「んで、『ネコ吸いこそ我が人生』とか言った偉い人がいた
じゃん?いや違ったかもしれんけど、きっとあの人はもう
知ってたんだと思うんだよね、さっき言ってたみたいに、
人生のなんたるかというかさ、そうそう誰も辿り着けな
い境地にきっと辿り着いていて、うん、きっとそう、絶対
そうで、じゃないと『ネコ吸いこそ我が人生』なんて言葉
は出てこないじゃない?というか案外人生って大したこと
ないっていうかさ、ほら、結局は人と人とが上手いことぶ
つからないようにおっかなびっくり距離感を測りながらな
んとなく生きてくわけで、でもやっぱりそういうのって疲
れちゃうしもし変なこと言ってイヤな気持ちにさせちゃっ
たらどーしよーとか考えると面倒くさくてしょうがないわ
けで、あ、それは私だけか、まあそれはよくってさ、で、
『ネコ吸い』に行き着いたわけじゃん、その人って」
「うん」
「で、オラスは気付いたわけで、ああじゃあそれってもしか
してエルちゃんを吸うことでも成立するんじゃないか?っ
てことにひらめいて、そういえばちびりすがエルのことよ
くクンクンしてるくね?って、そんでオラスもやってみた
わけなんだけど、なんていうの、もう、これ、世界じゃん」
「うん」
「聞いてる?」
「うん」
──『えるてと!』より抜粋