宛先:スティーブ・ロジャース
差出人:トニー・スターク
やあ、スティーブ。
メールではなく紙とペンを使って書こうと思った。アナログなお前にはぴったりだろ?だがお前はもう死んじまったし、想像しただけで手がつってしまった。だから、メールにした。お前のアドレスに送っても、宛先不明で戻ってくるだろう。でも懐かしい気分だ。
ゴールデン・エーカーズの話をしたよな。うちの別荘だ。懐かしさがお前のスーパーパワーだ。でもここに戻って来れば、懐かしいだけでなく…もっと別の気持ちがわいてくると思ってた。これは俺名義で残った数少ない土地の1つだ。子供の頃、夏休みをここで過ごしたものだ。だがなぜかそんなことはどうでもよくなってしまう。きっと失った物が多すぎて…苦痛への耐性が出来てしまったみたいだ。
ああ、俺もつまらない人間になったもんだ。今の俺を見たら嫌いになるだろう、スティーブ。実は俺も自分が嫌いだ。
シーツを交換して、寝室の空気を入れ替えるにはもう遅い時間だ。今夜はRV車で寝るよ。仕事は明日にする。お前がいなくて寂しいよ、相棒。
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