イベント/異形の騎士

Last-modified: 2012-04-19 (木) 23:39:49

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


異形の騎士

「タウルス」

あれからジュノ近隣のアウトポストにて事の次第を報告、休息をとった一行は、アットワ地溝へと向かった。
アントリオンの巣窟にして渾沌龍ティアマットのホームポイントである灼熱乾燥地帯。
そこに例の騎士の一味と思わしき者が目撃されたという。

 

「熱いわねー……」
上空を照りつける太陽に、アリスがげんなりした表情を見せる。
ほとんど雨が降らず、干割れるほど地面が乾燥するアットワ地溝。砂漠程ではないが、その過酷な環境は来訪者の体力を奪い続ける。
「ああ、北極の風を持ってきて正解だったぜ」
他の面々とは対照的に涼しそうな魔理沙。
そしてその言葉に熱さにうなだれていた一同の眼の色が変わった。

 

「……ねぇ、魔理「私の分しかないぜ?」……」
「ニア殺してでも うばいとる」
「な なにをするんだぜ お前らー!?」
おい馬鹿やめろ、体力がよけい消耗する! ……いいから分けてやれ!
本当に一人分しかないんだがなあ、とごちる魔理沙を尻目に、パチュリーが額に手を当てながら溜息をつく。
「…………いい加減熱くて死にそう」
「パチュリーが言うと冗談に聞こえないな……一度日影がある場所で休んだ方がいいかもしれない」

 

「……そうも行かないみたいだ」
チルノが彼方を見て、渋面を作った。
遠目が効く鈴仙も、嫌な顔を作る。
「疲労の最中に襲いかかるか。戦法としてはあって然るべきだけど、いやらしいわね……」

 

その視線の向こう。アットワ地溝の地平に、此方へと飛来する影が見えていた。
ティアマットではない。
……アンフィプテレだ。

 
 
 

『例の敵軍です。タウルス』

 

アンフィプテレのアンジーに伴われるは、5の数字と牡牛座のエンブレムを持つ騎士。
タウルスと呼ばれた騎士は、鼻息も荒く、アンジーへと叫ぶ。

 

「正面から行くぞ、アンジー!
素のままの人間ごとき 小細工など不要……!」
『了解、このまま突っ込みます。幸運を、タウルス』

 
 

「……突っ込んでくる!」
「突撃する気か!?」

 

そして地面に着地。地滑りしながら此方に突撃する騎士。
迫るその体躯は今までの騎士よりも遥かに大きく、まるで塔の様であった。

 

「大きい……!」
「うはwwwwマジ勘弁wwww」

 

「我が名は黄道十二星座騎士団、タウルス! 小細工は不要、まとめて一捻りにしてくれるっ!」

 
  • VS.タウルス
    Vulture
    勝利条件:タウルスのHPを50%以上削る
    敗北条件:主人公の戦闘不能
     
    黄道十二星座騎士団の1りタウルスとの大規模戦闘。
    タウルスは鎌のような前肢を持つタウルス族の亜種、ファルシタウルスを眷属として従えている。名前が色々と紛らわしい
    敵はタウルスが一体、ファルシタウルスが1体2ユニットと少なめだが、ファルシタウルスは既存のタウルス族の技に加え、最大HPを一定時間ランダムに下げ、更にヒューマンキラーの効果がある「ルイナスサイズ」を使ってくるためかなり厄介。「モータルレイ」のいやらしさも考え、連中を相手にするなら死の宣告などを無効化するフランドールをぶつけよう。
    撃破対象であるタウルスは物理防御が高く、時たま繰り出す蹴りの一撃は破滅的な破壊力を誇る。
    真っ向からやり合うと非常に苦戦するが、鈍足かつ、即死・死の宣告以外の状態異常&魔法への耐性が皆無なのでそこにさえ気が付けば楽にハメられる。

塔の騎士

「ぬぅっ!」
主人公達の猛攻を受け、タウルスが怯む。
一人で真っ向正面から挑むとは相当、己に自信があるのか……。
「素のままの人間がここまで渡り合うとは……!」

 

「……最早、誇りも無用か……!」

 

そう言い捨てるが早いか、タウルスの体に変化が起きた。
簡単に言うと、元々巨大だった体躯が更に巨大化したのだ。

 

『オ・オ・オ・オ……!』

 
 

「……なぁにこれぇ」
チルノが半ば呆れ半分で呟いた。
目の前には、塔そのものと見間違うかのような巨人の騎士が立ちはだかっていた。
『捻リ潰シテクレル……!』
ゆっくりと前進する巨人の騎士。
踏みつぶされてはたまらないと、とんずらで逃げる。

 

「ひ、非常識な……!」
「巨人族でもあんな大きいのいないよ!」
「……なあ、これも聖石ってやつの影響なのか?」
「そうだとしても、限度ってもんがあるでしょ~!?」
「勝てないからってwwww升つかうwwww男の人ってwwwww」
どうする!? あんなデカいの、まともに戦ったら勝てるとは思えんのですが!
「……なんかもう駄目。走り過ぎてヴァルハラが見えてきた」
「ああ、パチュリー! パチュリーが!」

 
 

「……一応、倒す手段はあるよ」
走りながら、フランドールが呟いた。
『本当か!?』
一行の問いにフランドールは首肯で返す。
「まずは、あいつの動きを止める必要があるけど……」

 

「動きを止めればいいんだな!?」
「……走って死ぬくらいなら、迎え撃つ方を選ぶわ」
『何ヲシヨウト無駄ナ事……!』

 
  • VS.塔の騎士
    Tower Knight
    勝利条件:塔の騎士のHPを75%まで削るorスタン、怯みの状態異常を発生させる
    敗北条件:主人公orフランドール・スカーレットの戦闘不能
     
    巨大化したタウルス、塔の騎士との戦闘。
    武器を振り回して薙ぎ払う他、武器からレーザーを発射するなどダイナミックな攻撃を行ってくる。
    HP、攻撃力、防御力、耐性ともに非常に高く、かなり削りにくい。防御無視の攻撃があれば少しは楽になるが。
    一度でもスタン、怯みの状態異常を発動すれば勝利条件をクリアしたことになるが、発生確率はかなり低め。
    HPを25%分削るのも、かなりの難易度の為、どちらをとった場合が簡単かは人に寄る。
     

『グ・オ・オ・オ・オッ!?』

 

塔の騎士がバランスを崩し、膝を地面につけた。
「……見えた! 水の一滴っ!」
フランドールが叫び、そして掌を塔の騎士の方へ突き出す。
その動作に、突然塔の騎士が冷や水を直接注がれたかのように硬直した。
『ヌォッ!?』
全ての物質には「目」という最も緊張している部分があり、それを攻撃することで対象を破壊できる。
そしてフランドールはそれを手元に引き寄せることができた。
「ようやく捕まえたわ、あんたの「目」……!」
必要だったのは「目」を引き寄せるための一瞬の隙。
『キサマ……!?』

 

「きゅっとして……」
フランドールは向けた掌を手元に引き寄せ、空を掴み、握り潰す。

 
 

「ドカン」

 
 

直後に塔の騎士の巨体が、内側から吹き飛んだ。
あらゆるものを破壊する程度の能力。
フランドールが持つ能力が、塔の騎士に炸裂した結果だった。
目の前で起きた結果を目の当たりにした魔理沙がこれ以上ないほど呆れた表情を浮かべる。
「あいつもトンデモないけどさ……お前も大概デタラメだな」
「みんなが隙を作ってくれなかったら、こうはいかなかったわ」
「……そうか。ま、そう言われると悪い気はしない」

 

……ところで、あのアンフィプテレは?
「あいつの膝をつかしている間に、どっか行っちゃったわ」
そうか……。
「星座の騎士もそうだけど、あのアンフィプテレも謎が多いわね……」

 

『もういないのだったな……我らの知っていたお前も』

 

以前に獅子座の騎士が零した言葉が、脳裏によぎる。
あの言葉に込められていた表現しがたい感情は一体何だったのだろうか。

 

ふと思っていると、彼方から怒号の様な叫びが聞こえてきた。
「……咆哮が聞こえなかった?」
一同は首肯。
やがてアットワ地溝の空を羽ばたき、咆哮の正体がこちらへと近づいてきた。
「……げぇっ! ティアマット!
「いかん、ここは奴の縄張りだったか!」
……前に助けてもらったし……襲われない、よね?

 

主人公がそう思うも虚しく。
ティアマットが目の前に降下してきた。
その龍面は、深い皺に刻まれ、鼻息には怒気が溢れている。

 

……もしかして、殺る気満々デス?

 

ティアマットが背を向けた。
ウィルム達における必殺の一撃、スパイクフレイル。
その兆候だった。

 

――!?
聞きを察した一同は反射的に回避動作をとる。が、ティアマットの尾長を見れば回避はまず難しい。
直撃を覚悟する。

 

……が、なにも起こらない。

 

――?
改めて目の前を見ると、ぐるぐる喉を鳴らし、此方に背を向けて、尾を地面へペチペチ叩く渾沌龍の姿があった。
「よくわからないけど……背中に乗れ……って言いたいみたい」

 

思わずずっこけた。

 
 

……ややこしいわっ!

徒歩よりもずっとはやい

ティアマットは人語を介そうとはしない。
サーシャこと三龍の一角ヨルムンガンドも、龍の姿にも関わらず平然と言葉を介していたことから、
かの渾沌龍も可能だと思うのだが、彼女(……でいいのだろうか?)やヴリトラがそれをした姿を見たことはない。

 

ゆえに意思疎通が難しく、そして突然の「背中に乗れ」アッピルに困惑する一同。
それを見たティアマットは「これだから人間は……」とでも言いたそうに面倒くさそうな顔を見せると、
前肢の爪で地面を引っかいて紋様……というよりは絵のようなものを描いた。
地面に書かれた絵はアンフィプテレのようなもの。そしてそれをおいかけるウィルムのようなもの……おそらくティアマット。
「あなたは、あのアンフィプテレを追いかけていたの?」
ティアマットが首肯した。そして渾沌龍は再び爪を走らせる。
それはどこかの建物のようだった。そこへ、アンフィプテレが入り込もうとしている。
「……これってズヴァール城?」
象形文字を彷彿とさせるような絵ではあったが、それはまさしくあの闇の王が潜み、先のザルカバード会戦において攻略した筈の魔城だった。
フランドールの言葉を受けて、ティアマットは再び首肯。
「もしかしてこれを俺達に知らせにきたのか?」
そうなら、ありがたいが……どうして?

 

ティアマットは何も言わない。ただ、尻尾を叩きながら、背を低く見せる。
「いいからさっさと乗れ」
まるで、そう言いたそうに。