シナリオ4「永遠の灰」(後編)

Last-modified: 2021-01-29 (金) 00:16:25

注意:このページはサンプルシナリオの内容が含まれています。ゲームマスター以外は読まないようにしてください。

揺さぶり2

 ヘパイステウムに近づくためには、ティーンたちはまずX線タワーを破壊して、サンダーボルトとエリザベスおよびリヴの間のリンクを切断する必要があります。高度なAIを備えた2台のロボットが、預言者たちがタワーを建造するのを助けました。そのロボットはビリーとジェーンと呼ばれ、アデルセー島南部の森に住んでいます。もしかしたら彼らはティーンたちがタワーを見つけて破壊するのに役立つかもしれません
 未来望遠鏡も、完成する前に破壊する必要があります。完成した場合、それはエリザベスが敵の未来と行動を予測できるようになるでしょう。スヴェンは望遠鏡がどう作動するかを知りませんが、エリザベスは彼女の元見習い、リネア・ホール[イザベラ・ワード]に望遠鏡を製作させました。ティーンたちを手伝うよう、リネアを説得できるかもしれません。

ルイーズと真実


 もしティーンたちが、ルイーズに母親を殺害したのはスヴェンだと話した場合、彼女はホッとしたように見えます。 知らないことこそが最大の負担だった、と彼女は言います。しかし、内心では、彼女は怒りに燃え、復讐を計画しています。 彼女はリボルバーを財布に入れ、スヴェンを撃つ機会を伺います。いざとなった時、彼女が他人の命を奪う準備ができているかどうかを判断するのは、GMのあなた次第です。しかし、彼女は復讐によってミアや無実の傍観者を危険にさらすことはありません。また、ミステリーを解決するためのティーンたちの努力を邪魔するようなこともしません。

場所4:リネア・ホール[イザベラ・ワード]

 「トラベラー」での出来事の後、エリサベスはリネア・ホール[イザベラ・ワード]に、一連の実験を手伝うように頼みました。リネアはエリサベスを崇拝しているので、はいと答えました。しかし、エリザベスはリネアの知識とお金だけが目的だったことが判明したのでした。未来望遠鏡となる予定のものの基礎を構築するために、リネアの貯蓄のすべてを費やした後で、エリサベスは彼女を押しのけて姿を消しました。リネアは振られ、ひどい苦痛を味わいました。その後の空虚さと無気力の中で、彼女はバーでラグナ・ラスク[ラッセル・ジョーンズ]という名前の暴力的な犯罪バイカーに誘惑されました。ラグナは彼女の家に引っ越してきて、そこで彼は彼女を奴隷のように扱っています。彼女が逃げようとしたり、しろと言われたことを拒んだりすると、彼は彼女を殺すと脅しています。
 リネアは、ムンゼーはウェスビー南の浜[ボールダーハーバーの西]にある古い別荘に住んでいます。木造の小屋は明るい黄色に塗られています。ブラインドは閉められ、サイドカー付きの大型バイクが屋外に停められています。ラグナの飼う攻撃的なチワワ・ヒトラーがバイクを守っています。
 リネアの家は、ラグナによって、銃雑誌ガンズ・アンド・アモとホッグライフMCマガジン、重火器、麻薬、汚れた洗濯物でいっぱいになっています。半裸の女の子のポスターが壁を覆っています。ラグナは偏執症で、彼の古いギャングの「ダーティ・バスターズ」か、もしくは警察が彼を追っていると信じこんでいます。彼はリネアが自分へのスパイなのではないかと疑っており、彼女のあらゆる動きをコントロールしています。彼の言うことをリネアがちゃんと行わない場合、彼は彼女に対して精神的および肉体的に罰を与えます。ラグナはほとんどの場合、テレビのそばのソファの上に確認できます。彼は膝の上にショットガンを抱え、キッチンではリネアが料理や洗濯をしています。彼女はまだエリザベスの裏切りに心を乱され続けており、ドラッグをやっているかのように話したり動いたりしますーー時々、実際にその通りになります。

トラブル
 ラグナはどんなことがあっても、ティーンたちを一歩たりともリネアに近づけさせません。ティーンたちが話しかけると、ラグナは彼らが「ダーティ・バスターズ」や警官に送りこまれたと思い、次に姿を見せるようなことがあれば銃で撃つと脅します。ラグナは現在警察に追われてはいませんが、ティーンたちが諸島の警察に、ラグナが家の中に武器や麻薬を所持していることを納得させられれば、警察はラグナの元を訪ねることになり、そしてそれは十中八九、血みどろの人質事件へと変わります。もしくは、ティーンたちは、ラグナの元暴走族がバルカン半島[メキシコ]からの武器の輸出を待つためにステンハムラ[ボールダーシティ]にたまたまいたとして、彼らに接触することができます。 GMとしてあなたは、バスターズがラグナに当然の報いを受けさせるか、もしくは彼をギャングに戻すことを望むかを決定します。ティーンたちがどうやってかラグナを家から追い出せば、リネアはいつまでも感謝し、ティーンたちに自分が知っていることの全てを話します。
手がかり
 リネアはティーンたちに未来望遠鏡の回路図(アイテムボーナス+3)を与えることができます。彼女は、望遠鏡がヘパイステウムの心臓部として作られた、とティーンたちに話します。そして、それなくして実験室は機能しません。リネアはまた、彼女とエリザベスがそれを建造したときにさまざまな間違いを犯したことにも気づいており、たとえそれが完成したとしても、それがどう作動するのかはわかりません。彼女は、単にそれを起動するだけでも、ショートを引き起こしてヘパイステウムを破壊するほどだと考えています。とはいえ、望遠鏡は膨大な量のエネルギーを必要とします。X線タワーを中継して望遠鏡に電力をもし送ることができたなら、ループ原子炉(現在タワーに電力を供給している)は、望遠鏡が動作するのに十分なエネルギーを生み出す可能性があります。もしくは、ハンマーで装置を粉砕してもうまくいくでしょう。同じように、リヴとエリザベスは破壊する他の方法も知っているかもしれません。
 リネアは、エリザベスと共に80年代にヘパイステウムを訪れました。それはありえない夢のようで、それと同時に心奪われる、恐ろしいものでした。想像を絶する実験が研究室を埋め尽くし、そしてあらゆる事が可能だと感じました。まるで建物自体が生きていて、自分の考えや感情を導いているかのようでした。
 リネアはまた、エリザベスがヘパイステウムと未来望遠鏡の建設に完全に没頭していることをティーンたちに伝えるかもしれません。リネアは、エリザベスがそこに携わっている間、一度も食べたり寝たりするのを見たことがありません。エリザベスは体重が減り、言っていることが滅茶苦茶なことがよくありました。彼女は夜中に何度もリネアを起こし、自分たちの仕事の重要性について叫び、地球温暖化と汚染についての本を読ませました。

場所5:ビリーとジェーン

 「肉と鋼の」での出来事の後、ロシアの流れ者たちはさらに身を隠しました。しかし、2体のロボットは、リヴ[ディスティニー]と連絡を取り続けていました。元トーテム族のリーダー・ジェーンと、彼女のライフパートナー・ビリーです。リヴは、ジェーンの不足している部品を交換し、その見返りに、ジェーンとビリーは、避難区域内の島[ロックアイランド]にある古い電波塔を再利用するのを手伝い、X線タワーへと変えました。
 ジェーンとビリーは、機械ガンがすべてのロボットを殺すために送られた疫病であると思い込んでおり、自分たちによって広がる速さが早まったということに気づいていません。二人は、X線タワーを使用して、知能ロボットが電波を使用して長距離で通信できるようになると考えています。
 ビリーとジェーンは、盗んだカヌーを2艘、ひもで縛り合わせ、背面に船外機を2つ貼り付けて、ボートを作りました。彼らはそれを使って諸島を旅し、癌から救うために機械やロボットを集めています。彼らは、薬品の入った大桶に浸すことで患者を治療しようと、アデルセーの南側[ヘメンウェイ公園の北の砂漠]にキャンプを作っています。キャンプ周辺の地面は、錆びと粘液によって覆われています。錯乱した感染ロボットは、あてもなくふらふらしたり、水漏れさせながら地面に座ったりします。濃い化学物質の煙が、キャンプを覆っています。ビリーとジェーンは白衣とマスクを身につけています。

トラブル
 ビリーとジェーンは、誰かにキャンプが見つかって、人目にさらされることを恐れています。その地域にティーンたちが近づくと、2人は隠れます。グループは【調べる】を使ってキャンプを見つけ、その目的を明らかにする必要があります。ティーンたちが失敗するとその場に留まりますが、ビリーとジェーンは最終的に出てきて彼らと話します。
 ロボットたちは、2人を通報しないようティーンたちに頼みます。彼らは、神々から送られた疫病から機械人類を救おうと、毎日命を危険にさらしていると言います。もしティーンたちが、2人が建設を手伝ったX線タワーのことを話し、それが癌の広がりを早めていると言うと、彼らは激怒します。彼らはティーンたちを助けることを申し出ますが、まず彼らへのお世話が必要です。感染ロボットがキャンプを出て、近くの農場に向かっています。ロボットが捕獲された場合、キャンプが発見される可能性があり、つまりティーンたちはそれを見つけて、できるだけ早く持ち帰る必要があります。脱走者は、四足のクモのようなメンテナンスボットで、ループトンネル内の狭いスペース用に設計されたものです。緑の粘液の漏れている大腸が垂れ下がっているため、追跡は極めて簡単です。停止しない限り、ボットは農場家屋をまっすぐ通過し、破壊します。人工知能のないロボット(【筋力】)3で、【魅了】することはできません。【プログラム】はおそらくロボットを停止させる一番の方法です。
 ビリーとジェーンは、スパイダーボットを止めることに成功したかどうかに関係なく、ティーンたちを助けます。もしボットが停止しなければ、農場にある母屋が破壊され、数時間後に警察が到着するでしょう。彼らはキャンプを発見し、ビリーとジェーンはボートで逃げることを余儀なくされます。
手がかり
 ビリーとジェーンは、タワーがレフスホルメン島[ロックアイランド]にあり、ロボットによって守られているとティーンたちに話します。タワーは古い電波塔の上部に取り付けられており、ショート、停止、もしくは破壊できそうです。彼らは、タワーをロボットの遠隔操作に使用できることを知っており、タワーを最初に取り除かない限り、ヘパイステウムへたどり着くことはほとんど不可能だと思っています。
 彼らはまた、リヴが悲しそうに気を重くしているように見え、罪悪感を感じているようだった、ということに触れます。リヴは「エリザベスこれ」と「エリザベスあれ」に言及し続け、彼女を怖がっているようでした。彼女は、ヘパイステウムを取り戻したら、すぐにすべてが上手くいくと繰り返し続けました。ビリーとジェーンがヘパイステウムとは一体何なのか尋ねたとき、リヴはそれを人類の救いだと答えました。ある時、彼女は2人に「ヒポクラテスの誓い」について話しました。これは、医師は危害を加えないという約束のことです。

場所6:X線タワー

 エリサベスとリヴは、ビリーとジェーンの助けを借りて、レフスホルメン[ロックアイランド]の古い電波塔の頂上にX線タワーを取り付けています。島はエルガンシェとヴェントホルメンの間に位置し、放棄された夏の別荘地が存在します。タワーは島の中心にあり、鵜の大群を引き付けています。したがって、島は白い粘ついた鳥の糞の化石で覆われています。
 タワーの高さは14メートルで、鉄骨、コンクリートブロック、そして使いすぎてダメになったワイヤーを含むプラスチックチューブでできています。塔の先端には、高性能電子機器のキューブが4つ設置されています。鋼鉄と肉でできた繊維質の網が、塔の周りの地面を覆い、まるでツタのように塔を数メートル上まではい登ってきています。
 タワーから約20メートルのところに、サンダーボルト(カウントダウンを参照)によって撃墜された無人のマグネトリン船の残骸があります。これは小さな偵察船で、生物学チームが島の動植物を研究するために使用しているものです。船は全長14メートルで、緑と黒に塗られており、高度なセンサー機器が満載です。手動で操作すれば5人収容可能です。船は、側面から船体を引き裂いた対戦車ミサイルに衝突し、エンジンの一部を破壊されました。機首側面には「BIO-X19」の刻印があります。

避難区域に入る


 タワーとヘパイステウムに到達するには、ティーンたちは避難区域[砂漠地帯の北東部]に足を踏み入れる必要があります。彼らはルイーズの車やボートを借りたり、徒歩や自転車で移動したりすることができます。避難区は不気味に静かで、急速に自然に回帰しています。壊された窓は火事場泥棒的な侵入を示しており、家の表庭には林や木々が根を下ろし、手入れされていない生け垣が側道のはるかに高くまで成長しています。鳥、ウサギ、キツネ、シカ、野良猫がこの地域の新しい住民です。ここでは機械ガンが特にひどく、タワーのほうに近いものほどそうです。ステレオとコンピューターは、黒みがかった紫色の腫れ物が沸きたっており、棄てられた車は緑のべとべとで満たされ、ひびの入った電源ボックスは筋肉組織で溢れています。ここで育ったティーンたちは、この辺りの古い家や、近所、学校などを見るのが辛いかもしれません。
 サンダーボルトは、侵入者を怖がらせるために避難区を巡回しており、主に威圧的な音を立てたり、通りを横切ってレーザーサイトをさっと動かしたりしています。これでもうまくいかない場合は、彼らは以下のように侵入者の行く手を阻もうとします:車の前に出る、道の壁や天井を壊す、タイヤを撃つなど。最後の手段として、彼らは侵入者を攻撃します。どういった移動手段かに関係なく、ティーンたちは見られずにタワーに到達するためにはそれぞれ【隠密】判定に成功し、さらにヘパイステウムにたどり着くためにさらに別の判定に成功する必要があります。判定に成功した場合、ティーンたちはサンダーボルトのパトロールが通り過ぎるのが見え、彼らに少し汗をかかせたいようなら、隠れることを余儀なくされているティーンたちを覗き込ませるかもしれません。

トラブル
 タワーは、エリザベスの指揮下にある、感染した「4足歩行のオルタ」によって守られています。オルタは4本の足と巨大なはさみ状の爪を持っています。そのボットは動きや音に反応し、タワーから30メートル以内に誰も入れないように指示されています。気づかれずにタワーに近づくには、非常に困難な【隠密】判定(6が2つ)に成功する必要があります。墜落したマグネトリン船で向かう方法は通常の難易度です。ボットを振り切るのは、ほぼ不可能な【運動】判定(6が3つ)です。戦闘でボットを無力化するには、ティーンたちが武装し、ほぼ不可能な【筋力】判定に成功する必要があります。失敗したロールは状態異常につながります。
 【計算】を使用してボットを分析すると、ボットをリモートで無力化するために使える送信機が作れることがわかります。これには、ツール、特別な無線機器、および【技術】と【プログラム】の成功ロールが必要です。電波塔の頂上に登らずにタワーを破壊する唯一の方法は、たとえばマグネトリン船などの乗り物をそのタワーに衝突させることです。頂上に登るには、非常に難しい【運動】判定に成功する必要があります。失敗すると、ティーンたちは落下し、状態異常にチェックを入れないといけません。
手がかり
 タワーの上部で、ティーンたちは電子機器を粉砕するか、【プログラム】を使って動作を停止させることができます。 これにより、ヘパイステウムとサンダーボルトの間の接続が切断され、その後、ロボットたちがでたらめに避難区域をさまよいます。彼らは引き続きティーンたちを止めたり攻撃したりしようとしますが、組織的な成果を出したり、守るためにヘパイステウムで軍隊を再編成することなどはできなくなります。タワーの頂上からは、廃品置き場にヘパイステウムへの入り口が隠れているのが遠くに見えます。 廃品置き場は3体の武装ロボットによって守られていますが、タワーが停止または破壊されると、彼らは避難区域に迷い込んでしまいます。
 タワーの上部にケーブルを引っ掛けて未来望遠鏡に接続すると、研究所を破壊するほどの過負荷を引き起こすことができます。
 マグネトリン船の修理には、スペアパーツ、船がどのように動かすかを理解するための【計算】、修理のための【技術】、および起動のために【プログラム】判定の成功が必要です。 その後、船は再び飛行できる状態になります。

対決フェイズ

 ティーンたちは、ヘパイステウムにたどり着き、ミーアを救出し、未来望遠鏡を破壊または動作を停止させないといけません。 彼らがまずX線タワーの接続をオフにしない限り、ティーンたちが研究所に到着したときに、何体かのサンダーボルトのロボットたちが彼らを攻撃するでしょう。

ヘパイステウムへの入り口
 地下実験室は、ブラックレイクランド[ヘメンウェイ・ウォール]の北の端、エルガンシェの向かいにあります。唯一の入り口は、避難命令の後に放棄された、くず鉄置き場の下にあります。 高いフェンスが土地を囲んでいます。 さびた車、金属くず、タイヤの山が置き場を埋め尽くしています。3つの作業場のうちの1つには、床に小さな白いハッチがあり、下のラボにつながっています。 ハッチの横にあるボタンでハッチが開き、排水されたトンネルの一角へとつながる階段が現れます。
トラブル
 もしX線タワーが処理されていない場合、3体のサンダーボルト・ロボットが鉄くず置き場を守っています。彼らはティーンたちを攻撃し、援軍を呼びます。戦闘は「ほぼ不可能」なエクステンド・トラブルです。失敗した場合、ティーンたちは全員瀕死になり、リヴとエリザベスによって捕らえられます。
 サンダーボルトとは別に、リヴの作品の1つ、ヒドラと呼ばれるモンスターが、鉄くず置き場を守っています。それは置き場に隠れており、研究室への立ち入りが承認されていないすべての人間を捕まえるようリヴやエリザベスによって命じられています。タワーが機能停止されている場合、ヒドラは置き場を歩き回り、イライラして混乱しながら、鼻を鳴らし、いなないて、車とタイヤを空中に放り投げています。【理解力】判定をすると、ヒドラはあまり賢くなく、庭の一方の端で音を立てて、その間にティーンたちが反対側から忍び込む、という昔ながらのトリックに引っかかるかもしれないと分かります。ティーンたちがヒドラを通り過ぎる【隠密】か【筋力】に成功しない限り、彼らは捕らえられて巣に運ばれ、リヴまたはエリザベスが回収しに来るのを待つことになります。ただし、タワーが取り除かれている場合、ヒドラはすぐに捕まえた人間を生体解剖して、自分の体へのさらなるエネルギー源として追加します。捕らえられたティーンたちは、ヒドラが十分に興味を失ってしまうまで抵抗するための【筋力】判定に成功しなければ、瀕死になります。
手がかり
 【調べる】で、作業場の1つに続く扉が、他の2つのようにほこりやクモの巣で覆われていないと皆が気付くのを助けるかもしれません。そしてこれは、その扉がヘパイステウムにつながるものだと意味しているに違いありません。内部にある床のハッチは隠されていません。
ヘパイステウム
 弾力のある未知の素材で作られた黒い階段は、トンネル内の排水された箇所へと通じています。ヘパイステウムは、迷路のような廊下と、さまざまなサイズや形の部屋が10個ほどで構成されています。床、壁、天井は、鋼、コンクリート、有機的な筋肉のような組織の組み合わせでできており、そこには青白い静脈に血のようなものが巡っています。心臓の鼓動にも似た何かが、複合施設全体に響き渡ります。血と内臓のにおいがします。壁や天井の痙攣するような収縮で、ときどき新しい出入口が開いたり、古い出入口が閉じたりすることがあります。壁のあちこちにあるコンソールにより、リヴは研究所のレイアウトを好きなように再プログラムできます。
 入り口に最も近い実験室では、リヴが機械ガンの組織から人型の肉体を形作ることで、命を吹き込もうとする実験のために使用されます。チューブとケーブルは、ぴくぴくと動く体から、あらゆる種類の異なる機械に伸びています。ホールの反対側の部屋は、小さな燐光(訳注:蓄光性を持つ物質が暗所で発光する際の光)の粒子でいっぱいです。ある種の鏡かポータルのようなものが、壁のひとつで明るく輝いていますが、他のすべての電気機械はショートしています。エリサベスは、自分が別の世界へのポータルを開き、別の星の生命体を通したと信じていますが、まだこれを研究するために時間をかけていません。輝く粒子が実際に何であるかは、GMとして裁量するあなた次第です。
 最初の廊下の別の突き当たりには、3つの部屋に、人間が充分入れるほどの大きな檻と、麻薬、医療機器、馬用麻酔銃(アイテム+1)の備蓄があります。3つの小さめな部屋は、預言者たちのため寝室として作られ、簡易ベッドと読書灯があり、そのコードは肉の壁にまっすぐに差し込まれています。ベッドルームの隣は、冷蔵庫、冷凍庫、チェスや囲碁などのいくつかのボードゲームがあるキッチンです。キッチンの更に隣の部屋には、バイオハザードと放射性の警告サインが付いた木箱が高く積み上げられたテーブルがいくつかあります。化学防護服と防毒マスクが壁に掛かっています。
 別の実験室は、スヴェンがヒョウタン病を完成させる試みに特化しています。彼はそこに囚えられてはいないものの、スヴェンやミーアを逃がさないようヒドラが指示されていることを知っています。彼はティーンたちを助けるため、彼ができることをするでしょう。彼は研究室に2枚の絵を持ってきています。1枚はアレキサンダー大王、もう1枚はヘパイストスです。ミーアは、フリーズドライ食品と肉の缶詰でいっぱいの、小さな貯蔵室に拘束されています。彼女は暇つぶしのために数冊の本、簡易ベッド、そしてメモ帳を与えられています。ドアは施錠されており、エリザベスが鍵を持っています。
 リヴは、実験室の1つにある机に突っ伏しており、まるで大きな肉の塊のように見えますが、実際に突っ伏しているのは感染したトースターの上です。彼女の隣には、サンダーボルトと通信できるラジオがあります。部屋には、有名な哲学者や思想家による倫理と道徳に関するコピーされた本とスピーチ集がたくさんあります。 リヴは、全テキストのほぼすべてに線を引き、余白に質問マーク、メモ、コーヒーやワインの染みでいっぱいにしてから、壁にピンで留めています。彼女は仕事に取り憑かれており、エリザベスを完全に信頼していますが、奥深くの何かが湧き上がりつつあり、彼女の犯した醜い犯罪と直面するのを余儀なくされています。この新しい感情を受け入れることで、彼女はエリザベスを敵とみなすでしょうし、彼女はまだこの結論をうまく処理できません。計画に疑問を呈するのではなく、計画に沿って進むことを選択する方が簡単です、今のところは。
 未来望遠鏡はヘパイステウムの中心部にあります。部屋全体は、電子および機械装置、モニター、およびコンピューターでいっぱいです。望遠鏡の中心から約30本の太いケーブルが部屋の壁まで通っています。機械の核となるのは、ぶ厚い鉄板がねじで留められた巨大な心臓で、激しい鼓動によって部屋全体が揺れます。部屋にあるスクリーンは時折ちらつき、起こり得る未来と過去を数秒だけ映します。望遠鏡の回転カメラは、部屋に入る人をズームインし、彼らの未来を抽出して画面に表示しようとします。ティーンたちは、大人としての自分自身をちらりと見ることになります。エリザベスは望遠鏡の上でガスバーナーを使って24時間作業しています。彼女の隣の床には、回路図の山、ケーブルの一部、工具、および装填された銃があります。部屋はとても暑く、タトゥーを入れたエリサベスの背中に汗が吹き出だしいます。彼女は痩せこけ、何日も寝ていません。目には熱狂の炎が燃え、長い間喋っていないために声はかすれています。

謎を解く


 ミステリーを解決する方法はいくつかあります。ティーンたちがどれを選んだかに関係なく、未来望遠鏡は起動し、タイムマシンとして機能し、ヘパイステウムを80年代に送り返します。そこで、3人の預言者たちに偶然発見されることになります。以下は、考えられる一連のイベントに関するいくつかの提案です。

  • 頭脳:ティーンたちはマグネトリン船を修理し、タワーの頂上まで飛んで、ケーブルを接続し、それを未来望遠鏡に接続して、研究所を過去への転送を引き起こします。
  • 筋肉:ティーンたちはタワーを登り、レンチで粉砕します。その後、彼らはヘパイステウムに忍び込み、望遠鏡に同じ処理を施し、ショートを引き起こして実験室を過去に送ります。
  • 魅了:ティーンたちは、タワーの頂上に飛ぶか登って、それを停止させます。その後、彼らはヘパイステウムに入ると、リヴかエリザベスに彼らの計画を放棄して望遠鏡を止めるように説得します。これによりショートが発生し、ラボは過去に転送されます。
トラブル
 ティーンたちは、リヴに見つからないように、【隠密】判定に成功する必要があります。発見された場合、ティーンたちは彼女を【魅了】して助かる必要があるでしょう。【感受性】判定に成功すると、リヴは自分の信念が揺らいでおり、エリザベスを止めたいと思っているのですが、自分からそれを行うことはできないことが分かります。彼女は計画をやめるよう話しかけられるのを歓迎します。皆がリヴを味方にできなかった場合、彼女はサンダーボルトを呼び出そうとします。タワーが破壊されていない限り、3体のロボットが実験室に入り、ティーンたちを傷つけたり捕まえたりしようとします。どのロボットも彼女の呼び出しに応答しない場合、彼女はヘパイステウムをプログラムしてティーンたちの周囲の壁をせり上げることにより、自分の手で彼らを捕まえようとします。その後、彼女はエリザベスを連れてきます。【運動】判定に成功すると、ティーンたちはせり上がる壁に捕らえられるのを回避できます。万が一壁に囲まれていることに気付いた場合は、「非常に難しい」【計算】判定(6が2つ)に成功することで、壁のコンソールを使用して周囲を再プログラムしたり、【筋力】を使って亀裂をこじ開けて逃げたりすることができます(これも「非常に難しい」)。
 ティーンたちが望遠鏡の部屋に入ってきたことにエリザベスが気づくと、ガスバーナーと銃でティーンたちを脅します。彼女は立ち去るように言い、彼らが避難区域を出るまで誰にも触らせないことを約束します。もし従わなければ、彼女は撃ち殺します。彼女は【超人】(全能力値)2を持っています。ティーンたちは、棍棒のようなもので望遠鏡を壊そうとしたり、リブやエリザベスに電源を切るよう説得したり、X線タワーに接続された電源ケーブルを使って過負荷をかけたりするかもしれません。いずれにせよエリザベスと対決することは「非常に困難な」エクステンド・トラブルとして扱われるべきです。失敗は、撃たれたり捕まったりすることを意味しますーー全員が瀕死になります。

対決フェイズ後

 ティーンたちが未来望遠鏡の破壊、ショート、または機能停止に成功すると、心臓の鼓動が停止し、すべてが沈黙に包まれます。突然、壁、床、天井の筋肉が収縮し、大きなうめき声が複合施設じゅうに響き渡ります。いくつものまばゆい閃光でティーンたちの目が眩みます。
 そして気が付くと、ヘパイステウムは消えています。ティーンたち、預言者、そしてミーアは、急速に水で満たされた空っぽの廊下に立っています。ヘパイステウムは過去に転送され、そこでスヴェン、ナターシャ、エリザベスによって再び発見されることになります。
 X線タワーによって機械ガンの広がりは止みますが、病気はすぐには消えません。ティーンたちがエリザベスを警察に引き渡そうとすると、彼女は逃げます。法廷で認められる証拠はほとんど残っておらず、リヴもスヴェンも逮捕されません。ティーンたちが預言者たちを放っておく場合、彼らは別れることに決めます。:エリザベスは南部の親戚と一緒に暮らし、意味のある人間関係を回復しようとします。リヴはライフコーチとしての仕事に戻り、スヴェンはベルグゴーデン高校に戻ります。ティーンたちがルイーズに誰が母親を殺したのかを伝えた場合、ルイーズはスヴェンを殺そうとします。彼女が成功した場合、ミーアは母親と一緒に暮らすのではなく、ティーンのうち1人のところに転がり込ませてほしいと頼むかもしれません。

後日談フェイズ

 トラブルの有無にかかわらず、ティーンたちは、それぞれ日常のシーンを行います。ティーンたち自身でシーンを設定してもよいでしょうし、GMにどうするか尋ねても構いません。時間が押している場合は、各プレイヤーは代わりにティーンたちの日常の一瞬として、短いスナップショットを描写します。これがゲームのエンディングの場合、プレイヤーたちは、自分たちのティーンが大人になってからの人生について、何か言いたいかもしれませんね。

成長

 最後のシーンの後、キャラクターのシートをまとめて見て、ティーンたちが成長したかどうかを確認します。プレイヤーが望むなら、各ティーンたちの問題、コンプレックス、アイコンアイテム、または人間関係を変えても構いません。一同は、自分たちの対立をまとめて変えることにしても構いません。プレイヤーにXPの質問(97ページ)を声に出して読み上げてください。はいと答えるごとに1XPとなります。