イベント/蜘蛛の糸

Last-modified: 2012-01-16 (月) 08:35:51

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


蜘蛛の糸

反撃の糸口

「ひとまず、これからの方針は決まったわけね。満場一致で」
「ルルサスは、本当に恐ろしい相手なんだよ?分かってる?」
カーバンクルは未だに無謀だ、と止めようとするが、耳を貸すものは残念ながら居なかった。
「待って欲しいでござる。まだ聞きとうことが残ってござった」
主に、どうやってルルサスをとっちめようか、という話題で盛り上がるギャラリーを止めて、ゲッショーがカーバンクルに次なる疑問を投げかける。

 

「るるさす、とやらは、一度倒しても再び立ち上がる不死身の如き相手でござった。……如何様にして、これを仕留める手段は無いものでござろうか?」
倒せない相手は倒せない。笑ってしまうくらい当然だ。何か、奴らに致命傷を与える手段は無いものだろうか?
「ルルサスは不死の軍勢……普通の方法では一体だって倒せやしない。だけど、その点については、もうヒントは出てるんじゃないかな?」
カーバンクルは思わせぶりにレミリアを見た。
「……不死だろうと関係ない殺し方を思いついた」
そう、ヒントはレミリア自身。なんたって、不死の彼女が、その方法で殺されたのだ。それと同じ手段を使えば、不死の相手だろうと仕留めることは可能なはずだ。つまり。

 

「連中の生命の根源【アートマ】を断てばいい」

 

「でも、それは物凄く異端な行為、なんですよね?そんなことが出来る人がそう都合よく……」
「あの~……」
おそるおそる、といった様子でヒナが手を上げていた。
……いましたね、そんな都合の良い人?が。

 

「生きている相手からは、致死量のアートマは抽出できないよう、セーフティといか、リミッターというか、そんなものが仕掛けられているの。死に近付くほど、その限界は解除されていくのだけれど」
「要するに、私らがあいつらを弱らせて、その隙になら、あんたもアートマを抜き取れるってわけね」

 

「だが、向こうからの攻撃はどうする?俺たちだって、同じ危険を冒さなくちゃならないわけだろう?多勢に無勢、不利が過ぎるんじゃないか?」
フリオニールの言うことも最もだ。こちらはヒナにしか出来ないことを、向こうは全員でやってくるわけなのだし。
「多勢に無勢はどうしようもないけど……手が無いわけじゃないよ」
「ほう?早く言うべきそうすべき」
「ルルサスの攻撃は、まず肉体に僅かな傷を付け、そこからアートマを直接破壊する……つまり、二段仕立てなんだ。攻撃を受けても、一撃なら問題ない。どんなに小さな傷でもすぐに治せば、アートマを直接狙われることは無いんだ」
「ナイト様の出番ってわけね?」
「思考のナイトが居る限り誰一人アんとマは壊させにい!」
「頼もしい限りで」

 

ルルサスとの戦法も確立できたようだ。着々と反撃の糸口が揃いつつある。

 

「問題は、審判者本体だね……」
「訊くまでもないかも知れねえけどよ、やっぱり、そいつも強いんだろ?」
「そりゃあね。霊獣たちが全力を以ってしても封印が限界だった相手なんだから」
ルルサスとの戦い方は分かった。だが、審判者本体の情報は少ない。ルルサスの戦士に出来ることは、恐らく審判者にも可能だとは、考えておいた方がいいだろうが……。

 

「戦う準備が出来たら、またおいで。万魔殿まで連れて行くよ。それまでは、キミたちの世界に帰るといい。ひょっとしたら、二度も帰れないかもしれないんだからね……」

蜘蛛の糸のような勝機でも

数日後……。
各々の準備を済ませ、再びカーバンクルの元を訪れた一同。

 

「ランペール王が聖剣……は使えないので、代わりに聖剣の鞘を貸し出してくれました。これを持っている限り傷つくことがないとか」
「プレジデントから支給品だ。リレイザー……突入前に飲んでおけよ」
「聖皇さまから許可が下りた。こっちのハイリレイザーも持って行って」
「星の神子さまが、変な模様の入った石を持たされたわ。何の役に立つのか知らないけど、無下には出来ないし」
「大公は蘇生の髪飾りを貸し出してくれたわ。忘れず恩恵を預かっていって」
「姫様がくれた品物にござるが……とても強力な薬のようでござる」

 

全国各地から貴重なアイテムのオンパレードである。それだけ危険な作戦だということを理解してくれた、ということだろうが……。まさか、国の重要人物をこんな場所に呼び出すわけにはいかないし。
「ランペール王は行きたがってた感」
「プレジデントも来たがってたわね」
「私がシャントット卿にばれないようにするのにどれだけ苦労したか……」
……もっと自分の身体と自分の国を大事にするべきだ、お偉いさん方は。

 
 
 

「来てくれたんだね……。あのまま何もかも忘れて、元の生活に戻ったとしても、良かったのに」
カーバンクルは、嬉しそうな、悲しそうな、とっても微妙そうな表情だった。人間たち(と一部人外)を死地に送り込もうとして、その責任を感じているのだろうが……。
「おいおい(苦笑)お前ら今の聞こえたか?」

 

「聞こえてない」
「何か言ったの?」
「俺のログにはなにもないな」

 

「ほらこんなもん。一発ぶん殴っておかないと気が済まないでしょう?」
「キミたち……そうだね。戦うために来たキミたちに、今のボクの言葉は、失礼だったね」

 

「それじゃあ……」
カーバンクルは、額の紅い宝石を輝かせた。
「……来て……」

 
 
 

カーバンクルの呼び掛けの応えは、すぐに来た。

 
 
 
 
 

「我が眷属よ!愛すべき世界よ!時は来た!戦うべき時が……!!」

 
 
 

その場に現れたのは、偉大にして雄大なる翼をはためかせる、真龍の王……。

 

「バハムート!?」

 

生態系の頂点に立つ竜、その中でも王と呼ばれる、霊獣の一柱。
空の覇者バハムート。

 

また、彼はルルサス軍との戦いに向けて、自身の眷属たちも引き連れていた。
すなわち。

 

「まら会うたの、主人公」
サーシャ!?
「……ひょっとしなくても、三龍、か?」
サーシャことヨルムンガンド、ヴリトラ、ティアマット。
一体で国を震撼させるに足る龍が、この場に勢揃いしていた。
「会戦のとき以来か」
「味方だと分かっていても怖い連中だけどな」
「だけど、三龍を従えさせている、あの竜人は……?」
ここにきて、頼もしいなんてもんじゃない助っ人が来てくれたものだ。

 

「人の子よ……いま一度問おう。今から我らが赴くは、神々の闘争。人の身で耐え得るものだという保証はどこにもない。それでも……我らと共に、剣を手に取り、ルルサスと戦うのだと、口にすることが出来るのか?」
返事は、とうに決まっていた。