Note16 - Singularity

Last-modified: 2015-10-04 (日) 14:00:46

シンギュラリティとは、高度なAI(人工知能)、あるいは科学技術の進歩で知能増幅が可能となったポストヒューマン(進化系人類)が、ヒトの知能を上回ってしまうターニングポイントのことをいいます。すでに多くのSF作品で題材にされているため、言葉は知らなくとも映画やアニメの世界で見覚えのあるできごとかもしれません。

 

あなたの住む時代、シンギュラリティは一般的におよそ20年後、2045年に起こるといわれています。未来人を名乗る私がこれについて言及すれば、それは「予測」ではなく「予言」になってしまうため、あえて正確な時期については触れません。これからあなたには、あくまであなたの時代にはじまっているシンギュラリティへの行進、そこで公表されている「事実」のみをお伝えしましょう。
(なお、ここでお伝えする内容に近い話を、先日取材を受けたエンジニアtypeのインタビューでもお伝えしています。興味のある方は、ぜひ。)

 

いま急速に開発が進められているAIのしくみは、「構造化されていないデータを統計的に推論させる」というもの。身近な例を挙げれば、スマートフォンの予測変換機能や、Amazonの「おすすめ商品」などがわかりやすいでしょう。シンプルではありますが、これらも構造化されていないデータを統計的に推論させることで生まれた、ヒトの求める未来を予測し目の前に提示してくれる人工知能の産物です。データとはすなわち、ヒトが蓄積してきた過去を意味します。構造化されたデータは天気予報のようにその分野でのみ未来予測を行ないますが、構造化されていないデータはそれを処理する技術が生まれてはじめて、あらたな分野での未来予測を行なってくれるのです。ちりばめられた過去は未来を映し出す

 

さて、あなたの住む時代、インターネットやスマートフォンがヒトの暮らしに溶けこむことで、史上かつてないほどの膨大なデータを収集する環境が整いました。これがいわゆる、近年話題となっているビッグデータ。GoogleやApple、Facebookらが必死でネットユーザーの争奪戦を繰り広げる影には、このビッグデータを処理できるほどの高度なAIが姿を潜めているのかもしれません。
例えばおよそ2年前、Googleはヒトの脳を模したニューラルネットを構築し、YouTube上でネコを識別させることに成功しました。コンピューターがはじめてヒトに教わることなくネコをネコと識別した──これは脳の神経細胞とそれをつなぐシナプスの働きを機械に置き換えられることを証明した、歴史的快挙です。そんなGoogleは去年から相次いで、軍事ロボット開発企業、AI開発企業、無人航空機メーカーなどを買収しています。さて、これから一体なにがはじまるのか、あなたには想像できますか?「ビッグデータを使ってマーケティングに活用する」、そんなかわいらしい話じゃないことだけは確かでしょう。

 

学者(ヒト)に寿命がある以上、記憶容量や学習領域にも限界があります。それらは紙や電子ファイルを通じて次世代へと後継されますが、あなたの住む時代では歴史の分だけふくれあがったデータ量のおかげで、各研究分野は日々難解になり、細分化されている状態です。しかしそれらをすべてひとつにまとめ、横断的に分析する技術をもったAIが誕生したらどうでしょう?ヒトの知能では到底処理しきれなかった膨大なデータからあらたな法則性を見つけ出し、不可能とされてきた未解決問題の解や、思いもよらぬ分野での未来予測が可能になるかも知れません。事実シリコンバレーでは日々シンギュラリティへの崇拝が高まり、すでに身体生物としてのヒトをいかにデジタルに置き換えるのかの議論が行なわれています。そして同時に、そもそもヒトの意識とはなんなのか?幸福とはなんなのか?そんな本質的な命題に迫る議論さえ行なわれているのです。

 

サイエンス・フィクションからリアルへ
私は先日、「TEDxTokyo」というプレゼンテーションイベントで、このシンギュラリティをテーマにスピーチを行ないました。タイトルは“A Fake Shows the Reality”、ニセモノで見せる真実です。私はあえてわかりやすいニセモノとして聴衆が見慣れたマネキンを置き、機械的なエフェクトをかけた声で自らを「高度なAI」と名乗り、こういいました。“It is not our mind that is controlling the Internet, it is the Internet that is controlling our mind.”「あなたはもう気付いたかしら?ヒトの意志がインターネットをコントロールしているのではなく、インターネットの意志がヒトをコントロールしていることに。アップデートはヒトの幸福を奪うものではなく、ヒトが幸福になるためのものでなくてはなりません。だからこそいまのうちに、現実に訪れるかもしれない未来のことを少しだけイメージしてみる必要があるのです。高度なAIがフェイクではなく、本当にあなたの前に姿を現す前に」このスピーチを行なったのが5月31日。5日後にSoftbankが人工知能を搭載した人型ロボット「Pepper」を発表し、さらにその2日後には英国で人工知能がはじめてチューリングテスト(対話している相手をヒトかAIか見分けるテスト)に合格しました。たった一週間でAIはニセモノではなくリアルに姿をあらわし、AIになりすましたヒトではなくヒトになりすましたAIが、ヒトをあざむくことに成功してしまった。(余談ですが、6月28日には『トランセンデンス』、『her/世界でひとつの彼女』という、いずれもAIをテーマにした映画が公開されるようです。)

 

これは単なるブームではなく、不可避なるヒトの進歩です。幾度となくあなたに伝えてきたように、あなたがまだSFだと思ってる世界は、いまこの瞬間にも一歩ずつリアルへと近づいてます。そしてあなたの生活にもたらすインパクトは、「ロボットに仕事が奪われる」「プライバシーがなくなる」などといったような、小さな変化ではありません。シンギュラリティ以降は実質的に技術進歩の支配権はヒトの手を離れ、高度なAI、もしくはポストヒューマンへと手渡されるため、それ以降の正確な未来をヒトに予測することは不可能とさえいわれています。あなたが生きているうちに起こる(かもしれない)ひとつの未来。それを知ったうえですべきことは、楽観するでも悲観するでもなく、まずはしっかりと受け止めること。そして時代に合わせて、あなたの考え方や思想もまたアップデートさせてゆくことです。あなたがこれまで身につけた知識や経験は決して無駄ではありません。しかしそこに執着しすぎることなく、以前「Neoteny」にも書き記した通り、子どものように柔軟に受け止める姿勢でいることが求められるのです。
なぜならあなたの目の前に置かれた常識もまた、長いヒトの歴史の、ほんの百年で作られた常識にすぎないのですから。

・『あえて正確な時期については触れません。』
と書いてあることから2060年までにシンギュラリティが訪れることは確定的な模様
ひとよ氏の年齢が20歳以上であると仮定すると(親)スターチャイルドの出現は少なくとも2040年
彼らも成人していると仮定するとどれだけ遅く見積もっても2020年にはスターチャイルドは生まれている計算になる つまり私たちの世代から見ると (子)スターチャイルド (孫)なかのひとよ となる
親の後始末をする必要があるのは子供

 

やはりシンギュラリティの到達は2036~45年?

 

・シンギュラリティはコンピューターだけではなく
それによって知能を大幅に増幅した一部の人類のことでもある

・ネックとなるのは寿命 上記のポスト・ヒューマンというのは不老不死化した人間のこと(?)

・「ロボットに仕事が奪われる」「プライバシーがなくなる」というのは小さな変化にすぎない

・あなたがこれまで身につけた知識や経験は決して無駄ではない
自動翻訳機が完成しても英語の勉強が無駄になったということはないみたい