──"魔剣"。
世にも悍ましい異形のシルエット。
足が竦むほどに冷え切った色彩、
空間を支配する絶対の象徴。
その圧倒的な存在の前に、その場にいる誰もが自覚させられる。
己の無力さを。無価値さを。
自らが取るに足らない虫けらであることを。
だが、彼女は知っている。
己の戦場での在り方を。
あの忌々しい偶像の壊し方を。
──AP-typeZグランドフィナーレの激昂が、空間を裂いて送る。
「待たせたな、同志諸君。"商品"を確認した。
……とはいえ代価が大きすぎる、これでは見積もりと合わんな」
彼女が目を細めると、
その異形はまるで慄くかのように身を軋ませた。
超常であるが故に完全な色彩が、
"ゼロ"という変数によって歪められてゆく。
「だが道理を持たぬ相手なら構わない。
BLACKOUT PROFIT──『全ては闇の中に』ということだ。
清算を始めよう、同志諸君」
彼女の一声で、GARDEN最恐の軍隊が動き出す。
冷たく暗い空間に、鮮烈なまでの色彩が煌めく。
「姿勢は低く、動作は素早く。
先手を取り、決して最後まで膝を突くな。
一撃必殺、運は必要ない。全て実力でねじ伏せろ。
さあ、撃鉄を起こせ。貿易を開始する」
──『BLACKOUTPROFIT』より抜粋