イベント/流れる血の色は

Last-modified: 2011-11-04 (金) 16:34:31

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント

流れる血の色は

  • イベント経過後、小・中規模の街を訪れると発生
     
     
     
    『ヒャッハ~! 水だァ!』
     
    『金だ! とにかく金と食糧ありったけ出せやァ!』
     
    『bokuはそこの可愛い子ちゃんにマツタケ一杯ごちそうしたいな^^;なんちゃって^^;』
     
    『いいからそのナメコしまえよw』
     
    ・・・さて突然ですが問題です。
     
    Q.今の状況を三行で説明せよ。
     
     
    A.街についてふぅふぅどっこいしょ
    なんだ急にのりこめー^^してきた>>盗賊団
    略奪とか許されざるよ。マジぶっころしょ?
     
     
    ……まぁ、なんというか盗賊っぽいルックスの武装集団・・・というかガチモンの盗賊団が街に襲撃をかけてきたというかなんというか。
     
    「……主人公さん?」
     
    いきなり面倒に巻き込まれたな、と軽くスティンガー状態に陥っていると聞き覚えのある声が近くから聞えて来た。
    声の方向に顔を向けると、なんとそこには麟がいるではないか。
     
    「まさかこんな時に御会いするなんて……」
     
    片手で添えるように口をおさえ、目を丸くする麟。こちらも驚きが鬼になるが残念な事に再会を祝している余裕はない。
    盗賊がこっち目掛けてヒャッホイしてきたのだ。
     
    きさまっ! ヒレツなまねをしおって もう がまんならん!
     
    即取り出した得物をカウンター気味に盗賊めがけ叩きこむ。
    クリティカルが入ったのかあっさり地面に沈む賊。ざまぁない。
    この状況を切り抜けるには連中をシメるしかないことは確定的に明らか。
    降りかかるキノコの代金は払うしかないだろう。
     
    「……荒事が舞いこんできたみたいですね」
     
    そう呟いた麟は伸された盗賊を一瞥した後、腰に引っ掛けていた片手剣を引き抜いた。
    吟遊詩人かと思ったら、剣も扱えるのか。
    そんなことを考えていると此方の視線に気付いたのか
     
    「舞楽の際に扱ったことがありますので、剣の腕には多少覚えが」
     
    と解説を入れた。剣舞…というものだろうか。
     
    ・・・仲間がやられたのに気づいたか、盗賊どもが此方に列挙してきた。
    多勢に無勢だが、尻ごみしていたらどうにもならない。得物を構え直し、略奪者共を迎え撃つ。
     
  • 大規模戦闘
     
    ♪Against the Dark Knight
    勝利条件:敵の全滅
    敗北条件:主人公or冴月麟の戦闘不能
     
    街中で発生する大規模戦闘。街に侵入してきた盗賊団が相手となる。
    盗賊のジョブは大半がシーフかモンク。基本的に雑魚は徒党は組んでいないがボスである盗賊の親玉は手下を二名ほど引き連れている。
    敵の数こそ少々多いが、余り強くは無い上に前述の通りボス以外はソロ。
    スポット参戦する麟もとてとてチートなので、まだ易しい難易度の戦闘である。例え数に劣ってもあっさり一蹴できるだろう。
     
    ……最も、この大規模戦闘の難易度が低いのはそれだけが原因ではないのだが。
     
     
     
    戦闘から3ターン経過、若しくは撃破した敵ユニットの総数が2になった
     

    戦闘状態が続く市街地。

     

    混沌極まる中、突如けたたましい音を鳴り響かせ、街の一角にある民家の扉が開け放たれる。
    反射的にその場にいる全員が空いた扉に注目する。
    底なしの奈落のような、真っ黒な内部を湛える玄関口。
    そこからボロボロの外套に身を包んだ漆黒の全身鎧がヌッと姿を現した。

     

    『げっ!?』

     

    それを見た賊共が轢き潰された蛙のような奇妙な声を漏らし、主人公らは思わず目を見張るがそれも致し方なし。
    何の変哲もない民家から真っ黒な鎧が前兆すらなく、いきなり出てくれば驚愕するだろう。
    その身に纏う鎧がまるでズタズタに引き裂かれた様な無惨な状態とくれば尚更。
    異様な雰囲気を放つ漆黒の鎧。
    襤褸切れと化した外套を纏っていることもあり、その姿は・・・まるで古戦場から蘇った騎士の亡霊か何かの様だった。

     

    『て、てめぇ……何もんだ!』

     

    「……」

     

    『だ、黙ってないで何か言ってみろやヴォケ!』

     

    恥知らずな賊の恫喝。しかしその声には目の前の鎧への明らかな怯えと困惑が含まれていた。
    じり……じり……重い足を引きずり、鎧は賊の方へ足を向ける。

     

    やがて漆黒の鎧は無言で両手剣を抜き放ち、地面に突き立てた。ズドンと響き渡る衝撃に地面がピリピリ震える。
    放たれる無言の威圧。其の行き先は狼藉働かんとする盗賊一味へ向けられたもの。

     

    『や、やる気かテメェ……!』

     

    武器を構える盗賊。殺意を受け止めた鎧は突き立てた剣をゆっくりと抜き・・・盗賊一味に切っ先を突き付ける。
    その瞬間、盗賊どもの恐怖と怒りが臨界点を突破した。

     

    『や……やろォ……ぶっ殺してやるぁああああ!』

     

    「……」

     

    ▼「漆黒の騎士」が出現、戦闘中PC側ユニットとして扱えるようになり、敗北条件に「漆黒の騎士の戦闘不能」が追加される

     
     
     
    親分格を伸し、盗賊団一味を叩きのめした主人公達。
    倒した連中は死なない程度に痛めつけた後、お縄にかけた。あとは法の番人に引き渡すなり、適当に料理すれば問題ないだろう。
     
    敵を倒した数が 主人公>漆黒の騎士だった場合

    突如、主人公の背筋がぞわっと怖気立った。背後から誰かの視線を感じたのだ。
    本能的に脅威を覚え背後に振り向くと、そこには建物の陰から此方の方に顔を向けるあの漆黒の鎧の姿があった。

     

    ……!?

     

    陰から、こちらをじっと見つめ(ているように思え)る鎧。
    兜のスリットは黒一色の闇に閉ざされており、その表情を窺うことはできない。
    まるで肉食獣に獲物か否か吟味されているかの様に感じられ、不安を覚える主人公。

     

    やがて、

     

    鎧の騎士はゆっくりと背を向け、その場から静かに立ち去って行った……。

     
    「お疲れ様です」
     
    思わず溜息をついていると、麟に労われた。
    そっちもお疲れさま、と軽く返すと、ある事に気が付く。
     
    ……血。
     
    「え?」
     
    手に血が付いてる。
     
    「……あ」
     
    指摘され、手に目を向ける麟。右手に赤い筋が走っていた。
    傷自体は深くは無いが、血が溢れてる。
     
    「……軽いけがです。刃物か何かが掠ったんでしょうか」
     
    軽いでは済ましちゃいけない。
    ちょっと待ってて。薬草か何か出すから。
     
    「あ、いえ、このくらいなら……」
     
    遠慮がちな麟を封殺して怪我の治療に専念する主人公。
    このご時世、簡単な傷からおっかない病気にかかって死ぬことが稀によくあるらしい。
     
    「……ありがとうございます」
     
    顔を俯かせ、謝意を伝える麟。
     
    「……でも、主人公さんも怪我してますよ?」
     
    言われてみて、軽い切り傷を負っている事に気付く。
    指摘され、負傷をしている事に気が付いた瞬間、急に痛みが体を苛んできた。
    ……うあ、マジだ。
     
    「じっとしててください。ケアルかけますから」
     
    患部に手を当てられる。
    ……なるほど、回復魔法を使い手だったのか。
    そして麟が言葉を濁したのは「自分で治療できる」という意味だったことに今更気付く。
    ……いらぬお節介だったかもしれない。
     
    「いえ、そんなことないです。その……嬉しかったですから」
     
    ケアルのエフェクトが視界を阻むおかげで、その時彼女はどんな表情をしていたのかはわからなかった。
    そうしている間に治癒が完了する。
    謙虚にお礼を述べると「言いっこなしです」と言われた。
     
    しかし、あの数を相手にこの程度の怪我で済んだというのも恐ろしい。・・・怪我なんてない方が一番なのだが。
    あのさまようよろい(仮)には大層ドン引きしたが、この人もこの人で結構人間離れしてるのではなかろうか。
     
    「主人公さんも相当だと思いますけど」
     
    ……悪戯っぽくそんなことを言われる。あの鎧と一緒は勘弁してほしいかもしれない。
    結局、あれは何だったのか未だに理解不能状態だが。
     
     
    そうこうしている内に麟はこの街から去るという。
    主人公は街に着いたばかりなのでその姿を見送ることに。
     
     
    後に聞いた話ではあの民家は誰にも使われていない、所謂廃屋だったとか。
    そして襲撃の当日になるまで、あの鎧を見た者はだれもいなかった。
     
    しかし結局それ以上のことはわからず……
    乱闘の翌日、主人公は街を後にするのだった。
     
     
    ▼名声が上昇した