鬼神

[佐渡金山北部　達成]

＜金鉱山の門を閉じてきました。今回も、
　あやかしは伝承のものでは無かったです。＞

＜そうか……となると、
　やはり――＞

間違いなくアレのせいだな。
信仰という力は強い。

その上、弱き者が理解できぬ事態に面すれば、
信心が強くなることもあろう。

＜かくりよの門が開いて以降、
　土着で細々とされていた信仰が――
　急に力を増すことがあるのは、
　こちらでも確認されています。＞

豪族でもあり、鬼神でもあり、
龍を討伐したともされる存在。

その信仰が強まった故に、
伝承の入り込む隙間が無いほどに――

かくりよの大門の力を吸っているのであろう。
吾とは、また違う有り様だ。

心せよとこよ。お前は今後、
土着の信仰を斬るやもしれん。
二つの面に多くの手足を持つ鬼神
『両面宿儺（りょうめんすくな）』

その門が開かぬうちに、
力を蓄えておくのだな。

［飛騨八賀郷］
＜両面宿儺の報告があった。＞

＜これに関しては私よりも
　校長先生から――＞

泉の手を煩わせるまでも無い。
時が来れば吾から話そう。