宛先:スティーブ
差出人:バッキー
いったいどうやった、スティーブ?
どうやって5年間の冷凍睡眠から目覚めて、いちいち顔を覗き込んでくる奴をぶっ殺したいと思わずにいられた?
あれから何十年も経ったが、ろくに覚えてもない世界で目を覚まして、最初にやって来るのはいつも怒りだ。
俺は怒りに駆られた子供だった。そうじゃなかった、「昔」はマシだったんだと思いたい。だが、軍は俺の中に連中にとって使える何かを見出した。自分が何でもないことでお前を小突いてたのを覚えてる。だから、単純にロシア人のせいにはできない。
実際、奴らは洗脳で消そうとしたんだ。だが目が覚めればいつも同じ。連中が合言葉を口にする前から、俺の中では何かが燃えていた。部屋じゅうの人間に飛びついて、肉を噛みちぎってやりたい気分だった。今はどうかって?洗脳されてた頃は何も考えなくてよかったが、今じゃそんな平和とも無縁だ。モニカ・ラパチーニのことを考えただけで怒りが湧いてくる。
お前はどうやったんだ?
どうやって目を覚まし、あの女の死を望まずにいられた?
あの女はお前から5年の人生を奪った。俺は2年で済んだ。復讐したいと思わないのか?あの得
意満面のにやけ面が二度とできないよう、ぶちのめしてやりたいと?
お前は俺よりいい人間だ。昔からずっとそうだった。俺のどこを見て復讐よりいいと思ったんだ?
気分がよくならないんだ、キャップ。俺が奪われたものを奴らから奪ってやりたい。
何もかもを。