2020年10月16日に文春オンラインに掲載されたコラムのこと。正式なタイトルは『2030年、大城卓三は、引退を考えていた。――小説ジャイアンツ「男たちの黄昏」』。
内容
正式名称からも分かる通り、このコラムはコピーライター・高崎卓馬による創作である。本文の前には次のような注意書きがある。
※この「小説ジャイアンツ」は、事実をベースに、戦う男たちへの熱い思いを描いた妄想ドキュメントです。
内容は、タイトルの通り巨人・大城卓三が2020年からの10年間を振り返りながら、引退について考えるといったもの。創作ではあるが大城を含め登場人物の多くが実在する選手またはOBである。
なんJ民の反応
このコラム(小説)を読んだなんJ民からは軒並み不評であった(こちらを参照)。
ここまで不興を買った原因は、
- 真実を伝える立場にあるはずのメディアのライターが、ファンの妄想レベルの創作を公の場で発表してしまった。
- 「勝手にFA移籍させられた挙句、試合を壊した戦犯扱いされるガルシア」「昭和なスタイル(原文ママ)にバッシングを浴びせられる阿部慎之助監督*1」「勝手に二刀流を諦めさせられる戸根千明*2」「他チームに放逐される小林*3やウィーラー*4」「勝手にメジャーに移籍させられ、そして勝手に戦力外となる菅野*5」……等々、挙げればキリがない全方位に失礼かつ無神経な描写。
- 実在する選手をダシにした、読者に生理的嫌悪感すら抱かせる寒いお人形遊び。
- 「ドラ1投手芦名見(2023年ドラ2)」*6といった初歩的な推敲漏れに代表される、一小説作品としても高いとは言い難いクオリティ。
等が挙げられる。
ちなみに、このライターは1969年生まれの「クリエイティブ・ディレクター / CMプランナー / 小説家」の巨人ファンであるが、巨人関連の仕事には(少なくともこれを書くまでの20年間は)携わったことがないらしい*7。
風評被害
本文中には、冒頭の試合のシーンでの対戦相手としてヤクルト・青木宣親が登場。2030年には48歳を迎える青木が未だに現役であるという設定がなんJ民につっこまれたほか、コラムの締めが「翌日、大城は球場で青木宣親が引退するというニュースを聞いた」という一文になっていることから、38歳の青木が複数年契約を結んだ際に立てられたスレではこれがネタにされ、青木に対しては完全に風評被害が及んだ。
ヤクルト、青木と3年9億の複数年契約 38歳、チーム野手最年長
https://tomcat.2ch.sc/test/read.cgi/livejupiter/1605151177/1:風吹けば名無し:2020/11/12(木) 12:19:37.85 ID:eK2ncEgHa.net
ヤクルトがチームの野手最年長の青木宣親外野手(38)と新たに複数年契約を結ぶことで合意したことが11日、分かった。2018年に米大リーグから復帰した際に結んだ3年契約が今季で最終年だった。小川淳司ゼネラルマネジャー(GM)は複数年を提示したことに「米国から帰ってきて以降の言動、行動全てに対しての評価」と説明した。今季は107試合に出場して打率3割1分7厘、18本塁打、51打点をマーク。主将も務めプレーだけでなく精神面でもチームを支えた。衣笠剛球団社長は「青木主将の下に一丸となってという部分はある」と信頼を寄せた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/32543224d657d5a833c992acd1f453e86de29bb7
4 :風吹けば名無し:2020/11/12(木) 12:20:23.40 ID:/OQjp4Cda.net
マジで(48)までやったら笑う11 :風吹けば名無し:2020/11/12(木) 12:21:37.84 ID:FZ9R9oOfd.net
まぁ引退は48やしな
なお実際の青木は2024年に42歳で引退。コラムの通り48歳まで現役とはいかなかった。
補足
このコラムは、「文春野球コラム ペナントレース2020」の一環としての記事であるが、「文春野球コラム」は創作ではないものがほとんどであり、『2030年、大城卓三は、引退を考えていた。』は異色の内容であると言える。
また、このコラムはYahoo!ニュースにも掲載され、ヤフコメ民からも総スカンを食らったようである*8。
ヤフコメ(一部、スクリーンショット)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6644c7f0d25d4888a3dbe7577ab2b369c5282a8
また、筆者の高崎卓馬は、電通所属のクリエイティブ・ディレクターである。WikipediaによるとCMプランナー、コピーライターそして小説家としても活動している。2014年には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に出向、クリエイティブ・ディレクターに就任し、大会エンブレムの審査などを務めた。しかし、そのエンブレム選定の際、盗用疑惑のある作品を選出してしまったことでクリエイティブ・ディレクターを解任され、のちに同じエンブレム選定の投票における不正工作も発覚している*9。
公開終了
時期は不明だが、このコラムは文春オンラインでの公開を終了している(跡地)。
終了理由は明らかになっていないが、このコラムよりも前に公開された記事が現在(2022年12月)も閲覧可能であることから*10、少なくとも掲載期間は定まっていなかったものと推測される。
なお、現在はウェイバックマシンによるアーカイブで元記事を読むことができる。
コラム内に「気がつけば2020年の日本一から~」という文章があるのだが、同年の日本シリーズで巨人は敗退したため、現実の野球界がこのコラム通りになる可能性は消滅した。