邂逅-大滝丸-

Last-modified: 2017-05-28 (日) 00:37:51

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……………

 

ほう、陰陽師か……お前は。

 

こんな所に何用だ?
……まぁ大体の所は想像つくが。

 

<あなたが……大滝丸さんですね。>

 

その通りだが……
俺の名を知っている、ということは――

 

最近この辺りをうろついている輩の仲間か?

 

<悪路王さんに……>
 あなたのことを聞いて来たんです。>

 

――なに?

 

悪路王……阿弖流為か。
懐かしい名前が出てきたものだ。

 

で?
阿弖流為が俺に何の用だ?
受肉した、とかいう話は聞いたが――

 

まさか、あやかしとなった俺に
同情しているわけではあるまい。

 

……やはりそういうことか。
ならば……さっさと帰れ!

 

そして奴に伝えろ。
そんな情は要らぬ、とな。

 

<悪路王さんは、
 あなたのことを心配して――>

 

だから要らぬ! と言っておるのだ!
俺は幽世だかが与えたこの力を気に入っている。
あやかし? それがどうした。
鬼と呼ばれていたものが、そう変わっただけだ。

 

わかったら、さっさと帰れ。
俺は弱い者に興味はない。

 

<弱いかどうかは、
 戦ってから判断してください!>

 

なんだ、生意気な奴だな。
……阿弖流為の使いなだけある。

 

<私は使いじゃない。悪路王さんに……
 あなたを倒すように、頼まれたんです!>

 

……………

 

阿弖流為も余計なことを。
しかも、こんな弱そうな奴によ。

 

<だから……>

 

あー、わかったわかった。
弱いかどうかは勝負してから、だろう?

 

活きのいい奴は嫌いではない。
まぁ、よいだろう……

 

かかって来い。
相手をしてやる。

 

お前が俺に勝つことは有り得ぬが……
……もしも勝てば……

 

……………

 

ふんっ可能性のないことを
考えるのは時間の無駄だな。

 

<(今、大滝丸さん、
 少し寂しそうな顔してた……)>
<(もしかしたら……)>
<(あやかしのままでいいなんて、
 嘘なのかもしれない…・・)>

 

どうした? 黙り込んで。
怖気づいたのか?

 

俺はいつでも戦える。
お前の準備ができたら、かかってこい。

 

<(あの、私が勝ったら、
 大滝丸さんは、どうなるんですか?)>

 

そんなことは有り得ぬが……そうだな。
昔は望んでこの地を守っていたが……

 

力を得た今は、その引き換えだろうが……
俺はこの地に縛り付けられている。

 

その、縛り付ける楔が、
抜かれるんだろうよ。

 

……まぁ、一度や二度勝つ程度では
無理だろうが……
俺の退屈しのぎにはなるな。
ほら、遊んでやるよ。

 

<(やっぱり、あやかしの身ゆえの枷が、
 大滝丸さんを縛ってるんだ……)>
<(悪路王さんの言った通り、
 勝ってその枷を外してあげないと……!)>

 

どうした、勝負しないのか?

 

<いえ、準備はできています。
 いざ、勝負!>

 

ああ、来い!