イベント/第1楽章「序章」

Last-modified: 2011-11-01 (火) 12:16:54

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。

第一楽章「序章」

出会い

月だけが大地を照らす世界の夜。
宿を見付けることができず、仕方なく野宿の準備を始める主人公。
と、その時だ。

 

突如、爆音と共に東の空の色が変わった。
夜の黒が、不可思議な妖霧の色に染まっている。
何事かと急いで駆けつけた主人公が見たのは、気を失って倒れている少年少女と、何らかの人形の残骸だった……。

 
 

目を覚ました少女はこちらをひどく警戒している様子だった。もっとも、少年の方が警戒心なさすぎなのもあるかもしれないが。
少年はヴァン、少女はリリカと名乗った。
二人はウィンダスで封じられていた宝、『破魔石』なるものを盗み出したため追われていて、人形の残骸はウィンダスで製造されているというカーディアンのものだという。
それにしても、どうして盗みなんて真似を?
そう問いただすと、少女は怨嗟の篭った声で、ではあるが話してくれた。

 

自分の家族は、戦争に巻き込まれて皆いなくなった。
破魔石は、奴らに復讐するための『力』なんだ、と。

 

ヴァンはリリカの言葉に賛同はしなかったが、別段反論も無かった。
復讐は悲しみの連鎖を生むだけですよ、リリカさん!
……と、一応言ってはみたが、鋭く睨まれただけだった。
己の内に憎しみの炎を燃え滾らせるリリカを説得する術を持ってはいなかったのだ。

偶然の引き合わせ

「助けてくれたのには、礼を言うわ。でも、もう会うことはない」
そう言われて、あの二人と別れてからそう時間の経たない内に、新たな出会いが待っていた。
今度の二人は全身鎧の男と、楽器を手にした少女という取り合わせだった。
男はガブラス、少女はメルランと名乗った。
「私はバストゥークの騎士として、他国視察の任を受けている」
「というのは建前で、ノアはホントはバストゥークで煙たがられてるんだよね!」
「メルラン……」
メルランはガブラスによく懐いているが、ガブラスの方はメルランの相手に慣れていない様子だった。
「私はね、いくえ不明の家族を探してるのよ。ルナサとリリカとレイラ。知らない?」
……リリカ?
聞き覚えのある名前だ、というより早く、その声が耳に届く。
「……メルラン姉さん?」
「あ、リリカだ。やっと会えたねー♪」
素直に喜んでリリカに抱きつくメルラン。「よかったなー」なんて暢気にしているヴァン。
状況に対応できたのは、その二人だけだった。