イベント/邪仙

Last-modified: 2011-11-20 (日) 09:04:18

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


邪仙

鎌もたげる死神

目覚めたのは、永遠亭だった。
ここは病院としての機能もあったのを思い出した。

 

「ああ、起きましたか……」
心配そうに主人公の顔を覗き込む麟。
立ち上がって軽く運動し、健全をアッピルしてみせると、安心したように胸を撫で下ろした。

 

「実は、主人公殿が寝ている間に、拙者や陛下、永麟殿に紫殿、妹紅殿、青娥殿で話し合いをしていたのでござる」
そして、その話し合いで出た結論とは。

 

神を名乗った人型は、霊獣・麒麟である可能性が高いこと

 

……まぁじでぇ?
「ありえない事態だとは思います。麒麟とは本来、虫一匹殺せないような慈悲深い霊獣ですから。ですが……仙術と陰陽術を融合させた妖術、それに四神を従わせることの出来る存在なんて、そうでもなければ考えられないことなのも理解できます」
麟も沈痛な面持ちで告げた。
「私の名も、その麒麟にあやかって名付けられたものですから……」

 

「戻ってきたら、この有様だ。信じたくはないが……」
蓬莱山から戻ってきていた妹紅も苛立っている様子だった。
「鳳凰から聞いた情報を統合しても、麒麟が堕落したのは本当らしいな」
「堕落……」

 

「でも、凄いことだとは思いませんか?」
セーガ?どういうこと?
「仙術と陰陽術を掛け合わせた独自の妖術、四神を従わせる力……素晴らしいじゃないですか」
「……本気で言ってるのか?」
空気を弁えないセーガの言葉に、苛立った様子の妹紅が睨む。
「あら、ごめんなさい。でも、感じたことをそのまま言葉にしただけですよ」
「その素晴らしい力の持ち主は、私たちの敵なんだぞ。分かってるのか?」
「分かってますよぅー」
にこやかに笑うセーガを、妹紅はいつまでも睨みつけていた。

 
 
 

あの人型が本当に麒麟かどうかは確証がない。
だが、実際にこの国に四神を従えさせ死者の軍勢を形成しようとしている者が居ることは疑いようがない。
麟とゲッショー、主人公は妹紅、セーガと合流して引き続き死者の軍勢と四神の調査に戻ることになった。
町の外でヨシカとも合流して、一行は町を発つ。妹紅が鳳凰から聞いた情報によれば、白虎がよく出没する地点も判明したようだ。ひとまずはそこに向かうことに。

 

そういえば、妹紅は前回は永遠亭には来なかったけど、なんでだっけ?
「……何でもいいだろう」
ふーん?

 
 

目的地に向かう途中で、早速死霊たちに絡まれてしまった。
「あまり面倒をかけないで欲しいな……」
各々が武器を構えた時、ぶわっとめくり上げるような突風が吹いた。

 

「来おったな……貴様らが玄武と青竜を倒したという人間どもか。貴様らが来ることはとうに知っておったわ」

 

白い毛皮の四神……白虎
「ふん。そっちから出向いてくれるとはな。手間が省けたってものよ」

 

妹紅が強めの炎を放つが、それは飛び出してきた死霊に当たって弾けた。
「ちっ……」
気付けば、周囲を死霊の軍勢に囲まれている。
ゲッショーが突破口を開こうと一群に向かおうとしたが、それを横から飛びかかってきた亡霊兵士に推し留められる。麟がバニシュの詠唱をしても、的確に死霊たちはそれを中断させる。

 

「なに……妙に死霊の動きがいい?」
「これは、統率された兵士の動きにござる」
死霊たちが軍を成すのは、それを率いる者がいるからというのは分かっていた。
だが……今回は今までも違いすぎる。

 
 

「ふん……人間の道士か。いかほどなものかと思っていたが……褒めてやろう」
「ありがとうございます」

 
 

……え?

 

あの、セーガさん。

 

なんで、白虎の隣になんか立っていらっしゃるのですか?

 

「それはもちろん、私がこっち側の人間だからです」
「なんだと!?」
「……青娥」

 

あまりに突然の展開に、ヨシカですら唖然としていた。
「待って……待ってください。どういうことですか?青娥さんは私たちの味方で……」
「はい、ついさっきまでは」
「……ちょっと私、ついていけてないんですけど」
安心しろ、麟。俺もだ。

 

「……いつからだ?」
「妹紅さんが蓬莱山へ向かっていた間です」
確か、その時のセーガは死者の軍勢の相手をするって言って……しばらく会っていなかったが、まさかその間に?

 

よ、ヨシカさん!そこんところどうなんでうs!?
「え……?えっと……」
「そいつじゃ話にならん!どういうことだ、青娥!何で裏切りなんて!」
「私は……強い者が好きなんです」
「……そんな理由でか!?」
いつもクールな妹紅が珍しく声を荒げて抗議する。それはそうだ、頭が痛くなる展開だ。

 

「さあ、白虎様。あとは死霊たちに任せましょう」
「ふん……」
白虎は四神が現れる時と同様に、一瞬で姿をくらます。……セーガと共に。

 

「……正直混乱しているのでござるが。拙者だけでござろうか?」
「私も主人公さんも同じです……ですが」
今も死者の軍勢は武器を構えて囲んでいるままだ。
「とにかく、この包囲網を脱しないことには!」

 

ヨシカ!
「は、hai!」
お前はどっちの味方だ?
「……悪い奴が私の敵。だから、悪くない方が味方……」
ヨシカはたどたどしく喋りながら、亡霊兵士に向けて構えた。
よし……いやぜんえzんよくはないが、まずは状況を打破しないと!

  • 大規模戦闘
    勝利条件:敵の全滅、または目的地に到達
    敗北条件:味方が一人でも戦闘不能になる
     
    麟、ゲッショーに妹紅、ヨシカを加えた4名が味方。
    敵の亡霊兵士たちは以前戦ったものより思考レベルが改善されている。目的地に行けば勝利だが、亡霊たちはその行軍を見逃してはくれないだろう。
    幸い、味方は皆頼りになるステータスなので、正面から戦った方が楽に済むかもしれない。

烈士の導き

なんとか亡霊の包囲網から逃げ延び、永遠亭まで帰還した一同。
永淋に事情を説明し、対策を仰ぐ。

 

「……芳香。青娥の烈士である貴方なら、青娥の足取りを追うことが出来るんじゃないかしら?」
「……出来るぞ。私を動かす霊力は、青娥から供給されるものだから……」

 

なんか、それっておかしくないか?裏切りのタイミングだけでも不可解なのに、自分の後を追うことが出来る烈士を置いていくだなんて……。
「何だっていい。芳香の霊力が途切れる前に、あいつを追うべきだ」
妹紅の意見に、皆が賛同する。
「何か不可解な点があるとは思います。でも、これはもしかしたらチャンスでもあるかもしれませんよ」
チャンス?
「神の一味の拠点を暴くことが出来るかもしれません」
「ふうむ……話が読めてきたかも知れ申さぬ」
そ、そうなの?俺はさっぱりだが……。とにかく、セーガの足取りを追えばいいんだな?

 

「ところで、欠員が出てしまったでしょう?彼を連れて行くといいわ」
永淋に連れてこられたのは、カイエンだった。
「玄武と戦ったときのことを覚えてござるか?あの時は緊急を要する事態だった故、あとるがんの兵と共闘したのござるが……その時から兵士の戦意は削がれてござる」
「たった一度でも肩を並べた相手とは戦いづらいものです……」
「あとるがんの側でもそれは同じ様子。今や戦場に残っている者は少のうござるよ。そこで拙者、巷を騒がす死者の軍勢との戦いを望んだ次第でござる」

 

カイエンを仲間に加え、ヨシカに導かれ、再び旅立つ。

白い毛皮の歯牙持つ者

ヨシカに導かれるまま歩みを進める一行。
やがて辿り着く、白虎の元。

 

「して……これはどういう余興だ?人間……」
どうやって自分たちを追ってきたのか、すぐに理解できた白虎が隣に立つセーガを睨みつける。
セーガは、クスリとも笑わなかった。
「……いいだろう。ならば」

 
 

「「お前はもう用済みだ」」

 
 

「……何?」
声を発したのは白虎とセーガ。
だが、驚いたのは白虎だけ。

 

「芳香!」
「……呼んだー?」
セーガの令に俊敏に反応し、烈士が四神に飛び掛かり、白虎はそれを跳ね除ける。

 

「貴様……?どういうつもりだ」
「白虎様……貴方は、本当に強いけれど……騙し合いは苦手そうでしたから」

 

白虎を包み込むように大きな炎の柱が襲う。
「ぬぅ!?」
素早く飛び退いてダメージを回避する。

 

「まぁ、こういうわけだ。悪いな」
セーガの傍には、既に妹紅やヨシカ、ゲッショーが庇うように立っていた。

 
 

えーと、俺まだ状況を飲み込めていないんですが。
「たまには、流れに身を任せるのもいいかもしれませんよ」
「拙者にも説明が欲しいでござる……」
「後でくれてやる。今は構えろ、こいつを仕留めるぞ」

 

「……オレは白虎。誇り高き四神が一。貴様ら人間なぞ、歯牙の間に置くにも足らぬ。……だが、光栄に思え。今は余興に戯れてやろう」
「残念でした。貴方よりも私の仲間の方がずっと強いもん」

  • vs.白虎
    邪仙の飽くなき野望
    勝利条件:白虎の撃破
    敗北条件:主人公、またはセーガの戦闘不能
     
    白虎の他、8ユニットの亡霊兵士との戦い。
    白虎は白い外見だけに白魔法を得意とする。また、回避率が高い上に攻撃力も高め。
    ただし防御力は並以下。命中率の高い攻撃を中心に攻め立てていこう。

「ほぅ……人間にもかのような気骨を持った者がおったか!」
「お別れですね」
「くくく……青娥、と言ったか?その名、忘れようにも忘れぬわ……」

 

白虎が倒れ、ようやく一段落といった所でセーガを問いただす。

 

ちょっとセーガさん?分かるように説明頂けませんかねぇ?説明が不足している不具合があるんだが……。
「一言でまとめると、二重間者ってところですかね」
二重……?二重スパイ?
「青娥は、連中の内部情報を知るために潜り込ませていた間者だったんだ」
そう言ったのは妹紅。……セーガが裏切った(と見せかけた)時、一番怒ってたように見えたけど、あれは……。
「敵を騙す時は味方から……って言うだろ?」
「ひどいですよ……本気で心配したんですよ」

 

「青娥、やっぱり悪い人じゃなかった」
「芳香にも黙っててごめんね。でも、貴方ならちゃんと私を見つけてくれるって信じていたわ」
「へへへ……」

 

「……して、死者の軍勢の情報は手に入れたのでござるか?」
「ええ、神と名乗った者の拠点が分かりました」
「其は、一体どこに?」

 

「根の国の逆さ五重塔」

 

hai?
「根の国の逆さ五重塔。そこが、彼らの拠点です」