新たな客人

Last-modified: 2017-05-28 (日) 00:36:28

[新たな客人]

 

待たせたな、では案内を頼むぞ。

 

吾はお前に憑いたのだ。
当然のことだろう?

 

お前の自宅に案内しろといったのだ。
心配するな。気配は完全に消しておこう。
街の人間や式姫に気取られても
面白いことにはならないのでな。

 

これから先、お前が見、感じたことは
吾が共感しよう。
付き合いが長くなるか、
短くなるかはお前次第だ。
精々、吾を退屈させてくれ。
とこよ。

 

また、吾と戦いたくなったのであれば
かの城を訪ねると良い。
いつでも相手をしようぞ。

 

……吾を呆れさせるな。
忘れたのか、吾の血は鬼となる。
それに吾は今、単なる「目」だ。
戦うほどの力は持っておらぬ。

 

気安いな。だが、それも良かろう。
お前らしい――
(いや、あいつらしい。か……)

 

いや、そう言えば――
泉が吾との手合わせを試練にしたと
言っていたぞ。
「古代神研究委員」から受けると
いいじゃろう、ともな。

 

いや、少し違うな。
「ワシと戦った時のように」と言っていた。
「黒濁の宝玉」を「悪路王の間・裏」に
捧げれば、当時の吾が相手をしよう。

 

ああ、お前とやり合ったときよりも
吾の力は高まっている――
そもそも謁見だけのつもりだったのだがな。
誰かが武器を抜かなければ。

 

とこよ一人では無理だろう。
仲間を連れてやってくるがいい。
その時は、相手をしよう――

 

力が足りぬと感じたならば、
新たな常世の境を使うといい。
此度の地には骨喰乃鬼がいる。
新たな力の礎になるやもしれんが――
そこそこに使う奴だ。挑む場合は
己の力量を見極めつつ、脇道へ行け。

 

心配であれば、力を磨け。
まだ小さき方位師よ。
今以上に背を預けられても、
支えきれるようにな。