ソーからのメッセージ
「クリーの娘のサガ」
書き止めるのは嫌だからこうする。
前にも言っただろう、バナー。こういうことは詩人の領分であって、書記の仕事ではない。紙切れに数行で収まるようなものではないからな。伝説は伝説らしく、語り継がれるものだ――半分忘れ去られ、品のない逸話が付け加えられながら。
神々が地球に降りる前、何者かがこの世界を訪れて人類に接触していた。しかし我々アスガルドの民が人類の守護者になると、その来訪者は人類に別の目的を見出した。
彼らはミッドガルドにやって来た。9つの世界からではなく、彼方の凍える星々からだ。まだ時間そのものが流れ始めたばかりの頃、彼らはすでに星々に大帝国を築いていた。
いや、それがいつの話なのかを特定するつもりはない。頼まれても断る。それでいいだろう?
来訪者はある人間の部族を連れて行き、その肉体に、世代を超えて受け継がれる見えない印を残した。我々アスガルドの民には、その印のある人間がわかる。芸術家の署名のようなものだが、これまでその意味するところはわからなかった。
しかし、ようやくはっきりした。それがあの、インヒューマンたちだ。