校長との会話 弐

Last-modified: 2017-05-28 (日) 00:38:02

[越後三島漁村 達成]

 

(泉よ。少し話がある)

 

(どうやら、あの小娘も薄々
 感づいたようだがな)

 

とこよ。先に自宅に戻っていろ。
吾は泉と話がある。

 

<あんまり、遅くならないように
 してくださいね。>

 

……心がけよう。

 

あれはどういうことだ、泉。

 

<先遣隊から報告は聞いた。
 どうやら出現したあやかしはほぼ全てが――
 「怪談」を元とした、土地に根付かぬもの
 だったらしいの。>

 

<幾つかオヌシの鬼気に誘われ、
 出でたものもあるようだったがの。>

 

土地に根付かぬものが多いのはまだいい。
かの地には「アレ」がいるからな。
他の伝承や信仰が割り込む隙間が無くとも
仕方は無い。だが――

 

先の大首の大量発生。それに今回の「朱の盆」
どちらも人の匂いと意思を感じた。

 

<わかっておるよ……幕府には、
 ワシから真意を問うておこう。
 あまり期待は出来んがな。純粋に幕府側は
 何も知らぬ可能性がある。>

 

どうやら、吾がお前らに取り憑いたときとは
また情勢が色々と違うようだな。

 

<時も流れた、それは仕様のないことじゃ。
 あの子の成長を見ていればわかるじゃろう?>

 

……

 

……ああ、そうしよう。
吾を失望させるなよ? 泉。

 

何用だ?

 

<何に義理立てしているかは問わんが、
 もう少し前に出てきても構わんのじゃぞ?>

 

覚えておこう。だが、どう動くかは
吾の自由だ。

 

<そうじゃ。自由に、な……>