宛先:ナターシャ 差出人:ジェームズ

Last-modified: 2022-12-15 (木) 02:16:46

宛先:ナターシャ
差出人:ジェームズ

音声ファイル

まだ通じるかわからないが、思い出せたのはこの番号だけだった。携帯電話の弊害だな。1940年代はみんな人の番号を覚えてたのに。

この光る画面に映った日付からすると、ここ2年ほどの記憶がない。何十年分も失ったんだから、それくらい大したことじゃないと思うだろ?でもそんなことはない。嫌なものは嫌だ。気休めになるかわからないが、最初に電話した相手はナット、君じゃない。でもあいつが出なかったからな。だったら君しかいない。

最初はいい気分だった。一瞬、キャプテン・アメリカがもういないってことも忘れてな。それから思い出した。奴ら、その記憶は残したんだ。誰だか知らんが、俺を操ってる奴は歪んだユーモアの持ち主に違いない。

こっちの状況を伝えると、調子はよくない。頭の中で声がするんだ。ほとんどがロシア語をしゃべってる。この忘れもしない六角形の形からすると、きっとここはAIMの施設だな。あの六角形は忘れたくても忘れられない。どうやら奴らは俺を甦らせたみたいだ。

どのくらい正気を保ってられるかわからないから、位置情報を送る。といっても、最後に覚えている場所だ。そこから俺の足跡をたどってくれ。急いでくれよ、ナット。


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