イベント/東方戦線

Last-modified: 2011-11-17 (木) 08:16:29

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


東方戦線

妹紅を追って

町を発ち妹紅を追って旅立った主人公とセーガ、ヨシカの一行。

 

「そういえば、気付きました?昨晩の死霊たちが、皆いっぱしの武器を手にしていたこと」
ああ、言われてみれば。
「あれは生前に元々持っていたか、近くで奪った物なんです。ほら、あれが見えますか?」

 

セーガが指差す方には、砦らしき建物が見えた。

 

……今にして思えば、昨日泊まった町にも城壁があった。ということは。
「察しが良いですね。そう、この辺りはあとるがん皇国との戦争の場、聖蛇戦線……中の国からいらした貴方には、東方戦線と言った方が分かりやすいでしょうか?」
あの砦の向こうで、ひんがしとアトルガンとの戦争が起きてるのか……。
「といっても、何年もずっと、にらみ合い続きの膠着状態で、まともに鍔迫り合いもしてないそうですけど」
早く、終わるといいな。

 

「あいや、そこ行く旅の御方々。しばし待たれよ」
砦を通り過ぎようとすると、そこに駐屯していた侍に声を掛けられてしまった。
なんか、まずいことしたかな?
「戦時中ですからね。堂々としていれば大丈夫です」
「失礼。拙者、カイエンと申す者。御主たちの名と行き先を告げて頂きたいのでござる」
「……私は芳香」
一行は名乗り、カイエンの持つ手帳らしきものに書き込まれ……あれ?ヨシカさん喋れたの?
「……あんまり、上手くない」
「烈士は身体も硬直したままだし、喋ることができない。でも、それは時間経過で徐々に解けて行くのです。ちなみに、匂いは中の国から取り寄せた香水なるものを使って消しています」
ほむ。

 

「このカイエン、確かに仕った。足止めして申し訳ないでござる」
いえいえ、お勤めご苦労様ですー。
「ただ、この辺りは物の怪や死霊が出るのでござる。くれぐれも注意してくだされ」
「お心遣い、痛み入りますわ」

 

砦を通り過ぎ、再び足を進める。
セーガがカイエン殿に告げた行き先は、永遠亭という場所だった。
そこに、妹紅が?
「確証はありませんけど、あの人は陛下とお知り合いらしいですので。それに、この国で活動するのに、陛下とお会いして損はありません」
陛下……いつかゲッショー殿の言っていた、『輝夜姫』か。

 

いくらか歩いていると、木陰で休んでいる妹紅を見つけることが出来た。
「お前たち、結局来たのか」
「追いつきました。……どうかしました?」
妹紅の傍らには、年端も行かぬ少女が木に寄り添うように座っていた。随分と痩せ細っていて、見ていて不安になる。
「獣に襲われて……どうにか私が追い払ったんだが、逃げてる間に自分の家から大分離れてしまったらしくてな」
そうだったのか……。じゃあ、俺らで送っていけば、

 

そんな会話などどこ吹く風とばかりにヨシカが少女に歩み寄り、その屈強な腕を振り下ろした。後ろの木が大きく抉れるような一撃を、少女は悲鳴をあげる間もなく絶命した。

 

な、何を!?
「私が命令しました」
いきなり少女を殺してしまったヨシカと、それを指示していたというセーガ。さしもの妹紅も、この行動には唖然としていた。
だが、彼女はすぐに気を取り戻し、辺りをキョロキョロと見渡し始めた。

 

「昨晩は説明していませんでしたっけ?死霊は死体にとり憑き、生きているように見せかける
え……じゃあ、今の子は?
「私も道士の端くれですから。死霊を見分けるくらいのことは出来ます。残念ながら、今の死霊はとり逃しましたが、すぐにまた襲ってきますよ。……相手に道士がいると分かった以上、今度は強引な手で

 

空気がざわついたような気がした。
草むらから現れる人影。
でも、それは既に人ではないものだった……。

  • vs.白骨夫人
    白骨夫人との戦いは、一体の亡霊兵士から始まる。何のことは無い雑魚だが、倒しても次の亡霊兵士が現れ、倒しても、また次の亡霊兵士が現れる。
    これを3回……3体の亡霊兵士を倒せばクリアとなる。

セーガさん!この死霊は何とかならないんですか!?
「うーん……私が捕まえるには、少し素早すぎますね。やってはみますけれど」
そう言うと、小声で何かを呟きながら印を切り、今倒したばかりの敵のやや上空を見て、何かの術をかけた。
だが、セーガにしか見えない死霊を他のメンバーで捉えることはできない。
「……倒した?」
「……捕まえました」
ならば今の内にと、セーガの見る方向に闇雲に腕を振り回すヨシカ。……ってお前にも見えてないんかい。

 

その時、バッと何かが飛び出し、ヨシカには見えなかった死霊を素手で捕まえると、それをあっと言う間もなく握りつぶしてしまった。
何かは……人間だった。この国の者の格好ではない。確か、あの服はアトルガンの……。

 

「……水蛇将?」
そう、アトルガンを代表する将軍、五蛇将の一人、水蛇将リンだった。
「何故、お前のような奴がここに?」
「あたい?……スパイだって言ったら、どうする?」
妹紅の質問に、挑発的に返すリン。
一触即発かと思われた状況に、また別の声があった。

 

「よしなよ。喧嘩をしにきたんじゃないんだからさ」
「そういう貴方は、天蛇将やまめさんですね」
リン同様、五蛇将の一人、ヤマメだ。

 

二人とも、東の国とは敵対している、アトルガンの人物だ。
「私たちは、アトルガンからの使いです。東方戦線の休戦、および和平条約の締結を推し進めるための、ね」
ヤマメは聞かれるより早く、そう説明した。

二つの亡者

「アトルガン聖皇さまは、一刻も早い休戦を望んでおられます。私たちは、その意志を伝えに来た使者なんです」
成り行きから、旅の道連れとなって共に歩く二人の将軍。

 

五蛇将はアトルガンのメイン盾とも言える重要な存在だ。
だから、その内の二人も差し向けるのは、それだけ大きな意味があるのだと思われた。

 

「……あんたはともかく、そっちのは外交向きって風には見えないんだが」
妹紅がリンを横目で見て言った。
「何を言う。あたいは他の三人よりずっと穏便派なんだよ。ねぇ、ヤマメ?」
「え?」

 

「…………」
突然話題を振られたヤマメはたっぷり数秒は思案して。

 

「うん!私一人でよかったんじゃないかな!」
「ヤマメにとっては、あたいと他の三人は同系列だったんだね……ちょっとショックだよ……」
割と本気で落ち込むリンであった。

 

「それはそうと、この国でも死霊が出てるってのは、本当だったんだねぇ」
リンがもう立ち直って話題を変えた。猫くらいには気まぐれだ。
「あとるがんにも、死者の軍勢はいるのでしたね」
「そう。こっちのは蛮族ラミアが統率しているんだけど……ひんがしじゃ、ラミアはいないんだっけ?」
「いませんね、そういうのは」
そういえば、リンは先ほど、素手で死霊を握りつぶしていたが、あれはどうやったのだろうか。
「さっきの?別に握りつぶしたんじゃないよ。ディアでちょちょいのちょいだよ。こちとらゴーストの相手は慣れてるからね」

 

「……嫌な共通話題だな」
全くである。互いの国で、死者の軍勢の性質は異なっているようではあるが……。
「軍勢として形を成しているなら、それは統率する指揮官がいるということ。アトルガンの方には、ラミアが指揮官だと言えるけど……ひんがしには、それらしいのも?」
「うーん……あまり見た覚えはありませんね」
ヤマメが意外と冷静に分析する。なるほど、やはり黒幕がいるということか。
「アトルガンのは、ラミアが呪印を施すことでアンデッドを操るのだけど。そっちはどうなの?死霊が出てくる原因ってのはさ」
「……陰陽、でしょうか」
「オンミョー?」
自信なさげに、セーガが口を開いた。
「この世の全ては陰陽、つまり対立する二つの要素から成り立つとする道です」
「それは、死人を蘇らせるような術なの?」
「いえ、そんなのは聞いたことがありませんが……なにぶん、私も陰陽道は専門外ですので。ただ、私の専門の道教や仙術とは形態が異なるもの、としか」
「ふーむ。原因究明が一大事ってわけね」