シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。
温泉へ行こう
- 温泉宿「いぶき屋」に宿泊した場合、発生する可能性がある。
温泉宿「いぶき屋」について
- 温泉宿「いぶき屋」内ではクエストの受領や宿泊の他、アイテムや食事の購入を行う事ができる。
また、宿泊した時に随伴したPTや、その日に旅館に宿泊している客の内容によって様々なミニイベントが発生。
この項目では、確認されているイベント群を紹介する。
「評判」はPCが旅館に対し、クエストの受領・クリアなどによって何らかの貢献を行う度に上昇。データを引き継いだ次の週以降も「評判」の値は保たれる。
「いらっしゃいませ。温泉宿「いぶき屋」へようこそ~」
イベント群
玄関口にて(ウィンダスの仲間達)
ウィンダスの五院が『遠足』と称して、温泉旅行に出かける事になった。
そして、温泉旅館「いぶき屋」の入口前。
そこに只者ではないオーラを漂わせる四人の小さな人影が。
「オホホ! いいですこと、『遠足』は温泉に入ってからが本番ですわよ?」
高笑いを上げる黒い悪m……もとい、口の院の院長シャントット。
「どれ。秘湯の効能とやら、我が直々に確かめてやろう……くくく」
シャントットに負けず劣らずの危ないテンションを漂わせる手の院の院長ゾンパジッパ。
「うう……ここまでくるだけでひどくくたびれたわい」
ぼんやりした表情で息を吐く耳の院の院長コルモル。
「何やら嫌な予感がするのは、私だけですかね……」
何やら胃をキリキリ痛ませる鼻の院の院長ヨランオラン。
五院の内、四院の院長が集結していた。
……なお、目の院の院長カラハバルハは所用で欠席とのこと。
少し前から何かの案件で引き篭もりっぱなしだったので「いつものこと」と"表面上"は気にしてない様子のようだが……。
「なあ、アリス」
その後ろで、微妙な表情を浮かべる魔理沙が隣にいるアリスに声を掛ける。
「……何かしら」
「……これ、絶対一騒動起きるよな」
「うん。エクストリーム起きるわね」
「……ヨランオラン先生、胃薬持つかなあ」
「それより前に切れて、借用書乱舞を発動させる方に賭けるわ」
「私もだ」
「む。そこ、何か言いましたか?」
「あ、なんでもないんだぜ」
やれやれと溜息を吐き、旅館の看板を見る。
やがて、玄関口から現れた鬼の女将に迎え入れられた。
のんびりくつろげるといいんだがなあ、そんな事を考えつつ、一行は門をくぐる。
露天風呂で(吸血鬼と騎士編)
深夜の露天風呂。
芳醇な湯気を漂わせる湯船に、人影が一つ。
湯船に浸かっているのは、とある唯我独尊系吸血鬼一名。
丁度、彼女以外に露天風呂に人影はいなかった。
「……寝過ごした」
暖かい湯船の中に入っているうちに気持ちよくなって、うとうとしていたらこの有様である。
……しかし、寝てたら寝てたで誰か起こしてくれれば良かったものを。
「……日頃の態度かしらねぇ」
月夜を見上げ、は、と息を吐く。
周りに人がいないため、思う存分湯に浸れる分、一人きりの浴場はどこか寂しくもあった。
……。
「……」
段々、沈黙が痛くなったので、気晴らしに鼻歌でも口ずさむことにする。
どうせ誰もいないのだし気にする事はない。
そう考えて、息を吸う。
「さようなら~をあんのひっとに~♪ せーいけん一発締ぃめおっとしい~♪
なみっだ流してあんのひっとは~、わっかれっを告っげるっのタップを三回~♪」
……。
結果として沈黙が更に痛みを増した。
「……ばからし」
いい加減風邪をひく。そう考えてそろそろ出ようと思い、
「……おいィ、何ブツブツ歌ってるわけ?>>レニリャ」
背後の仕切り、男湯から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「なんだ、いたの」
「さっそくフウロを満喫しようとしてたら急に来て列な歌が聞こえてた感」
「……奇天烈とは失敬な」
そりゃ自覚はあるが。だからこそ途中でやめたわけだし。
「……そんな馬鹿らしいことより、満喫してるお湯の加減はどうなのナイトさん」
「うむまさに神の賜物といったところかな」
その幸せそうな声の調子から察するに、いたく気に入った御様子だった。
「そう言うレmりゃこそどうだったわけ? 見ろ、見事なカウンターで返した」
「カウンターって、喧嘩じゃあるまいし……。まぁ、いい湯だったわ」
「……」「……」
そこで、急にだんまりになってしまった。
言葉が喉元に引っ掛かった様に詰まり、会話が続かない。
(どうしたものかしら)
……ブロントさんに断って、風呂から出てしまおうか。一応そのつもりだったのだし。
そう思って、声を出そうとした。
「レミャー」
その前に向こう側の騎士が言葉を発した。
「……ん」
「また暇ができたら行くか」
「温泉に?」
「うむ」
また行く、か。それも悪くはないと思う。
(温泉は、こんなにもいいものだしね。流水だけは勘弁願いたいけど)
「……ええ、一度と言わず、何度でも。今度はメイド達も全員連れてきましょうか」
「ほう、経験が生きたな」
「……そういえばブロントさん、知ってる?」
「何かな?」
「ここの温泉、混浴もあるんですって」
直後、底に滑って湯に身を投げた様な派手な水音が聞こえた。
これにはレミリアも笑いを抑えきれなかった。
湯上り後のとある一風景(ホッカイドゥの姦し娘共編)
旅館のエントランス。
ホッカイドゥ領主の義娘、テンシはエントランスに置かれている鏡の前で息を吐いていた。
温泉を満喫したばかりで、体は芯の底から暖かく、全身から疲れが抜け落ち、すっきりしている。
しかし、その心は晴れなかった。
原因は一つ。
鏡の前に映る己の姿だ。
絶壁。
揺れない震源地すごいですねそれほどでもない。
そして、片手にはセルビナミルクの瓶が握られている。
……いや、湯上りの一杯とか常識ですから。別にそれ以外の理由とかないから。以後レスひ不要です。
「あ、テンシじゃない。どうしたの? 鏡なんか見て」
そこへタオルを首にかけた浴衣装備のレミリアの姿が。
「ああ、なんだ義姉様か……」
その片手にはモーグリのラベルが貼られた牛乳がある。
「……牛乳、飲むんだ」
「ん。体にいいからね」
そして、小さくポツリと、
「……本当にコレ、効き目あるのかしら」
その言葉を聞き逃さず、テンシがレミリアを半目で睨む。
「……少しはあるじゃない。なんて贅沢な」
「……いや、アレに比べたらなあ」
レミリアが親指を後ろに向ける。
その先には、
「?」
同じくタオルを首にかけた、レミリアの妹ことフランドールの姿があった。
その姿を認めたテンシは、レミリアの言いたい事を嫌でも理解する事になった。
視線の先にあるものは、
起伏だった。
メリハリのついた凹凸だ。
例えるなら、テンシ達がドーナツ平野だとしたらフランドールのそれはバニラ台地……!
「こ、これって……」
「妹に敗北するっていうのも結構ヘヴィなのよね……」
「……ど、どうしたの? さっきから目が怖いけど……」
そしてそして、やや引き攣った様な表情を浮かべたフランドールのその片手には、
いちごミルクがあった。
「ビタミンC……だと……!?」
まさかそれのおかげなのか、とテンシは目を見張るが、レミリアが首を横に振る。
「いやあ、あれは栄養が頭じゃなくて胸にいってるからじゃないかと」
「え。そう、なの?」
「そうそう――おかげで天然に頭がハジけてるからなあ愚妹」
「な、なんか分析したように見せかけて貶されてるんだけど!?」
フランドールがわぎゃあと騒ぐが無視に走る。
「不公平ね……」
「そう、理不尽ほど面倒なものはない……」
何か悪い事でもしたんだろうかと困惑しながら、なんとか宥めさせなくてはとフランドールは口を開く。
「べ、別に胸だけでその人の価値全てが決まる訳じゃないと思うけど……」
「……難しい事はとにかく多く、簡単な事はいつも少ない……」
「……持たざる者の気持ちを理解できぬ癖してぬけぬけとのたまうのかこの愚妹は」
(ま、まっとうな事を言ったつもりなのに逆効果……!?)
殺意を感じ、フランドールは慌てふためく。
なんでこんなものだけで殺意の波動を展開できるのか。
「こんなの大きくても肩凝るだけだよ!? 周りの目も気になるし……」
そして踏んではいけない地雷を踏み抜いた。
「「だったら寄越せ!」」
「!?」
「これか! これのせいでお脳の方が無遠慮なんだな貴様!? 寄越せ! 今すぐ寄越せ! 吸い取ってやるから神妙にしろ……!」
「だからって変なとこ噛みつこうとするなこの馬鹿姉――!」
「義姉様とこれほど息が合うのも珍しいわね……!」
「それは別のところに発揮しようよ! 戦闘とか!」
「「今がその時だ……!」」
「落ちつけ馬鹿あ――!」
「おもえら、いい下弦周りが迷惑がってるんですがねぇ……!」
……結局、カカッっと駆けつけたブロントさんと聖さんの鉄拳制裁を全員が喰らって、ようやく落ち着いたのであった。
テーブルテニヌ(猫将軍と嫉妬将軍編)
アトルガン皇国軍の一部に慰安旅行が計画された。
重要な戦力である五蛇将を全員出払うことはできなかったので、公平にくじ引きでウツホ、リン、パルスィとヤマメ、ユウギとでメンバーが選ばれ、二回に渡って実行された。
温泉に癒されたものの、普段から戦場に身を置く身としては戦闘意欲を抑えられなかったのか……それともただ単にやりたかっただけなのかは判らないが、リンとパルスィが卓球対決を行っていた。
カッコッカッコッカッコッカッコッカッコッカッコッ……
ラリーが続く。
カッコッカッコッカッコッカッコッカッコッカッコッ……
それを横でウツホがゆで卵をうにゅうにゅやっていた。
カッコッカッコッカッコッカッコッカッコッカッコッ……
長く続いたラリーが、地味に精神力を削っていく。
カッコッカッコッカッコッカッコッカッコッカッコ……
長すぎた。
だから切れた。
カコーン!
小気味良い快音と共に、パルスィが今までよりも力の篭った一球を打った。
その瞬間から、世界がスローモーションになる。
既に目にも留まらぬ速度のその球を、しかしリンは己の眼力で完全に見切り、打ち返す。
一方ウツホはおしるこ缶をうにゅうにゅ飲んでいた。
打ち返された球を、パルスィは強いまなざしで照準を定め、大きく跳びながらどうにかこれを打つ。浴衣の乱れなんて気にしない。
ちょっと大きく跳びすぎだった。サッカーのオーバーヘッド並だ。
勝利を確信し不適に笑むパルスィに対し、しかしリンはミスラらしい軽い身のこなしで、パルスィ以上の跳躍を見せ、的確に球を打ち返した。
一方ウツホは飲み終わったしるこ缶を片手に、そんな必要ないのに何故か胸をはだけさせ、そんな必要ないのに横にジャンプしていた。
既に宙に浮いていたパルスィはこの返し球に必死で喰らいつくが、時既に時間切れ。
空中では咄嗟の判断が効かず、その手のラケットは宙を切り、球は虚空へ飛び去ったのだった。
「ねぇ、なんで私は見てるだけなの?」
「あんたの球は絶対に打ち返せそうに無いから」
「ユウギ辺りとでも打ち合ってなさい、妬ましい」