪霊も呪いも、私の手にかかれば一発よ」

 

霊夢は確かに気合が入っているようだ。珍しい。

 

「あんた、毛玉になったミコと話が出来るそうじゃない。通訳よろしくね」

 
 
 

城に付き、部屋に入ろうとすると、声が聞こえてきた。

 

「PC、貴方のことについて話してるみたいよ? 盗み聞きしてみたら?」

 

趣味が悪いな。聞くけど。

 

「中の国の冒険者の言葉など、どこまで信用できるものか…」
「そうか? 俺は信じていいと思うけどな」

 

どうやら話している内の片方はエドガーのようだ。

 

「今は十二家の1つとはいえ、ミコ様は初代王の血を受け継ぐお方。何故、一介の冒険者如きに代弁されねばならんのだ」
「俺は嘘をついていたようには見えないけどな」
「エドガーは随分高く買っているのね。私もだけど」
「それに、ミコの声を聞いたのはフトもだろう?」
「む…」
「俺は闇雲に信じろと言っているんじゃない、フトが信用した相手だからさ」

 

「ふぅん。結構評価されてるみたいじゃない?」

 

気恥ずかしいものがあるな。

 

「さあ、いつまでも立ち聞きしてないで、とっとと始めましょうか」

 
 
 

「確かに呪いみたいね」

 

霊夢の言葉を聞いた一同は、ややざわついた。

 

「呪い…か、やはり」
「ええ。しかも相当強力な呪いみたいね。初代王とやらの仕業かは知らないけど」

 

『ち…が…だ…だ…』

 

頭に声が届く。ミコの声だ。
ただ、以前聞いた時と異なり、妙に聞き取りづらい。

 

『うまく……こ、葉に…できな……』

 

これは…ひょっとして、ミコが喋れなくなっている?

 

「誰が呪いを掛けたとかどうでもいいんじゃない? それより解けるの、霊夢?
 解けなきゃ報酬も貰えないと思うけど」
「これだけ強力な呪いなら、大掛かりな準備が必要になるわね。けど…」
「けど?」
「必要なものが足りないわ。私は準備しとくから、誰か集めてきて」
「分かった。私が行こう」
「しょうがないなー。私も行くよ」

 

道具が足りないというので、解呪の儀式に必要なものを集めよう。
この間はWOLとルーミアがPTに入る。

穢祓実行

要求された物を揃えたら、ミコの部屋へ戻ろう。

 

「思ったより早かったわね。流石ってところかしら? じゃあ早速」

 

集めた道具を輪形に並べ、その中心に毛玉ミコを置く。
霊夢が毛玉ミコに手をかざすと、光がミコに集まっていき…。
バン、と霊夢とミコ両方が弾き飛ばされた。
どうやら、失敗してしまったらしい。

 

「まさかこれほどとは…想定外だわ」
「霊夢…」
「もっと本格的な準備が必要みたいね…」

 

『こ……呪いは解く、な……感じ……奥ふ……厄災…迫っ……導く鍵……そこに……』
「ミコ様…?」
『………………』

 

徐々に掠れていったミコの声は、完全に聞こえなくなってしまった。

フトの心配

 

「…………」

 

見るも明らかに、フトが落ち込んでいた。
原因は、言うまでもないだろう。
ミコが完全に喋れなくなってからというもの、推進派と反対派のいざこざは増すばかりだった。
その仲裁に動いていたフトが、この通りだからだ。

 

「我は…どうすればいいか分からなくなってしまった。開拓を進めるべきなのか、初代王の遺言通り止めるべきなのか。
 推進派も反対派ももっともらしいことを言っているが、我には自分にとって都合のいいことを言っているようにしか聞こえぬ。
 それにな、この地で起きている異変が、開拓のせいばかりではないように思えてきた。今までこの辺りでは見られなかった魔物が増えてきた…。
 ミコ様も、なにゆえもっとはっきり教えて下さらなかったのか?
 それとも、会話も出来ないほどに身も心も毛玉になってしまったのか…?」

 

落ち着くべきまずは落ち着くべき。感情的になるばかりでは何も解決しない。

 

「…そうだな。
 ミコ様の言葉には、何かのヒントがあるはずだ。もう少し考えてみようと思う」

ふらっと皇帝

「迷っているようだな、PC」

 

突然ふらっと現れたのは、皇帝…マティウスだ。

 

「これからどうすればいいか分からない…という顔だな」

 

お前は何か分かるんですかねぇ?教えるべき

 

「よかろう」

 

ほうお前はなかなか賢いようだなジュースを奢ってやろう。

 

「要らぬ。それより、七星剣のことは調べたのか?」

 

七星剣のこと? …そんなに重要な物なのだろか?

 

「当然だ。初代王の遺品なのだからな」

 

そうか…じゃあ図書館に行ってみよう。