イベント/闇からの呼び声

Last-modified: 2012-02-11 (土) 00:29:50

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


闇からの呼び声

特定のイベントクリアから一定期間経過後に受領可能。

受領可能になってから1ヶ月以内に受領しなかった場合、闇の王は倒され、イベントは自動的に解決の方向へ向かう。
その場合、レミリア・フラン・ミスリル銃士隊面々といった一部のキャラが一週間程度PTに誘えなくなる。

大国からの集い手

未だ激戦の傷痕濃いジュノ大公国。
主人公は所属or懇意にしている国から「ジュノで大きな会議があるから参加(要約)」と言われ、今、正にその地に足を踏み入れていた。
……ある程度名が知られるようになったとはいえ、自分のようなザ・末端がよく参加できたものである。

 

「あ、主人公だ」

 

随時と高い位置にやってきたものだと物思いに耽っていると、横から声をかけられた。
声の主は……レミリアか!

 

「私だけじゃない、ブロントさんやフランも来てるわ。
ジュノのあちこちを回ってたら知らない場所に来ちゃって、そしたら貴方とばったり遭遇」
……迷ったんだな。
「仕方ないじゃない、ジュノは初めてなんだから」

 

よく見ればジュノ以外でも見知っている顔がちらほら……。
参加者って要人だけじゃないのか?
「貴方はともかく、一般ピープルの私が参加できてる時点でねー……。
まぁ進行は御偉い方、それ以外は傍聴役、会議の内容の証明云々……ってとこみたい。
参加してる国も大概ね。アルタナ四国だけじゃない、アトルガンやひんがしの国、幻想郷。ネ・ジツ大陸の大国が揃い踏み。
ま、そこら辺はパチェからの受け売りなんだけど」
……とんでもない規模だな。

 

驚嘆している主人公を余所にそれよりも、とレミリアが零す。
「なんか、ウィンダスの大魔元帥とやらから私とフランが直々に指名来たみたいでさ。
……なんで私やフランに指名くるのかしら。
もしかして射撃訓練の的役的な何か?」
……さぁ。

踊る会議の大魔元帥

ジュノ大公国・オーロラ宮殿。

 

そこに主人公は居た。室内にはアルタナ四国どころか、それを含めた七つの大国の錚々たる顔ぶれが集い、部屋中にただならぬ気迫が漂わせていた。
集まった連中の顔ぶれに思わずほんの僅かにビビる。

 
 

やがて会議が始まった。 情報交換から重要な内容まで、様々な情報が場を飛び交う。
……流石に温泉旅館の宣伝が出て来た時はあちこちから苦笑いが漏れだしたが。

 

と、滞りなく進む会議だったが、とある議題を境に空気が一変した。

 

「闇の王について」だ。
獣人を率い、ますますその勢いを増す闇の勢力。その勢力を率いる首魁…闇の王。
数十年前に突如現れ、大陸中に散逸していた闇の血族を率い、血と殺戮で染め上げようとする邪悪なる魔王、ネ・ジツ大陸の国家にとって最大の敵。

 

そのことについて、ウィンダスの大魔元帥から話があるらしい。
長い間ウィンダスを離れていた大魔元帥。
彼は長らくの間、敵地であるザルカバードに潜伏、彼らの動向を探っていたと言うのだ。
その大魔元帥の帰還と報告。

 

……それは連中が本格的に行動を起こす予兆を感じさせられた。

 

やがて一人のタルタルが席から立った。
「お初の方がほとんどだと思いましゅので……初めまして、大魔元帥でしゅ(´・ω・`)」
……獣様である。
(え……えーっ!? え、……え!? け、獣様!?)
近くの傍聴席で知り合い(多分フラン)の押し殺した驚愕の声が聞えるが、気にしている余裕はないと思う。

 

そう思っていると、獣様がこちらにむけて小さく、本当に小さく手を振った。
意識して注意しなければ気付かないその素ぶりに、こちらも小さく返す。
やがて獣様の口から報告が始まった。
「良い情報と悪い情報がありましゅが……先に良い方を報告しましゅ(`・ω・´)」
険しい地形のため、こちらの進軍を大きく阻むザルカバードであるが、大魔元帥の調査の結果、ウルガラン山脈一角にあるほら穴から通り、ズヴァール城の外郭付近へと侵入できるというのだ。

 

「大隊は不可能でも、100人程度の中隊なら分隊で背後からの侵入が可能でしゅ(´・ω・`)」
……敵地への侵入経路の目処は立ったみたいだが、やはり少数精鋭は免れないか。
「そして悪い情報になりましゅ。……ズヴァール城方面に、各獣人の首魁が集結している模様でしゅ(`・ω・´)」

 

 

「目撃した限りではクゥダフの『金剛王ザ・ダ』とヤグードの『現人神ヅェー・シシュ』の、自身の軍団を引き連れた姿がありましゅた。
……確認はできせんでしゅたが、おそらくはオークの総大将『バックゴデック』もあの魔城に集結したかと思われましゅ(`・ω・´)」

 

この局面にきての敵軍の集結。
トップ同士の会談ならまだしも、各勢力の軍勢が総集結ときた。
……それが意味するところは……。
主人公がそう思う前に、獣様の単刀直入な言葉が会場に響き渡る。
「……近いうちに、獣人血盟軍による一斉攻撃が開始されると思われましゅ(`・ω・´;)」

 

……おそらくその時は刻一刻と近づいている。
獣人達は持てる総力で潰しにかかるだろう。それも、ジュノ攻防戦とは比べ物にならない程の規模で。
事実ならばどうしようない窮地だ。
しかし逆に考えれば、敵も全ての軍力を注いでいる筈。
仮にこれを破れば、敵ももう後がない。

 

「ジュノ攻防戦にて、生半可な軍力では此方を仕留め切れぬと考えたか」
「ならば……」
ランペールが呟き、プレジデントが重々しく呟く。

 

「……此方も全ての力をぶつけるだけ、でしゅ(`・ω・´)」

 

各国……アルタナ四国だけではない、アトルガン皇国、ひんがしの国、幻想郷。
ネ・ジツ大陸の七つの国家の力を合わせ、獣人血盟軍と相対する。
それが悪報に対する獣様……大魔元帥の解だった。

 

「遺恨は少なからずありましゅ。
ウィンダスがよく思わない人達から『魔都』と揶揄されるように、戦乱の時代に一悶着ありましゅた(´・ω・`)」
戦乱の時代は一度過ぎ去った。されど戦いによって生まれた禍根自体は今も残っている。
しかしそれを一旦彼方に追いやり、相対しなければ破れない敵がまさに目の前に迫っている。

 

闇の王。
獣人血盟軍。

 

これらを倒し、明日を得るために。
「……どうか皆しゃんの力を貸してくだしゃい(`・ω・´)」

 

頭を下げた獣様を見て、最初に反応したのはコイシ……いや、ナシュメラだった。
ナシュメラは全体に向け、緊張感気味に言葉を紡ぐ。
「アトルガンは未だ国内の蛮族との抗争が続き、国情は安定しておりません。兵を割けば、その分危機も増すでしょう。
ですが……」
そう言ってナシュメラは主人公の方にチラリと一瞬だけ視線を見せた。
「我が国で起きた機関巨人の騒動で、皆様には多大な迷惑を、そして事態の収拾に尽力して頂きました。
……今こそ、受けた恩を返すべき時と考えます。
何より、今のジュノの痛ましい姿を、他人事のように考えてはいけない。
この悲劇が次はわらわ達の国に訪れてもおかしくはない状態にあります。
皆平等に危機が迫っているこの状況でただ指を咥える事をわらわは由しとはできません」
ですから、とナシュメラは一旦言葉を区切り、
「わらわは……アトルガン皇国は、来たる獣人血盟軍との相対に対し、最大限の支援を約束致します」

 

「全てに危機が迫っている、ね」
ナシュメラの宣言に、彼女の隣に座っていた男性……
輝夜姫より国の軍事を任せられた乙女の心を持つ漢、上杉謙信もとい謙☆信が続く。
その謙☆信が何故かナシュメラ同様にこっちを見てきた。
……怖気と一緒に、いい加減周りからの視線が痛くなってくる。
それはまぁさて置き、
「だったら、ウチも協力しない理由はないわね。
こっちも色々ゴタゴタがあったけど、最近になってようやく落ち着いたから大分開放的な感じだし?
と言うワケで、獣人血盟軍との会戦、ひんがしの国も微力ながらお手伝いさせて貰うわ。
輝夜ちゃんもあっちでオッケーサイン送ってるしね♪」
そういって向けられた両の一指し指の先を辿ると……

 

マジだー!? 傍聴席に疲れ果てた永琳さんと一緒にいるし!
……もっとも狐("きいたん"というらしい)のお面被ってるから顔は見えないのだが。

 

そして最後。
幻想郷の代表である八雲紫は、
「そう、ですね……」

 

「思う所は、私もナシュメラ様や謙、信…「美代子でいいわよー」…………美代子様同様です。
獣人達を従える、闇の王という存在を放っておくワケにはいきませんわ。
ただ、幻想郷に軍隊といった大仰なものはないのですが……
…………最近暇を持て余している博麗の巫女や妖怪辺りに口説いて、彼らを派遣してみます。
巫女に関してはネ・ジツ大陸全体を巻き込む異変と納得してくれれば良いのだけど」

 

闇の王に対する議題がまとまり、そして会議は一旦幕を閉じた。

 

アルタナ四国以外の三国から協力態勢を引き出す事ができた。
ならば、後に控えるのは獣人血盟軍との決戦のみ。
地理的に最も北の地に近しいサンドリア方面。そこに各国の精鋭を送り出し、迎撃部隊を編成する。
大魔元帥の見立てでは、あと一ヶ月もない内に攻撃が開始されるだろうとのことだった。
……残された時間は少なく、決戦への刻限は確実に迫っている。

英霊の影

……と締め括ったはいいが、まだ話は終わっていなかった。
大魔元帥……獣様に呼ばれたのだ。

 

主人公が呼ばれたのは先程、会議に使われていた一室。
再び辿り着いた先には獣様、レミリア、フラン、バストゥーク大統領にミスリル銃士隊の面々の姿があった。
レミリアは「フランと共に大魔元帥から指名を受けた」と述べていたが……その理由はこのためか。
しかし、場に集った面々は一様に深刻な表情をしている。

 

「(´・ω・`)」
主人公の姿を認めた獣様が一本の両手剣を主人公に差し出した。
状態が悪く、古びてしまったそれは、
「……主人公しゃんは、この両手剣に見覚えがありましゅね?(´・ω・`)」
……覚えている。フランと共に北の地の峡谷を渡っている途中に見掛けたものだった。
しかし何故獣様がそれを持っているのかと疑問が浮かぶが否定する。
北の地から帰還する際に見付け、入手したのだろう。
そう疑問を己で結論付けるた主人公は両手剣に目を通し、息を呑んだ。

 

その先には両手剣の刃に刻まれた文字がある。
最初に見掛けた時には劣化で途切れていた文字は回収の際に研磨されたのか状態が改善しており、一つの名前を浮かび表していた。

 

Raogrimm

 

即ち、ラオグリムと。

 

両手剣に刻まれた名はバストゥークの英雄のものだった。
聞いた話では、数十年前に死んだとされ、その遺体の行方も分からないラオグリムの。

 

バストゥークの面々がこの場にいるのはわかる。行方不明になった者の遺品が見つかったのだ。
北の地に赴いた自分とフランも関係はある。状況検分の材料としては必要だろう。
しかし……何故この場にレミリアがいるのだ?

 

「……その剣の持ち主とやらが、私達の父親と関係があるんだとよ」
レミリアが面倒臭そうに答えた。
姉妹の父親って確か……

 

「主人公しゃんが来るより前に、フランしゃんとレミリアしゃんに断って、父親のことについて説明させていただきましゅた。……一悶着ありましゅたが、なんとか落ち着いたところでしゅ(´・ω・`;)」

 

「大っぴらに言うつもりなどないが、ブロントさんにはとっくに打ち明けてるし、今更明かす事には躊躇いはない。
私達の父親が闇の王だってね」

 

……その父親とラオグリムがどう関係あるわけ?

 

「あいつは周囲から闇の王と呼ばれているけど、別にあれが真名と言うわけではない。本名は別にある」
そりゃそうだ、ヤミノオーが本名ならそれでは馬かチョコボの名前だ。
「まぁ、そういうこと。
あいつは『捨てた名』と言ってたけど、私達姉妹に本名を明かしたことがある。
闇の王の本当の名前はね……」
そこでレミリアは一旦息を吸った。

 
 

『ラオグリム』って言うのよ

 

「何の偶然なのかしらね……バストゥークに父親と同じ名前のガルカがいたなんて初めて知ったわ」

 

「本当に『あの』ラオグリムなのか……?」
「それは私にもわからん。『名前が同じ』、『どちらも北の地と関わっている』……上手い具合にハマってるけど、はっきりした確証はない」
……信じたくないというのがバストゥーク面々の本心だろう。自国の英雄があの闇の王だったなど質の悪い冗談にしか聞こえない。
「もし、闇の王がラオグリムだったとしたら……何とかできないのか?」
フリオニールが問うた。

 

「……どういうこと?」
「レミリアにフランは、闇の王に育てられたんだよな? ……どんな父親だった?」
「……ごめん、話したくない」
「フランは遅い反抗期の真っ最中だからね、気にしないで……で、どんな父親かだっけ。
一言で言うと放任主義のロクデナシ。私達にはいつも『自由に生き、自由に死ね、自分が望み、信じた道を生きろ』って言ってた。でもとっつきにくい奴だったけど何かを強要するような事はしなかったわ。私達が袂を分かった時も餞別くれたし、なにより、人間に似ているからって理由で他のデーモンから嫌われていた母親と私達を保護していたのはあいつだから」
「……うん、それだけは……感謝してる」

 

「……心底から魔王になったのかもしれない、でも今の二人を育てたのは紛れもなく闇の王なんだ。俺は信じてみたい。もしかしたら、人としての部分がまだ残っているのかもしれないって」
「いや……その考えはいくらなんでも甘くないか?」
「まぁ、フリオニールらしいと言えばらしいかもね。……私もフリオニールに賛成するわ」
「ええっ、パチェも!?」
「……俺も同じ考えだ。奴がラオグリムならばできる限りのことはしたい」
という結果になったらしいぞ?

 

それぞれの意見を聞いてレミリアは半目で大統領に視線を向ける。
「……どうする? Mr.プレジデント。私の友人と貴方の部下はああいってるけど」
「私は友人を見捨てることなどできない。なぜなら私はバストゥーク共和国大統領、だからだ。……そしてあの最果ての地にバストゥークの友が今も苦しんでいるかもしれない。もしそうなら……」

 

「友人としてやるべきことは一つしかない」