route 495

Last-modified: 2025-01-02 (木) 02:27:54

だからきっと、嬉しくないわけじゃない。
みんなを信じていないわけでもない。
それでも上手く笑えないのは、みんなを守りたいから。
肩の力を抜いた途端に、何もかもが消えてしまいそうで、それがどうしようもなく怖いから。
一人ぼっちに戻ってしまうのが、怖いから。

「──……シオン」

みんなには帰る家がある。
生きて帰ることを望んでいる。
だから、一人でも多く。
この小さな手のひらから、取りこぼさないように。

「シオン」

声に、振り返る。
みんないる。誰一人欠けることなく、誰一人失うことなく。

「……ん、帰ろ」

6人の後ろに長く影が伸びる。
495号線に陽が沈む。


──『route 495』より抜粋