イベント/決戦、ザルカバード

Last-modified: 2012-01-18 (水) 00:31:49

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


決戦、ザルカバード

雪上の嵐

吹雪駆け巡る白の大地を走る。
吹き荒れる極寒の暴風が体を叩き、防寒装備を以てしてもその寒さは体の髄まで染み渡る。
元の世界のホッカイロや暖炉といった暖かいものが心底恋しく感じるのは無理もないことだろうか。

 

「……だからって私にくっ付くのはやめてくれないか」
妹紅が辟易した表情を浮かべた。
その体にセイガが抱きついている。そして周りに女性陣一同が至近距離で円を囲み集まっていた。
さながら暖房に集まっているかのごとくだ。
抱きつかれたり囲まれたりしている妹紅はかなり鬱陶しそうである。

 

……男性陣? 野郎には凍えた背中がよく似合うという事で触れ合う確率は最初から0%だった。

 

「……だってファイアを扱う応用でバリア貼るくらいなら私達にも提供してもらいませんと」
それを聞いて、ウツホが挙手した。
「じゃあ、私が温めるよ? 火の扱いは得意だし!」
「「「あー。え、遠慮しておきます……」」」
「あんたの場合は一周回って消し炭になるでしょうが。妬ましい」

 

「そんなに温まりたいなら押しくら饅頭でもやればいいだろ……まったく」

 

ぎゅむっ
「なんだ急に抱きついてきた>>レエrミア」
「だって寒いなら押しくら饅頭しろって」
「……仕方がねぇな」
「ん」

 

「人肌、ですか……誰かいい人がいれば良いのですが(チラッ」
「……うん、誰かいるといいな(チラッ」
「ほれ、ティアマットの鱗なんてどうじゃ。ほんのり暖かいぞ?」
「「……」」

 

……あのさぁ。
和むなよお前ら! 一応ここ敵の本拠地なんだからさぁ!

 

だがしかし、この視界を遮るほどの激しい吹雪が侵攻の阻害になるのは確定的に明らかである。
この場で硬直しているのはいかんともしがたい。
リンクシェルによる通信で聞く限りは奇襲班側も到達にまだまだ時間がかかるそうだ。
……一旦止むのを待つべきか。

 

「雪を見るとテンションが下がるわね姉さん……」
「ええ、鬱で倒れそう……」

 

「いっそのこと、ファイガかフレアでこの吹雪を吹き飛ばしましょうか。
それに、どうせ見つかるくらいなら先に教えて差し上げた方がよろしいのでは? "今からおまえたちに地獄をみせにきたぞ"、とか。
そんな具合に」
「大魔元帥からもしっかり"暴れて来い"と言われているからなぁ」
「追加発注で炎蛇将やレミリア嬢の妹君への要請も考えてみるか」

 

……あれか、アルタナ四国の上層部は大半はこういった派手な花火が好きなのか。

 
 

漫才の最中、吹雪の勢いが僅かに弱まり、それを合図としたかのように吹雪の奥から黒い影が列を成した。
それらの正体は、アンデッド達の行進。その動きは野良モンスターのそれではない。
「……気が利いてますわね。こちらから教えるより先にきましたわ」

 

姿を現したのはザルカバードを徘徊するアンデッド軍団。
ザルカバードへ足を踏み入れた者への手荒い歓迎である。

 
  • 大規模戦闘
    勝利条件:敵の全滅
    敗北条件:味方の全滅
     
    スケルトン族が三体で5ユニット、屍犬族が二体で5ユニット、フォモルが単体で3ユニット、コース族が単体で2ユニット、ナラカ族が単体で1ユニット。計31体。会戦ほどではないが数が多い。
    しかしこちらの戦力は会戦同様。それに加え秋姉妹、マイケル・ウィルソンにランペール、シャントットといったチートキャラがいる。負ける要素は皆無といっていいだろう。

グレーターデーモン

アンデッドを殲滅し、進軍する一行。
その先を再び吹雪が遮った。

 

「まただよ(苦笑)」
「……シャントット卿、頼む」
「オーホホホ! では一つ派手なのを……」

 

――我らが北の地へ何の御用かな

 

目の前の地面に黒い沼の様な闇が広がり、一体のデーモンが姿を現した。
途端、一同の一斉砲火がデーモンに向けて放たれる。
「!?」
すべての攻撃はしかし、デーモンをすり抜け、その背後で炸裂音を起こす。

 

「おお、こわいこわい……」

 

それらの結果を見て、

 

「このデーモン、幻か!」
「ゲニ影とかこいつ絶対忍者だろ……」
「避けるなよ。魔力の無駄遣いだ」
「いつからこの地が貴様たちのものとなったのじゃ? 『我らが』とは盗人猛々しい」
「というかその余裕綽々の態度が気に入りません。死んでくださいもしくは泣きながらくたばれ」
……おい、一部から悪役みたいな台詞が飛び出してきたぞ。

 

「北の地へようこそ、アルタナ四国連合の諸君……我が名はビフロンス。血族の王より伯爵の地位を戴く者……」
「ビフロンス……闇の王(あいつ)直属の軍師か」
「いかにも。そして折角の訪問、生憎歓迎はできない。このままご退場願おうか……」

 

吹雪が急に止んだ。
止まった吹雪の向こう側に、一体の悪魔がいた。
ベヒーモスのような雄々しい角を備えた筋骨隆々の巨大な悪魔だ。

 

イッグ・アリマ
Ohhhhhhhh……!
イッグ・アリマと呼ばれた悪魔が悍ましい咆哮を上げる。
「……客人が寒がっておられる、ヴァルハラまでお送りしろ」

 
  • VS.イッグ・アリマ
    ♪The Encounter
    勝利条件:敵の全滅
    敗北条件:味方の全滅
     
    屈強な肉体を持つデーモン、イッグ・アリマ単体との戦闘。
    たかが一体と侮るなかれ、単体で一騎当千の戦闘能力を持つHNMである。特に攻撃力の高さたるや、高性能な物理カット装備を以てしても大きく体力を削り取ってくる程。
    特殊技もいやらしい効果のものが生揃い。特に、魔法ダメージと共に衰弱と死の宣告の効果を与える範囲攻撃「オブリビオンマント」には要注意。
    弱点の光属性や高威力の技を叩きこんで、できるだけ短期決戦を心掛けること。
     

「……イッグ・アリマを退けたか」
「次に潰れるのはお前の番になるけど。覚悟はできているんだろうな?」

 

「成程。久々に面白い一局になりそうではある……いいだろう、進むが良い客人よ。久々の対局、胸が躍る」
そう言い捨て、デーモンの幻は姿を消した。

 

「……ああ、気障ったらしくて寒いったらありゃしない」
「あれが神算鬼謀で名高きびふろんす伯爵でござるか……あの者がいるという事は何らかの謀を目論んでいる筈でござろう」
「対局とか言ってたわね。あの悪魔、戦いを将棋かなんかと思ってるのかしら」
「戦争将棋か」
「……ああ、噂をすれば早速一手差してきたみたい」
そう言って霊夢が指差す先には、デーモンとアンデッドの大群が接近していた。

 

「実際の戦場を遊戯に見立てて、か。随分といい趣味じゃない。
……付き合ってあげるわ。元々その為にここに来たんだ」

 
 

「…………」
「おい、どうしたヒナ。急にボーっとしちまって」
「……何でもないわ……行きましょう」

 

(同族との対決……か。なんでヴァプラ大公の事を思い出していたのかしらね……)

引き裂かれる距離

遂に闇の血族の戦力との激突が始まる。
しかし敵軍の動きは今までのそれに比べると、明らかに見違えていた。
左へ進行しようとすれば左と右を同時に阻まれ、敵にトドメを刺そうとすればその瞬間に防護と回復魔法の連鎖が割り込んでくる。
こちらの行動に対し、常に最良の対策を取ってくる。まるでこちらの思考を先読みをしているようだ。

 
 

そして立て続けに続く妨害、地の利を生かしたトラップの連続。
気が付けば此方の戦力は分断されていた。

吹き飛ばせ!

主人公はフランと大統領と共に氷雪を走り抜ける。
他の連中は敵の動きに分断されてしまった。無事だといいのだが!
「ズヴァール城まで行こう! お姉さまも、ブロントさんも、他のみんなも、最後にはみんなそこに集まるよ!」
でもこの大軍どうする!? 迎撃するだけでもこの人数じゃしんどい!
「さっきから敵の動きが矢鱈と良いけど、あれはあのビフロンスって奴の仕業だと思う!
きっとリンクシェルかなんかで一番良い戦い方を教えている! 岡目八目、傍から見た遊戯の一手みたいにね! あいつを倒せば敵も動きが乱れるんじゃないかな!」
「通信手段を使って指揮を執っているとしても、城の中で閉じ籠っているという訳にも行くまい。
どこか戦況を把握しやすい場所にいる筈だ。そう、高台や崖の上といった見渡しやすい場所にな」
デーモンを屠りながら、戦場を疾駆する。

 
 

そして走るフランが彼方へと剣を突き付けた。
「いた……!」
まさにその通りだった。やや離れた位置の高台から、ビフロンス伯爵がこちらを見下ろしている!
此方を見たビフロンスは口の動きで、
『ほう、ここまできたか』
そう呟くと、背を向けて高台の奥へと去って行った。

 

「あいつを倒せば現場は総崩れだ!」

 

ならば、と。その元に向かう主人公達をデーモン達の大軍が取り囲む。
その数、二百は下らない。

 

「邪魔、だ……!」
フランが吼え、唐竹割りに振るった炎剣で大群の一角を薙ぎ払う。
「君はあそこから奴を……! 残りは私達で薙ぎ払う。ビフロンスを逃がすな!

 

急かされ手薄になった敵側へと走り、一瞬、二人の方を振り向く。
それを見たフランと大統領が口端に笑みを浮かべ、親指を上げて応えた。
心配するな、と。

 

……おう!
即断し、主人公は薄くなった敵軍の一角へと突破をかける。
振り向かず、敵を踏破。そのまま高台へと乗り越えた。

 

その後ろ姿を見届けたフランと大統領は各個敵軍へと疾走。
「……大切な人から信頼してもらえる。これほど嬉しいことはないよね?」
「ああ、掛け替えの無い、素晴らしいものだ! ところでMs.フラン! 先程の技はまだ撃てるかね!?」
「あははっ、もう無理ですプレジデント! さっきので魔力がすっからかんだよ!」
「そうか、なら直接殴り飛ばすしかないな!?」
「そうだね! 主人公にカッコいいところ見せよう!?」

 

「では相手をする比率は私が6、君は4でどうだね!」
「嫌、わたしが6!」
「では5!」
「6!」
「まだ紳士の時間は終わっていないのでね! 淑女に無理をさせる訳にはいかない!」
「あら、素敵! でもわたし、淑女なんて柄じゃないから遠慮するね!」
「御転婆だなMs.!」
「貴方こそ、偉い人なのに随分ぶっ飛んでるじゃない!」

 

「「……」」

 

楽しそうに口論しながら接近する二名に、デーモンが各々の武器を構え、迎撃の態勢を取った。

 

「だったら……!」
「ああ……!」

 

「「お互いの気が済むまで!」」

 

「「片端からブッ飛ばしてやる!」」