シナリオ/ヴォイドウォッチ陰章

Last-modified: 2016-06-05 (日) 20:44:15

イベント名

虚無から歩み寄る者・陰の章

概要

シナリオ傾向:シリアス[有] コミカル[薄] ほのぼの[薄] 恋愛[薄] 欝、人死に[有] 百合、大統領ネタ[]

登場人物関係:登場人物の制限[] キーキャラクター[八雲紫] 敵対キャラクター[ガレマール帝国]

攻略関係:イベント発生時期[?] 総所要日数[?] 他シナリオとの平行[不可能] 戦闘難易度[高~有頂天] 攻略中ヒロインの関与[]


ヴォイドウォッチ作戦の裏で進められていた、もうひとつの侵略。
次元間帝国とは、一体……?

発生条件

ヴォイドウォッチで一定の条件を満たすと分岐。

攻略

ある始まり

別世界から来たという、もう一人の八雲紫(便宣上の呼称・ロ学園長)から呼び出しが掛かった。何でも世界を侵食する謎の歪み、位相の境界【リフタープラナー】について判ったことがあるらしい。
「ヴォイドウォーカー、生物ばかりではない点には気付いていますね?」
言われてみれば、機械っぽいのも混じっていた気も……。
「それに、位相の境界から人間が現れたという話もある。そいつもヴォイドウォーカーと同様に襲い掛かってきたようだけど」
人間が!? もしかして、ヴォイドウォーカーを操っている人間がいるってこと?
「判らない……他のヴォイドウォーカーに見られるような特徴が無かったとも聞くけれど」
むむむ……。
「良く判らないものは警戒するに限る。あまり関わり合いにならないことを祈りましょう」

 
 
 

ロ学園長と別れ、帰路に着いたPCは、しかしそこでみょんなものを見た。

 

すなわち、位相の境界から鎧を纏った人間が現れるのを。

 

そいつらはこちらを見つけると、問答無用で襲い掛かってきた。
「ガレマール帝国の名の下に」
ただ、それだけを口にして。

  • インペリアルセンチュリオン×3
    紅蓮の戦旗の下に
    軽量合金の甲冑の下に強靭な化学繊維の戦衣を身に纏い、スコールが使うようなものとも違うガンブレードを武器とする謎の兵士。
    片手剣WSと(ひとつだけだが)射撃WSの両方を使用してくる。
    防具や各種属性への耐性は優秀だが、HP自体は然程多くない。たまに飛んでくる射撃WS「ガンファイア」が恐いくらいで、強敵ではない。

正体不明なら調査せねばなるまい、と生け捕りにする気満々だったのだが、敗北を悟った彼らは懐から何かを取り出した。
嫌な予感がしたが、果たしてそれは的中で、

 

爆弾だった。

 

「ガレマール帝国に、栄光あれぇぇぇーーッ!!」

 
 
 

爆風に巻き込まれることは無かったが、彼らは爆炎の向こうへ消えてしまった。
「……無事かしら?」
騒ぎを聞きつけてか、ロ学園長が心配そうに現れた。
今のは、さっき話していた奴ら?
「恐らくはそうでしょう。ガレマール帝国、と言っていましたか? 何者かしら……」

決死の救出作戦

あの日以来、ガレマール帝国と名乗る兵士たちの出現頻度は格段に増した。
出現場所や行動パターン、彼ら自身もヴォイドウォーカーと戦闘することもある点などから、どうやらヴォイドウォーカーとは別の勢力であるようなのだが、侵略される側としては対策が取りづらいばかりで迷惑極まりない。紫学園長や月読命も西へ東へ奔走され、防戦一方の様子だった。
そんな場合では僅かな隙を突かれることも多く……端的に言って、今は最悪の状況だった。

 

ファイナル幼稚園が制圧されたのだ。

 

混乱を招く可能性を恐れてガレマール帝国に関しての情報を伏せていたことが仇となった。美鈴や不破ら、普通の相手なら返り討ちに出来る戦力が中途半端に駐屯していたために紫も安心して任せられていた事も、無視できない理由であった。痛烈な皮肉でしかないが……。
現状、全員で幼稚園内に立て篭もり、負傷者はいない。不破のうるさい大声による威嚇で、帝国兵は敷地内を屯するだけだ。目に付くのは、やはり数機待機している『魔導アーマー』だ。彼らの火力を考えれば、直接手を出していないにしても事実上の人質には違いなかった。

 

「……と、状況はこんなところですわ」
咲夜はそう言って説明を終えた。時間を止める能力を持つ彼女は、ファイナル園長の依頼で幼稚園を脱出し、こうして救出部隊に情報を伝えに来たのだ。
園児や同僚たちを事実上の人質として残す悔しさを噛み締めながら……。

 

「安心しなさい」
異変解決を生業とする救出部隊の霊夢が、同様に選出されたメンバーを見ながら口を開く。
「この面子だからね」

 

救出部隊内訳……

 

小野塚小町、伊吹萃香、古明地こいし、餡刻、ゲッショー

 

……うん、まあ、心配いらないと思うよ?
「ですね」
「もちろん、あんたにも出張ってもらうわよ」

 
 
 

ガレマール帝国にとっても、既に陰陽鉄学園に濃い戦力が集中していることには気付いているようで、今回の事件も恐らくは陰陽鉄学園へ攻めるための足掛かりとするために焦りすぎた一部部隊の暴走だったと推測される。
しかし、幼稚園だからと高をくくり、ファイナル幼稚園の反撃・抵抗に思いの外苦戦し、今に至る。
既にファイナル幼稚園は救出部隊の他にも天狗ポリスも取り囲んでおり、攻め時を失わせるのは人質の存在のみ。
一方、帝国としても戦力的な不利は重々承知のはず。人質が居なくなれば自分達を守る盾は無い。かといって逆転の一手があるわけでもなく、ただ緊張状態だけが場を支配していた。

 
 
 

作戦はそう難しいものじゃない。というのも、ネ実市の人材の濃さが成せる荒業だが。
距離を操る小町、霧と化す萃香、意識の外で行動できるこいし、誰にも気付く事が出来ない餡刻、高レベルの忍者ゲッショー、時間を止めることの出来る咲夜。
これだけのメンバーが揃っていれば、救出作戦は容易く遂行できるはずだ。
作戦は、彼女たちが救出を完了するまでの間、帝国兵の注意をひきつけておくこと。とは言っても、興奮させると幼稚園が危険なので、本当に興味を引かせる程度で十分だ。帝国兵が行動を起こさず、かつ無視するわけにはいかない程度の行為。
……つまり。

 

「…………」
「…………」
幼稚園の門を境に、睨み合う霊夢と帝国兵。
上記の要求点を満たす行為とは、目の前で黙って待機することだった。
元々、自分達の焦りがこの状況を招いたことを理解している帝国兵は、人質という切り札を切ることは出来ない。己の過信と不注意を呪いながら、ただひたすら応援を待つしかない。
それを判っているからこその作戦だった。
「ああ、空気が重いわね……。上手くやりなさいよ……」

 
 
 

睨み合いが始まって数分。
「……おい、静か過ぎないか?」
一人の兵士が異変に気付いたが、時既に時間切れ。救出劇は終わっていた。
「消えた!?」
「ほら、みんな優秀なんだって」
「!?」
ガンブレードを蹴り上げつつ、霊夢が突入する。目標は魔導アーマー。
「チッ!」
別の兵士が放った銃弾は避けた。ただ、魔導アーマーには辿り着けそうに無かった。
「どんな手品を使ったか知らんが……ただでは負けん!」

 

「コロッサスの起動を急げ!接近されるな!」
指揮官らしき男が渇を飛ばし、パイロットたちが慌てて機械の鎧に乗り込もうとする。機動力に富んだ咲夜やゲッショーたちが魔導アーマーを叩くが、数発程度ではとても倒せない。
「魔導アーマーに乗られると厄介ね……!」
「ぱいろっとを狙うのでござる!魔導あーまーに乗られる前に動きを止めよ!」

  • ガレマール帝国機甲兵団
    紅蓮の騎士
    インペリアルランサー(竜騎士)、インペリアルサジタリウス(狩人)、インペリアルキャスター(黒魔道士)との戦い。
    武器は違えど、基本的には前回戦ったインペリアルセンチュリオンと同じ。注意点として、3ターン毎に増援として現れるインペリアルライダー(からくり士)。ライダー自体は貧弱なのだが、登場から次のターンには魔導アーマー「コロッサス」に乗り込み、途端に強力なユニットになってしまう。1ターンの猶予があるので速攻で倒したり行動不能系の状態異常にするなりしたいが、後衛に登場するので近接攻撃は届かない。
    とはいえ、小町や萃香が前衛に運んできたり、こいしや餡刻にゲッショー殿が勝手に仕留めてくれたり、咲夜がストップ状態にしてくれたりするのでそこまで執着する必要は無いかもしれない。

「勝ったッ!救出作戦完ッ!」
幼稚園内を隈なく探索し、残りの兵士が居ないことを確認した美鈴が高らかに宣言した。
「チッ……かくなる上は……!」
「おっと!」
一人の兵士が懐から何かを取り出すも、すぐさま咲夜に取り上げられてしまった。爆弾だった。
「あまり、子供達に影響の悪いものを見せないで欲しいです」
「ファイナル観念することだな」
「くそっ……」
ようやく大人しくなった兵士を、天狗ポリスたちがお縄にかける。危機感の足りない園児たちは壊れた魔導アーマーで遊んだりしていた。
「こらこら、危ないですよ?」
「でもカッコいいじゃん!」
注意する美鈴の話にも耳を貸さない。困ったものだ。
「うおおおおおおおお!!一安心んんんんんん!!」
「耳元で……急に大声出さないで下さい……」
先ほどまで重い空気が支配していた幼稚園に、談笑が戻った。

幼稚園の討滅戦

……む?今、ジェイドが反応したような……?
「時空震……増援だ!」
兵士たちがにわかに湧き立つ。
「増援だって?この期に及んで」
多少疲労しているとはいえ、戦力は未だに多数残っている。相手の規模がどれほどであろうとも負ける気はしない。
園児たちを非難させてから、ヴォイドストーンをぶつけると、現れたのは。

 
 
 

「クポーーッ!!!」

 
 
 

多数のモーグリだった。しかも、中央の一匹は巨大で、何故か王冠を被った。
……ぞ、増援?
「随分とかわいい新手ね」
「ち、違う!あんなヤツは知らない!」
「え?それじゃあ……」
……ヴォイドウォーカーか!!

 

「あっ!ロボットが!」
チルノの声に驚いて振り返ると、モーグリの何匹かがまだ動かせる魔導アーマーを起動させていた。
「ツっこめクポーッ!ツっこめクポーッ!!」
「みんなおいてかないでクポ~」
その後ろを、黒魔道士のような帽子を被ったモーグリが続く。まだまだ来る様子だ。
魔導アーマーの武器が火を吹く……事はなく、攻撃する前に躯体のあちこちから炎上し、崩れ落ちてしまった。元々戦闘で壊れていた機体なのだから当然だ。
「壊れちまった!軟弱クポ!」
「役立たずのおもちゃクポ!」

 

「あんたたちの機械、散々に言われてるわよ?」
「元々お前らが壊したんだろうが!魔導アーマーは役立たずの軟弱おもちゃなんかじゃない!」

 

「クポ!?ンだぁ、アイツら……」
一匹のモーグリが口を開く。
「人間くせえヤツらだクポーッ!」
「ちいせえからってオレたちを舐めるなクポーッ!テメェらなんてよ……モグたちの神さまへの供物にしてやるクポーッ!!」
凄く柄悪いな、おい!本当にモーグリか!?
「クポーッ!モグの名前は……モグル・モグ!!モーグリの王様クポーッ!!」
ええい、とにかく戦えばいいんでしょう!?

  • VS.善王モグル・モグXII世
    モグル・モグのテーマ
    討伐対象のモグル・モグと、彼率いる7匹のモーグリとの戦闘。最初は家臣7匹が登場し、それを全て倒すとモグル・モグが登場する。
    家臣団はナイトのクプディ・クープ、黒魔道士のプクラ・プキ、戦士のクプタ・カパ、狩人のクプク・コギ、吟遊詩人のプクシ・ピコ、白魔道士のクプロ・キップ、シーフのプクナ・パコの7体。
    まずは家臣たちとの戦いから始まるが、20ターン経過するか家臣を全滅させるとモグル・モグ登場。同時にいきなりラストワード「メメント・モーグリ」を放つ。これは残った家臣団に比例したダメージを与える技で、少なくとも3体以上生き残っていると確定全滅ダメージになってしまう。その後に倒した家臣団が復活し、家臣+王との本格的な戦闘が始まる。
    注意すべきはとにかくメメント・モーグリ。このダメージは家臣団の数に比例するため、とにかくモーグリの数を減らすことが肝要。

「クポポ……」
倒したモーグリたちは、青い霞となって掻き消えてしまった。
「……モーグリたち、どうなったの?」
判らない、かな?他のヴォイドウォーカーと同じなら、また復活するかもしれないけど……。
「お?見てよ、アイツら、変なものを落としていったよ」
と、園児たちが色々なものを持ってきてくれた。モグル・モグたちの落し物のようだ。
「これは『せんりひん』だね」
うむ、有難く受け取っておくよ。

利害の調停者

天狗ポリスが捕らえたガレマール帝国兵。彼らへの尋問の結果、ある程度の情報を得ることが出来た。

 

次元間帝国ガレマール

 

複数の異次元に渡って支配を続ける大帝国であるらしい。
「荒唐無稽な話ではござる。しかしこの目で見たことも事実。信じるしかござらぬな」
拙者が話したというのは内緒でござるよ、と前置きしてからゲッショー殿が教えてくれた。ちなみに、彼らにとってもヴォイドウォーカーは正体不明の敵であることも確定した。

 

「がれまある帝国の内情についてでござるが、版図を広げすぎた様子。資源不足に陥り、また当地の状況の把握も完全でなく、内乱の気運の高まりを前線の兵でも感じているようでござるな」
ちょっと間抜けなな気もするが、昔の大国も同じような理由で衰退していったのだ。スケールが大きくなろうと、やはり人のやることは変わらない。
「内乱が起これば侵略どころではなくなろう。そして、彼奴らの焦り方……恐らく、その時はそう遠くはあるまい」
つまり、それまで耐えれば良いわけか。
「左様。拙者らも全身全霊を尽くす所存。PC殿、世の為人の為、共に力を合わせよう」
hai!

 
 
 

元々ガレマール帝国が興った世界も、今はヴォイドウォーカーの攻撃に悩まされているらしい。それ故、帝国兵がヴォイドウォーカーと交戦を行うのは何らおかしなことではない。
……勝手に戦場にされる方は溜まったもんじゃないが。

 

「あれが見えるわよね?」
文が指差した先には、火花を散らすガレマール帝国とヴォイドウォーカーらしきモンスターの姿が。
場所は妖怪の山。文ら多数の妖怪が住居を置く地だ。彼らはよりによってそこでドンパチを始めた、というわけだ。
「早く助けてよ盟友ー」
「今日は厄日ね……」
同じく妖怪の山在住のにとり、雛もうんざりといった表情だ。

 

「言われなくても倒すけどさあ。最近好き勝手され過ぎじゃない?」
「全くだな。出た後に倒すばっかでは後手に回るしか出来ん」
「退治すればその場は凌げるんでしょうけど、それって根本的な解決になりませんよね?」
「私も同感ですね。先手を打てないものでしょうか」
退治屋としての腕を買われ、ヴォイドウォッチ作戦に組み込まれたらしい霊夢と魔理沙、早苗が口々に述べる。とはいえ、同時に武器も構えている辺りは流石か。
「ま、考え事は落ち着いてからにするか。妖怪の山に被害が広がる前に終わらせるぜ」

 

「……あやや?」
ふと、目ざとい文がわざとらしく声を漏らした。
どうかした?
「良くないものを見つけたわよ?」
「むむむ……ガレマールの連中から召喚の気配を感じるわ」
霊夢も同じように反応した。召喚の気配?
「かなり強力な召喚獣を呼ぶつもりみたいね……」
ここで?それは良くないな……。
「私が行ってくるわよ。でも周りの戦力を考えると、精々時間稼ぎしか出来ないから……それまでに他のガレマール兵を無力化させて。召喚されたらアウトよ」

  • ガレマール帝国兵vs.神風の鳥人
    ブレイズエッジ
    再三の帝国兵たちの他、同時に神風の鳥人とも戦う。
    神風の鳥人は召喚獣ガルーダと同じ姿、特徴を持つヴォイドウォーカー。帝国側と神風の鳥人はそれぞれ敵対しているため、三つ巴の戦いになる。PCのPTがどちらを狙うかも重要だが、運良く潰し合いをしてもらえばぐっと楽になる。
    また、帝国側を全滅させないと10ターン後にやはりイフリートと同じ姿と特徴を持つ召喚獣「炎獄の魔人」を呼び出す。文が脅すように『すぐさまゲームオーバー』と言う事は無いが、こうなると戦局は一気に厳しくなる。とはいえ、10ターンの間に帝国側を全滅させるのはそう難しくないだろうので、それほど大きな問題にはならないだろう。ただし、召喚される炎獄の魔人を倒すことで追加報酬が出るので、自信があるなら狙ってみるのも良い。
    神風の鳥人は「真空の鎧」でブリンクを張るため、攻撃を当て辛い。また連続は全段ヒットすると盾役もひとたまりも無いダメージを叩き出す。ガルーダと同じ姿なだけに風属性の攻撃が多いので、風属性耐性を上げておくと多少は難易度も下がる。
    炎獄の魔人は火属性、攻撃力と耐久力に優れ、神風の鳥人と同時に相手するのは非常に辛い。やはり火属性耐性を上げておこう。

どうにか大事になる前に騒動を鎮圧することに成功した。
「いやあ、見事なもんね。流石は普段からモンスター退治してる人は格が違うわね」
「まーね。普段からもっと褒めてもいいのよ?」
文に煽てられて霊夢が気を良くした。まあそれはいいのだが。
「このままじゃいけないわよね……」
早苗の呟きは、皆同感だった。

 

後手に回るばかりでは何も解決しない。ゲッショー殿は時期を待てと言っていたけど……。

重なる未来

以前捕らえられたガレマール帝国兵の処遇について。
彼らの所業は決して無視されるものではないが、ガレマール帝国という後ろ盾の存在を考えると、余り遺恨を残したくない、というのが天狗ポリス上層部の考えだった。
そのため、彼らの処遇は『侵略を諦めるよう進言する』ことを条件に釈放することに決定した。

 
 
 

……という旨をロ学園長から聞いたPCは、しかしどうにも納得いかなかった。『一発ぶん殴って、二度とこっちに来る気をなくさせてやる』と、決意表明をしたところ、ロ学園長は呆れ返りつつも反対はしなかった。

 

同級生で同僚な霊夢たちには秘密にしておいた。余り厄介ごとに巻き込みたくはなかった。……と言ったら、霊夢は怒るかもしれないしね。

 

天狗ポリスに連行され、帝国兵たちは何か合図のようなものを行うと、目の前に時空の歪みが発生した。原理的には位相の境界と似通ったものらしい。
「さて、追いかけましょうか」
おk
ロ学園長の能力で、スキマを位相の境界へ連結させ、そこへ飛び込んだ。

 
 
 

十数分ほど走って追いかけたのだが、そこは非常に霧が濃く、一向に先に飛び込んだはずの帝国兵たちの背中が見えない。
おかしいな……見失った?
「あらら、仕方ないわね。ほら、もう良いでしょう? 諦めて、私たちも戻りましょう?」
うーん……もう少し待って……。あ、今あそこに人影が!
「あ、ちょっと!もう、本当にどうしようもないわね!」

 

一瞬だけ見えたような気がした人影の方へ走り寄るが、再び見失ってしまった。
あれー?
「やっぱり見間違いだったんじゃない?」
そんなはずは……ん?今、何か踏んで……。

 

……!!

 

「どうし……! これは……そんな……」

 
 
 

霧が立ち込める空間、二人が気付いた頃には、周囲には夥しい数の死体が倒れていた。
それも、ガレマール帝国兵の、である。

 

どういうことだ……?
ふと、霧の向こうにまた人影が見えた。この惨状を見てからでは、とても友好的な人物だとは思えない。
その人影は、ガレマール帝国兵だった。ただし、生気が微塵ほども感じられない。

 

いや……わずかだが、宙に浮いていた。
不気味な気配に油断無く構えていた……つもりだったが、

 

突然、光弾が飛んできて紫を吹き飛ばした。
「きゃあっ!?」

 

ロ学園長!?

 

光弾を飛ばしたのはガレマール帝国兵ではない。なぜならそいつは、白目を剥いて……どう見ても、息絶えていたからだ。浮いていたように見えたのは、その後ろに立つ人物が腹に腕を突き刺していたためだった。

 

黒と赤の鎧。どことなく、ジャッジ・ガブラスの鎧に似ている気がした。

 
 
 

「歓迎する」

 
 
 

鎧の人物はそう呟き、先ほど紫を吹き飛ばしたのと同じ光弾を飛ばしてきた。

 

しかし、それはPCの元へは届かなかった。

 

PCの前に立ち、攻撃を防いだのは……。
「カッコつけるの、失敗したわね?」

 

霊夢!?

 

「あんたのことだから、多少の無茶はするだろうと思ったからね。紫に頼んで連れてきてもらった。……あっちの方で倒れてる、紫似の奴の事は聞かないであげるから、感謝しなさい。今はあいつを倒して、ここから帰るわよ!」
は……hai!

 

「興趣が尽きぬな」
黒鎧の人物は背負っていた特異な外見の武器……ガンブレードを抜き、構えた。
「応えてやろう。ガレマール帝国、『ガイウス・ヴァン・バエサル』、行くぞ」
「ガレマールの人間だったの!? ……弱い味方はいらないってわけね……」

 
 
 
「……自らを信じよ、自らの力を信じよ……
……自らを知れ、自らの力を知れ……
……おまえはひとり、多くの中のひとり……
……世界はひとつ、多くの世界はひとつ……
……偽りを破れ、偽りの言葉を破れ……
……真理を追え、真理の言葉を追え……
……有るべきものを守れ、有るべきでないものを壊せ……
……災厄が満ちている、滅びの時が近付いている……」
 
 
 
  • ガイウス・ヴァン・バエサル
    VIVID
    ヴォイドウォッチ陰章のラストとなる戦い。相手はガレマール帝国の武将、ガイウス。武器はガンブレードNo9。
    戦闘前のイベントで、霊夢(霊夢がPCの場合ブロントさん)とのタッグでこの強敵と対峙しなくてはならない。
    部下同様、片手剣WSと射撃WSを使う。ガンブレードを使った技も織り交ぜ、また、日没時の如く周囲一帯がオレンジ色に染まるほどの爆発を起こす光弾を放つラストスペル「サンセット」は恐ろしいまでの威力を持つ。
    ガレマール帝国特製の鎧により属性ダメージは大幅に減らされてしまう。無属性か打属性でのみ有効にダメージを与えられるので、予め攻撃手段を確保しておきたい。必ず参戦する霊夢ならコンスタントに削っていける。PCが霊夢以上のダメージを与えられるキャラ(臼姫か幽香くらいだが)でなければ補助役や盾役に回ろう。
    ガイウスのHPが20%を切ってラストワード「漆黒の王狼」を使って強化されてからが本番。
    ただでさえ高い攻撃力が更に跳ね上がり、しかも全ての攻撃に必中・幻影貫通が追加される。十分な装備を整えたブロントさん以外では盾役は到底勤まらないので、いっそ防御を捨てて攻撃に専念してしまうのも手。やるかやられるかのスリルに身を任せよう。

飛び交う光弾を回避しつつ、こちらからも反撃を試みる。
ガイウスがガンブレードから弾丸を発射するが、それはようやく起き上がったあちら側の紫によって機動を曲げられ、あらぬ方向へ飛んでいってしまう。
霊夢が放った夢想封印は、しかし光弾と衝突し相殺される。

 

「異質な……」

 

そう呟いたガイウスは、腕を空へ向け構えた。それは戦闘中に度々使用した技……サンセットだ。
放たれた光弾は上空の雲を突き破り、帝国の敵を焼き滅ぼす邪悪な太陽となって墜落してくる。

 
 
 

地平線の向こうへ沈む太陽を見つめながら、ガイウスは身を翻し、姿を消した。

 
 
 
 
 

「……生きてる?」
なんとか……。

 

気付けば校門まで戻ってきていた。霊夢が心配そうにこちらの顔を覗き込んでいる。
あの人工の太陽に焼かれる前に、紫が脱出させてくれたようだ。

 

「ガイウス・ヴァン……なんだっけ? あの手の連中って無駄に名前長くて覚えづらいわよね。どうなったかしら?」
生きていると思う。まあ、ガレマール帝国が侵略どころじゃなくなってるかもしれないけど……。
「ふーん?」

 
 
 

その日を境に、ガレマール帝国からの侵略は、ぱったりと止んだ。
ゲッショー殿が予測したように内乱が始まったのか、ヴォイドウォーカーとの戦いが激化し、それに専念せざるを得なくなったのか、もっと別の理由があるのかは判らないが、ガレマール帝国から干渉されることは無くなった。

 

だが、ヴォイドウォーカーの出現が止まったわけではない。
長い永い戦いは、まだ終わることを知らないのだ……。

報酬/称号

  • 幼稚園の討滅戦をクリアする
    両手斧「モグモグアクス」
    片手棍「モグモグリリー」
    両手棍「モグモグスタッフ」
  • 利害の調停者で炎獄の魔人を倒す
    ライフル「フォーマルハウト」
  • 重なる未来をクリアする
    変形・複合武器「ガンブレード「No.IX」」
    一式装備「ガレマールアーマー」