シナリオ/ヴォイドウォッチ

Last-modified: 2012-04-13 (金) 11:04:42

イベント名

虚無を覗く者

概要

シナリオ傾向:シリアス[有] コミカル[有] ほのぼの[有] 恋愛[] 欝、人死に[] 百合、大統領ネタ[]

登場人物関係:登場人物の制限[無し] キーキャラクター[八雲紫] 敵対キャラクター[ヴォイドウォーカー]

攻略関係:イベント発生時期[?] 総所要日数[?] 他シナリオとの平行[可能] 戦闘難易度[高~有頂天] 攻略中ヒロインの関与[]


別世界から現れる敵、見えない目的、そしてもう一人の八雲紫。
終わりの見えない戦いの向こうに何が待つのか……?

発生条件

  1. PCのレベルが75以上。
  2. 冒険者ライセンス」を所持している。
  3. フルペルルを出現させている。
  4. プラナーリフトを調べる。

攻略

第一章・彼方よりの使者

突如としてPOPした謎の人物、フルペルル。
まあそっちはどうでもいいや。

 

気になるのは同時期に出現した世界の歪み。

 

プラナーリフト。
位相の境界、空間の亀裂。
そういった意味を持つ言葉らしいが、こうして実際に目にすると良く判る。
例えば紫理事長の能力、スキマなんかとも似ている。共通点は、やはり空間の亀裂だろう。

 

似ているだけで違うものなのは確信が持てるが、ならばこのプラナーリフトは何なのだろう?
そうしてそれに手を触れた……。

 
 
 

「……あら?」

 

気付けば見知らぬ地に来ていた。
空間の亀裂というからにはきっとこうなるだろうとは予測していたので大して驚きはしなかったが、ただ目の前の人物には少々驚いた。

 

「PCじゃない。良かった、ちゃんと会えたのね」
……紫理事長だった。
いや、違う。だって見るからに幼女だもん。

 

「微妙に失礼な波動を感じたけど、まあいいわ。貴方にお願いがあって、こうして会いに来たの」
ロ理事長(利便上の呼称)はそう言って話しかけてきた。口調からして、やはり自分の知っている、こちら側の理事長とは別人のようだった。

 

「単刀直入に言うけど……またまた世界の危機よ

 

またまたって、ロ理事長はどれだけ世界の危機に遭ったんだろう?
世界の危機……っていうのは?
「簡単に説明すれば、『並行世界の侵略者』といったところでしょうか?私は『ヴォイドウォーカー』と呼んでいますが……」
並行世界の侵略者?
「そう、例えば……」

 

「アレとか」

 

ロ理事長が傘を向けた方向。そこには一見、何も無いようだが……すぐにスキマの力によってソイツは引きずり出される。
骸骨のような頭に、太い二本の足、そして何よりも、胴体から腕の代わりとばかりに生える左右六本の巨大な爪。シルエットでは蜘蛛のようにも見えるだろう。
デスクロー。ここまで追って来たのね……さ、出番よPC」
マジデスか……。

  • VS.デスクロー
    妖怪裏参道
    不気味な外見のモンスターだが、実は攻撃力はそれほど高くない。
    麻痺+瀕死ダメージの技、デスクローが脅威なので麻痺対策だけしておけばソロでも負けることはないだろう。

デスクローを難なく倒し、ロ理事長に向きなおす。
「さすが、あの程度の敵はものともしないのね」
これくらい一級学生なら当然のこと。
「学生?」
あー……そうだ、紫さん?多分、貴方の知っているPCと自分とでは別人だと思うのですよ。
「え?別人って……?…………。う~ん、そうか。私の力も弱まっているということね」
どうやら納得したようで、ロ理事長は難しい顔をした。
「むむむ……仕方が無いわ。私の知っているPCとは別人でも、どうやらそんなに大きく違うわけでもないようだし。このまま貴方に頼みましょう」
無責任な……。
「それだけ余裕が無いのですよ。……ですが、そうなると私も貴方の知っている八雲紫とは別人ということになるわよね?それでも貴方なら引き受けてくれると思うのだけど……?」
私の知ってるPCなら引き受けてくれるんだけどなー(チラッ)こっちのPCは違うのかなー(チラッ)
……とでも言いたげだった。
さて、どうしよう?

断る

「……残念です。私は何とか元々の時空に戻れるよう頑張ってみましょう。せめて、貴方の世界にヴォイドウォーカーが現れないことを祈りながら……」

引き受ける

「そうこなくちゃね。早速だけど、もう少し詳しく説明しましょうか」
ロ理事長(PCが学生だと知らないということは、彼女も理事長という役職ではない可能性が高いが)は話を始めた。

 

とは言っても、『別世界から来る敵』『常軌を逸して強い』『普通の人間には見えず、紫のような空間認識能力を持った者の協力が無ければ実体化しない』『姿が実体化しない限りはこちら側・あちら側ともに接触は出来ないらしい』といった断片的な情報ばかりだった。
「一応、こちらでもある程度の対策は講じてあります。この六芒星のジェイドはヴォイドウォーカーの位置を察知し、このヴォイドストーンを使えば特別な能力が無くとも奴らを実体化、戦闘に持ち込むことが出来ます」
言いつつ、二つの品を手渡してくれた。

 

「先ほども言いましたが、ヴォイドウォーカーは強い。貴方一人では限界があるでしょう。誰か、頼れる仲間がいれば良いのですけど、生憎と私はそこまではサポートできませんので……」
了とした。仲間はこっちで探してみる。
「お願いします。……期待していますね」

 

討伐対象:リッチ、マリリス、クラーケン、ティアマット
まずは六芒星のジェイドとヴォイドストーンを使って4体のヴォイドウォーカーを倒そう。
ただし、六芒星のジェイドとヴォイドストーンによって実体化したヴォイドウォーカーと戦えるのは、PCのPTだけ。救援などは出来ず、従って自由にPTに誘えないキャラはヴォイドウォーカーとの戦闘に参加できない。
ラストバトル(FF)

  • リッチ
    ローブを身に纏った骸骨。
    土属性のアンデッド。土を吸収し、火と光が弱点。
    クエイクのような高位土属性魔法の他、スロウやストップのような行動順を遅らせる魔法を得意とする。
  • マリリス
    蛇の下半身を持つ妖艶な女性。
    火属性のラミア。弱点は無く、火を吸収、土・水・風を半減する。
    フレアのような高位火属性魔法の他、誘惑で魅了状態にしてくる。女性でPTを固めると安全。
  • クラーケン
    巨大なイカ。
    水属性の頭足。水を吸収し、雷を弱点とする。
    魔法は使わないが、攻撃力がそこそこ高い上、足が多いためか連続攻撃をしてくる。必ずダブルアタックかつ高確率でトリプルアタック、低確率でクワッドアタックまで繰り出す。
  • ティアマット
    多数の頭を持つ巨竜。ウィルム族のティアマトとは別個体らしい。
    風属性のハイドラ。風を吸収し、雷を半減、弱点は無い。
    様々な属性のブレスを使う上、多数の頭ゆえかダブルアタック、トリプルアタックを持つ。魔法は使わない。

第二章・月読命召集

4体のヴォイドウォーカーを倒したところで、こちら側の理事長からお呼ばれされた。
「貴方はあの未知の敵と積極的に戦っているようですね?」
そう切り出した紫理事長の口調は真剣なものだ。学園と生徒のことを純粋に心配する理事長の言葉。よく知っている彼女だ。
hai。とりあえずヴォイドウォーカーっていうらしいですけど……。
「虚無から歩み寄る者?」
あ、えっと……自分がそう呼ぶことにしたんです。
ロ理事長のことは、とりあえず黙っておくことにした。あんまり良い流れになりそうにないし。
「何か知っているのね?話してくれるかしら?」

 

「ふぅん……並行世界の侵略者、ねぇ……」
ほとんどロ理事長からの受け売りだったが、ひとまずそのまま話した。今は特に脅威とはなっていないが、いつ奴らが被害を出すようになるかは予想もつかない。それに、あちら側の紫も頼りになる仲間がいれば、と言っていた。理事長はもちろん頼れる味方だと判断した。
「貴方の話と、こちらで確認されている情報は一致するわ。貴方を信じない理由も無いし……判りました。そういうことでしたら、正式にヴォイドウォーカー討伐作戦を発令しましょう。実は既に手は打ってあるのです」
さっすがぁ!理事長は話が分かるッ!それで、手を打ったというのは?
「月読命に協力を申請しました」
えっ!?
「私としても不本意ですが、彼らもヴォイドウォーカーには手を焼いているようですから……」
むむむ……状況からすれば仕方が無いことか。
「貴方はヴォイドウォーカーと戦う術を持っているのですね?それを月読命社まで行って、提示してもらいたいのです。それを解析できれば、今後の戦いの助けとなるはずだから……」

 
 
 

紫を通じてヴぁーん市長から許可証を発行してもらい、月読命に向かった。
許可証を見せると、月読命社長、カムラナートの下まで案内してくれた。
「よくきてくれた、陰陽鉄学園の生徒、PCよ」
彼は仰々しく挨拶した。
「貴公がヤツら……ヴォイドウォーカーとの戦いにおける活躍は聞いている。非常に腕が立つようだな」
それほどでもない。
「さて、早速だが、貴公のその力を見込んで頼みがある」
それは……。
「他でもない、『ヴォイドウォッチ作戦』と名付けられた作戦についてだ。各地を転戦して、薄々気付いているかもしれんが、ヤツらの勢力は未だ広がり続けている。貴公がどれほど強くとも、個人の戦闘力では大局を左右することは出来ない。だが貴公が持っているという、六芒星のジェイドとヴォイドストーンを解析、量産できるようになれば、こちらからヴォイドウォーカーとの戦いに助力することが出来る」
ほむほむ……。
好き嫌いで一大事になったら目も当てられない。ここは素直に協力しようか。
「感謝するぞ、PCよ。必ず朗報を届かせよう……」

 

一週間後、六芒星のジェイドとヴォイドストーンが返却され、同時に量産成功の報が届く。
以降は制限の解けた、より充実した戦力で戦いに挑むことが出来るようになる。

 

討伐対象:鉄巨人、ダークソウル
The Man With The Machine Gun

  • 鉄巨人
    中身の無い空洞の鋼鉄の鎧。巨大な剣を手にしている。
    鈍重そうな外見に似合わずダブルアタック、トリプルアタックを持つ。範囲攻撃の「なぎ払い」を使う他、常時プロテス状態で、一度魔法を当てると「魔法障壁」を使って魔法によるダメージを遮断する。防御カットや防御無視の攻撃があるとかなり楽になるだろう。
  • ダークソウル
    人魂らしきアンデッド。
    各種属性の高位魔法を連発する上、逆にほとんどの属性攻撃を吸収してしまう。
    魔法に強く、かつ吸収されない光属性や無属性の攻撃を持つメンバーがいると心強い。霊夢などが適任だろう。

第三章・真相見えぬ戦い

新たなヴォイドウォーカーを倒した所で、月読命のカムラナート社長から召喚された。
「此度のヴォイドウォッチ作戦での活躍、見事であった。今は貴公のような者がいることこそ、何よりも頼もしい限りだぞ」
多分でなくともお褒めに預かっているのだろうが、いまいち素直に喜べない。カムラナートが椅子に座って肘を着いたままだからだろうか。

 

「だが喜んでばかりもいられん。ヤツらは倒せても、消えてなくなったわけではない」
あ、やっぱり?薄々そんな気はしていたんですよ、ええ。
「こらこら、社長の前ですよ?」
その場に居合わせた豊姫がやんわりと注意するが、カムラナートは構わない、と言ってくれた。ううむ、思ったほど悪い人ではないのかなぁ?でも胡散臭いんだよなぁ。紫理事長とはまた違った方向に。
「直接戦っている貴公ならば判るだろう。ヤツらは時が経てば何事も無く再生してしまう」
そう、今まで何体かヴォイドウォーカーを倒してきた。同様に他の作戦参加者も数体のヴォイドウォーカーを倒してきているが、話によればどうやら一度倒したヴォイドウォーカーも復活しているらしいのだ。
手があるとすれば、やはり位相の境界【プラナーリフト】か。
「……そうなのだ。ヤツらを完全に消し去るには、あの位相の境界をどうにかしなければならん。が、残念ながら専門の研究機関に委ねているが、明快な回答には至っていない」
そのため、『ヴォイドウォーカーを力でねじ伏せる』。これが現状最も効率が良い方法とされている。というか、これ以外の手段が無いというだけだが……。
「苦労をかけるが、今後も変わらぬ活躍に期待するぞ」

 
 

「PC」
帰り際、豊姫が話しかけてきた。
「依姫やレイセンたちも戦っているけれど、戦力の絶対数が少ない分押され気味なのよ。こっちで自由に歩けるよう手続きは済ませておくから、月光の方のヴォイドウォーカー討伐にも力を貸して欲しいのです。もちろん、そちらのヴォイドウォッチ作戦にも協力させてもらいますからね」

 
 
 

「……!ちょっと、PC……」
豊姫とも分かれた後、今度はロ理事長の声が聞こえてきた。
「ここじゃなんだから、また位相の境界を使ってこっちに来てもらえるかしら?遠いところ悪いけど、よろしく頼みますわ。待ってるわよ!」

 
 
 

「来たわね、PC。実は大きな進展があったからここに呼んだ……」
マジか。

 

「というわけでは残念ながらないのです」

 

oi、みうs、ミス、おい紀伊店のか。何だそれは。
「ごめんなさいね、こちらとしても色々と調べてはいるのだけれど……はっきり言って、お手上げ状態なのよね……。アレも今のところあれ以上広がる様子もなし。静かなものよ」
ふうむ……。
「とはいえ、あの歪みは蓋が開いたままの状態。世界への影響は今もなお広がり続けているわけよ。実際に各地を回って奴らを退治してきた貴方なら実感しているわよね?」
「」確かにな。あいつら、ちょっとずつ増えてきてる気がする。

 

「貴方、月読命……でしたか?そこから目をかけられているみたいですけど、視野は常に広く持つべきです。身体が大きいと小さなところを見逃しがちになる。月読命という企業だけでは管理しきれない歪みもあるはずよ」
こっちの良く知っている理事長も言いそうなことだ……。肝に命じておきます。
「フットワークの軽さを活かして、いろんな場所に足を運んでみるのも大事よ。貴方の世界でも薄々この異変に感づき始めている者が増えつつある。まだ確信に至っている人は少ないようだけど」
自分に指令を出している月読命やその傘下の月光女学院は言わずもがなか。
「お互いの利益は一致しているし、少なくともこの件に関しては敵じゃないわよ?安心しなさいな。奴らと戦うためのアイテムも用意してくれてるわけだしね。今のウィンウィンの関係でいいと思うわ」
了解した。

 

「PC、アレについての進展がなくて本当にごめんなさい……。引き続き私がアレについては調査していくわ。貴方はなんとか各地に出ている影響を最小限に食い止める方向で頑張ってね」

 

討伐対象:オルトロス、ギルガメッシュ、デスゲイズ
アンノウンX

  • オルトロス
    巨大な牙を持つタコ。何故か喋る。しかも関西弁。
    女好きで、女性は攻撃しないという特徴がある。そのため、PTを女性で固めれば何もしてこない。
    正攻法で戦う場合、スミで暗闇にしてきたり、ドレインでHPをちゅーちゅーしてきたり、足が多いのでこいつもまたクワッドアタックまで使ってくる普通に強敵。
  • ギルガメッシュ
    ジャック先生との関係は不明。
    身体が大きく、ガルカ並み。腕も8本で、それぞれに獲物を持っている。
    強化魔法と青魔法を多数使う他、範囲大ダメージの「エクスカリバー」、防御無視の1ダメージ「エクスカリパー」、全体攻撃の「剣の雨」、単体大ダメージのラストスペル「王の剣」など攻撃手段が非常に多彩なため対策を取りづらい。物理攻撃が多めなのでナイトを盾に堅実に攻めていくのが吉。
  • デスゲイズ
    空を飛ぶ不気味な怪物。
    戦闘開始と同時に、5の倍数のレベルのキャラを即死させる「レベル5デス」を使うので即死耐性かレベル調整は必須。火と光属性を弱点とする。
    風属性の高位魔法の他、デスや氷属性のブレス、毒爪などを使う。
    なお、暗闇かフラッシュ状態かにするとデスが、静寂か沈黙状態にすればブレスが使えなくなる。覚えておこう。

間章・ヴォイドウォッチ作戦の裏表

豊姫の言っていた通り、月光周辺の散策許可が降りた。
彼女の頼みを無下にする気もなく、早速月光まで赴き、豊姫、依姫、レイセンと合流した。
「ヴォイドウォーカーは各所に出没しているわ。ヴォイドウォッチ作戦の管轄外でも、ね」
「学院の方は管轄内でもあるので、一際警備が厳重になっています。だからそっちは問題ないんですけど、学院以外には手が回っていないので……」
「いわば、ヴォイドウォッチの裏の作戦です。気を引き締めて行きましょう」

 

討伐対象:チーリン、バブイルの巨人
Cherry Flavored Justice(チェリー風味の正義)

  • チーリン
    麒麟と同じ姿を持つマンティコア。
    技をニ連続で使用するため単純に危険だが、特に危険なのは『5ターン毎に四神を召喚する点』。玄武、青龍、白虎、朱雀の順番に一体ずつ呼び出す。玄武は防御力に、青龍は適応力に、白虎は攻撃力に、朱雀は生存力に優れ、一体だけでも極めて厄介な相手。もちろん先に呼ばれた四神を処理しきれない内に次の四神が呼ばれれば勝機は一気に遠ざかる。
    というわけで、飽和火力で速攻を仕掛け、四神を召喚される前に倒すのが最適な戦法。
    チーリンは多数の属性に耐性を持っているので、半減されない風属性か無属性、あるいは武器による攻撃で一気に攻めよう。
  • バブイルの巨人
    見上げるほど巨大な人型兵器。
    胴体、右腕、左腕でHPが分かれており、それぞれ攻撃できる。
    胴体さえ倒せば勝利となるが、胴体にダメージを与えると右腕が「ガードモード」になり、胴体にダメージを与えられなくなる。ガードモード移行から3ターン後に全体光属性大ダメージの「聖なる審判」を放ち、ガードモードが解除される。
    普段は、右腕は攻撃魔法を、左腕はステータス異常を与える魔法を使用してくる。また、左腕は右腕が倒されるとレイズで復活させるので、左腕、右腕、胴体と狙っていこう。

分岐点

多数のヴォイドウォーカーを倒してきたが、ここで再び月読命から召集が掛かった。
と同時に、別世界側の紫からも連絡があった。なんでも、位相の境界について新たにわかったことがあるらしい。
どちらから先に行こうか?
月読命→第四章へ
紫→陰章へ

第四章・新たなる脅威

再び、月読命社社長カムラナートから召集があった。なんていうかもう慣れた。
「貴公が活躍する一方、未だにヴォイドウォーカーどもの出現は絶えない。これは既に綿月姉妹によって討伐されているが……解せんのはここにきて位相の境界の出現パターンがこれまでのデータを覆すものとなったことだ」
ここまでの予想が違っていたということか……。
「最善手を打てぬままでは月読命の名折れ……。今回の作戦を終え騒ぎ自体は沈静化したとは言えるが、位相の境界は在り続けている。……根本的な解決には未だ至っていない」
「」確かにな。

 

と、謁見中の場に扉を開けてレイセンが現れた。わざと咎めるような口調で豊姫が問いかける。
「謁見中よ。何事かしら?」
「は、はい! 申し訳ありません。新たな位相の境界が発見されたとの報告が入りましたので……」
レイセンはそこで一端言葉を切る。
「構わない、続けて」
「はい……。現在、ヴォイドストーンの反応は無く、ヴォイドウォーカーの視認は不可能……対象の危険度は計れずとのことです」
「……なるほど。位相の境界は、いわば空間の歪み。出現はしたものの、安定しきっていないのね。そう遠くないうちに歪みは安定しヴォイドウォーカーを視認できるようになるでしょう。警戒を怠らないで。派遣隊及び、各地の作戦指揮官にも伝えて」
「了解しました」
やりとりを終えると、豊姫とレイセンは部屋を退出した。

 

「聞いての通りだ。貴公には新たな作戦指令書を預けるが、作戦を遂行して間も無く次の戦いへ向かうのは辛いでだろう。作戦へ参加するかは貴公の裁量に任せる」

 
 
 
 
 

「位相の境界については未だ謎の部分が多く、解析には時間を要すると研究機関より報告を承っております……」
「静観を決めるのも限界というものがあるぞ? 事は少々大きくなり過ぎたな……」
「ふん、原生種の活躍は見事なものだ、よく働いてくれる」
「ヴォイドウォーカー……。我らの悲願達成において、必ずや障害となろう。状況によっては我ら自らが動かねばならないかもしれんな」
「はっ……」

 
 
 
 
 

そういえば、しばらくロ理事長にあってないや。
そう思って、プラナーリフトを使い会いに行ってみることにした。

 

「……あ、PC」
お久しぶり、ロ理事長。
「いい加減、その呼び方も止めて欲しいのだけど……」

 

「貴方にはまだ話していなかったかしら? 藍……私の式神は、禁断の口【アレ】の向こうに行ったきり戻ってこないの」
藍……やっぱり向こう側の世界でも二人の関係は変わらないのか。
「貴方と前に会ってから分かったことがひとつ。僅かな変化だけど、アレは収縮と膨張を繰り返している。その際に漏れ出す力があらゆる世界に対し、位相の境界という形で現れる。おおよそ、そんな仕組みね」
ふむ……。
「位相の境界については貴方たちに任せっきりだけど、ここに来たということはまた新たに出現し、それを貴方が抑えた……この考えに違いは無いわね?」
間違いない。
「やはりか。……私と式神は、その膨張時を狙って突入を試みたの。結果……私は弾かれ、ここに。藍の姿は……消えていた。ただ、今思えば私はこちらに残れたのは幸運だったわ」
ちょっと不謹慎な気もするが、どちらかが残れなければ、今回の件を伝えることは出来なかっただろう。
「おおよその仕組みは分かったけれど、今は藍の安否を確かめたいわ。次にアレに変化が生じたら、もう一度コンタクトしてみましょう。藍もきっとそうするわ」

 

「今後、もしも何か異変を感じたら、またここに来て欲しい。お願い事ばかりで申し訳ないけど……」
なに、気にすることはない。

最終章・真界

位相の境界を渡って、あの空間へ。
「ここに来たということは、外の世界に異変があったということね」
うむ。
「そのおかげで……というのはあまりいい表現ではないけれど、こちらにも大きな進展があったわ」
それじゃあ、藍との連絡は?
「取ることが出来たわ。ただ、状況はあまり喜ばしくないようね……」
むむむ……。
「詳細は、アレの向こうにいる藍から直接聞いて欲しいわ。……実際にその目で見るのが一番ね。行きと帰りは心配しなくてもいいわ。私と藍が安全を保障するから。準備はいいわね?」
いつでもどうぞ!
「……来るわよ。さあ、行きなさい!」

 
 
 

気がつけば、そこはクリスタルで構成された幻想的でありながらどこか退廃的な世界だった。

 

ちなみに、事前に霊夢の真・TRUEENDを見ていれば、どこか見覚えのある世界というメッセージが見れる。

 

「目を覚ましたようね」
「おはよう! それともこんにちわ……?」
起こしたのは藍と、その式の橙だった。
「寝ぼすけな新兵だなー」
「私たちのことは覚えてる?」
あー、期待を裏切るようで申し訳ないんだが、自分と君たちの知っている人は同姓同名の別人ですよ。
「ああ、お前が紫様の言っていた……」
「知らないのは悲しいよぅ」
「肝心なのは覚えていることじゃない。この事象自体がイレギュラーなものなのだから、解決できればいい」
「別世界でも、PCはPCなんでしょ?」
まあ、そうだな……。

 

しかし、ここは一体?
「当然、そうくるよな。説明しよう。ここは……とても儚く、薄らいでしまった……始まりの場所さ」
始まりの場所……?
「そう。多数に分岐した全ての世界の始まりがここさ……。いちいち始まりの世界と呼ぶのも面倒だから、【真界】とでも呼ぼうか。ここも当時は、お前がいた世界と同じような光景だったんだろうね……」

 

藍は語る。
世界は輪のように巡り、真界へと戻る。そして、また新たな世界へ……それは永遠へ続くのだと。

 

つまり……ループの中心ってことか。
「それはどうかなぁ。見てよ、この世界を。この殺風景な景色を。どっちかというと、世界の残滓っていう方がしっくり来るでしょ?」
ほ、ほう?
「って、ちんぷんかんぷんって顔ね。私たちの知ってる君はそれはもう色々と……」
「それは言っても仕方の無いことだ」

 

「藍さまー。何か、危険だよ」
「橙?」
「大気に怒気が満ちてる。ここで目覚めてからずっと感じてた視線も、毛が逆立つくらいに強くなってるよ」
始まりの地に、自分たち以外に何かがいる?
「あるとするなら……【世界】そのものか。橙の言う通り、ここにはとんでもないものが潜んでいるのは確かね。それも、我々を敵視している。ひょっとすると、それがこことを繋ぐ世界全てに影響を及ぼしている元凶なのかもしれないな……」
そいつを倒せば、万事解決?
「判らない……」
試してみる価値はある?
「まさか、戦う気?」
このままここでじっとしてても埒が開かない。試せることは全て試すべきだ。
「……そうだな。頼めるか、PC?」
任せろ!

  • 水晶の龍(ドラゴン)
    全身がクリスタルと同じ材質で構成された巨大な龍。
    各属性の高位魔法や範囲弱体魔法を交えつつ、TPを溜まりにくくさせる追加効果のあるブレス「プリズマチックブレス」、へヴィを与えて飛翔できなくさせる「オロジェニシス」、アムネジア・静寂・アイテム使用不可の三重苦で通常攻撃しか出来なくさせる「ディフライトブレイク」、サポートジョブの能力を無効化してしまう「クリスタルボライド」等々、多数の厄介な技を使うが、一番面倒なのが「クリスタルの足枷」。これは召喚系の技で、これによって呼び出されるクリスタルの足枷は、状態異常魔法を連発する他、居るだけで水晶の龍へのダメージを大きく軽減する。その効力たるや、何と一体いるだけで水晶の龍へのダメージは全て半減する。クリスタルの足枷が三体もいれば、一切のダメージが通らなくなってしまう。
    水晶の龍自体も強敵であるが、最大の問題はやはりクリスタルの足枷。これをどうするかで戦局は大きく変わる。クリスタルの足枷はHPは少ないものの、弱点以外の攻撃は全く聞かないため、素早く弱点を把握し的確に突くのが肝要になる。多数の属性攻撃を扱えるパチュリーや属性関係なく常に弱点を突き続ける武器、緋想の剣を唯一装備できる天子が居るとぐっと楽になる。

「……やったな、PC」
それで、何か変わったことは? 判ったこととか。
「まず……お前が倒してくれたあれは、守護者ではあっても世界そのものではないようね」
ドユコトー?
「さっきの龍とは別に、姿を見せないけれど世界そのもの、真の元凶が居るはずよ。言ってみれば、私と紫様の関係のようなものね」
式とその使い手の関係。あれだけ強い龍だったのに、それを使う何者かがいるってことか……。
「私達ではその居場所を探ることすら出来ないが……」
「絶望的な意見だけど、隠しても仕様が無いから言うわね」

 

「恐らく……この世界が消えるということはありえないということさ」
それは……どういう?
「ここが終わるってことは、全てがゼロになるっていうのと同じなんじゃないかなってこと」
「最初に、ここへ来た時に言ったわね、【始まりの場所】だと。全ての世界がその形を保ち続ける限り、この場所、真界は在り続けるのよ。逆に、ここが消えたら派生している世界全てがどうなるかなんて保証もできない」
「本気でどうにかしようと思ったら、私たちも全ての世界もどうなるか判らない。触らぬ神に祟りなし、だよ」
つまり……どうしようもないってことかよ。なんだよそれ……。
「気に病んでも仕方無いよ。帰ろう? 世界は消えなくても、守護者が消えたことでヴォイドウォーカーの出現は止むはずだから」
……判った。

 
 
 

二人の式を連れてロ理事長の下へ戻った三人は、早速真界での出来事を話した。
紫はしばらく思案している様子だったが、やがて口を開いた。
「世界の始まりって考えたことある?」
「いきなりどうしたんですか?」
「まあ最後まで聞きなさいな。
 ……今の私たちに至るまで一体どれほどのことが起こったのかとか……想像もつかないでしょう。
 限りある生命持つものには到底計り知れない命題でしょうね。
 どれだけ大きな力があったも、私も貴方たちも個で見ればちっぽけなものよ。
 抗って、もがいて、それでも必死に生きる。
 それが生命ってものなんじゃないかなってね」
「紫様……」
「ありがとう、PC。ひとまずヴォイドウォーカーの危機は去った。世界は救われたはずよ。真の元凶とやらが気になるけど、これ以上はどうしようもないものね……。これは、お礼の品。大事に使ってちょうだい」

 

「私達はそろそろ自分達の世界に還るわ。PC、貴方に正しい導きがあらんことを……」

報酬/称号

  • 第一章をクリアする
    両手剣「ガラティン」
    盾「英雄の盾」
    上体部装備「マクシミリアン」
  • 第二章をクリアする
    短剣「ソードブレイカー」
    弓「月天弓」
    頭装備「プライマルリボン」
  • 第三章をクリアする
    片手剣「王者の剣」
    両手槍「竜牙槍」
    両手鎌「優美なるダリア」
  • 間章をクリアする
    両手剣「コナン・ザ・グレート」
    弓「アルテミスの弓」
  • 最終章をクリアする
    片手剣「シードクリスタルの剣」
    盾「シードクリスタルの盾」
    装備一式「大歳星君一式」

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