お姉ちゃんは柔らかく笑って、その花を私の前髪に結びます。
けれど、結いた茎はすぐに解けてしまって、私が首をかしげるとふわりと柔らかく宙を踊ったあと、かさりと乾いた音を立てて地面に落ちてしまいました。
「はは、似合うと思ったんだけどな」
お姉ちゃんが少しだけ、本当に少しだけ残念そうに笑ったので、私はもう一度それを結ぼうとしました。
でも、一度結いた茎は傷んでしまって、上手く結べません。
私が意固地になっているうちに、ぷち、と切れてしまいました。
私も、ちょっとだけ残念に思いながら微笑みました。
もう泣くような歳じゃありません。
でも、お姉ちゃんの想いを無為にしてしまったようで、それがちょっとだけ悲しくて、それが嫌だったから、微笑みました。
「それなら、こうすればいい」
私が首を傾げると、お姉ちゃんは「まあ見ていろ」と笑っていくつかの花を摘みました。
「……はなかんむり?」
私がそう聞くと、お姉ちゃんは首肯して「せっかくだ、作り方を見せてあげよう」と、またいくつかの花を摘みました。
最初は上手くいきませんでした。
何度やっても茎が絡まってしまい、その度にお姉ちゃんが直してくれました。
そんな私を、お姉ちゃんはどこか悲しそうな、それでいて嬉しそうな、複雑な面持ちで見ていました。
──『DAY BY DAY』より抜粋