「未知の素材って、どこにあるのかなー?」トロイが大きな地図を広げ、真剣な顔で聞いてくる。
「んーどこかなー?適当に歩いてたら見つかったり?」ブルーは半分笑いながら答えた。
激辛ラーメンに夢中な2人の少女は、いつの間にか「未知の素材探し」というよくわからない冒険に出かけていた――ブルーは巻き込まれただけだが――。
「あっち行ってみない?」トロイは意気揚々と先を進む。
道沿いの屋台や小さな食堂を巡り、激辛メニューを頼むたびに新しい具材を試してきたが、いまだに「これだ!」というものには出会えていない。
「これもダメ、さっきのも今ひとつで草はえちゃう」
そんな中、くたびれて入った店が運命的な出会いだった。
少女たちはとうとう「謎味噌」なるものに出会ったのだ。
見た目からして明らかに味噌ではなかったが、口に入れた瞬間、火を吹くほど辛いのに、何か不思議な甘さがある。
「これ!これだよ!未知の素材!」トロイが叫ぶと、店のオーナーがニヤリと笑った。
興奮する2人の頬に薄紅色の花が咲いた。
──『人類文化の研究ですから』より抜粋