書き起こし/幽言

Last-modified: 2016-06-20 (月) 01:23:08

●序幕 紅魔館とフラワーマスター
場面 紅魔館中庭フラワーガーデン その外周の一角にあるバラの垣根。
BGM
きゃーきゃー言っているフラン、こいしの笑い声など
幽香の指示のもと、フランとこいしが薔薇の剪定※1に勤しんでいる。
その輪から一歩後ろに外れて美鈴が、3人(主にフラン)を見守っている。
みんな笑顔である。作業をしている3人、和やかに楽しそうに会話をしつつ。


こいし「ねえ幽香、ここも切っちゃっていいの?」
幽香、こいしの示す枝を観察して。
幽香「ん、いいわ。やってあげて」
こいし「うん」
幽香「トゲに気をつけるのよ」
美鈴ナレ「こんにちは、こんばんわ、おはようございます。みなさんいかがお過ごしでしょうか。私、紅美鈴と申します。ここ紅魔館で門番などやっておりまして。他にもここのおっきい庭を使ってガーデニングなども手がけておりまして」
こいし「うん・・・えい!」
フラン、こいしの様子をみながら。台詞リンク
フラン「おー・・・おお!」
パチン。ハサミを入れるこいし。
こいし「これでいい?」
幽香「ええ上手よ。こいしは優秀だわ」
こいし「バラのお花は好きなの。自分でお手入れするのは初めてだけど」
少し驚いたように、嬉しそうに幽香
幽香「そう、私も大好きよ。この子達を好きでいてくれるあなたもね」
頭をなでる幽香
こいし「えへへ~・・・」
美鈴ナレ「こちらの緑っぽいお嬢さんは古明地こいしちゃん。とあるご縁で我が主の妹様、フランドールお嬢様の新しいお友達になってくれた子です。実に喜ばしい」
褒められているこいしを見て、ちょっとヤキモチを焼くフラン。
フラン「むー・・・こいし!次フラン!フランもやるの!」
こいし「はい」
ハサミをフランに渡すこいし。
得意げにこいしから渡されたハサミを手にするフラン
フラン「えへ~・・・」
次第にバラを前に戸惑いはじめる
フラン「えっとぉ・・・ねえ幽香、どれを壊せばいいの?」
美鈴ナレ「壊しちゃいけないお嬢様」
少し困ったように呆れたようにそれでも優しく幽香
幽香「壊しちゃだめよ。悪い枝を除いてあげるの」
フラン「なにか違うの?」
フランを傷つけないように慎重に言葉を選ぶ幽香。それでも迷わず素早く回答をする。
幽香「お手入れはハサミで枝を切る作業よね?でもこれはこの子たちのために愛情をこめてやってあげるのことなのよ。壊すことに愛情がいるのかしら?」
美鈴ナレ「いい回答です。やはりこの妖怪、只者ではない」
フラン「ん~・・・フランの物になんないなら壊していいってこと?」
美鈴ナレ「どういう経緯でその発想でその考えに至るのです。フランお嬢様もまた只者ではなかった」
ずれているフラン。
だが幽香は共感できるようだ。自分の言い方が少し間違っていたことに気がついたように相槌をうち
幽香「そうね。でも死ぬまで壊しちゃだめ。あなたに手を加えられる事の、その悦びを、じっくり伝えてあげることが大事なの」
美鈴ナレ「ノット只者1号がおかしなことをいい出した」
少し考えてこんでフラン
フラン「ん~・・・じゃあ魔理沙も壊していいの?」
美鈴ナレ「なぜその発想に至るのですお嬢様。ていうか今その人間関係ないですよね」
関心したように幽香
幽香「もちろんよ。人間は弱いから気をつけて。すぐに力をこめないで、じっくり、少しづつ」
なにかを悟ったフラン、幽香の言葉をつぐように
フラン「(わかった!)愛情をこめてね!」
幽香「そう。フランちゃんは賢い子ね」
美鈴ナレ「だめだ、この方々はやくなんとかしないと」
頭をなでる幽香
フラン「えへ~」
キョトンとしてこいし
こいし「私よくわかんないよ?」
幽香「大丈夫よ、こいしも大きくなればわかるわ」
得意げにフラン
フラン「そうね、こいしも大きくなればわかるわ」
こいし「ふーん?」
美鈴ナレ「そのままの君でいてと言わざるを得ない」
幽香「さて、続きをしましょうか」
フラン・こいし「うん!」
語りの方向を観客に切り替えて
美鈴ナレ「あ、すみません。ほったらかしにしちゃいました。えー・・・ご覧の通りの状況なのですが・・・どうしてこうなっているのか、気になってるんですよね?えーっとですねぇ・・・それをお伝えするには、今よりちょっと前にさかのぼってお話しをしなくてならないのです」


●1幕 冬の太陽の畑
場転 太陽の畑 ひまわり畑の外れ
すこし歩くとエリーとくるみの住む小屋がある
しんしんと雪が降る中、パンジーの世話をしている幽香
幽香の鼻歌。歌う曲は幽夢※後ほどyoutubeのURLを送ります
隣でその様子みているくるみ 退屈そうに アンニュイである


くるみ「ねえ、ゆうかりん、この花なに?さっきからなにやってるの?」
幽香「この子はパンジーよ。この子の花がらを摘んでいるの」
くるみ「はながら?」
幽香「花が枯れた後につく実のことよ」
くるみ「ふうん」
幽香「他の子にも長く咲いて欲しいからね。こうして剪定してあげるのよ」
くるみ「甲斐甲斐しいんだね。能力使ってパパッとやっちゃえばいいのに」
幽香「お花はね、愛情に飢えてるの。大事にしてあげることが大切なのよ」
くるみ「ふーん・・・」
幽香「くるみもやってみる?」
くるみ「うん・・・あ、いいや。おうち戻ってる、ね」
幽香「そ?」

幽香鼻歌にもどる
しばらく幽香の様子を見ていたが、やがて小走りに離れるくるみ
水の入ったバケツを持ってやってきたエリーと鉢合わせ

エリー「あらくるみ」
くるみ「エリー」
エリー「帰るの?いいの幽香ちゃんについてなくて」
くるみ「あ、うん。エリーは?」

バケツを見せて

エリー「これよ。幽香ちゃんに頼まれてお花にあげる水をくみにね」
くるみ「ふうん」
エリー「どうしたの?くるみ、元気ないわね」
くるみ「うん・・・」
エリー「大丈夫?吸血鬼も風邪ひくのかしら?」
くるみ「そゆんじゃなくってさ」

エリー諭すようにやさしく

エリー「なにか気になることでもあった?」
くるみ「なんかさ・・・ゆうかりん変わったね」
エリー「そう?」

幽香の方を一瞥するエリー
幽香の鼻歌

エリー「あの子はいつもああだと思うけど」
くるみ「・・・・いいや、なんでもない。天気もいいし今日は帰ってもう寝るね」

飛んでいってしまうくるみ
呼び止めようとするエリー

エリー「あ、くるみ!・・・どうしたのかしらあの子」

幽香の鼻歌を止めて話しかけてくる
距離、やや遠い

幽香「エリーお水は汲んできてくれた?」
エリー「え、ええ」

小走りに駆け寄るエリー

幽香「そ、じゃあこの子達にあげて頂戴。水溜りにならないように柄杓で満遍なくおねがいね」

エリー、幽香それぞれ作業をしながら

エリー「ねえ幽香ちゃん、くるみ、なにか様子がおかしくなかった?」

幽香ひとりごちているが、やがてエリーの花の世話の様子を気にかけて

幽香「どうだったかしら。もうすこし多めにあげていいわよ」
エリー「あ、はい」

エリー「元気がなかったわ」
幽香「しおらしいくるみなんてめずらしいわね」
エリー「ええ・・・なにかあったのかしら」
幽香「人でも食べて一眠りすれば元気になるんじゃない?」
エリー「だといいけど」
幽香「くす」
エリー「え?な、なに?」

小さくくすくすと可笑しそうに笑う幽香

幽香「あなた変わったわね」
エリー「え?そ、そう?・・・」
幽香「そんなにくるみが心配?」
エリー「そりゃまぁ・・・そういえばくるみもそんなこと言ってたわ」
幽香「ふうん?」
エリー「ええ、幽香ちゃんが変わったって」
幽香「私が?」

すこし驚くが、すぐに平然と

幽香「そう」

二人の間にアンニュイな空気が流れる

エリー「ねえ、幽香ちゃん・・・」

それを打ち破るように美鈴、フラン、こいし登場

美鈴「たーのもー!!」
こいし「もー!!」

少しイラっと幽香

幽香「だれ?」
美鈴「こんにちわ!幽香さん、お久しぶりです!」
幽香「誰よあなた」
こいし「こんにちわー!」
幽香「騒がしいのは好きではないのだけれど」
美鈴「何言ってるんですか、挨拶は元気が一番です!ね、こいしちゃん?」

よくわかってないこいし。あほっぽく笑う

こいし「元気?うん!元気が一番だね?あはははは」
美鈴「こいしちゃんは元気だなー!あ、こちらの方ははじめてですね!始めまして!私、紅美鈴っていいます」
エリー「え?あ、はい」

おずおずと美鈴の後ろに隠れようとするフラン
外を出歩かないので人見知りなんである

フラン「めーりーん・・・」
美鈴「ほら、お嬢様も」
フラン「うん」
美鈴「さんはい!」
フラン「ふ・・・フランドール・スカーレットよ」
幽香「スカーレット」
美鈴「はい。私達、紅魔館から来たんです」
エリー「え?・・・それじゃあその子・・・」
美鈴「はい。レミリア・スカーレット様の妹様です」
幽香「そっちの子は?」
こいし「こいしだよ?」
幽香「そう、可愛らしい帽子ね、こいしちゃん」
こいし「うん!お姉ちゃんがくれたの!似合う似合う?」
幽香「ええ、とっても」
こいし「あははは~」
幽香「ふふ」
エリー「え、えーっと・・・それで、なにしにきたの?あなた方は」
美鈴「あ、こちらのこいしちゃんがですね、バラを垣根ごとくれたんですけど」
エリー「垣根ごと」
こいし「うん。あははは~」
エリー「ご、豪快なのねえ」
美鈴「バラってお世話が難しそうじゃないですか。私だけじゃ不安で」

ちょっとすごんで幽香

幽香「で?」
美鈴「それで、幽香さんにご教授お願いしようと思いまして。フラワーマスターとか呼ばれちゃってるし」
幽香「つまりどういうこと?」
美鈴「お手入れ手伝って欲しいんですよ」
幽香「・・・」
美鈴「あれ?なんか変な事言いました?」
エリー「あなたねぇ、幽香ちゃんに庭師の真似事をしろって言うの?」
美鈴「え?なんかまずいですか?」
エリー「あたなみたいなのを厚顔無恥って言うのよ」
美鈴「こー・・・なんかヒワイですね」
エリー「なっ!?は、破廉恥な・・・あれ?」
美鈴「ん?」
エリー「あなた、美鈴さんって言ったかしら?」
美鈴「あ、はい」
エリー「ん~・・・」
美鈴「なんです?私の顔になんかついてます?」
エリー「ねえあなた。どこかで会ったことがある?」
美鈴「え?はじめてだと、思います、けど・・・?」
エリー「なんか見覚えがある気が・・・ねぇあなた、バトンとか得意じゃない?」
美鈴「バトンですか?」

幽香突然立ち上がり

幽香「エリー」
エリー「は、はい!」
幽香「留守を頼むわ」
エリー「え?」

幽香、美鈴を値踏むように見つめて

幽香「あなた・・・あそこのお花を世話していた子ね」
美鈴「はい。本業は門番ですけど」
幽香「いいわ。少し遊んであげる」
エリー「ええええ!?」
美鈴「ほんとですかー!ばんざーい!これでお庭にバラが咲きますよ、お嬢様」
フラン「うん!」
エリー「ちょ、ちょっと幽香ちゃん!」
美鈴「ありがとうございます!フランドールお嬢様もお礼しましょうね!」
フラン「う・・・あ、ありがと・・・えっと・・・」
幽香「幽香でいいわ」
フラン「ありがと、幽香」
幽香「ええ。よろしくねフランちゃん」
フラン「えへへへ・・・」
幽香「それにこいしちゃんと」

背後に悪寒を感じる美鈴。共鳴音

美鈴「え?」
幽香「美鈴、だったかしら」
美鈴「えーっと・・・はい!よろしくお願いします!」

●2幕 一方そのころ地霊殿

場転 灼熱地獄跡から地霊殿へ向かう道中
お燐が灼熱地獄跡に燃料の死体をくべる仕事を終えて地霊殿に帰るところ
殺伐としたアンビエントなBGM
お燐、車を押しながら雰囲気にそぐわないわけのわからない歌を楽しそうに歌っている
がらがらと空の手押し車を押す音

お燐「にゃーんにゃんにゃーんにゃん♪にゃんにゃかにゃんにゃんにゃーん♪さとりさまー!たっだいまもどりましたぁー!!・・・あにゃ?」

1人地霊殿玉座(?)に座っているさとり ひとりためいき

さとり「はあ・・・」
お燐「さとりさまぁ?」

心を読んださとり、お燐の言葉を待たずに返事をする

さとり「なんで元気ないんですか、ね。やっぱりそんな風にみえる?」

お燐心配そうに

お燐「にゃあ」
さとり「ごめんね。心配かけちゃって」

さとりを心配して膝に甘える様によりつくお燐

お燐「さとりさま~」
さとり「うんそう、こいしのことが気になっちゃって」
お燐「地上に出られてずいぶんたちますもんねぇ」
さとり「ええ、心配してもしょうがないってわかってるんだけど、なんていうかあの子はその・・・危なっかしいところがあるじゃない?」
お燐「リベラルなお方ですからにゃ~」
さとり「私の気持ちもしらないで・・・って、だめね、私。信じてあげるって決めたのに」
お燐「そそそ、そんなこと!さとり様はお優しくていらっしゃいますよ!」

突然疾風、ガラスの割れる音と爆音

お燐「にゃあー!!?」

窓ガラスが割れて何者かが着地の爆音
お空登場

お空「さとりさまただいま~」
お燐「おまーは玄関から入ってこれないのかいね?」
お空「うん?」
さとり「おかえり、お空」
お燐「冷静ですねさとり様」
さとり「今日ははやいのね?」
お空「うん。神奈子様がねナントカが・・・ナントカだから・・・しばらく私はいいって」
お燐「そうか、ナントカか」
お空「うん」
さとり「じゃあしばらくあっちはお休みなのね。よかったねお空」
お空「うん!さとりさま遊んで~」

お燐、さえぎるように小声でお空を呼びつける

お燐「お空お空!」
お空「なに?」
お燐「さとり様がのー、こいし様のことが心配で元気ないんよ」
お空「え!?こいしさま殺し屋に狙われるの!?」
お燐「飛躍しすぎだにゃ。ほら、こいし様地上に出られてしばらくたつじゃないさ?」
お空「うん。・・・そうだっけ?」
お燐「さとり様はこいし様の身の上を案じてらっしゃるのよ」
お空「みのうえ~?」
お燐「そーゆーことだにゃあ・・・」
お空「・・・あ!うつほも心配!さとりさま!うつほもこいしさまのこと心配だよ!」
さとり「そう・・・」
お空「帰り道わすれて迷子になってるのかも」
さとり「う・・・」
お燐「おまーじゃねーんだから」
お空「ねえさとりさま、こいしさま寂しくないかな?ちゃんとご飯食べてるかな?」
さとり「うう・・・・うああん!こしい!こいし~!!」

つられて泣き出すお空

お空「さとりさまなかないで。さとりさまぁ・・・ふあ、ふああああん」
さとり「お空~」
お空「さとりさま~」

二人抱き合ってわんわん泣いている

お燐「悲しみの連鎖はこうしてはじまるんだにゃあ・・・じゃくて、さとり様」
さとり「ぐすっぐすっ・・・なに?」
お燐「あたいがちょっくら行ってこいし様の様子見てきますよ」
さとり「え?」
お燐「あたい今、上の神社にいるでしょ?あそこはいろんな妖怪来ますから、そいつらに話聞いてまわればこいし様の居場所なんてすぐですよ」
お空「どゆこと?」
お燐「潜入捜査にゃ」
お空「ふうん?」
さとり「だ、だめよそんな。だってお燐は仕事が忙しくて・・・」

遮る様にお燐

お燐「さとり様!」
さとり「はい!」
お燐「あたいもお空も、さとり様と一緒でこいし様が心配なんですよ」
お空「そうだよさとりさま」

さとりしばらくうつむいているがやがて顔をあげて

さとり「・・・お燐」
お燐「にゃにゃん?」
さとり「その・・・それ、地上の様子見なんだけど、あなたにお願いしてもいいかしら・・・」
お燐「おっまかせくださぁい!」
お空「やったー!うつほも行く!」
お燐「おっと、おまーはお留守番だにゃ」
お空「え?なんで?うつほもいくよ!」
お燐「お空は上じゃ目立っちゃうでしょ。あたい1匹で行ってくる」
お空「ずるい!お燐ばっかりずるい!」
お燐「それに神様のお仕事、アレ次はいつあるんよ?」
お空「次?次はえっとねぇ~・・・あれ?」
お燐「ほれみたことか。おまーはさとり様についててあげな」

お空さとりを一瞥して

お空「さとりさま・・・うん!わかった!」

さとり微笑んで

さとり「お燐」
お燐「にゃあ?」
さとり「お空」
お空「ふあ?」
さとり「二人共ありがとう。あなた達がいてくれてどれだけ救われているか・・・私は幸せ者だわ」
お空「いひひひ」
お燐「にゃははは~」
さとり「お燐・・・こいしをよろしくね」
お燐「にゃー!!」
さとり「くす、ドロ船に乗ったつもりで待っててください、ですか。お燐、そういう時は大船に乗ったつもりでって言うのよ?」

●3幕 遅れてきた悪魔

場転 エリーとくるみのねぐら。四畳半くらいの小さな小屋
そこに帰ってくるエリー。
さきにもどっているだろうくるみに気を使いノック、中に入るエリー。

エリー「くるみ、いる?」
くるみ「ん~・・・」
エリー「ただいま」
くるみ「ゆうかりんは?」
エリー「紅魔館に行ったわ。庭師を頼まれて」
くるみ「ふうん・・・」
エリー「驚かないのね」
くるみ「・・・」
エリー「何を考えてるのかしらね。気まぐれなんだから」
くるみ「ねえエリー」
エリー「ん?」
くるみ「私、地獄に帰ろうと思うんだ」
エリー「・・・え?」

二人の会話の途中からエネルギーがたまるっぽい音が徐々にフェードインしてくる
爆発音
突如、登場する夢月・幻月姉妹
爆発が収まると同時に幻月の高笑い

幻月「おーっほっほっほっほ!超絶華麗に、私(わたしく)参っ上!ですわぁ!」
夢月「さんじょー」
幻月「さあ幽香様!お待たせいたしましたわね!我々が来ましたからにはなにも案ずることはございませんことよー!おーっほっほっほっほ!」
くるみ「けほっけほっ」

瓦礫が崩れる音。むせるくるみの声。間

幻月「およ?」
夢月「ねーさま。幽香様がいない」
幻月「なんですって!」
夢月「でるとこ間違えたかな」
幻月「ノウ!断じてノウよむっちゃん!いいこと?誇り高きエリート悪魔である私に間違えなど万が一にもありませんの。お分かり?」
夢月「うん、わかった」
幻月「イエス!その回答、実にイエスですわ!」
夢月「じゃあどうしたんだろ」
エリー「幽香ちゃんなら出かけて留守よ」
幻月「ほらご覧なさい。私に失敗などあり得ないのですわ」
エリー「夢月、幻月・・・」
夢月「こんにちは」
幻月「あら?誰かいるかと思えば、落ちこぼれの死神と下級バンパイアのクズコンビじゃありませんの」
エリー「あなた・・・いきなり出て来て、喧嘩うってるの?」
幻月「いやですわ喧嘩だなんて。私は事実を申し上げただけじゃございませんの。クズをクズと申し上げてなにか差し支えありますかしら?」
エリー「幻月・・・相変わらずね」

なにもない空間から鎌を取り出すエリー

幻月「相変わらずはあなたですわ。血筋の安さって態度ににじみ出ちゃうんですのねぇ」
エリー「てめえはみじん切りだ」
くるみ「熱くなっちゃだめだよエリー」
幻月「そこの吸血鬼の言う通りですわ!あなたごときが誇り高きエリート悪魔である私に決闘を挑んだところで万が一にも勝ち目はないことぐらいお分かりございませんの?」

夢月、幻月をさえぎるように

夢月「ねーさまいいすぎ」
幻月「なんですって」
夢月「悪魔の交渉マニュアル第2条、相手のメンツをつぶしてはいけない。エリー、くるみん、久しぶり。ねーさまがごめんなさい」
くるみ「むっちゃん。元気してた?」
夢月「僕はいつでも元気」
幻月「駄目よむっちゃん!こんな低級悪魔に頭を下げちゃ・・・」

夢月、幻月の言葉をさえぎるように

夢月「ねーさま。・・・お友達にひどいこと言うねーさまは・・・嫌い」

がーん

幻月「う、うそ・・・いやよむっちゃん!ねーさまを嫌いにならないでぇ!」
夢月「ねーさま。お友達にご挨拶」
幻月「う!?・・・い、いやよ、なんで誇り高きエリートであるこの私が・・・」
夢月「ねーさま」
幻月「あの方々はお友達なんかじゃ・・・」
夢月「ご挨拶できないねーさまは・・・」
幻月「エリーさん!くるみさん!お久しぶりですわね!優雅に可憐に今、私参上!ですわ!おーっほっほっほっほ!!・・・ほほほ、ほ、ほ・・・」

幻月「チラッ・・・」

夢月「ねーさまがアレでごめんなさい」
幻月「むっちゃん!?」
夢月「ぷい」
幻月「むっちゃあああん!!!」
エリー「ぷっ・・・いいわ。夢月に免じて納めてあげる」

ぶうん 鎌を消すエリー

夢月「ありがとうエリー」
幻月「ぐぎぃいいい・・・なに上から目線気取ってますの。なまいきですわぁ・・・!!」
エリー「ふふん。いいの幻月?夢月がみてるわよ?」
夢月「じー・・・」
幻月「む、むっちゃん・・・・うきぃいいいい!!!」
くるみ「ねえ、エリー、幻月、こういうのやめようよ。久しぶりに会えて私は嬉しいよ」
エリー「くるみ・・・はぁ・・・そうね。私も悪かったわ幻月」
夢月「ねーさま」
幻月「私は・・・こほん・・・。身のほどさえわきまえてさえくだされば、関大な私はなにも言うことありませんことよ」
くるみ「うん。気をつけるよ」
幻月「・・・ふん、のーてんきなコですこと」
エリー「でも、どうしてくれるのよこれ。派手な登場してくれて。せっかく建てた新夢幻館が台無しだわ」
幻月「夢幻館!?この掘っ立て小屋が!?こんなのキン肉ハウスじゃございませんの!!」
エリー・くるみ「う・・・」
エリー「しかたないじゃない。土方なんて初めてなんだもの」
幻月「黙りなさい。キン肉ハウスなど幽香様に似つかわしくありません」
夢月「悪魔の交渉マニュアル第4条、言うべきことははっきり伝えなければいけない。ごめん二人とも、僕もそう思う」
エリー「だ、だって・・・」
幻月「嘆かわしい・・・かつての夢幻館は宇宙をも内包する、それはそれはすばらしい趣向の館でございましたのに・・・」
エリー「しかたないじゃない。しかたないじゃない」
幻月「・・・はぁ、なっさけないですわねぇ」
くるみ「ごめん幻月、でもわたし達もがんばったんだよ」
幻月「そうじゃありませんわ。・・・エリー」
エリー「な、なによ・・・?」

幻月、深刻に

幻月「あなた、その口グセまだ治ってませんのね」
エリー「・・・え?」

幻月、パッと雰囲気を改めて

幻月「なんでもありませんわ!・・・さあ!行きますわよむっちゃん」
夢月「うん」
くるみ「え?どこいくの?」
夢月「幽香様のところ」
幻月「我々はあなた方のようにヒマじゃありませんの!いますぐにでも幽香様をお迎えにあがらなくては!」
夢月「うん」
エリー「幽香ちゃんを?お迎えって・・・」
幻月「いいですこと?我々はあなた方がボサーッとしている間に準備をしていましたの」
夢月「明星に次ぐ、地獄の最下層を治める新たな悪魔を迎える準備」
くるみ「みょうじょう?」
幻月「政治的手続き、貴族の説得、反抗者の粛清、転生の手段、住民票の手配、ご近所様へのご挨拶、その他諸々含めてすべて完了しましたの」
エリー「手続き?地獄の最下層ってまさか・・・」
幻月「お察しの通りのですわ。さきごろ全てが認証されました」
夢月「幽香様は・・・新たな魔王になるんだよ」

●4幕

場転 紅魔館 序幕の続き
3人の庭仕事が続いている

そこに現れる黒猫 スタッっと着地する音
猫の鳴き声。声の主はお燐である

猫燐「にゃ~ん」

やがて幽香たちをみつける

猫燐「んにゃ?」

走り寄るお燐。ガサガサと茂みに隠れる

猫燐「にゃー・・・」
幽香「さあフランドールお嬢様。このバラにあなたの愛情をこめてあげて?」

元気良く応えるが、次第に気後れをするフラン

フラン「うん!・・・う~・・・」
幽香「慌てないでも大丈夫よ。まずはこの子たちの事をよく見て」

回答を求めるようにフラン

フラン「見ればわかる?」
幽香「それはフランドール次第だわ。剪定は大事なお手入れだけど、切られればこの子たちは痛いのよ?」
こいし「いたいのはやだね」

こいしを見つけるお燐

猫燐「にゃあ!!」

がさがさ

幽香「そうね。だからこの子の気持ちになってあげるの。ほら」
フラン「う、うん・・・」
こいし「がんばれフランちゃん」

あ~だの、う~だの戸惑うフラン。やがて美鈴が優しく声をかける。

美鈴「フランドールお嬢様」
フラン「めーりん」

美鈴にっこり微笑んで

美鈴「大丈夫ですよお嬢様。お嬢様なら大丈夫です」
フラン「うん・・・えい!」

パチン。ハサミを入れるフラン。
フラン、恐る恐る幽香の様子をみながら

フラン「・・・どう?」
幽香「いいわよ。よく出来たわね」

ぱあっと明るく笑うフラン

フラン「わあぁ・・・めーりん!みたみた!?あたしもできたー!」
美鈴「すごいすごい!お嬢様~!」
フラン「めーり~ん!」
幽香「その調子で続けてみてご覧なさい」
フラン「うん!」

わいわいしてる3人を微笑ましく見守る美鈴

美鈴「うんうん。いいもんだなぁ」

ワープ音。いつの間にか美鈴の背後にいる咲夜

咲夜「ガーデンローズねえ」
美鈴「あ、咲夜さん。垣根を作ろうと思って」

ぶんぶんと咲夜に手を振るフラン

フラン「さくやー」
こいし「あれだれ?」
フラン「さくやだよ」
こいし「もしかして、にんげん?」
フラン「うん。おもしろいでしょ?あげないよ?」
こいし「ふうん」

咲夜をじーっとみてるこいし

咲夜「珍しいお客様ね」
美鈴「こいしちゃんですよ。フランドールお嬢様の新しいお友達です」
咲夜「すっごいこっちみてるわ」
美鈴「人間が珍しいんですよ。ずっと地底にいたんですって」
咲夜「地底生物ですわ」
こいし「フランちゃん、かしてかして」
咲夜「あ、飽きられた」
フラン「まだフランがやるのー」
幽香「こら、ケンカしないのよ。次はこいしちゃんよ」
こいし「わあい。あはははは~」
咲夜「泥あそびならあなた1人でやればいいでしょうに。妹様がお手を汚し遊ばしてらっしゃるわ」
美鈴「あはははは。難しいお花は苦手なんですよね」
咲夜「それで呼んだのがよりによってアレね」

場所は離れたまま、アレ呼ばわりされたことに反応する幽香

幽香「いま雑音が聞こえたわね」
フラン「幽香~?」
咲夜「デビルイヤーは地獄耳ですわ」
美鈴「うわー!ごめんなさい!強い妖怪がお屋敷にいるのが珍しいもんで警戒してるんです!」
咲夜「当たり前よ」

美鈴小声で咲夜に

美鈴「幽香さんはいい人ですよ」
幽香「メイドが正しいわ。おかしいのはあなた」
美鈴「へ?私?」
咲夜「あの手の妖怪が言うことをいちいち気にしないの。あなたしばらくここにいなさいね」
美鈴「あ、はい。ところで咲夜さん・・・って、あれ?咲夜さん?」

美鈴がしゃべってる間にワープ音。消えている咲夜

こいし「消えた!フランちゃん!にんげん消えた!」
フラン「咲夜にはよくあることよ」
こいし「よく消えるの?」
フラン「うんそう」
こいし「えー・・・そんなにすぐなくなっちゃうの?」
フラン「へいきよ。大体お姉様の近くにあるから」
こいし「へー、あとでちゃんと出てくるんだ・・・にんげんって面白いね」
幽香「こいし!手元に注意して!」
こいし「え?痛っ!」
フラン「あ!」
猫燐「にゃ!!」
こいし「・・・てーきった」
美鈴「大丈夫!?ハサミでやっちゃった!?」
こいし「うぐ・・・い、いたい・・・うあ・・・うあ~ん」
フラン「血が出てる」
幽香「とげにひっかけたのね」
美鈴「どうしようどうしよう、ええと、とりあえず絆創膏と包帯とってきます!!」
幽香「指を切った程度でオタオタしないの。手をかして?」
こいし「え?」
幽香「いたいのいたいのとんでけー・・・ちゅぷ」

こいしの指を咥える幽香

幽香「んふ・・・ん・・・」

幽香の吐息。あざとくない程度のちゅぱ音。やがて離れる

幽香「ちゅぴ。こんなのつばでもつけとけば治るわ」
美鈴「わ、わあお・・・」
こいし「はわわわわ・・・」
幽香「どうしたのあなたたち」
美鈴「なんていうか、幽香さんはセクシーでいらっしゃいます」
こいし「わ、私すごくドキドキしてるよしてるよっ」
幽香「そ?でも痛いのはもう気にならないでしょ」
こいし「う、うん。すごいね幽香、幽香すごいねっ」

ひときわ大きく心臓の音一つ
フラン、淡々と

フラン「どうしようめーりん。フランもどきどきする」
美鈴「お嬢様には刺激が強かったですね~・・・え?」

フラン様子がおかしい。
陶酔したようになっている。

フラン「こいしの血ってとっても紅くて素敵」

こいしにしなだれかかるフラン
その様子に心配して声をかけるこいし

こいし「フランちゃん?どうしたの?」

フラン、やおらこいしの肩をはだけさせる。布破く音。

こいし「え!?」
フラン「綺麗な肌、いい匂い・・・どきどきしちゃうわ・・・」
こいし「あれ?うごけない・・・フランちゃん?」
美鈴「いけない!こいしちゃん!お嬢様の目をみないで!あう!」

がきぃん! 結界が張られるような音
美鈴二人の間に割ってはいるように駆けつけようとするが、こいし同様身動きが取れない

美鈴「なんだ!?・・・くそ!身動きが、取れない!」

フラン、別人のように妖艶に囁く

フラン「ねえこいし、フラン、我慢できないの・・・駄目ぇ?」
こいし「え?なに?フランちゃん?」

飛んでくる猫燐

猫燐「かー!・・・ふぎゃー!!」
美鈴「猫!?」

フランに体当たりをしようとするが、

猫燐「ぎゃん!」

結界に弾かれる猫燐

猫燐「ふしゃー!!」

すぐに取り直し吠える

美鈴「ど、どうしたのこの子?」
猫燐「ふー!」

猫燐「にゃおーん!」

猫燐、遠吠えのように吠えると、ドロンと煙と共に消えてしまう

美鈴「きえちゃった・・・はっ!?お嬢様!」
フラン「ねえ、こいし・・・ちょうだい?」

口を開くフラン。八重歯が釣り針のように長く鋭くなっている

こいし「な、なにするのフランちゃん・・・ねえフランちゃん!」
美鈴「フランドール!やめなさい!!!」

重い息を漏らし、こいしの首筋に噛み付こうとする

フラン「かぁあああ・・・」
幽香「めっ」

ゴイーン
幽香に強かゲンコツをもらうフラン

フラン「いたい・・・いたぁーい!!」
美鈴「ゆ、幽香さん?」
フラン「ぎゃあー!」
幽香「頭小突かれたくらいで、ぴーぴー泣かないの」
フラン「めーりん!!ぶったぁ!ゆーかがぶったぁ!!」
美鈴「え、えっと・・・その・・・」
幽香「なに牙をつきたてようとしてるのよ。こいしちゃんはあなたの友達なんでしょ?」
美鈴「あっ!そうですお嬢様!」
こいし「え?え?え?」
美鈴「ごめん、こいしちゃん!お嬢様も謝って」
フラン「めーりん?」

泣きながら困惑するフラン

美鈴「謝ってください」
フラン「フランなにもしてない・・・」

困惑していたが、やがて自分が受けている理不尽に怒りだすフラン

フラン「フラン悪くないもん!」
美鈴「ダメですよそんな・・・」
幽香「待って」
美鈴「え?」
幽香「フランちゃん」

語気に殺気をふくんでいるフラン

フラン「幽香はフランをぶった」
幽香「ごめんねフランちゃん。ちゃんと理由をお話してあげるから許してくれないかしら?」
フラン「・・・・」
幽香「ね?」
フラン「・・・いいわ。幽香はお友達だもの・・・特別に許してあげる」
幽香「ありがと」
フラン「そのかわりちゃんと納得のいく説明をするのよ?」
幽香「ええ・・・こいしちゃん大丈夫?」
こいし「あ、うん。ちょっとびっくりしたけど。フランちゃんどしたの?」
幽香「こいしちゃんに発情しちゃったのね」
こいし「はつ・・・ええええええ!?私、女の子だよ女の子だよ!?」
幽香「吸血衝動というやつよ。血をみてスイッチが入っちゃったのね」
フラン「フランが~?」
幽香「そう」
こいし「そ、そっか・・・フランちゃん吸血鬼だもんね」
フラン「ん?うん」
こいし「おかげでこいしちゃんはどきどきがとまりませんが」
幽香「それだけ好かれてるってことよ。ね?フランちゃん」
フラン「ん?うん。こいしは好きよ」
幽香「ああいうときはゲンコツ入れれば大体治るってわけ」
フラン「そか。じゃあしょうがないね。まだじんじんするけど」
幽香「ごめんね」
フラン「いいわ。幽香はちゃんとお話してくれたもの。あたしお友達には寛容なのよ?」
こいし「私ももう気にしてないよー」
フラン「ありがとうこいし」
こいし「ハートでちゃうかとおもっちゃったけど」
幽香「しかし・・・呆れたわ。あのときの対処を教えてないなんて」
美鈴「え、ええ・・・フランドール様にはまだはやいってお嬢様が・・・」
幽香「フランちゃんは立派なレディーよ」
美鈴「っていうか、お詳しいですね幽香さん。吸血鬼のこと。びっくりしました」
幽香「ま、いろいろあって大体ね・・・いいところも悪いところも」
美鈴「へー」
幽香「じゃあ今日はこれくらいにしましょうか。気もそれちゃったし」
フラン「きょうは~?」
こいし「これくらい?」
幽香「お花の世話よ。続きはまた今度にしましょ」
美鈴「えーっと、じゃあ・・・お開きですか?」
幽香「そうね、これからフランちゃんのお勉強の続き、なんてどう?」
美鈴「え、えー?・・・セクシーなやつはNGですよ・・・?」
幽香「馬鹿ね。まずは恋人とお友達の区別を体ができるようにならないと。いまのままじゃフランちゃん、友達できるたびに風穴をあけちゃうわよ?」
こいし「風穴はきびしいねっ」
フラン「ん?うん」
美鈴「あの~・・・それって具体的にはなにをなさるんですか?」
幽香「そうね・・・フランちゃん」
フラン「ん?」
幽香「こいしちゃん」
こいし「なに?」
幽香「私の家でパジャマパーティしよっか?」
フラン「パジャマパーティ!!?・・・ってなに?」
美鈴「お、お泊り会ですかぁ・・・大丈夫かなぁ」
フラン「やる~!あたしやりたーい!」
こいし「わーいわーい」
幽香「よし!じゃあついてらっしゃい。買い物にいくわよ」
フラン「お買い物?フランお買い物するの!?」
幽香「そうよ。ふふふ。じゃ、美鈴」
美鈴「はい」
幽香「『あとのこと』はよろしくね」
美鈴「え?あ・・・はいー・・・・」

紅魔館をさる、幽香、こいし、フラン
見送る美鈴
館の中から一部始終をみていたレミリア
雷鳴

レミリア「ふ・・・くっくっくっくっ、はーっはっはっはっは!・・・・咲夜」
咲夜「はい。お嬢様」
レミリア「これは一体どういうことなのかしら」
咲夜「青天の霹靂ですわ」

雷鳴

レミリア「咲夜」
咲夜「はい。お嬢様」
レミリア「フランがさらわれていくわ」
咲夜「はじめてのお泊り会ですわ」
レミリア「どーして止めないのよ!!」
咲夜「お互い合意の上での行為ですわ」
レミリア「くっ・・・言葉には気をつけない咲夜、言い回しがセクシーだわ」
咲夜「恐れながらお嬢様、お泊り会くらいべつにどうでもいーんじゃないかと」
レミリア「おまえ・・・フランに万が一があったらどーすんのよ!」
咲夜「セクシーな言い回ししか思いつかない咲夜は言葉を自重いたします」
レミリア「さっきも!・・・殴って泣かせたわ。フランに!私のフランに手を上げるなんて!!」
咲夜「ゆとりのない教育方針ですわ」
レミリア「しかも!!・・・みたわよ・・・あの妖怪・・・フランの、フランのは、はじ・・・はじめてを!!あんな、あんな妖怪が!!」
咲夜「黒っぽいのの時もあんなんなってましたわ」
レミリア「咲夜!!」
咲夜「はい。お嬢様」
レミリア「どうすんのこれ?ねえ?どう落とし前つけてくれんのよ、これ」
咲夜「お帰りになられましたら、暖かくお出迎えいたしましょう」
レミリア「おまえが責任を取りなさい」
咲夜「はい。かしこまりました」
レミリア「どこでなにをすればいいかは・・・わかるわね?」
咲夜「そろそろ厨房で夕食の準備ですわ」
レミリア「今夜のディナーには希少品はいらないわ」
咲夜「かしこまりました」
レミリア「食卓は妖怪で飾りなさい」
咲夜「三界の珍味ですわ」
レミリア「そう、特に花の妖怪が好ましいわね」

雷鳴 ボスっぽいBGM

咲夜「かしこまりました。レミリアお嬢様」
レミリア「速やかに、エレガントに、紅魔館のメイド長として恥ずかしくないよう振る舞うのよ」
咲夜「かしこまりました」
レミリア「よし、朗報を待つ。さぁ、行きなさい咲夜」

●5幕
場転 再び太陽の畑 新夢幻館

戻っていきてる夢月と幻月

幻月「なんで幽香様はどこにもいませんの・・・」
夢月「ねーさま、僕おなかすいた」
エリー「馬鹿ねぇ、どうして場所もきかないで飛んでっちゃうのよ、あなたは」
幻月「ドでかいお世話ですわ」
夢月「悪魔の交渉マニュアル第11条、交渉相手のリサーチは十分に行うこと。さっき紅魔館ってとこにいるっていってたよね。エリー、場所を教えて」
エリー「知らないわよ」
幻月「なんです!結局知らんないんじゃありませんの!役立たずですわね!!」
エリー「待ってれば戻ってくるわよ。そんなことより、くるみ・・・さっきの話・・・」
幻月「そんなこととはなんです!そんなこととは!」
エリー「帰るって・・・地獄に帰るってどういうこと?」
くるみ「どういうこともなにも、そのままの意味だよ」

幻月どうでもよさそうに

幻月「ホームシックってやつですの~?」
くるみ「ううん・・・私、家もないし、パパもママもいないから」
幻月「はっ、そうでしわね。ざまーねーこってすわ~」
夢月「ねーさま」
幻月「え?なんですの?いまのは私悪くないですわよねぇ!?」
エリー「あなたねぇ・・・」
くるみ「いいよ。本当のことだもん。ゆうかりんが拾ってくれなかったら、いまごろ罰を受ける側になってたから」
幻月「いかにも。地獄は我々悪魔が住まうために用意された世界ではありません」
夢月「地獄はあまたの罪人を、罪をほろぼすために落とし、罰を与えるための世界」
幻月「罪の前では人間も悪魔も平等ですわ」
夢月「罰を受け側、与える側。地獄でその立場を決めるのは」
幻月「力ですわ。権力、財力、戦闘力。力の前では地獄のルールは裏返る」
夢月「罪人はすべてが無力なわけじゃない」
幻月「かつて神に挑んだような者もごろごろやってきますわ」
夢月「そんな力をもった者も平等に罰するために」
幻月「より強い力もった者が必要なのです」
夢月「僕たち悪魔は断罪者」
幻月「地獄にルールをもたらすために、我々は罪人を超越しなくてはなりません」
くるみ「・・・でないと地獄の均衡は計れない、だよね」
幻月「そういうことですわね。両親を失い、あなたは地獄であなたを確立する力を失ったのですわ」
くるみ「・・・うん」
エリー「それじゃなおさらじゃない。どうして幽香ちゃんと離れなくていけないの?」
くるみ「帰るだけだよ」
エリー「同じよ。どうして?やっと会えたんじゃない」
くるみ「エリーも聞いたでしょ?ゆうかりん、魔王になるんだって」
エリー「そんなこと私達には・・・」
くるみ「関係あるよ。私にはなんの力もないもん。足でまといになっちゃうのはいやなの」
エリー「で、でも・・・いま地獄に行ったりしたら・・・」
くるみ「ねえエリー・・・私、ゆうかりんに憧れてるんだ。強くて、綺麗で、かっこよくて、怖くて・・・」
エリー「どんなに強い力にも絶対に負けない魂を持っている子」
夢月「誰よりも誇り高く」
幻月「そして、誰よりも孤独、ですわ」

幻月「ふふん、やはり幽香様以上に魔王にふさわしい方はおりませんわね」
くるみ「ゆうかりんを追っかけて幻想郷に来て・・・ゆうかりんね、優しいの、私がなにをしても、いいわねくるみって言ってくれて・・・今日だって私にお花のお手伝いする?って言ってくれたの」
エリー「だったらなんで・・・」
くるみ「あんなの私の知ってるゆうかりんじゃないよ。私の知ってるゆうかりんはもっと強くて・・・それで・・・」
エリー「それは・・・」
くるみ「怖いんだ。私の知ってるゆうかりんがどんどんいなくなっちゃうみたいで」
エリー「・・・」
くるみ「私、ゆうかりんのおかげで生きてる。ゆうかりんがいなきゃ生きていけないよ・・・どうしようエリー、私、ゆうかりんのことがわからないよ。どうしたらいいのエリー」
エリー「くるみ・・・」

●6幕

場 引き続き太陽の畑

ばたん扉をあけしめする音
エリーくるみを残して、新夢幻館の外に出る夢月と幻月

幻月「アホくさ。まるっきり反抗期のガキじゃありませんの」
夢月「僕は・・・くるみんの気持ち、わかるな」
幻月「しっかりなさいなむっちゃん」

BGM 霊知の太陽信仰じょじょにフェードインしてくる
幻月、気を引き締めた顔になっている

幻月「ここまで敵意に近づかれてのほほんと思春期トークしてるような連中みたいになっちゃいけませんわよ」
夢月「うん。わかってる・・・くるよ」

幻月嬉しそうに

幻月「敵ですわ。ビリビリ来ほど巨大な敵意。大物ですわよー!!」

BGM タイミング、イントロ部分終わりAパートでだしのタイミングに合わせ
お空、怒りもあらわに叫びながら突っ込んでくる

お空「こいし様を泣かせたのはおまえかー!!!」

ビームを放つお空

幻月「出ましたわ。むっちゃん!」
夢月「うん」

ぶうん結界が張られる
ビーム、遮られ、爆発音
お空におぶさっているお燐叫ぶ

お燐「あそこだにゃ!ぶっ放せお空!」
お空「うおりゃー!!!!」

ビームを放つお空
爆発音
小屋から出てくるエリー、くるみ

エリー「なに!?」

幻月嬉しそうに

幻月「みてわかりませんの?敵ですわ」
エリー「妖怪!?」
くるみ「ちょうどいいや・・・むしゃくしゃしてたんだ。誰だか知らないけど私の牙で吸いつくしてやる!」
エリー「ちょっと、くるみ!」
くるみ「はあああ!!」

お空に向かってぶっ飛んでいくくるみ

幻月「あら、なかなか速いじゃありませんの、あのガキんちょ」
夢月「ねーさま、とりさんの背中に乗ってたやつがいない」
幻月「わかってますわー」

しゅたっしゅたっ猫の姿で現れるお燐。
ボワン、煙とともに人間の姿になる
カッっと目を見開く夢月

夢月「ねこさん」
幻月「むっちゃん、この子も敵ですわ」
夢月「ねこさん」
お燐「風見幽香を出せ」
幻月「本人不在でも敵を作るとは。さすが幽香様ですわね」
夢月「ねこさん」
幻月「悪魔の交渉マニュアル第21条、敵はとりかこんでフルボッコですわ。あなた3対1ですのよ」
お燐「用があるのは風見幽香にゃ。とっとと突き出すならおまーらに手荒なマネはしねーのにゃ」
幻月「大した自信ですこと、この私をスルーとは恐れ入りますわね」
夢月「ねーさま大変。ねこさん、にゃって言った」
幻月「言いますわよ猫ですもの」
夢月「ねこさん・・・」
幻月「聞くのもヤボですけど、幽香様に一体なんのご用意ですの」
お燐「なあに、ちょいと首から下を地獄の釜で燃料にしようと思ってにゃあ」
幻月「イエスな回答ですわ。よろしい。私自らお相手してさしあげましょう!」
お燐「にゃあー!!!」

突如共鳴音
ざざざざざざ。ナイフがとんでくるがすんでの所でかわすお燐と幻月

お燐「なにゃ!?」
幻月「な、なんですのこのナイフは!?」

咲夜「不意打ち大失敗ですわ」

BGMフラワリングナイト

エリー「今度はなによ?」
美鈴「さ、咲夜さんやめましょうよ~話せばわかる・・・ってあれ?・・・どこですか!?ここ!!」
咲夜「風見幽香のアジトよ」
美鈴「ええー!?」
咲夜「この中ではえーっと・・・」
幻月「なんですの?私の顔になにかついてまして?」
咲夜「ふむ、あいつが一番面倒くさそうね」

美鈴をスルーしてスペルカードを取り出す咲夜
スペカ音

咲夜「時符プライペートスクウェア」

咲夜の手から箱状の物が放たれ、巨大化。咲夜、美鈴、夢月、エリーをとりこむ
それっぽいSE

エリー「なによこれ!?」

お燐と幻月を残し、消える4人

お燐「消えた・・・」
幻月「むっちゃん?どこにいきましたの!むっちゃーん!」

四角い箱のような空間の中

美鈴「あれ!?また場所が・・・今度はどこなんですか咲夜さーん!」
夢月「閉鎖空間。結界の中・・・ねーさまは外かな」

飛んでくるナイフ

エリー「うわ!」

鎌を出すエリー、ナイフを叩き落とす

咲夜「あら、また外れちゃった」
エリー「いきなりなにするのよ!」
美鈴「す、すみません!咲夜さん、この人達幽香さんの身内の方ですよ?」
咲夜「幽香さんの身内の方だからよ。お嬢様は妖怪の首をご所望ですわ」
夢月「僕たちは妖怪じゃないよ。悪魔だよ」
咲夜「あら奇遇ですわね。悪魔ならウチにも2・5匹ほどおりますわ」
美鈴「ねえ咲夜さん、ケンカはやめません?話合いでなんとかしましょうよ」
咲夜「なるほど?・・・そこのお二方、つかぬことをお伺いしますが」
夢月「ん?」
エリー「な、なによ?」
咲夜「死体になって今夜の食卓に乗ってくださいません?」
夢月「くださいません」
エリー「くださるわけないでしょう・・・」
咲夜「交渉決裂ですわ」
美鈴「咲夜さん・・・」
エリー「あなたねぇ、見ず知らずの人間に頼まれて食材になるやつがどこにいるの」
咲夜「兎は火に飛び込みましたわ」
エリー「私は悪魔です」
夢月「エリー、この人達・・・」

夢月の言葉を遮って時が止まる
時計の秒針の音と共鳴音
時間が戻ると大量のナイフに囲まれている夢月、エリー
エリー、ナイフを全て叩き落とす

エリー「大丈夫?夢月」
夢月「うん。この人達話が通じないと思う」
エリー「そうね。おとなしくしなってもらってからここを脱出しましょう」

鎌ギラーン

咲夜「この手は通じないっぽいわね。面倒だわ」

ナイフを手にして構える咲夜 チャキ

美鈴「ね、ねえやめましょうよー咲夜さーん」
咲夜「いやなら見てていいわよ。あなた、ケンカ売るのは苦手でしょ?」
美鈴「えー・・・じゃあなんで私、ここにいるんですかねぇ・・・」
咲夜「あなたは保険。私が死にそうになったらなんとかして頂戴」
美鈴「わ・・・わかりました。なんとか連れて逃げます」
咲夜「いやねぇ。なんとかするのは私じゃなくて食材の方ですわ」
美鈴「はい・・・え?」
咲夜「頼むわよ。保険さん」
美鈴「ええー・・・」

飛んでくる鎌

美鈴「うわあ!!」

ブーメランのように戻ってくる鎌をうけとめるエリー

エリー「ずいぶん楽しそうな話しをしてるじゃない」
美鈴「ちょ、ちょっと待って!話せば、話せばわかりますから!」
エリー「いきなり襲って来たのはてめーらだろーが!」

鎌を投げるエリー

美鈴「ちょ、ちょまっ、わあああ!!」
咲夜「正論ですわ」
夢月「冷静だね。この結界も君がやったでしょ。ほんとに人間?」
咲夜「料理と掃除は得意分野ですわ」
夢月「僕は夢月。地獄の悪魔だよ」
咲夜「私は十六夜咲夜。紅魔館のメイドですわ。あなたもメイドなのね」
夢月「このメイド服はコスプレ。ねーさまの趣味」
咲夜「いい趣味ですわ。あなたも風見幽香の子分?」
夢月「うん、そう」
咲夜「では地獄の夢月。始めまして、さようならですわ」

ナイフを構える咲夜

夢月「悪魔の交渉マニュアル第22条、敵対者には手心をくわえるな。咲夜、地獄であったらよろしくね」

咲夜に襲いかかる夢月
SE きゅーんばしゅー

●7幕
場転 太陽の畑への道中 左右を林に囲まれた街道
寄り道をしていた幽香達3人太陽の畑に帰る

幽香「へっくし」
フラン「幽香、風邪?」
幽香「上着も買っとけばよかったわ」
フラン「こーりんどーって変なひとだったねぇ」
幽香「フランちゃんはああいう大人になっちゃいけないわよ」
フラン「うん!」
こいし「・・・ねぇ幽香ぁ。おうちまだぁ?」
幽香「もうしばらくよ。疲れちゃった?」
こいし「ん~・・・」
フラン「どしたのこいし」
こいし「えと・・・その・・・おしっこ・・・」
幽香「あらやだ。どうしてもっと早く言わないの」

こいし涙目

こいし「こーりんどーでジュース飲み過ぎたー・・・」
フラン「その辺でしちゃえばどうだろう?」
こいし「えっ!?」
幽香「だめに決まってるでしょ。・・・しょうがないわね人里にもよって来ましょうか」
フラン「人里!?フラン知ってる!人間の巣だよ!」
幽香「ついでにまた寄り道しちゃう?」
フラン「わーいわーい!」
こいし「ねーゆーかー、こいしちゃん結構緊急事態・・・」
幽香「急ぎましょ。こいしちゃん、だっことおんぶ、どっちがいい?」
こいし「・・・だっこ」
幽香「はい。・・・よいしょっと、あなた軽いのねぇ」

抱えられた振動が膀胱にくるこいし

こいし「はふぅ・・・や、やさしくしてください」
フラン「じゃあフランおんぶ~!!」
幽香「はいはい」
フラン「わーー!!」

ばふっ幽香にのしかかるフラン。その振動がこいしを襲う

こいし「はふぅ!!」
フラン「あ!ごめんこいし」
幽香「こいしちゃん、もうちょっとがんばってね」
こいし「け、健闘します・・・」

●8幕
場面 新夢幻館
くるみ対お空が続いている
空中戦

くるみ「くるみビーム!!」

ビームが何本もお空を襲う

お空「わあ!」

からくもかわすお空

お空「結構強いやつがいるじゃんか!」
お燐「お空!」
お空「お燐!あいつらどうしたの!?」
お燐「わからん!消えちゃったにゃ!」
お空「マジで!?」
くるみ「よそ見をするなー!!」

とんでくるビーム

お空「わあああ!」
お燐「まずはこのお嬢さんをやっつけるよ!お空、合わせろ!」
お空「あい!」
お燐「いくよ!猫符!キャッツウォーク!」

スペカ音
ボン!煙とともに猫型になるお燐

お燐「にゃおーん!」

くるみを取り囲む様に跳ね回るお燐
その着地地点に弾幕がばらまかれる
被弾するくるみ

くるみ「あう!・・・この程度でぇ・・・」

ボン!煙とともに人型になるお燐

お燐「足が止まった!お空いまだ!」

ぶいーん 巨大な弾を作るお空

お空「おおおお!!」

気合とともに打ち出す

お空「くらえー!!」
くるみ「しまった!」

迫ってくる弾

くるみ「だめ、当たっちゃう!・・・ゆうかりん・・・!」

現れる弾幕にかき消される

お燐「にゃにゃ!?」
お空「私の弾が!」
くるみ「あれ・・・?(もしかして)ゆうかりん?」

ジャンジャジャーン 現れる幻月
響き渡る高笑い

幻月「おーっほっほっほ!!なっちゃいねーですわね!くるみさん!」
くるみ「・・・なんだ幻月か」
幻月「なんだとはなんですの!なんだとは!窮地を救ってさしあげたんじゃありませんか!」
くるみ「・・・ありがと」
幻月「おーっほっほっほ!!わかればよろしくってよー!」
お燐「テンションたけーやっちゃのー」
幻月「幽香様の敵は私の敵ですわ。焼き鳥と焼き猫にしてさしあげましょう」
お空「焼き猫ってはじめて聞いた。おいしいの?」
お燐「あたいに聞かれてもにゃ~」
幻月「ご心配なさらなくても後ほどスタッフが骨ごとバリバリと召し上がってくださいますわ」
お燐「地獄の猫はしつこいよ。食ったつもりで腹ん中食い破られないようににゃあ!」
幻月「さあ!ご覧あそばせ!超エリートの激烈に美しき弾幕!」

スペカ音

くるみ「スペルカード!?幻月、いつのまに」
幻月「おーっほっほっほ!!悪魔の交渉マニュアル第7条、郷に入っては郷に従えですわー。エリートに手抜かりはねーんですのよ!」

風がふいてくる音

お空「さ、寒くなってきた・・・おりーん・・・」
お燐「お空!油断すんにゃ!」
幻月「くらいないさい!いま必殺の・・・罪符、コキュートスジェイル!」

巨大な氷柱がいっぱい出てくる
がこーんばきばきばき すごく派手

お燐「なんにゃ!?」
お空「わあああ!!」

どかーんばきばきばき
氷の柱に閉じ込められるお空

お燐「お空ーーー!!」
お空「おりーん・・・」

幻月「嘆きの川名物、氷の牢獄ですわ。大罪を犯した者を永遠に氷漬けにするこの氷柱、トリ妖怪ごときに脱出はむりむりの無理でございましてよ」
お燐「お空!お空ー!!」
幻月「そんなわけで、あなたのお友達はハンソロ船長よろしくそこで固まってるより他に手はありませんの。おーほっほっほ!」
お燐「くっそー、よくもお空を~・・・」
幻月「ふっ・・・強く美しい私には敗者の遠吠えを受ける姿がよく似合いますわ。イッツエリーツ」
くるみ「幻月すごーい・・・」
幻月「おーっほっほっほ!!もっとド派手にたたえてもよろしくってよ!おーっほっほっほ!!」

きゅいーん
スイッチが押される音4回
スイッチが押されるたびにきゅいーん音のテンションがあがる
バックのSEのテンション最大になり、ギュンギュンギュンというループに変わる

幻月「なんですのこの音?」
システム声「スリー、ツー、ワン、ゼロ」

ガシャン!レバーを引く音

お空「変身!」

お空戦闘モードに変身。 爆発音。 砕け散る氷柱の中から飛び出すお空

お空「フュージョンきたー!!!」

どかーん
嬉しいお燐

お燐「おくー!!!」
幻月「んなアホな・・・あれは巨人をも閉じ込める獄牢ですのよ!」
お空「あんたの氷じゃ霊知の極みには勝てなかったみたいだね!」
くるみ「幻月!」
幻月「わーってますわ。この程度序の口でございます」
お空「決めた!うつほは・・・おまえら全員と友達になる!」
くるみ「・・・は?」
幻月「なにを言ってますの、このカラスは」
お燐「あー・・・気にしなくていいにゃ」
お空「俺はこの学校全員と友達になる男だ!」
お燐「おまーは女だにゃ」
幻月「そのベルトはなんですの」
お空「かっぱがつくってくれた」
システム声「(カチッ)ヤタクロウ(カチッ)フュージョン、リミットブレイク!」
幻月「そのスイッチはなんですの?」
お燐「オモチャだろうにゃあ・・・」
お空「いくぜ!ロケットライダーキーック!!!」
幻月「ライダーってなんなんですのー!!?」

爆発音 爆発音にかき消される幻月の叫び