野盗に気をつけろ その1
話者 | セリフ | 備考 |
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- | 週刊アドベンチャラー 連載コラム 野盗に気を付けろ その1 | |
- | 初心者冒険者に送るこの連載。 今回は わたしが 初心者冒険者だったころの話を 書くことにしよう。 | |
その日 わたしが請け負った任務は とある街から 小さな村へ 薬を届けるというものだった。 | ||
その道程は山を越え半日。 野獣なども出没する危険な道だ。 だが わたしには何度も その山を 越えた経験があり それゆえ わたしは慢心していた。 | ||
先日の大地震と大雨によって 山の岩盤が緩んでいたことに気付かず わたしは 斜面の崩落に 巻き込まれてしまったのだ。 | ||
数時間後 わたしは谷底で目をさました。 不幸中の幸いか怪我は殆どなかったし 薬を落とすこともなかった。 | ||
だが 失った時間は戻らない。 このままでは 日が落ちる前に 山を越えられない可能性が高い。 この山で 夜を迎えるということは 死の危険に 身をさらすということだ。 わたしは 痛みをこらえ再び歩き出した。 | ||
頂上を超えたころ 完全に陽は落ち 周囲は闇に包まれていた。 本当は安全な場所を探し 夜を越えるべきだったのだろう。 | ||
しかし 焦っていたわたしは 冷静な判断力を失っていた。 そして その過ちは 最悪の結果を呼び込むこととなる。 | ||
わたしは いつの間にか その付近を根城にする野盗団の棲家に 足を踏み入れてしまっていたのだ。 |