イベント/第3楽章「ロード・オブ・ホープ」

Last-modified: 2011-11-01 (火) 16:58:52

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。

第三楽章「ロード・オブ・ホープ」

旅路を終え、ようやくサンドリアまで行き着いた一行。
人探しはひとまず置いといてまずは休もうと、噴水前の居酒屋にお邪魔することに。
「あ」
「あ」
ばったりと視線を交わした少女……うん、多分彼女は……。
「ルナサ姉さーん!」
「メルラン、リリカ……!」
案の定、生きていたルナサであった。
わき目も振らずに抱きつくメルランとは対照的に、おずおずとリリカが歩み寄る。旅の途中で、ある程度は気持ちの整理もついたらしい。
「ひ、久しぶり、姉さん。元気そうで良かった」
「貴女たちこそ、よく無事で」
折角の感動の再会に水を刺すのはよくないと、ヴァンを引きずって外へ出た。

 

その日はお店の店主、幽々子が親切にも寝床と食事を振舞ってくれた。
とっぷりと日が沈み、居酒屋としてはこれから忙しくなる時間帯。
店先の噴水に腰掛け黄昏ているリリカの元に一行が集っていた。
「……私の耳元で囁いたあの人は幻、声は幻想の音だったんだ……」
「妹さんはホントに死んだんだよな?」
KYここに極まれり。
……三人は助かったのだが、もう一人の姉妹、末っ子のレイラは亡くなってしまったらしい。
「同じことよ。きっと、レイラだって私に復讐なんて望んでない」
メルランはもちろん、ルナサだって戦火に巻きこれたからって誰かを憎んでいるわけではなかった。
同じ境遇にありながら、二人の姉とリリカの対応は全く違っていた。
誰も憎まずにいられた姉たちを羨むと同時に、自分が間違っていたのではという考えも、確かにあった。そもそもリリカの復讐心は姉妹が死んでいたらという仮説の上に成り立っていたものだ。姉たちが生きていて嬉しいのと、生きがいをなくしたようで空しい気持ちが両方あった。
「私……このままじゃ、姉さんと一緒にはいられないよ」
「なら、ケジメ付けにいこう」
ふと、メルランが思いついたように言った。
「ケジメ……?」
「そう、ケジメ。破魔石を返して、ごめんなさいって言おう」
そんな簡単な……。
「オレは賛成だ」
【えっ!?】
「誰かを憎まないと不安定で、自分を保てなかった。でも、今は違う。『仲間』がいる。もう誰かを憎まなくても大丈夫、自分を保てる。だから、これは過去との決別だ」
「過去との決別……」
ヴァンの言葉に反応したのは、リリカだけではない。ガブラスもだ。
「……私も、ウィンダスへ行こう」
「ノア!」
「私は……お前の出す答えを知りたい。それが私のこれからにも影響する気がするのだ」
皆の考えを聞き、リリカはじっくり数分は熟考し……そして、出した答えは。
「……行こう、ウィンダスへ。破魔石を返しに」

 

夜が明ける前に町を出ようと言い出したのはリリカだ。それは姉に迷惑を掛けたくなかったから、ルナサに会えば決意が揺らぐと思ったからなのだが。
「行くのね」
ルナサは当然のように、門の前で待ち伏せていた。
「ルナサ姉さん、私行かなくちゃ……」
「私は、止めに来たんじゃないわ」
ルナサはリリカに歩み寄り、抱き寄せた。
「待ってるから。いつまでも……待ってるから」
「……うん」
「リリカの楽器、幽々子に無理言って、買ってもらうって約束してあるのよ」
「……ありがと」
「また三人で、一緒に演奏しましょう」
「……うん!」
「貴女たちの歩む道が、希望に溢れていますように……」

 

姉に暖かい応援を受け、来たときとは違って、リリカは笑顔で旅立っていった。
目指すは、ウィンダス。