白膿

Last-modified: 2025-07-19 (土) 22:17:47

大相撲の元横綱・白鵬翔*1(年寄としては21代間垣→13代宮城野)の蔑称。読みは「はくのう」。

由来

現役時代の白鵬は、通算最多勝利、年間最多勝利、最多優勝など、数多くの記録を保持する平成~令和の大横綱である。同じくモンゴル出身横綱でダーティなイメージのあったドルジこと朝青龍明徳*2に対して、ライバル白鵬は誠実で善人というキャラ付け*3が行われ、なんJを含めて人気力士の一人であった。

ところが、2017年10月25日に起こった横綱・日馬富士公平(伊勢ヶ浜部屋)による貴ノ岩義司(貴乃花部屋)への暴行事件をきっかけとして評価が一変する。問題が発覚し、日馬富士と貴ノ岩の出場が見送られた九州場所で白鵬は見事優勝。優勝インタビューで「膿を出し切って日馬富士と貴ノ岩を再び土俵に上げたい」と述べ、観客に万歳三唱を促す。観客はこれに応じて万歳をし、大団円かと思いきや……。

なんJを含めたインターネット上では、事件の隠蔽を図った相撲協会と並び、横綱・白鵬が加害者の日馬富士以上にバッシングを受けることになってしまう。というのも、白鵬自身も暴行現場に同席しており、しかも暴行の発端は白鵬が貴ノ岩に説教をしていたことだったのである。さらに、週刊新潮週刊文春の報道では、「白鵬が貴ノ岩に八百長*4を持ち掛けたが、貴ノ岩がこれを無視して白鵬に勝利し、『俺は実力で白鵬を破った。八百長力士の時代は終わりだ』*5と吹聴していたことが白鵬の説教の原因」との疑惑まで出てしまう。こうなると、白鵬も立派な事件の関係者の一人であり、優勝インタビューでの万歳三唱はさすがに軽率すぎるのではないかと言われることになったのだ。

そして、同インタビューの中での白鵬の発言「(相撲協会の)膿*6を出し切る」に対して、「白鵬自身も膿の一人ではないか」との物言い*7が付き、鵬と膿の字面が似ていたことから白膿との蔑称が誕生した。

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白鵬に厳重注意 優勝インタビュー問題視「横綱の品格に関わる問題で今後は慎むように」
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2017/11/30/kiji/20171130s00005000259000c.html


 横綱・白鵬(宮城野部屋)は両国国技館での理事会に呼び出しを受け、師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)とともに厳重注意を受けた。
 
 九州場所千秋楽の優勝インタビューで「場所後に真実を話し、膿(うみ)を出し切って日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたいなと思います」と発言したことが問題視され、観客に万歳三唱を要求したことを含めて八角理事長(元横綱・北勝海)から「横綱の品格に関わる*8問題で今後は慎むように」と指摘された。


その後

白鵬の願いも虚しく日馬富士は一連の事件の責任をとる形で11月29日に引退を表明。
一方の貴ノ岩は怪我が治り復帰するも、自身も付け人へ暴行*9を行い、この責任をとって2018年12月に引退を表明、さらに師匠の貴乃花親方も独断で内閣府に告発状を提出するなど終始協会サイドと対立し続けた結果、退職に追い込まれ貴乃花部屋は消滅というどうしようもない結末に相成った。
この一連の問題の対応で日本相撲協会は国民に対して大々的に無能ぶりを晒した上、近年における力士個人の不祥事以外だけでも暴力団員の観戦騒動や野球賭博問題*10、八百長問題*11など多数の不祥事を起こしてきており、それに対する処理に関して閉鎖的なムードが漂っていたことも重なって今回の事件は相撲の今後に暗い影を落とす結果となった*12

関連項目

Tag: 相撲 蔑称


*1 出生名:ムンフバティーン・ダワージャルガル。現在は日本国籍を取得済みで本名は四股名と同じ。2021年秋場所後に引退。
*2 本名:ドルゴルスレンギーン・ダグワドルジ。2010年初場所後に引退。甥に横綱・豊昇龍智勝(長兄の次男)がいる。
*3 朝青龍が帰化せずモンゴル国籍を維持することを選んだため年寄を襲名せず引退したのに対し、白鵬は(モンゴル籍のまま親方ができるならそうしたいとしつつも)日本に帰化するなど、対照的な面は多々あった。
*4 八百長の由来は、明治期に八百屋の長兵衛なる人物が元力士の年寄を囲碁で勝たせていたが本職の棋士相手に互角の勝負をしたから、または花相撲でわざと勝たせてもらったからなど、諸説あるがいずれもなんらかの形で相撲が関わっている。なお江戸時代以前には神事という側面から勝敗をつけずに引き分けにしたことも多かったという。
*5 なおその創成期に元力士が多くいたことで知られる日本のプロレスには「アングル」や「ブック」として知られる暗黙の筋書き(これ自体は日本以外にもあるのだが)があり、逆算的に相撲にもある程度筋書きがあるという主張も一部にある。
*6 反貴乃花の急先鋒かつ白鵬寄りのリテラは白鵬発言は貴乃花親方・元顧問のK氏・貴乃花部屋の最大の支援者であるT氏のことを指していたと指摘。
*7 現代では異議を申し立てる行為自体も物言いと言うが元々は相撲用語で、行司の判定(軍配)に対して審判委員や控え力士が異議を申し立てる制度を指す。場合によってはNHKの中継映像を用いたビデオ判定まで行われる。他競技のリクエストやチャレンジ、VARなどに類似するが、異議を申し立てる主体が競技者(取り組んでいた力士)自身ではなく外で待機する第三者である点が独特とされている。なお取り組みの当事者である力士には物言いをつける権利はないのであるが、白鵬は現役時代自らの取り組みでそれを行おうとし、当然失敗した。
*8 現役当時は本件以外にも(土俵の内外問わず)横綱らしさに欠けるとされる言動を度々指摘されていた。また、休場中のイベント出席のような問題行動も疑問視された。
*9 一説には、母国モンゴルではヒーロー扱いされている日馬富士を引退に追い込ませたことで(被害者であるにもかかわらず)猛バッシングを浴び、その対象が自身だけでなく騒動とは一切関係の無い家族にまで及んでいたことで、精神的に追い詰められていたのではないかとも言われている。いかなる理由があろうと暴行は論外であるが。この件で貴乃花とは事実上絶縁状態となり、貴ノ岩の引退相撲にも出席しなかった。
*10 2010年。暴力団が胴元であった。
*11 2011年。前述の野球賭博問題の捜査中に発覚。なお協会サイドは「故意の無気力相撲」と表現し「八百長」というワードは公式には用いていない。
*12 その白鵬引退後の2024年2月、弟子の北青鵬の悪質極まりないパワハラにより平幕親方への二階級降格処分を受けている。白鵬自身も他の部屋付きの親方となったためこの余波で宮城野部屋は事実上の消滅。2025年6月には白鵬は協会を退職したが協会の外から相撲に関わり続ける意向を表明した。