キーボード入門講座

Last-modified: 2016-11-03 (木) 11:22:17

キーボードの種類

購入するにあたって、楽器屋に行ったもののたくさんの種類のキーボードがあり、
どれを買えばいいかわからなくなったりする経験があるかもしれません。
一口にキーボードといってもいろいろな種類があります。
ここでは大きく三つとその他に大別した後、それを更に細分化していきます。

アナログ・シンセサイザー

音の大きさや質、高さなどを全てアナログ回路で変化させるキーボードです。
アナログ回路とは?と聞かれると少し説明が難しくなりますので省略しますが、
とてもたくさんのつまみによって音を作り出すものと考えてください。
生ピアノやヴァイオリンのような音も出すことができません。
初心者には向かないキーボードです。

例:

  • Korg MS-20 mini
  • Moog Sub 37

デジタル・シンセサイザー

現在売っているキーボードのほとんどはこれといっても過言ではないでしょう。
最初からプリセットと呼ばれる物が入っており、ピアノやストリングス、オルガンからシンセっぽい音まで簡単に使うことができます。
このデジタルシンセサイザーはさらにいくつかに細分化できます。

ライブ・キーボード(コンボ・キーボード)

ピアノやオルガンなどのライブで多用する音が中心のキーボードで、これらの音を詳細に編集できたりもともとの音質が良かったりします。
もちろん、ストリングスやシンセ音も多く入っています。

例:

  • Roland V-Combo VR-09
  • Roland Jupiter 80
  • Nord stage EX 2

ワークステーション

通常のシンセサイザーの機能に加えてドラムやベースなどの音を自動演奏させる機能が付いているものです。
ギターなどの録音機能も搭載されていることが多く、これだけで作曲もできます。
もちろんライブ・キーボードのように主要な音はプリセットで入っています。念のため。

例:

  • Roland FA-06
  • YAMAHA MOXF6

ステージピアノ・ステージオルガン

上記二つと違い、ピアノまたはオルガンに特化したキーボードです。
通常、シンセサイザーは打鍵感がとても軽く、生ピアノに慣れている人は引きにくさを感じますが、
ステージピアノは生ピアノのタッチに近付けているものが多いです。
ピアノ、オルガンがメインとなっているため、他と比べて音色の編集機能が最少となっております。

アナログ・モデリング・シンセサイザー

上記のアナログシンセサイザーを「似せて」デジタル化したものです。
アナログシンセの欠点である壊れやすさや安定力のなさをデジタル化することで克服していますが、
やはりこちらも初心者にはお勧めできません。
例:

  • Roland System1

MIDIキーボード

これは本来これ単体では音が鳴らないので楽器ではありません。
他のキーボードや音源モジュール(後述)、PCなどとUSBケーブルMIDIケーブルを繋ぐことで、
MIDI信号を送ることができます。
MIDI信号を送られたキーボードや音源モジュール等はそれによって音を鳴らしたりいろいろな効果を得ます。
単体で音が鳴らないので安価だからと言って最初に買うには絶対にやめましょう。
例:

  • M-AUDIO Keystation49

その他

他にもいろいろな種類のキーボードがあります。
例えば生ピアノの再現を目的とした電子ピアノはその一つです。
また、キーボードではないですが、音源モジュールというものもあります。
これは上記のデジタル・アナログシンセサイザーから鍵盤を抜き取ったものです(本来はこの音源モジュールも含めてシンセサイザーと言います)。
音を鳴らすためにはMIDIキーボードやPCが必要です。


・・・で、結局どれを買えばいいの?

多くの種類のキーボードを紹介しましたが、その種類の中にも鍵盤数、重さ、打鍵感、値段などなど様々な要素があるわけで、初心者の方はどれを買えばいいか分からなくなると思います。

  • 種類
    ライブ・キーボードかワークステーションのいずれかを買うことをお勧めします。
    というのも、この二つはいかにも「キーボード」と言えるような機能をもち、キーボーディストとしての成長の糧になるだけでなく、
    プリセットも豊富で安価でも初心者から上級者まで、一台で何とか済ますことができるからです。
    ピアノの音がいいならとステージピアノに惹かれるかもしれませんが、現在ではライブ・キーボード、ワークステーションに入っているピアノの音も悪い音質ではなく、むしろ普通にいい音質です。
  • 値段
    初心者でも10万前後と見積もった方がいいです。
    5万以下のものは(失礼ですが)キーボードと言えない機能のものがほとんどです。
    特に、CASIOのものは安く、スピーカーが付いているため手軽ですが、キーボーディストになりたいならばRoland,YAMAHA,KORG,あたりのキーボードを買うのが無難です。
  • 鍵盤数
    61鍵を強くお勧めします。
    というのも、ライブでやるような音楽では超高音・超低音の音を使うことは極めて稀で、
    もし使うことがあってもオクターブ機能を利用して工夫すれば鳴らすことが可能だからです。
    73鍵、88鍵になるとかなり重く持ち運びがしにくい他、値段も高くなることが多いです。

これらを加味したうえで、初心者にとりあえずオススメの3台を紹介しておきます。

  • Roland FA06
    Rolandのワークステーションです。
    基本的なシンセ機能だけでなく、サンプラーやシーケンサーなど役立つ機能が大体収録されています。
    音色のエディットもかなり詳細にできるのでプロ向け用と大差ない能力を持ったキーボードと言えるでしょう。
  • YAMAHA MOXF6
    YAMAHAのワークステーションです。
    YAMAHAはキーボードだけでなく生楽器の生産もしているため生楽器系の音は強く、
    ピアノ、ブラスなどの音を多く使いたい人は選択するといいでしょう。
  • KORG KROME-61
    YAMAHAの子会社、KORGのワークステーションです。
    KORGの音は他と比べて特徴的で、厚みのある深い音を鳴らしてくれます。
    少々操作が難しいですが、上記の二つと比べて安価です。

この情報は2016年現在のものです。
結局は先輩と一緒に階に行くのが1番いいと思います。


キーボードの機能

キーボードによってそれぞれ良く使う必要不可欠なものから、使い勝手が限られるトリッキーなものまで、様々な機能があります。
全ては語れませんがここではほぼ全てのキーボードに備わっている必要不可欠な代表的な例をいくつかあげてみましょう。
詳しい機能はサボらずに説明書を読みましょう。

つまみ

キーボードから出る音にはボリューム(音量)やパン(定位)等、色々なパラメーターがあります。
このパラメーターを演奏中にリアルタイムに動かすことが出来る取っ手がつまみです。
基本的に左に回すことで下がる方に、右に回すことで上がる方にパラメーターが変化します。
演奏中にこれを弄り倒すことはキーボーディストの醍醐味ですね!

ピッチベンド

音の高さを連続的に上げる、もしくは下げることのできるレバーです。
例えばギターのチョーキングのようなことができたりします。
基本的に左に倒しきると全音(ド→シ♭)さがり、右に倒しきると全音(ド→レ)上がるよう設定されています。
キーボードによってはこのベンド幅を変えることができ、
1オクターブ以上変化させることも可能です。

フェイバリット機能

曲によっては一曲の中で2つ以上の音色を使うことがあります(というかほとんどの曲はそうです)。
そんな時、演奏中に一から設定し直すなんて不可能ですよね。
そんな時はこのフェイバリット機能を使います。
この機能はボタンを一つタッチしただけで保存した設定をそのままよびだせるという優れものです。

音色の種類

各キーボードによってその仕様は変わりますが、
基本的にそれぞれの音色はカテゴリ化されてまとめられています。
いくつか例をあげてみます。

ピアノ系

一口にピアノ系と言ってもグランドピアノだけではなく、アップライトピアノや、
時によってはエレキピアノも含まれていることもあります。
ということで、大きく4つに大別してみました。

アコスティック・ピアノ

おそらく誰もが想像する「ピアノ」です。
上述しましたが、グランドピアノ、アップライトピアノ等の音色が含まれます。
その他にもグランドピアノにコンプレッサーをかけることにより音を太くしたもの、
イコライザーによって高音成分を強くすることで打鍵時の抜けを良くしたものなど、
微妙に違う音がプリセットに含まれていることがあります

エレクトリック・ピアノ

通称エレピ。「ポーン」という感じの優しく太い音色です。
和訳すると電気ピアノですが、アコスティック・ピアノの音とは全く異なり、
違う楽器として見做しても問題ないでしょう。
エレピにはよくトレモロによって音量の揺れを作り出し「ホワンホワン」というような音色のものもプリセットに入ってることが多いです。

ハープシコード(チェンバロ)

とてもクラシカルで耽美な音です。一度は聞いたことがあるでしょう。
ゴシックな曲の雰囲気にぴったりです。
ピアノは鍵盤を押すことで弦を叩いて音を鳴らしますが、
ハープシコードは弦を弾くことによって音を鳴らします。
このため、ピアノよりも'アタック(出音)がはっきりしています。
しかしその構造上叩く強さで強弱をつける事は出来ません。
恐らく、キーボードに入ってるプリセットの音は、強く叩いても弱く叩いても音量に変化はないと思います。
それは、本物のハープシコードを再現しているためです。
しかし、キーボードはそこら辺も設定によって自由に変更できます(出来ない機種もあります)。
生っぽさを求めているなら変えないのが無難でしょう。

クラビネット

略称クラビ。ハープシコードのエレピと考えれば良いと思います。
エレピのアタックをはっきりさせた感じです。
上記の三つに比べ、使われることは少ない気がしますが、
うまく使うととてもお洒落な音楽を作り出すことができます。
軽くディストーションをかけて、音を歪ませることもあります。

オルガン系

キーボーディストが使う主要な音色の一つです。
主にキーボーディストが言うオルガンと言えば、「エレクトリック・オルガン」でしょう。

エレクトリック・オルガン

かなりざっくりした分類ですが…、恐らく最も想定する音はハモンドB-3の音でしょう。
エレクトリック・オルガンはモジュレーションをかけて音を揺らしたり、
ロータリースピーカー(をシュミレートしたエフェクト)をかける事によって少し歪んだ揺れた音を作り出したり、
様々な効果を付与することが多いです。
プリセットではそれらがもともと付与されているものや、そうでないもの様々なので、
プリセット名で上手く判断するのが良いです(…といっても誰もわからないような名前がついてたりするんだけど…)。
ライブ・キーボードのオルガンのセッションにはドローバー機能が付いていることが多いです。
エレクトリック・オルガンはとても奥が深いため、初心者講座を逸脱してしまうため、これらの説明は割愛します。
最初は何も考えずに使うのが吉でしょう。

パイプオルガン

こちらはアコスティックな楽器です。
よく教会に置いてありそうな、とても大きなオルガンのことです。
とても重厚で荘厳な音色で、こちらもチェンバロ同様、ゴシックな雰囲気にぴったりです。

ストリングス系

ストリングスとは、弦楽器隊の総称です。ギターやベース(時にはピアノも)弦楽器の一部ですが、「ストリングス」という名称を使うと専らヴァイオリンやヴィオラ、コントラバスなどオーケストラで用いられる弦楽器隊を言うことが多いです。

アンサンブル・ストリングス

ソロ・ストリングス

シンセ・ストリングス