選んだことにしていた道。
痛くないことにしていた傷。
見たくないものをしまった匣。
見えないことにしていた境界線。
いなくなった誰かが残した温もり。
生きるために一番最初に学んだこと。
都合の良い夢を見て眠る夜。
境界線の内側で目覚める朝。
出られないと思っていた檻。
自分で決めた、自分の限界。
その全てを破壊した、眩いほどの橙色。
一人では決してたどり着けなかった限界の先の世界。
自分のカタチは自分で決める。
生きるために一番最初に選んだこと。
この仲間たちとなら辿りつけると確信した。
照れくさくて、口に出すことは一生ないけれど。
──『void main()』より抜粋