ムジョルニアの記憶 #2
ソー:眠れないのか?
ジェーン:世界線を飛び越えた副作用かも。そっちこそ夜更かし?
ソー:深夜のスパーリングだ。スタークの奴に、新しいスーツの電気耐性をテストしたいと頼まれてな。
ジェーン:それで、判定は?
ソー:一から作り直せと言っておいた。
ジェーン:ご立派。
ソー:それでは、ソー。お前の世界の話を聞かせてくれ。少なくとも数時間は、あっという間に過ぎそうだ。
ジェーン:あいにく、あまり楽しい話じゃないわ。私のアスガルドは滅びた。万物の父が正気を失い、万物の母を閉じ込めて、アスガルドを内戦へと導いたの。何とかして止めようと全力を尽くしたけど、結局は力が及ばず…
ソー:ラグナロクだな。
ジェーン:オーディンソンに聞いた話とは違ったけど。オオカミや大蛇と戦うんだとばかり思ってたのに、単なる神同士の争いだった。ミッドガルド人をとやかく言えないわ。
ソー:父は…どうなった?
ジェーン:オーディンは止まる気配がなかった。ミッドガルドを侵略するという噂もあった。だからヨトゥンヘイムでロキに会ったの。ロキと取引して…一緒にオーディンを倒した。
ソー:弟は信用できない。
ジェーン:それは重々承知の上よ。
ソー:取引の内容は?ジェーン。弟に何を与えた?
ジェーン:約束をしただけ。オーディンソンを見つけてムジョルニアを返すって。雷の女神はもうおしまい。
ソー:ならば、我々は運に恵まれたな。お前がハンマーを手放すのはもったいない。
ジェーン:不安は…ないの?
ソー:まさか。ジェーン・フォスター博士をおいて、他に適任者は思いつかない。