イベント/第5楽章「ロード・オブ・ホープ~リフレイン」

Last-modified: 2015-07-17 (金) 03:43:01

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。

第5楽章「ロード・オブ・ホープ~リフレイン」

覇王の遺跡。
はじめ復讐を志して旅に出た少女にとっての決戦の地が、ここだ。
処刑立会人ゴルベーザの案内で辿り着いたそこは、なるほどどの国の技術とも異なる作りだった。
周囲は常に妖霧が立ち込め、近づくだけで頭痛がする。言われた通り、一切の魔法を封じ込められてしまった。
それでも一行は、決意の眼差しのまま遺跡の奥へ踏み入るのだった。

 

「ここで行き止まりみたいだな」

 

ヴァンが呟くとおり、長い探索の末広い空間に出た。
そこは特に妖霧が濃く、空間の奥には剣らしきものが見えるだけで何も無かった。

 

「よくぞここまで辿り着いた、人間たちよ」

 

突如、声とともに空中に紋章が浮かび上がり、かと思いきやそこから巨大な異形が姿を現す。

 

「私は『完全暗黒物質』ゼロムス。この遺跡の守護者にして、断罪を司るもの」

 

ゼロムスと名乗った、言葉では形容しがたい異形の怪物が立ちはだかる。

 

「破魔石か……それを破壊しにきたのか?
 ここに封じられている覇王の剣を使えば可能だが……」

 

ゼロムスは、リリカが手にしている破魔石を見て問うた。
覇王の剣……奥に飾ってある、あの剣のことだろうか。

 

「人間たちよ、そなたらは復讐を誓いに道を歩んできたものだ」

 

まるで今までの旅路を全て見てきたかのようなゼロムスの言葉に、リリカたちは黙っていた。否定できなかったからだ。

 

「ならば何故、復讐のために手に入れた『力』を、自ら手放そうとする?
 無念の死を迎えた哀れな命を、無下にする気か?」
「ゼロムス、それは違うよ」

 

口を開いたのはメルラン。

 

「死んじゃった人の気持ちは、もう動かないんだよ。何があっても、何をしても」
「だから、忘れるのか?非情だとは思わぬのか?死んでいった者共のためを思えばこそ……」
「違う!何も変わらないんだ。兄さんの恨みなんか晴れない……兄さんはもう、いないんだ!」

 

ヴァンも珍しく激昂した様子で声を張り上げる。

 

「憎しみの連鎖を断ち切ることが出来る者がいるとすれば、それは真の勇気の持ち主だ。
 私は、勇気ある者を失わせたくはない」
「復讐の果てに待つもの……復讐が正しいことなのか、間違っているのか。私はそれを確かめたいだけだ」

 

さらにゴルベーザ、ガブラスが続き、そしてリリカが、真剣に言葉を選んで、やっと紡ぎだす。

 

「どれだけ強い『力』があったって、過去を変えることは出来ない。
 ……もしかしたら、死者の声を聞いたり、蘇らせることの出来る人はいるかもしれないけど、私たちにはそんな『力』はない」
「…………」
「過去っていうのは、いつまでも影のように付いてきて今の私たちを苦しめる。
 でも、過去に置いてきたものは、現在にはならない。
 過去の時間のまま止まっちゃうんだ。
 だから、現在に生きる私たちには、過去を変える術なんてないんだよ」
「だが……力無き者に未来は無い」

 

リリカの言葉を聴いていたゼロムスは、おもむろに殺気を醸し出す。

 

「分かってる。貴方には、私たちの決意と覚悟をぶつけなくちゃいけない。
 過去を断ち切るだけの力を持ってるってことを証明する!
 過去という名の鎖を断ち切り、自由を得るために!」

 
  • vs.断罪の暴君ゼロムス
    自由への戦い
    味方はリリカ、ヴァン、メルラン、ガブラス、ゴルベーザの5名。
    リリカはハンディボムで範囲攻撃できる貴重なユニット。雑魚狩りでは頼りになる。
    ヴァンはステータスは凡庸だが移動力が高く、切り込み役に最適。
    メルランは行動の終了した味方を再度行動可能な状態にすることが出来る。リリカ共々後方に下げておこう。
    ガブラスは味方でズバ抜けた攻撃力を持つ。戦力の中心となるだろう。
    ゴルベーザは特殊空間のせいで得意の魔法が使えないのが残念だが、防御力は随一で、レベルが高いので肉弾戦でも何とかなる。
    敵方はゼロムスにコース族のパワー・オブ・パワー、パワー・オブ・マナの2体、そしてスケルトン族のダークロードが12体の計15体。
    まずは防御力の低いリリカやメルランが狙われないよう、前衛で壁を押し上げるように前進する。
    ダークロードはまともに戦って負ける相手ではないが、数が多いので一度に複数相手取るとさすがに厳しい。範囲攻撃できるリリカが重宝するだろう。
    2体のコース族はレベルが若干高いものの、ここで苦戦するようではゼロムスには挑めない。
    ゼロムスはグラビガ→通常攻撃というパターンで攻撃するが、たまにビックバンという範囲攻撃を行ってくる。
    白魔法が使えないので事前に回復アイテムは可能な限り持ち込んでおいて、ビックバンを使われたら建て直しに専念し、普段はグラビガを受けた味方だけ回復させるようにしよう。短期決戦を挑まないと回復アイテムで懐も痛くなるので、最も攻撃力の高いガブラスをメルランで再度行動させるのが基本戦法。

「これが……過去を断ち切る力か。
 よかろう、覇王の剣を手に取り、破魔石を砕くがいい」

 

そう声が聞こえている間にも、ゼロムスの体が霧散していた。
言われたとおり、リリカは奥に飾られた覇王の剣を手に取る。少々重かったが、なんてことは無い。
破魔石を地面に置き、振りかぶって、剣を降ろす。
破魔石は、驚くほどあっさりと真っ二つになった。魔力が暴走を起こす気配も無い。
ヴァンがガブラスに訊いた。

 

「……終わったのか?」
「終わりだな」
「っぷは~!」

 

二人の言葉を聞くと、緊張の糸が切れたのか、リリカがその場でへたり込んでしまった。
メルランは座り込んで、妹の顔を覗きこんだ。
リリカは不安げに、自分を見つめる姉の顔を見た。幸せそうな、悩み事なんて何もないであろう、底抜けに明るい表情だった。
姉はこれがいつも通りなのだが、リリカはそのいつも通りに、心底安心した。

 

「私、これでルナサ姉さんに顔向けできるかな?」
「当たり前じゃない。さぁ、帰りましょう?」

 

一行が遺跡を出ると、いつの間にか妖霧が晴れていた。
リリカには、それがまるで自分の心を表しているかのように思えて、言いようのない気持ちになった。
嬉しい、とは言えない。心の何処かで虚しく思っている自分がいた。
しかし……今まであった後ろめたい気持ちは、綺麗さっぱり消えていた。
嬉しいとは言えない。でも、これで良かったとは断言できる。
何故なら、もう、リリカ自身が生み出した幻想の音は、全く聞こえないからだ。ここにいる、確かに触れる仲間たちが励ましてくれるからだ。サンドリアへ帰れば、幻想ではない、現実の姉が待っているからだ。
リリカの心を写すかのような青空には今、空虚な妖霧が風で流されて溶けていった。


  • イベントクリア後の影響
    リリカとメルランはルナサの待つサンドリアへ行き、姉の恋路を茶化しながら応援している。
    ヴァンとガブラスはバストゥークへ、ゴルベーザはウィンダスへ帰還する。
    以後、ゴルベーザ以外の面子は自由にPTに誘うことが出来る。