・玉冠の獣、ふたたび
進行内容
鉄鷹騎士隊のラジュリーズ(Ragelise)は
部下に呼ばれ、マヤコフ団長と
共に城に向かった。
ところで、視界を横切った
あの影は、もしや……?
- 南サンドリア〔S〕・獅子の泉のDoor:"Lion Springs"を調べる。
懲りないお嬢さんねぇ。
Mayakov : え?
チケットを持ってきたですって?
Mayakov : ……フーン。
Gindaff : ……なんだか、
ボロボロですね。
Mayakov : これ、ホンモノなの?
Gindaff : ここに我が舞踏団のシンボル
メリュジーヌの印が、確かに捺してあります。
団長、どうしましょう?
Mayakov : …………。
Mayakov : ……ダメダメ!
おとといいらっしゃい!
Mayakov : そうやって、さっきから
偽チケットで入り込もうってヤツが
後を絶たないのよ!
??? : ちょいと、邪魔するよ。
Mayakov : ん? あら!
これは、これは!
鉄鷹騎士隊のラジュリーズ(Ragelise)男爵さま!
Mayakov : お待ちしておりましたっ!
特等席を用意しておきましたのよ!
Ragelise : ほほう。
そいつは、うれしいねえ。
……おや?
Mayakov : ああぁ、コイツは
ボロボロのチケットで店に入り込もうとした
ふてえ野郎でございますよ。
Mayakov : おまえたち、
畳んでロンフォールの森に放り出しておやり!
Ragelise : おいおい、
オレのダチに随分な仕打ちだねえ。
Mayakov : ……は?
ラジュリーズさまの、ダチ?
Ragelise : そうさ。なあ?
だからさ、大目に見てやってくれよ。
Mayakov : とてもそんな
立派な騎士さまには……あら、失礼。
Mayakov : ……まあ、いつも御贔屓に
していただいてる、ラジュリーズさまの
お友達ってことなら……。
Mayakov : ……とんだ
無礼をいたしました。
お許しくださいませ。
Mayakov : さあ、おふたりとも
まもなく開演時間ですよ。
お急ぎくださいな。
(暗転、獅子の泉へ)
Ragelise : ……はは、災難だったなあ?
あの団長は悪いヤツじゃねえんだが
ちっとばかし、頑固つうかワガママでな。
Ragelise : [きみ/あんた]、みたところ、
なかなか腕が立ちそうだ。
どっかの騎士隊のモンだろう?
鉄腕ロンジェルツの配下か。
Ragelise : ヤツの隊に、イキのいい
新入りが入ったと耳にしていたが、
[きみ/あんた]のことだったんだな。
あんた、バストゥーク人だったのか?
で、第7独立戦隊、か。どこかで聞いたような……
Ragelise : おお、思い出したぞ!
豪勇をもって鳴る、ザザーグ殿の配下だな?
なぁるほど、それで合点がいった。
コブラ傭兵団の一員!?
どうりで肝が据わった目をしているわけだ。
Ragelise : 豪傑ロマー・ミーゴの噂は
ここ、王都まで轟いているぞ。
オレもいつかお目にかかりたいものだ。
辺り一面、敵さんばかり。どこの軍隊にしろ
息つく暇すらねえ……。だろ?
Ragelise : だったら、非番のときぐれえ
何もかも忘れて、気の置けねえ仲間と
どんちゃん騒ぎでもしねぇと身がもたねえ。
Ragelise : そう思って、
声かけさせてもらったのさ。
Ragelise : あ? オレが何者かって?
まあ、んなこた、いいってことよ。
Ragelise : それより、ここの舞踏団は
ショーはピカイチだって評判だ。踊り子の
質だって、オレが保証する。一緒に楽しもうぜ。
Ragelise : ……お?
(暗転、舞台開演)
Ragelise : (……始まるぞ!)
Hegouard : ……いらっしゃいませ、
いらっしゃいませ……
Hegouard : ……紳士に淑女、
老若男女……
Hegouard : 貧者に賢者、大富豪、
老女に麗人、美少女も、
ようこそ、マヤコフ舞踏団のステージへ!
Hegouard : 浮世のしがらみ、何もかも
今宵ばかりは、すべて忘れてしまいましょう。
Hegouard : まだ夜は若い。
楽しむはいま、今宵だけ!
Hegouard : さあ、ショーのはじまりです……!
Ragelise : ……どうだい?
これがマヤコフ舞踏団のショーだ。
素晴らしいステージだろう?
Ragelise : まさしく
戦場に舞い降りた妖精たち
といったところだな。
Ragelise : なあ、ところで[きみ/あんた]は
誰の踊りがいちばんカッコいいと思ってるんだ?
右
真ん中
左
Hegouard : ……さあ、皆様お待ちかね。
続いて、我がマヤコフ舞踏団のトップアイドル、
月影の胡蝶、リリゼットのソロ・ステージです!
Ragelise : ……彼女が
気になるのかい?
Ragelise : リリゼット(Lilisette)
っていうんだ。なんでも、
謎の多い女の子らしくてな。
Ragelise : 最近、入団した新入りなんだが
厳しいと評判の入団試験に一発合格。
Ragelise : ステージに上がるや、
瞬く間に観客の心をつかんで
スターとして認められた、ダンスの天才なんだと。
Ragelise : しかも、父親がエルヴァーン
母親がヒュームってこと以外は
出身、経歴、年齢、なにも
話さないってんだから、興味はつきねえ。
Ragelise : ま、そのミステリアスな
ところが、また魅力となって
人気に拍車をかけてるんだろうけどな。
(暗転)
Hegouard : ……さあ、そろそろ
胡蝶が羽根を休めるようです。
Hegouard : 留まる花となる、
本日の幸せなお客さまは……!?
(リリゼットが冒険者に向けてナイフを投げ、紙ふぶきに変わる)
(盛り上がる観客一同)
(暗転、獅子の泉から退室)
Festauve : ラジュリーズさま!
こんな所にいらっしゃったんですか!
Festauve : まったく、困ります!
仮にも名門、鉄鷹騎士隊を率いる隊長とも
あろうお方が、フラフラと外出されていては……
Ragelise : ははは。
まるで深窓の令嬢だなあ。
Festauve : もう! 笑いごとではありませんよ!
Ragelise : 冗談だよ。
全員、集まったのか?
Festauve : はい、鉄鷹騎士隊総員、
閲兵場に集結しております。
Ragelise : うむ。では参るとするか。
マヤコフ団長。
Mayakov : ……御意。
(ラジュリーズの背後をケット・シーが通る)
Ragelise : ……ん? どうした?
Ragelise : ……じゃ、オレは
ちょっとヤボ用があるから。
Ragelise : な~に、おなじ連合軍だ。
どこかで顔を合わせることもあるだろうぜ。
じゃあな!
(暗転、東ロンフォール〔S〕に向かい歩いてゆくケット・シー)
(暗転、ドラギーユ城)
Ragelise : ……ラヴォール村の戦況は?
Gallauciond : はっ。
伝令の報告によりますれば……
Gallauciond : 村で再編成中だった
茜隼騎士隊が、幾重もの防御柵を設置。
いまだ抗戦を続けているようですが……
Merfanont : すでに、民家の一部は
敵に接収されてしまっており
もはや、一刻の猶予もならぬ状況か、と。
Ragelise : そいつはいかん。
ただちに出撃するぞ!
Gallauciond : しかし、問題が……
Ragelise : なんだ?
Merfanont : はっ。
我が隊も王都で再編制中の有様。
動ける者をかき集めてはみましたが、
援軍としては、いささか戦力不足かと……。
Ragelise : ははは。
安心しろ。そんなこったろうと思って
心強い助っ人をスカウトしてきたぜ!
Gallauciond : ?
Mayakov : ……隊士が少ないとは
うかがっておりましたが、これほどとは。
Ragelise : よくぞ、
参られた。マヤコフ殿。
Ragelise : なに、これでも回復したのです。
我が隊は、ラテーヌ会戦で
大きな痛手を被りましたからな。
Gallauciond : 隊長殿、こちらは?
Ragelise : 今をときめく
マヤコフ舞踏団の団長殿だ。
今回の作戦に協力を申し出てくれたのだ。
Merfanont : マヤコフ舞踏団……
ダ、ダンサー……ですか?
Ragelise : おおっと、
誤解するなよ。
舞踏団は世を忍ぶ仮の姿……
Ragelise : しかしてその正体は、
対血盟軍用に結成された
屈強なるレジスタンスグループなのだ!
Gallauciond : なんと!
Mayakov : ……わたくしども、
舞踏団の踊り子は、本を正せば、ラヴォール村の
修道院で育てられていた、孤児がほとんど。
Mayakov : 現在、村が置かれている
状況には、誰よりも心を痛めております。
Mayakov : あの美しかった
故郷を護るため、微力ながら
我が舞踏団もご協力致したく……
Mayakov : ポーシャ(Portia)!
Mayakov : 彼女は
舞踊の技量もさることながら、
武踊においては、我が団きっての腕前。
必ずや、お役に立ちましょう。
Ragelise : ……良いのか?
Portia : ……はい。
ラジュリーズ殿と御一緒できるならば
この世の果てまでもお伴致します……。
Gallauciond : ……彼女は?
ええと、確かリリゼットとかいう……
Mayakov : あの子は、まだ子供。
入団して日も浅く、危険な場所に
赴かせるのは忍びなく……
Gallauciond : そうですか……。
Ragelise : ……よし、1刻後に出発する。
総員、姉ちゃんに最後の別れを済ませておけよ。
Merfanont : …………。
Ragelise : 「愛してる。
また、近いうちに会おう」ってな!
Ragelise : 解散!