イベント/真龍からの問い

Last-modified: 2011-11-16 (水) 21:37:44

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


真龍からの問い

サーシャの謎掛け

ヨルムンガンドの飛び去った方向へと向かっていると、森に囲まれた泉に通りすがった。
……泉の中で見たことのある少女が腰を休めている……サーシャだ。
「おお、主人公ではないか。こんなところで逢うとは奇遇じゃの? む、そちらの女子は……」
「お初に御目にかかります。稗田阿未と申します」

 

その名前を聞いて、サーシャは眉を顰めた。
「稗田……もしや、御阿礼の子か?」
なんとサーシャは御阿礼の子の事を知っていた。
「はい、私で三代目になります。ヨルムンガンド様ですね? 貴女に用があり、馳せ参じました」
「サーシャで良い、真名は好まぬ。しかしあれからもう三代になるか……人の子の生はかくも一瞬のまたたき……
余りにも変わらぬものだから、ついつい阿礼かと思うたぞ。して、わらわに何用じゃ?」

 

阿未はサーシャにここまで来たいきさつを語った。
サーシャ本人はその間黙って聞いていたが、阿未が語り終えると口を開いて
「……つまるところ、お主はわらわに再度湖の鎮護を願う……と?」
「貴女を幻想郷に縛るつもりはございません。私達は貴女と貴女が湖に住んでいた頃の話を聞ければと思ってその翼を追ってきました」
こちらは成り行きだが水を差すわけにもいかないので黙っておくことにする。
「小兵の身で無理をするものじゃ。外界に出奔するほど丈夫な体ではなかろうに」
ころころと笑うとサーシャは両の膝を軽く打った。
「よしきた。話の一つや二つ聞きたければ幾らでも聞かせてやろう。じゃが、その対価にお主は相応の見返りを差し出せるか?」
え、タダじゃないの!?
「ぎぶあんどていくという諺があろう? 仮にも真龍の言霊、ただで済むと思うたら大間違いじゃ」
……むむむ。

 

「困りました……真龍様がお気に召すものなんて手元にあったかしら……?」
二人して困り果てていると
「ふむ……少し意地悪が過ぎたかの。ならば代わりに謎掛けをせぬか?」
謎掛け?
「うむ、今から言う謎の答えをわらわに示せば御阿礼の子の申す通りにしよう。それと何か良い事がある……かもしれぬのじゃ」
なんで推量表現なのさ。
「本当は目の前に持ってくれれば一番じゃが、わらわは優しいから答えるだけで良しとしよう。他の者にも伝えておくのじゃぞ」
「謎掛け…… わかりましたお請けいたしましょう。幼少の際から謎掛けは得意です」
阿未さんはノリノリであった。まぁ、対価云々に比べればずっと有情だろう。
「ふふ、素直でよろしい。ではいくぞ」

 

其はヨロイなれど鎧にあらず、
鉄床(かなとこ)ならぬ硬き寝床を好み、
その内に宿りて、安息を得るもの也

 
 
 
 

・・・・・・

 

「ヨロイなれど、鎧にあらず……鉄床ならぬ硬き寝床を好み……」
その内に宿りて安息を得る……。
「う~ん。一度家に戻って考えた方がよさそうですね……」
「ふむ、ではわらわはもう少しここにおる。その間にじっくり考えると良いじゃろう」

所望するはゲテモノ?

稗田邸の書斎。

 
 

あれからいろいろ頭を捻っては見たが、これだ! という答えは見つからなかった。
「ヨロイ……ヨロイ……土曜日……鉤爪……おーばーふろー……」
……いかん、阿未さんが変な方向へトリップしておられる。
取り敢えず阿未を正気に戻していると、床に落ちていた一冊の書物に目が入った。
床に落ちた書物は乱雑に中身をさらけ出している。その一項が主人公の目に止ったのである。
「その本がどうしました?」

 

……ヨロイ蟲。

 

「えっ」

 

この本のページにヨロイ蟲って虫があるんだが。
床に落ちていた本を指し示す。内容からして昆虫図鑑だろうか。指差す項目には黄色の気色悪い蟲の図解が詳細に記されている。
「ヨロイ蟲……クゥダフの甲羅に寄生する甲虫の一種ですね。釣り餌に使う以外に特に使い道は……」

 

それだ! それだよ、阿未さん!
「……へ?」

 

ヨロイはヨロイでもこの蟲の甲殻は本物の鎧……鋼鉄でできているわけじゃないでしょう?
「確かに、鎧ではありませんが……」
それとこのゲテモノはクゥダフの甲羅の甲羅に寄生するってある!
……鉄床(かなとこ)ならぬ硬き寝床を好む
「! 鍛冶師の鉄床(かなとこ)ではない……強靭な亀甲を寝床とし安楽を得る…… もしかして……!?」

 

こいつが答えかもしれないんだが!?
「条件には当てはまっている……でもあの真龍がこのような奇虫を本当に所望するというのかしら……?」
阿未は納得しつつも躊躇う様な表情を見せたが、首を勢いよく振った。
「い、いいえ! 迷っている余裕はありません!」

 

そして立ち上がるや否や
「八雲さん!」
幻想郷の管理者の名を呼んだ。数秒と待たずに目の前の空間が割れ、八雲紫が姿を現す。
「何か御用かしら?」

 

ヨロイ蟲ください!
「何かと思えば。それくらいお安いご……え?」

 

「以前クゥダフが幻想郷に攻撃を仕掛け、これを撃退した際に、貴女は彼らの甲羅を剥ぎ取りましたね!? その甲羅に未だ居る筈です、ヨロイ蟲が! それを下さい! 大至急!
「え、よ、ヨロイ……え?」

 

早く!
「わ、わかりましたわ! /echo ヨロイ蟲なんてあったかしら……」
気迫に押され、スキマに急いで戻る紫。立場上では阿未よりも彼女の方が上の地位にある筈だが……。

 

「私はヨロイ蟲を奉納する桐の箱を用意します。主人公さんは一足先に彼女の下へ向かってください。私もすぐに追いつきますから!」