Medium01 - Eden

Last-modified: 2015-10-03 (土) 11:42:49

Medium-Eden

エデンに植えられた知恵の樹と生命の樹は、胎内と人間界とをつなぐ二本のへその緒。アダムとイヴはそのうち知恵の樹の実をほおばり、有限の人生を舞台に「生きる」ことを余儀なくされた。
あれから五十万年の時をまたぎつないできた知のリレー。その最果てにいったいなにがあるというのか。もうお気づきだろう、それは選ばれなかった生命の樹にやどる力、永遠のいのちに他ならない。
やがてヒトがゴールテープをくぐるころ、マヤの暦は終焉を迎え、死と時の概念はともに消滅する。けれどヒトが全知全能になれるのは、ビッグバンのようにあるいは受精のように、ほんの一瞬にすぎない。なぜならそれは、もうすでに永遠なのだから。
これは終わりではなく、むしろはじまりだ。
知恵の樹の実が永遠のいのちへと導いたように、全知全能もふたたび土から欠落したアダムを創り、アダムからイヴを創り、また彼らを知のリレーへといざなう。
神道とは、神へいたる道のこと。ヒトから全知全能への道、有限から無限への道、有機物から無機物への道。しかしかならず還ってくる。全知全能からヒトへ、無限から有限へ、無機物から有機物へ。
あなたはいつ気づくのか。こちら側とそちら側をただ行き来していたことに。なつかしい香りと、どこかで見たことのあるような風景。アダムにとってのイヴの顔、イヴにとってのアダムの顔。
作者は死に、ストーリーは終わった。
そしてあなたの綴る終わらないナラティブが、またはじまる。

不老不死の達成=死の概念、時の概念が消滅する