「残酷? 私が…?」ソナタは淡々と、冷たく、そしてまるでそれが当然の事実であるかのように呟いた。
庭師たちは、彼女が描いた戦略通りに動いていた。まるで駒のように、彼女が引いた線の上を進み、そして命を落としていく。
彼女は、それを遠くから見ている。指揮官として、軍師として、冷静に、そして感情を排除して。
「私の作戦だ、成功するに決まっている。だが…」
ふと、ソナタの胸に重たく沈む何かがあった。成功とは一体何なのか。この瞬間、庭師たちの命が自分の指示によって消えていくことを、本当に成功と呼べるのか。
──『私は、それが本望なんですよ』
あのとき、庭師が笑顔で告げてくれたその言葉がナイフのように胸に刺さっている。少なからず騎士ならば誰もが似たような刃を心に刺したまま生きている。
「前線に出るほうが気が楽なのは、そのとおりだな」
ソナタは自分に問いかける。誰に聞いているわけでもない。いや、誰かに答えを求めているわけでもない。ただ、庭師たちの犠牲を見つめながら、彼女は考えていた。
答えは、まだ見つからない。
それでも、彼女の心の片隅にあった優しさが、その問いを消し去ることはできなかった。
──『君が願う全てのことを』より抜粋